セクマイとは、「セクシュアルマイノリティ(性的マイノリティ)」を略した言葉で、性的指向や性自認などが社会の多数派とは異なる人々を指す総称です。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーだけでなく、アセクシュアル、ノンバイナリー、クエスチョニングなど、多様な性のあり方が含まれます。
ただし、セクマイとLGBTQは完全に同じ意味ではありません。性のあり方には、好きになる相手の性別、自分自身の性別の認識、服装や振る舞いなど、複数の要素があります。2026年には、性的指向・ジェンダーアイデンティティに関する国の基本計画も閣議決定されました。言葉の意味から、日常生活での接し方、カミングアウトやアウティングの問題、職場で必要な配慮まで、知っておきたい基礎知識を整理します。
【基本を解説】セクマイとは?性的マイノリティの意味と定義

セクマイは、英語の「Sexual Minority(セクシュアルマイノリティ)」に由来する日本語の略称です。日本語では「性的マイノリティ」「性的少数者」とも表現されます。
一般的には、性的指向や性自認などにおいて、社会的に多数派とされる性のあり方とは異なる人々を指します。
例えば、同性を好きになる人、男女のどちらにも恋愛感情を抱く人、自分の性別を男性・女性のどちらか一方とは認識していない人、出生時に割り当てられた性別とは異なる性別を自認する人などが挙げられます。
また、他者に性的に惹かれない人や、恋愛感情をほとんど抱かない人もいます。性のあり方は一つの基準で分類できるものではなく、個人によって異なります。
法務省が公開する「性の多様性についての基本知識」でも、性的指向、性自認、生物学的性、性表現という複数の要素からセクシュアリティを捉えています。それぞれの組み合わせによって、一人ひとり異なる性のあり方が形成されます。
性的マイノリティは特定の人だけを指す言葉ではない性的マイノリティという言葉を聞くと、LGBTQの人々だけを思い浮かべる人もいる可能性があります。しかし、実際にはそれよりも広い概念です。
例えば、性的指向が異性愛ではない人だけでなく、性自認が男女の二つの枠組みに当てはまらない人、性的指向や性自認について考えている途中の人なども含まれます。
本人が特定のカテゴリーや名称を使わず、自分の性のあり方を説明する場合もあります。すべての人が自分を「セクマイ」と認識しているわけではありません。
重要なのは、外見や服装、話し方だけで相手のセクシュアリティを判断できないという点です。本人が話していない情報を、周囲が勝手に推測して分類することも適切ではありません。
セクマイと性的マジョリティの違い性的マイノリティに対して、社会的に多数派とされる性のあり方を持つ人々を「性的マジョリティ」と呼ぶことがあります。
ただし、マイノリティとマジョリティの境界は、単純に二分できるものではありません。性的指向は多数派に近くても性自認は異なるという人もいれば、その反対の人もいます。
また、性的マジョリティであっても、性の多様性に関係する悩みや困難を抱えることはあります。性的指向や性自認は、誰もが持っている個人の属性だからです。
【混同に注意】性的指向・性自認・性表現・恋愛的指向の違い
セクマイを正しく理解するには、性に関する言葉を区別する必要があります。特に混同されやすいのが、性的指向と性自認です。
性的指向とは?好きになる相手に関する概念性的指向(Sexual Orientation)とは、どのような性別の人に恋愛感情や性的感情を抱くのかを表す概念です。
代表的なものには、次のような種類があります。
- 異性愛:自分とは異なる性別の人に惹かれること。
- 同性愛:自分と同じ性別の人に惹かれること。
- 両性愛:男性と女性の両方に惹かれることがある状態。
- 全性愛:相手の性別やジェンダーにかかわらず、人に惹かれることがある状態。
- 無性愛:他者に性的に惹かれない、またはその感覚がほとんどない状態。
ここで注意したいのは、性的指向と性的嗜好は別の言葉だということです。
性的指向は、恋愛感情や性的感情がどの性別の人に向かうかという性のあり方を指します。一方、性的嗜好は、好みや興味の対象などを表す言葉です。両者を同じ意味で使うと、相手の人格に関わる重要な概念を誤解することにつながります。
性自認とは?自分自身の性別に関する認識性自認(Gender Identity)とは、自分自身の性別をどのように認識しているかを表す概念です。
出生時に割り当てられた性別と性自認が一致する人もいれば、一致しない人、男性・女性のどちらか一方だけでは表現できない人もいます。
代表的な関連用語は以下のとおりです。
