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【シャフリングベビーと発達障害・自閉症の関係は?医学研究を検証】

天海 修平 天海 修平 • 更新: • 公開: • 読了約 14 分
目次

シャフリングベビーについて検索すると、「発達障害の可能性がある」「自閉症と関係している」という情報を目にすることがあります。

実際、医学研究ではシャフリングをする子どもの一部に、自閉スペクトラム症(ASD)が認められたという報告があります。

ただし、ここで重要なのは、シャフリングという移動方法だけで発達障害を判断することはできないという点です。

2021年の研究で報告されたASDとの関連

2021年2月、医学誌『Brain and Development』に名古屋大学医学部などの研究者らによる論文「Shuffling babies and autism spectrum disorder」が掲載されました。

研究では、2007年4月から2015年3月までに豊田市こども発達センターを受診したシャフリングベビー48人を対象に、診療記録を後ろ向きに調査しています。

その結果、追跡期間中に20人(42%)がASDと診断されました。

注目したいのは、次の3点です。

1. ASDと診断された子どもと、そうでない子どもでは、乳児期の粗大運動発達に大きな違いが認められなかった。
2. ASDと診断された子どもでは、初診時の視線の合いにくさが多く見られた。
3. ASDと診断された子どもでは、最初の意味のある言葉の発達が遅れる傾向が認められた。

つまり、シャフリングという身体の動きよりも、社会性やコミュニケーションなど、ほかの発達領域にも注意を向ける必要があるという結果です。

42%という数字をそのまま一般化してはいけない理由

この研究結果だけを見ると、シャフリングベビーの約4割に自閉症があるように感じる可能性があります。

しかし、調査対象は一般家庭から無作為に選ばれた赤ちゃんではありません。

すでに発達センターを受診していた48人が対象です。

そのため、もともと発達について何らかの心配があった子どもが含まれている可能性があります。

42%という割合を、すべてのシャフリングベビーに当てはめることはできません。

この研究は、シャフリングが自閉症を引き起こすことを証明したものでもありません。

発達障害を考えるときに確認したいポイント

シャフリングの有無だけではなく、日常のコミュニケーションや身体の使い方を総合的に観察することが大切です。

観察項目 確認したい様子
視線 呼びかけたときに視線を向けるか
言葉 意味のある言葉が少しずつ増えているか
指さし 興味のあるものを指して伝えようとするか
言葉の理解 簡単な呼びかけや指示を理解するか
遊び 人とのやり取りや遊びを楽しめているか
身体の動き 左右の手足をバランスよく使っているか

こども家庭庁の「改訂2版乳幼児健康診査 身体診察マニュアル」でも、1歳6か月児健診では視線の合いにくさ、発語の遅れ、指示理解の遅れ、歩行の遅れなどを確認項目として扱っています。

ただし、これらは診断を確定するための家庭用チェックリストではありません。

一つの項目に当てはまっただけで、自閉症と決まるわけではありません。心配な点が複数ある場合や、成長に伴って気になる様子が続く場合は、小児科で相談してください。

【シャフリングベビーの受診目安は?見逃したくない5つのサイン】

シャフリングベビー

シャフリングそのものは、必ずしも病気ではありません。

一方、似たような動き方をしていても、背景に神経や筋肉の病気が隠れているケースがあります。

見守る場合と受診する場合を区別するために、次のポイントを確認しましょう。

1. 身体の左右差が目立つ

右手ばかり使う、左脚をほとんど動かさない、移動するときに常に片側へ傾くなど、身体の左右差が目立つ場合は注意が必要です。

単なる移動の癖なのか、筋力や神経の働きに違いがあるのか、小児科医による確認が必要になります。

2. 身体が極端に柔らかい、または硬い

抱っこすると身体がぐにゃりとする、首や体幹が安定しない、反対に手足が突っ張って動かしにくい場合には、筋緊張の異常が考えられます。

特に首のすわりや寝返りなど、以前の発達段階から気になる点がある場合は相談しましょう。

3. 足を床につけられない、体重をかけられない

支えて立たせようとすると、いつも両脚を持ち上げてしまう、足の裏を床につけられない、つま先立ちばかりになるといった様子も確認したいポイントです。

英国NHS Informも、立たせたときに足を床につけられない場合や、身体の片側を多く使う場合を医療専門職への相談項目として挙げています。

4. 言葉やコミュニケーションの発達も遅れている

運動発達だけでなく、次のような様子が重なる場合は、発達全体を評価してもらいましょう。

- 名前を呼んでも反応が乏しい。
- 視線が合いにくい。
- 指さしなどで興味を伝えようとしない。
- 言葉の理解や発語が進んでいない。
- 人とのやり取りに関心が乏しいように見える。

