最大の疑問は、2026年2月のミラノ・コルティナ冬季五輪に出場したフォルティウスではなく、ロコ・ソラーレが3月の世界選手権に出場した理由だ。
この2つの代表選考は、そもそも異なる基準で行われていた。
五輪代表と世界選手権代表は選考ルートが違う2025年9月10~14日、北海道稚内市で開催された「2025カーリング日本代表決定戦」では、ロコ・ソラーレ、フォルティウス、SC軽井沢クラブが五輪への挑戦権を争った。
ロコ・ソラーレは予選後のタイブレークでフォルティウスと対戦したが、2対7で敗退。一方、フォルティウスはSC軽井沢クラブとの決定戦を制し、日本代表として五輪最終予選に進んだ。
その後、2025年12月のカナダ・ケロウナでの最終予選でもノルウェーを6対5で破り、ミラノ・コルティナ五輪の出場権を獲得している。
つまり、フォルティウスが五輪代表になったのは、五輪出場権を争う国内選考と国際予選を勝ち抜いたためだ。
世界選手権では別の評価基準が採用された一方、2026年の世界選手権代表は、日本カーリング協会が定めた2025-26シーズンの独自選考基準で決定された。
その基準が、ワールドカーリングチームランキング(WTR)の対象大会で獲得したポイントの合計である。
この方式では、五輪代表決定戦の勝敗だけで世界選手権代表が決まるわけではない。
ロコ・ソラーレは五輪代表決定戦では敗れたものの、その後の国際大会でポイントを積み重ね、世界選手権代表の座を獲得した。
したがって、フォルティウスとロコ・ソラーレのどちらが日本女子の絶対的な代表なのかという単純な優劣の問題ではない。五輪と世界選手権で、それぞれ異なる選考制度が適用された結果なのである。
【WTR上位8大会の選考基準とは?ポイント差を比較】

2026年の代表選考を理解するうえで欠かせないのが、WTRの上位8大会方式だ。
2026年の選考ルール日本カーリング協会が公表した「2025-26シーズンの世界選手権大会日本代表選考方法」では、男子・女子について次の条件が定められていた。
- 対象期間:2026年1月28日までに終了した大会
- 対象大会:2025-26シーズンのWTR対象大会
- 評価方法:各チームの獲得ポイントのうち、上位8大会分を合計
- 選出条件:ポイント合計が最も高いチーム
- 辞退時:次点のチームを繰り上げ
ここで注意したいのは、単純な大会優勝回数や日本選手権の順位だけで決まる制度ではないことだ。
国際大会を含む複数の競技実績を積み上げ、その中から上位8大会の成績を評価する仕組みだった。
実際のポイント比較2026年3月16日付の日刊スポーツの報道では、選考対象となった各チームのポイント合計が紹介されている。
| チーム | 上位8大会の合計 | 選考順位 |
|---|---|---|
| ロコ・ソラーレ | 236.88点 | 1位 |
| 北海道銀行 | 231.55点 | 2位 |
| フォルティウス | 227.50点 | 3位 |
ロコ・ソラーレは北海道銀行を5.33点、フォルティウスを9.38点上回った。
この数字が、世界選手権代表に選ばれた直接的な根拠となった。
五輪代表決定戦ではフォルティウスに敗れていたロコ・ソラーレが、国際大会のポイント集計ではトップに立っていたのである。
WTRはどのようなランキングなのかWTRは、世界のカーリングチームの競技実績をポイントで評価する仕組みだ。
世界カーリング連盟(World Curling)のランキング制度では、世界選手権や各国の国内選手権、グランドスラム、ツアー大会などがポイント評価の対象となる。
したがって、世界選手権で代表になるためには、国内の一大会だけで結果を残せばよいわけではない。国際舞台を含めた継続的な競争力が評価される。
なお、上位8大会方式は2025-26シーズンの日本代表選考に適用された基準であり、WTRそのものの普遍的な計算ルールと混同してはいけない。World Curlingは2026-27シーズンからランキング制度にも変更を加えている。
この選考の本質は、五輪の結果と世界選手権の出場資格を切り離し、シーズンを通じた実績を評価した点にある。
【ロコ・ソラーレ世界選手権2026のメンバーと小穴桃里の役割】