- シスジェンダー:出生時に割り当てられた性別と性自認が一致している人。
- トランスジェンダー:出生時に割り当てられた性別と性自認が異なる人。
- Xジェンダー:自分の性別を男性・女性のいずれか一方とは明確に認識していない人など。
- ノンバイナリー:性自認が男性・女性という二つの枠組みに限定されない人。
- クエスチョニング:自分の性自認や性的指向について、まだ決めていない、模索している、あるいはあえて決めていない人。
なお、トランスジェンダーと性同一性障害は同じ意味ではありません。前者は性自認に関する幅広い概念であり、後者は医療上の診断に関係する用語です。トランスジェンダーの人すべてが医療機関で診断を受けたり、性別適合手術を希望したりするわけではありません。
性表現とは?服装や言葉遣いなど外に表れる性のあり方性表現(Gender Expression)は、服装、髪型、しぐさ、言葉遣い、振る舞いなどを通じて、自分の性をどのように表現するかを指します。
例えば、スカートを好む男性、短髪を好む女性、性別を強く意識させない服装を選ぶ人などがいます。
性表現と性自認は必ずしも一致しません。男性としての性自認を持ちながら女性的な服装を好む人もいますし、女性としての性自認を持ちながら中性的な装いを選ぶ人もいます。
服装や髪型だけを見て、相手の性的指向や性自認を判断することはできません。
恋愛的指向とは?性的指向との違い恋愛的指向(Romantic Orientation)とは、どのような性別の人に恋愛感情を抱くのか、あるいは恋愛感情を抱かないのかを示す概念です。
性的指向と似ていますが、必ずしも同じとは限りません。人によっては、性的に惹かれる相手と恋愛感情を抱く相手が異なる場合があります。
例えば、アセクシュアルであっても、特定の人に恋愛感情を抱く人はいます。一方、アロマンティックは恋愛感情を抱かない、またはほとんど抱かない人を指します。
つまり、アセクシュアルとアロマンティックは同義ではありません。性的な惹かれと恋愛的な惹かれを分けて考えることで、より多様なセクシュアリティを理解できます。
国立社会保障・人口問題研究所の学術誌「人口問題研究」には、2020年に実施されたアロマンティック・アセクシュアルに関する調査を分析した研究論文が掲載されています。研究では、Aro/Aceのカテゴリーには複数のアイデンティティが存在し、性的指向と恋愛的指向を区別する視点が重要であることが示されています。
【一覧で比較】セクマイに含まれる人とは?LGBTQIA+・SOGIとの関係
LGBTQとセクマイの違いLGBTQは、性的マイノリティを表す代表的な略称です。一方、セクマイは性的マイノリティ全体を指す、より一般的な呼び方です。
つまり、LGBTQはセクマイに含まれる代表的なカテゴリーの一つと理解すると分かりやすいでしょう。
LGBTQの各文字は、次の英単語の頭文字です。
- L(Lesbian):レズビアン。女性を恋愛・性愛の対象とする女性。
- G(Gay):ゲイ。男性を恋愛・性愛の対象とする男性。
- B(Bisexual):バイセクシュアル。男性と女性の両方に惹かれることがある人。
- T(Transgender):トランスジェンダー。出生時に割り当てられた性別と性自認が異なる人。
- Q(Questioning/Queer):クエスチョニング、またはクィア。性のあり方を模索している人や、既存の枠組みにとらわれない性のあり方を表す言葉。
なお、Qは文脈によってQuestioningとQueerのどちらを指すかが異なります。
LGBTQIA+の意味と含まれるカテゴリーLGBTQにIやA、プラスを加えた表記がLGBTQIA+です。より幅広い性的指向、性自認、身体的な性の特徴などを含めて表現するために使われます。
- I(Intersex):インターセックス。身体的な性の特徴が、典型的な男性・女性の医学的分類だけでは捉えきれない人。
- A(Asexual):アセクシュアル。性的に他者に惹かれない、またはその感覚がほとんどない人。
- A(Aromantic):アロマンティック。恋愛感情を抱かない、またはほとんど抱かない人。
- A(Agender):エイジェンダー。自分に性別があるという認識を持たない、または性別に当てはまらないと感じる人。
- +(プラス):上記の文字だけでは表しきれない多様な性のあり方。
なお、LGBTQIA+の表記やAの意味は、団体やコミュニティによって多少異なる場合があります。インターセックスは身体的な性の特徴に関係する概念であり、性的指向や性自認と同じ分類ではありません。
セクマイ・LGBTQIA+・SOGIの関係を比較それぞれの言葉は、同じ意味を持つわけではありません。対象や使用目的を整理すると、次のようになります。