こうした様子はASDだけに特有のものではなく、聴覚や言語発達など、ほかの要因でも起こります。

5. できていたことができなくなった

特に注意したいのが、発達の後退です。

以前はできていた寝返りやお座り、言葉、手足の動きなどが失われた場合は、単なる個人差として長期間様子を見るべきではありません。

早めに小児科へ相談してください。

受診の目安を整理
状況 対応の目安
左右均等に動き、遊びや反応も良好 健診を受けながら成長を観察
立たせても足をつけない 小児科に相談
片側ばかり使う 早めに小児科で評価
首のすわりや筋緊張に気がかりがある 小児科で相談
言葉・視線・指さしなどにも心配がある 発達相談を含めて評価
できていた動きや言葉が失われた 速やかに医療機関へ相談

こども家庭庁の健診マニュアルでは、1歳6か月児の歩行が未開始の場合、身体所見や神経学的な異常所見を伴えば、精神運動発達遅滞、脳性麻痺、神経筋疾患などを考慮して医療機関につなぐとしています。

一方、歩行開始の遅れだけで、言葉の理解や知的発達が良好な場合には、経過観察によって粗大運動の発達を再評価する考え方も示されています。

したがって、1歳半で歩いていないことだけを理由に、保護者が過度に不安になる必要はありません。ただし、気になる点があれば、2歳まで待つのではなく相談して構いません。

【家庭でできる見守り方と遊び方|プロの結論】

シャフリングベビーの成長を見守るうえで大切なのは、無理にハイハイや歩行を練習させることではありません。

赤ちゃんが自分から身体を動かしたくなる環境を整え、自然な運動経験を増やしていくことです。

1. 起きている時間にうつ伏せ遊びを取り入れる

赤ちゃんが起きているときに、大人が見守りながら短時間のうつ伏せ遊びを取り入れてみましょう。

目の前にお気に入りのおもちゃを置くと、頭を持ち上げたり、腕を伸ばしたりする動きにつながります。

最初から長時間行う必要はありません。赤ちゃんの機嫌や疲れ具合に合わせて調整してください。

なお、うつ伏せ遊びは必ず起きている時間に、大人が見守って行います。睡眠時は仰向けが基本です。

2. おもちゃを使って身体を動かす

おもちゃを少し離れた位置や左右に置くことで、赤ちゃんが自分から手を伸ばすきっかけを作れます。

おすすめの遊び方は次のとおりです。

- 左右におもちゃを置いて手を伸ばしてもらう。
- 少し前方におもちゃを置き、身体を前に傾ける機会を作る。
- 保護者の脚をまたぐような遊びを取り入れる。
- 広く安全な床面で自由に移動させる。

お尻歩きを無理にやめさせる必要はありません。

3. 安全に立つ練習ができる環境を作る

身体の状態に応じて、安定した家具や保護者につかまって立つ機会を作ることもできます。

ただし、脚に体重をかけることを嫌がる赤ちゃんを無理に立たせる必要はありません。

身体の左右差や筋緊張に気がかりがある場合は、先に小児科で相談しましょう。

また、歩行器やジャンパーを使えば歩行が早くなるという科学的な根拠はありません。英国NHS Informも、歩行器などは立つ・歩く能力の発達を促すものではなく、事故の原因にもなると注意を促しています。