2026年2月6日、日本カーリング協会は世界女子カーリング選手権大会2026に派遣する日本代表選手を発表した。
代表メンバーは、ロコ・ソラーレの主力4選手と、小穴桃里の計5人だった。
日本代表5選手のプロフィールと役割
藤澤五月(ふじさわ・さつき)
チームの司令塔。最終投を担当し、試合の展開やショットの選択を判断する中心選手。2015年にロコ・ソラーレへ加入した。
吉田知那美(よしだ・ちなみ)
藤澤を支える重要なポジションを担当。試合中のコミュニケーションや戦術面でも存在感を発揮してきた。2026年3月末にチームを退団した。
鈴木夕湖(すずき・ゆうみ)
前半のゲームメークを支える選手。安定したショットとチームワークでロコ・ソラーレを支えてきた。
吉田夕梨花(よしだ・ゆりか)
試合序盤のショットを担当。アイスの状態を把握し、後続の選手が有利に投げられる状況をつくる役割を担う。
小穴桃里(こあな・ももり)
小穴・青木所属。世界選手権では5人目の選手として同行し、チームをサポートした。混合ダブルスでも活動する選手で、異なる競技形式で培った経験も注目された。
今回のメンバー構成で特徴的だったのは、小穴桃里の存在だ。
フィフスとは、通常の4人に加えて登録される控え選手を指す。単なる同行スタッフではなく、試合への出場や選手の交代に対応する競技メンバーである。
小穴は混合ダブルスでも活動してきた経験を持つ。4人の基本的な連係を維持しながら、5人目の選手を加えることは、長期間にわたる国際大会で選手の状態に対応するうえでも意味がある。
2026年の世界選手権は、五輪直後という特殊なシーズンに開催された大会でもあった。主力4人の経験に小穴の力を加えた構成は、チームにとって新しい挑戦だった。
【カーリング女子世界選手権2026の結果は4位!カルガリーでの全貌】
2026年3月14日から22日まで、カナダ・アルバータ州カルガリーのマーキン・マクフェイル・センターで開催された世界女子カーリング選手権。
ロコ・ソラーレは予選を突破して上位4チームに進出したものの、最終的にはメダルを逃して4位となった。
予選ラウンドロビンは9勝3敗の3位日本代表は13チームによる総当たりのラウンドロビンを戦った。
最終成績は9勝3敗、3位。
上位チームに食い込んだ日本は、プレーオフ進出を決めた。
大会序盤にはスイス、韓国、ノルウェーを相手に3連勝。特にノルウェー戦は10対9のエキストラエンドにもつれ込む接戦だったが、最後は後攻の利点を生かして勝利した。
その後も勝ち星を積み重ね、世界の強豪国と互角に渡り合った。
決勝トーナメントの試合結果日本の決勝トーナメントは、次のような展開だった。
| 対戦 | スコア | 結果 |
|---|---|---|
| 資格決定戦・トルコ戦 | 7-5 | 勝利 |
| 準決勝・カナダ戦 | 3-11 | 敗北 |
| 3位決定戦・スウェーデン戦 | 5-8 | 敗北 |
最初の難関となったトルコ戦では7対5で勝利し、準決勝に進出した。
しかし、準決勝で待ち受けていたのは開催国カナダだった。
準決勝はカナダに3対11で敗戦カナダとの準決勝では、序盤から相手に主導権を握られた。
カナダは第1エンドに3点を獲得。さらに第3エンドにも2点、第4エンドにはスチールで2点を加え、4エンド終了時点で7対1と大きくリードした。
日本も反撃を試みたが、カナダのショット精度と試合運びを崩し切れず、最終的には3対11で敗れた。
開催国の大声援を受けるカナダの強さが際立った一戦だった。
3位決定戦はスウェーデンに5対8銅メダルをかけたスウェーデン戦では、序盤から競り合いが続いた。
第6エンド終了時点では3対3。日本にも十分に勝機が残されていた。
しかし、第8エンドに試合の流れが変わる。
スウェーデンのスキップ、イザベラ・ウラノーが最後のショットで日本のストーンを利用した巧みなプレーを成功させ、一挙5点を獲得。スコアを8対3とした。
日本は最後まで追い上げを試みたものの、最終スコアは5対8。銅メダル獲得には届かなかった。
World Curlingの大会レポートでも、この第8エンドが試合の決定的な転換点として紹介されている。
2026年大会の最終順位| 順位 | 国・地域 |
|---|---|