| 用語・概念 | 意味・対象 | 関連するカテゴリー・特徴 |
|---|---|---|
| セクマイ | 性的マイノリティの総称 | LGBTQを含む幅広い性のあり方 |
| LGBTQ | 性的マイノリティを表す略称 | レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニングなど |
| LGBTQIA+ | より幅広い多様性を表す略称 | インターセックス、アセクシュアル、アロマンティックなども含む表記 |
| SOGI | 性的指向と性自認 | 性的マイノリティと性的マジョリティの双方に関係する概念 |
| 性的指向 | 恋愛感情・性的感情の対象となる性別 | 異性愛、同性愛、両性愛、無性愛など |
| 性自認 | 自分自身の性別に関する認識 | シスジェンダー、トランスジェンダー、Xジェンダーなど |
| 性表現 | 服装や言葉遣いなどによる性の表現 | ジェンダー表現、外見、振る舞いなど |
| 恋愛的指向 | 恋愛感情を抱く相手や、その有無 | アロマンティック、ヘテロロマンティックなど |
この表で特に押さえておきたいのが、SOGIという言葉です。
SOGIは、Sexual Orientation(性的指向)とGender Identity(性自認)の頭文字を組み合わせた言葉です。セクマイだけを指すのではなく、異性愛者やシスジェンダーの人も含め、すべての人が持つ性の属性を表します。
また、性表現まで含める場合にはSOGIEという表現が使われることもあります。
法務省や大阪府などの公的資料でも、LGBTとSOGIは異なる概念として説明されています。LGBTは性的マイノリティを表す総称の一つであり、SOGIはすべての人に関係する性的指向と性自認の概念です。
【2026年最新】セクマイを取り巻く日本の現状と法律・職場の課題
2023年に成立した「理解増進法」とは日本では、2023年6月に「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」が成立しました。一般には「LGBT理解増進法」と呼ばれることもあります。
この法律の目的は、性的指向やジェンダーアイデンティティの多様性について国民の理解を深め、互いの人格や個性を尊重できる社会の実現を目指すことです。
法律では、国や地方公共団体だけでなく、事業主や学校の設置者などの役割も定められています。事業主には、従業員への情報提供、研修、啓発、職場の相談体制整備などに努めることが求められています。
ただし、この法律は理念法としての性格を持ち、国民一人ひとりに新たな権利や義務を直接付与するものではありません。法律の成立によって、すべての差別問題が自動的に解消されるわけでもありません。
2026年6月16日、国の基本計画が閣議決定2026年の重要な動きとして挙げられるのが、6月16日に閣議決定された「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する基本的な計画」です。
これは理解増進法第8条に基づく計画で、SOGIに関する理解促進施策を総合的・計画的に進めるための基本事項をまとめています。
計画では、学校、地域、家庭、職場など幅広い場面での知識の普及、相談体制の整備、学術研究の推進、関係機関の連携などが取り上げられています。
特に事業主については、従業員への情報提供や研修、相談体制の整備などを通じて、職場環境の改善を進める役割が整理されています。
2026年は、単にLGBTQという言葉を知っているかどうかではなく、実際の生活や仕事の場面でどのような対応ができるかが問われる段階に入っています。
厚生労働省の調査から見る職場の実態職場における課題を具体的に示しているのが、厚生労働省委託の「令和6年度職場におけるダイバーシティ調査・推進事業」です。
2024年12月12日から18日にかけて実施された「就労する性的マイノリティ調査」では、雇用されている性的マイノリティの人を対象に、941件の有効回答が集まりました。報告書は2025年3月に公表されています。
この調査では、現在の職場で自身が性的マイノリティであることを伝えた経験がある人は16.8%でした。一方、伝えたことがない人は72.9%に上っています。
また、職場でのハラスメント経験については、恋人の有無や結婚・出産の予定への言及が25.5%、容姿や外見への言及が22.7%、「男らしさ」「女らしさ」の要求が20.5%でした。本人の同意なく性的指向や性自認の情報を社内に広めるアウティングも5.8%が経験したと回答しています。