4. 発達の記録を残す

毎日の変化を観察することも有効です。

例えば、次のような内容を母子健康手帳やスマートフォンの記録に残しておくと、健診や診察で役立ちます。

- 寝返りを始めた時期
- お座りが安定した時期
- シャフリングを始めた時期
- つかまり立ちを始めた時期
- 左右の手足の使い方
- 言葉や指さしの変化

移動中の様子を短い動画で記録しておくのもおすすめです。

診察室では普段どおりの動きを見せられないこともあるため、家庭での動画は医師が発達状況を把握する助けになります。

【プロの結論】注目すべきは歩き始める月齢だけではない

シャフリングベビーを考える際に、最も大切なのは、歩き始める時期だけを発達の評価基準にしないことです。

2026年の研究は、一般的な発達をたどる赤ちゃんにもシャフリングが見られることを示しました。一方、2021年の研究は、発達センターを受診したシャフリングベビーの中にASDと診断された子どもがいたことを報告しています。

この2つの研究は、矛盾しているわけではありません。

シャフリングは一つの移動方法であり、その背景にある発達状態は子どもによって異なるということです。

運動面だけでなく、言葉、理解、視線、社会性、身体の左右差などを総合的に見ていくことが、適切な判断につながります。

【シャフリングベビーに関するよくある質問(FAQ)】

Q1:シャフリングベビーは発達障害なのでしょうか?

A1:必ずしもそうではありません。シャフリングは運動発達の個人差として見られることもあります。ただし、視線や言葉の発達、身体の左右差などに気がかりがある場合は、小児科に相談しましょう。

Q2:シャフリングベビーは何か月ごろに歩き始めますか?

A2:一般的には1歳6か月〜2歳ごろに歩き始める子どももいます。個人差があるため、月齢だけで判断せず、つかまり立ちや伝い歩きなどの進み方も確認しましょう。

Q3:ハイハイをしないと将来の発達に影響しますか?

A3:ハイハイを経験しないことだけで、将来の知能や学習能力に問題が生じるという科学的根拠はありません。大切なのは、身体を動かす機会や周囲を探索する経験を確保することです。

Q4:シャフリングベビーは遺伝するのでしょうか?

A4:家族内で似た運動発達の特徴が見られることはありますが、特定の遺伝形式や原因遺伝子が確立されているわけではありません。家族歴だけで判断することはできません。

Q5:1歳半になっても歩かない場合は病院に行くべきですか?

A5:1歳6か月児健診や小児科で発達状況を確認してもらいましょう。身体の異常やほかの発達の遅れがある場合には、早めの評価が必要です。歩行の遅れだけの場合も、経過観察の方法や次回の評価時期を医師と相談すると安心です。

まとめ:シャフリングベビーは個性と発達全体を見て判断する

シャフリングベビーは、お座りの姿勢からお尻を使って移動する赤ちゃんのことです。

ハイハイをしない、つかまり立ちが遅い、1歳半を過ぎても歩かないといった特徴が見られることがありますが、それだけで発達障害や自閉症と判断することはできません。

2026年の日本の研究でも、発達障害のない乳児にシャフリングが確認されており、運動発達の多様性が示されています。

一方、医学研究では一部のシャフリングベビーに発達上の課題が見られたことも報告されています。

保護者が意識したいのは、次の3点です。

- 運動面: 左右の手足をバランスよく使い、少しずつ動きが増えているか。
- コミュニケーション面: 視線、言葉、指さし、呼びかけへの反応が育っているか。
- 身体面: 筋肉の緊張や姿勢、足への体重のかけ方に気がかりがないか。

赤ちゃんの発達には、それぞれのペースがあります。ほかの子どもと比べて焦るよりも、昨日よりできることが増えているかを見てあげることが大切です。

心配な様子がある場合には、1歳6か月児健診を待たずに小児科や地域の保健センターへ相談してください。早めに発達状況を確認することは、必要な支援につながる第一歩になります。

主な参考資料:こども家庭庁「改訂2版乳幼児健康診査 身体診察マニュアル」、一般社団法人大阪小児科医会、WHO Motor Development Study、米国CDC、NHS Inform、Kalmar・Umezawa(2026年)、Okaiほか(2021年)。

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天海 修平

映画配給会社の広報を経て取材記者に。作品の公式サイトと配給発表、映画祭のプログラミングを公式発表として確認し、興行成績は興行通信社の数字のみを引用します。

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