| 優勝 | スイス |
| 準優勝 | カナダ |
| 3位 | スウェーデン |
| 4位 | 日本(ロコ・ソラーレ) |
日本は表彰台を逃したものの、世界選手権で4強入りを果たした。
特に予選で9勝を挙げたことは、ロコ・ソラーレが世界トップレベルの競争力を維持していることを示す結果だった。
【ロコ・ソラーレの歴代世界選手権成績と2016年銀メダル】
ロコ・ソラーレの世界選手権を振り返ると、2016年の銀メダルが大きな転換点となっている。
2016年、初出場で銀メダルを獲得ロコ・ソラーレは2010年8月、北海道北見市常呂町で結成されたチームだ。
2015年に藤澤五月が加入し、2016年2月には日本カーリング選手権で初優勝。続く3月の世界女子カーリング選手権2016にも日本代表として出場した。
初出場ながら決勝まで進出し、スイスとの決勝では6対9で敗れたものの、堂々の準優勝。日本カーリング界にとって歴史的な銀メダルとなった。
この大会での躍進が、その後の平昌五輪、北京五輪での活躍につながるチームの知名度を高めた。
2023年は6位、2026年は4位その後、ロコ・ソラーレは2023年の世界選手権にも出場。スウェーデン大会で6位となった。
2020年にも日本代表に決まっていたが、新型コロナウイルスの影響で大会自体が中止となっている。
そして2026年、3年ぶり3度目の世界選手権出場を果たした。
歴代の主な世界選手権成績を整理すると、次のようになる。
| 年 | 開催・状況 | ロコ・ソラーレの成績 |
|---|---|---|
| 2016年 | カナダ | 銀メダル |
| 2020年 | 大会中止 | 出場なし |
| 2023年 | スウェーデン | 6位 |
| 2026年 | カナダ・カルガリー | 4位 |
2026年の4位は、2016年の銀メダルに次ぐメダル獲得とはならなかったものの、近年の世界選手権での競争力を示す結果になった。
【ロコ・ソラーレの2026年最新成績とチームの現在】
世界選手権で4位に入ったロコ・ソラーレだが、2026年の活動はそこで終わらなかった。
6月の日本カーリング選手権では予選敗退となり、その後にはチーム編成にも大きな変化が生じた。
2026年6月の日本選手権は1次予選敗退2026年6月7日から14日まで、横浜BUNTAIで開催された日本カーリング選手権大会。
ロコ・ソラーレは出場したものの、1次予選を突破できなかった。
チームの公式試合結果でも、2025-26シーズンの主な成績として世界選手権4位、日本選手権予選敗退が記録されている。
世界選手権で4強入りしたチームが国内大会では予選で姿を消したことは、カーリングの競技レベルの高さと、シーズンごとのチーム状況の難しさを示している。
吉田知那美が2026年3月末に退団2026年3月31日、ロコ・ソラーレは吉田知那美の退団を正式に発表した。
吉田は2014年から12年間にわたってチームに在籍し、日本選手権、世界選手権、五輪での実績に貢献してきた。
チーム公式発表では、3月末をもって退団することが明らかにされた。
本人も別れの挨拶で、新しい環境に向かいながらカーリングへの情熱を持ち続ける意向を示している。
ここで注意したいのは、ロコ・ソラーレからの退団は競技引退を意味しないという点だ。
松澤弥子が正式加入し新体制へ2026年6月24日、ロコ・ソラーレは松澤弥子の正式加入を発表した。
松澤は育成チームのロコ・ステラで約8年間活動してきた選手で、2026-27シーズンからロコ・ソラーレの一員となった。
これにより、世界選手権時のメンバー構成から大きく変化した。
2026年10月時点の公式チーム紹介では、次の選手が掲載されている。
- 藤澤五月
- 鈴木夕湖
- 吉田夕梨花
- 松澤弥子
つまり、世界選手権2026のメンバーだった吉田知那美と小穴桃里を含む構成と、現在のチーム構成は同じではない。
大会の出場メンバーを調べる際には、開催時点の登録選手と現在の所属選手を区別する必要がある。
【カーリング世界選手権とロコ・ソラーレに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年のカーリング世界選手権でロコ・ソラーレは何位でしたか?