職場で困っていることとしては、プライベートの話をしづらいことが15.3%、異性愛者として振る舞わなければならないことが11.9%、トイレや更衣室などの施設利用が8.5%でした。
ただし、この調査は調査会社の登録モニターである就労者を対象としたインターネット調査です。性的マイノリティ全体を代表する統計ではありません。その点を踏まえても、本人のプライバシーや職場の慣行が実際の課題になっていることが分かります。
職場でのアウティングはハラスメントに該当する場合がある厚生労働省の「あかるい職場応援団」では、性的指向や性自認に関する侮辱的な言動、本人の了解を得ずに情報を暴露するアウティングについて、パワーハラスメントに相当したり、事案によってはセクシュアルハラスメントに相当したりする場合があると説明しています。
そのため、企業には関係法令に基づくハラスメント防止対策が大切です。
セクマイに関する問題は、個人間の価値観の違いだけではありません。採用、配置、福利厚生、施設利用、相談体制、個人情報の管理など、組織の仕組みとも密接に関係しています。
【日常で実践】セクマイの人への接し方とカミングアウト・アウティングの意味
カミングアウトとは?本人の意思で性のあり方を伝えることカミングアウトとは、自分の性的指向や性自認などについて、他者に打ち明けることです。
例えば、同性のパートナーがいることを友人に伝える、自分の性自認について家族に話す、職場で通称名の使用を希望するなど、さまざまな形があります。
カミングアウトする理由も一人ひとり異なります。自分らしく生活したい、信頼する人に自分を知ってほしい、制度上の配慮を受けたいなど、さまざまな事情があります。
重要なのは、誰に、いつ、どのような方法で伝えるかを本人が決めることです。
家族だから、恋人だから、親しい友人だからといって、必ずカミングアウトしなければならないわけではありません。周囲が開示を求めたり、本人の意思に反して告白を促したりすることも避ける必要があります。
アウティングとは?本人の許可なく性の情報を暴露する行為アウティングとは、本人の同意を得ずに、その人の性的指向や性自認などを第三者に伝えたり、広めたりすることです。
例えば、次のような行為が該当します。
- 本人が許可していないのに、職場の同僚へ同性のパートナーがいることを伝える。
- 友人から聞いた性自認について、別の友人に話す。
- 本人の了承を得ずに、SNSへセクシュアリティに関する情報を書き込む。
- 善意であっても、本人の許可なく家族や学校、会社の関係者に伝える。
アウティングは、単なる秘密の漏えいとは異なり、本人のプライバシーや人間関係、生活環境に重大な影響を及ぼす可能性があります。
特に、本人が安心できる相手にだけ打ち明けていた場合、情報が意図しない範囲に広がることで、職場や学校での居場所を失う不安につながることもあります。
法務省の基本資料や2026年の政府基本計画でも、カミングアウトは本人が選択するものであり、同意のないアウティングは精神的苦痛をもたらし得ると整理されています。
カミングアウトされたときの適切な対応身近な人からカミングアウトされたときは、特別な対応をしようとするより、まず相手の話を落ち着いて受け止めることが大切です。
例えば、次のような言葉が考えられます。
- 「話してくれてありがとう」
- 「これからも変わらず接していくね」
- 「何か配慮してほしいことがあれば教えてね」
- 「この話は、誰かに伝えても大丈夫?」
特に最後の確認は重要です。本人があなたに話したからといって、ほかの人にも伝えてよいとは限りません。
また、相手の話を聞くときに、過去の恋愛経験、身体の特徴、医療機関での診断、手術歴などを必要以上に質問することは避けましょう。
避けたい言葉と尊重につながる言葉選び何気ない日常会話でも、異性愛や男女二元論を当然の前提にした質問が、相手を困らせることがあります。
例えば、恋愛の話をするときに「彼氏はいるの?」「彼女はいるの?」と性別を決めつけて質問するより、「パートナーはいるの?」と尋ねるほうが、相手の状況を限定しません。
また、「男なのに」「女なのだから」といった性別による決めつけも避けたい表現です。
以下のような違いを意識すると、会話の中で相手を尊重しやすくなります。
- 「普通は男女で付き合うもの」ではなく、「恋愛の形は人それぞれ」。
- 「どうして結婚しないの?」ではなく、「結婚についてはどう考えている?」。
- 「本当は男なの?女なの?」ではなく、必要な場面では本人が希望する呼び方を確認する。
- 「見た目だけでは分からないね」など、外見と性自認を結び付ける発言をしない。
もちろん、すべての人に同じ表現が適しているわけではありません。本人が使っている言葉や希望する呼び方を尊重することが基本です。
【職場での配慮】セクマイの人が安心して働くために必要な取り組み
プライバシー保護と相談体制を整える職場で最初に取り組むべきなのは、性的指向や性自認に関する個人情報を適切に管理することです。
本人が人事担当者や上司にカミングアウトした場合でも、その情報を職場全体で共有する必要があるとは限りません。業務上の配慮に必要な範囲を本人と確認し、情報を扱う人を限定することが大切です。
相談窓口を設ける場合も、相談内容が本人の許可なく周囲に伝わらない仕組みが必要です。
施設・服装・福利厚生などの具体的な配慮職場で必要となる配慮は、性的指向や性自認によって異なります。
例えば、トランスジェンダーやノンバイナリーの人にとっては、トイレ、更衣室、制服、健康診断、社内で使用する名前などが課題になる場合があります。
同性パートナーがいる人の場合は、福利厚生制度や慶弔休暇、介護・看護休暇、家賃補助などの適用範囲が問題になることもあります。
こうした配慮を進める際には、次のような取り組みが考えられます。
- プライバシー保護:性的指向や性自認に関する情報の取り扱いを明確にする。
- 相談窓口:安心して相談できる担当者や社外相談先を設ける。
- 研修:管理職や一般従業員にSOGIやアウティングに関する知識を共有する。
- 施設利用:トイレや更衣室について、本人の希望を聞きながら選択肢を検討する。
- 服装規定:業務上の必要性を踏まえ、性別だけに固定されない服装の選択肢を設ける。
- 名前の取り扱い:社内で使用する名前や呼称について本人の希望を確認する。
- 福利厚生:同性パートナーを含む家族やパートナーの扱いについて制度を検討する。
大切なのは、すべての当事者に同じ対応を強制しないことです。本人が何を希望しているかを確認し、業務上の必要性や施設の状況も踏まえて個別に検討する必要があります。
厚生労働省の調査が示す企業側の課題先述の厚生労働省委託調査では、職場で実施してほしい取り組みとして、個人情報やプライバシー保護に関する配慮が23.5%で最も高い割合でした。
続いて、福利厚生で同性パートナーを配偶者として扱うことが18.7%、トイレや更衣室などの施設利用上の配慮が16.4%、相談窓口の設置が15.7%となっています。
注目したいのは、設備や制度の整備だけでなく、プライバシー保護への要望が最も高かったことです。
職場におけるセクマイへの配慮は、特別な制度を一つ導入すれば完了するものではありません。日常の会話、個人情報の管理、相談対応、福利厚生など、複数の仕組みを組み合わせて考える必要があります。
【プロの結論】セクマイへの理解で本当に大切なこと
セクマイについて理解するとき、最も重要なのは、相手をカテゴリーだけで判断しないことです。
LGBTQ、LGBTQIA+、SOGIなどの言葉は、性の多様性を理解するための手がかりになります。しかし、これらの分類だけですべての人の性のあり方や価値観を説明することはできません。
同じレズビアン、ゲイ、トランスジェンダーという言葉を使っていても、本人の経験や希望する配慮は異なります。特定のカテゴリーに属しているからといって、考え方や生活スタイルまで共通しているわけではありません。
よくある誤解と正しい理解- 誤解1:LGBTQだけがセクマイである。
正しくは、セクマイにはLGBTQ以外の多様な性のあり方も含まれる。 - 誤解2:性自認と性的指向は同じである。
正しくは、自分の性別に関する認識と、誰に惹かれるかは別の概念である。 - 誤解3:服装や外見を見ればセクシュアリティが分かる。
正しくは、性表現だけで性的指向や性自認を判断することはできない。 - 誤解4:カミングアウトしないのは周囲を信用していないからである。
正しくは、開示するかどうかは本人が決めることであり、話さない選択も尊重される。 - 誤解5:善意であればアウティングにはならない。
正しくは、本人の同意なく情報を共有すれば、善意であってもアウティングになり得る。
セクマイへの接し方に迷ったときは、相手の気持ちや希望を確認することが基本です。
必要のない質問をしない、本人が話していない情報を詮索しない、本人の許可なく第三者に伝えない。この三つを守るだけでも、プライバシーを侵害するリスクは大きく減らせます。
また、相手を尊重することは、過度に特別扱いすることではありません。本人の希望を聞き、必要な配慮を行いながら、ほかの人と同じように自然な関係を築くことが大切です。
性のあり方を理解することは、特定の人だけの問題ではありません。誰もが自分らしく生活し、働き、人間関係を築くための基礎知識として捉える必要があります。
セクマイに関するよくある質問(FAQ)
Q1:セクマイとは簡単にいうと何ですか?