2026年3月にカナダ・カルガリーで開催された世界女子カーリング選手権で、日本代表ロコ・ソラーレは4位でした。予選は9勝3敗の3位で通過し、準決勝でカナダに敗れ、3位決定戦でもスウェーデンに敗れました。
Q2:なぜ五輪代表のフォルティウスではなくロコ・ソラーレが世界選手権に出場したのですか?
五輪代表と世界選手権代表の選考方法が異なるためです。世界選手権はWTR対象大会の上位8大会分の獲得ポイントで選考され、ロコ・ソラーレが236.88点でトップとなりました。
Q3:2026年世界選手権のロコ・ソラーレのメンバーは誰ですか?
藤澤五月、吉田知那美、鈴木夕湖、吉田夕梨花、小穴桃里の5人です。小穴桃里はフィフスとして参加しました。
Q4:ロコ・ソラーレの世界選手権での最高成績は何位ですか?
最高成績は2016年の銀メダルです。2023年は6位、2026年は4位でした。
Q5:2026年現在、吉田知那美はロコ・ソラーレに所属していますか?
いいえ。2026年3月末に退団しました。その後、2026年6月には松澤弥子が正式加入し、新体制となっています。
Q6:小穴桃里はロコ・ソラーレの正式メンバーですか?
2026年の世界選手権では日本代表のフィフスとして参加しました。ただし、世界選手権への登録メンバーとロコ・ソラーレの現在の正式メンバーは区別する必要があります。
まとめ:【プロの結論】ロコ・ソラーレの世界選手権4位が示したもの
2026年の世界女子カーリング選手権でロコ・ソラーレが日本代表に選ばれた最大の理由は、五輪代表決定戦の勝敗ではなく、WTR対象大会の上位8大会分のポイントで首位になったことだった。
今回の経緯を整理すると、重要なのは次の5点だ。
1. 五輪代表はフォルティウス。2025年の国内選考と12月の最終予選を勝ち抜いた。
2. 世界選手権代表はロコ・ソラーレ。WTR上位8大会のポイント合計236.88点で1位だった。
3. 代表メンバーは5人。藤澤五月、吉田知那美、鈴木夕湖、吉田夕梨花、小穴桃里が出場した。
4. カルガリー大会は4位。予選9勝3敗で突破したが、準決勝と3位決定戦で敗れた。
5. 2026年後半には新体制へ移行。吉田知那美が退団し、松澤弥子が正式加入した。
カーリングの代表選考を理解するうえで大切なのは、五輪、世界選手権、日本選手権を同じ基準で評価しないことだ。
五輪代表は五輪出場権を獲得するための選考、世界選手権代表はシーズンの国際大会実績を評価する選考。それぞれの大会が異なる目的を持っている。
ロコ・ソラーレは2016年の世界選手権銀メダルから、2023年の6位、2026年の4位へと歩みを続けてきた。
2026年は世界選手権での上位進出と、国内大会での予選敗退、そしてメンバー変更が重なった転換期でもある。
今後注目したいのは、藤澤五月、鈴木夕湖、吉田夕梨花の経験に松澤弥子の力が加わった新体制が、どのように競技力を高めていくかという点だ。
2016年の銀メダルを超え、日本勢初の世界選手権優勝を実現できるのか。ロコ・ソラーレの次の挑戦は、2026-27シーズンから本格的に始まっている。