A1:セクマイとは、セクシュアルマイノリティの略称で、性的マイノリティを意味します。同性を好きになる人、出生時に割り当てられた性別と異なる性自認を持つ人、恋愛感情や性的感情をほとんど抱かない人など、多様な性のあり方を持つ人々が含まれます。
Q2:セクマイとLGBTQは何が違いますか?
A2:セクマイは性的マイノリティ全体を指す一般的な呼び方で、LGBTQはその人々を表す代表的な略称の一つです。LGBTQ以外にも、アセクシュアル、アロマンティック、ノンバイナリーなどの多様なカテゴリーがあります。
Q3:セクマイの人にはどのように接すればよいですか?
A3:相手の性的指向や性自認を決めつけず、本人が希望する呼び方や接し方を尊重しましょう。カミングアウトされた場合は話してくれたことを受け止め、誰に共有してよいか確認してください。本人の許可なく第三者に伝えるアウティングは避ける必要があります。
Q4:セクマイであることを周囲に伝える必要はありますか?
A4:必ずしも伝える必要はありません。カミングアウトするかどうか、誰にどこまで伝えるかは本人が決めることです。家族や職場の人に伝えないという選択も尊重されるべきです。
Q5:セクマイへの差別やアウティングは法律上問題になりますか?
A5:行為の内容や状況によります。職場での性的指向・性自認に関する侮辱的な言動や、本人の了解を得ないアウティングは、パワーハラスメントに該当したり、事案によってはセクシュアルハラスメントに該当したりする場合があります。厚生労働省も事業主にハラスメント防止対策を求めています。
まとめ:セクマイの意味を正しく理解し、一人ひとりの性のあり方を尊重する
セクマイとは、性的マイノリティを意味する言葉です。LGBTQだけでなく、LGBTQIA+に含まれる多様な人々や、既存のカテゴリーでは表現しきれない性のあり方も関係しています。
理解するうえでは、性的指向、性自認、性表現、恋愛的指向の違いを知ることが出発点になります。また、SOGIは性的マイノリティだけでなく、すべての人に関係する概念です。
2026年6月16日に閣議決定された国の基本計画や、厚生労働省の職場調査からも、理解促進だけでなく、プライバシー保護や相談体制の整備が重要な課題であることが分かります。
日常生活でも職場でも、相手の性のあり方を決めつけず、本人の意思を尊重することが基本です。カミングアウトを強要しないこと、アウティングをしないこと、本人が望む配慮を確認すること。この積み重ねが、誰もが安心して自分らしく過ごせる環境につながります。
主な根拠資料
- 法務省「性の多様性についての基本知識」
- 内閣府「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する基本的な計画」(2026年6月16日閣議決定)
- 内閣府「理解増進法に関するQ&A」
- 厚生労働省「令和6年度 就労する性的マイノリティ調査結果報告書」(2025年3月)
- 厚生労働省「あかるい職場応援団」
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本におけるアロマンティック/アセクシュアル・スペクトラムの人口学的多様性」