ドラマ『陸王』に登場する足袋型ランニングシューズ「陸王」は、実際に存在するのでしょうか。2017年にTBS日曜劇場で放送された本作は、老舗足袋メーカー「こはぜ屋」が会社の存続を懸けてランニングシューズの開発に挑む物語です。実は、その背景には埼玉県行田市の実在企業・きねや足袋と、同社が開発したランニング足袋「MUTEKI(無敵)」という興味深い現実の出来事があります。
加えて、ドラマに登場するシューズそのものは、スポーツメーカーのミズノが劇中用に製作した特別なモデルです。つまり、原作の取材先、現実の商品、テレビドラマの撮影用シューズは、それぞれ関係しているものの同一ではありません。2026年10月現在の公式商品情報や池井戸潤のインタビュー、TBSの制作資料をもとに、その違いと購入できる商品の実態を整理します。
【結論】陸王のモデルは実在する!きねや足袋とMUTEKIの関係

最初に答えを整理すると、『陸王』には実在する企業や商品から着想を得た部分があります。ただし、作品に登場する「こはぜ屋」や「陸王」が、そのまま実在企業・商品として存在するわけではありません。
現実の重要な接点となるのが、埼玉県行田市に本社を構えるきねや足袋株式会社です。同社は1929年創業の足袋メーカーで、伝統的な足袋づくりを続けながら、新しい用途の商品開発にも取り組んできました。
その代表例が、2013年9月に発売されたランニング足袋「きねや無敵(MUTEKI)」です。足袋特有の親指とほかの指が分かれた構造を生かし、一般的なランニングシューズとは異なる裸足感覚を目指しています。
一方、ドラマの「陸王」はミズノが制作した撮影用のシューズです。きねや足袋が実際に販売するMUTEKIを、そのままドラマ用に使ったわけではありません。
この関係を理解するうえで大切なのは、次の3つを区別することです。
- こはぜ屋:池井戸潤の小説に登場する架空の足袋メーカー。
- MUTEKI:きねや足袋が実際に開発・販売しているランニング足袋。
- 陸王:ドラマの世界に登場するシューズで、ミズノが劇中用に製作したもの。
したがって、「陸王のモデルはMUTEKI」という説明は、足袋型ランニングシューズという共通点を示す意味では理解できます。しかし、両者の開発経緯まで完全に同一だったと考えるのは正確ではありません。
【池井戸潤の取材秘話】こはぜ屋のモデルときねや足袋の実際の関係
池井戸潤が行田市を訪れた理由『陸王』の誕生には、池井戸潤の好奇心と実際の製造現場への取材が深く関係しています。
2016年のダイヤモンド・オンラインのインタビューによると、物語の出発点は編集者たちとの会話でした。イタリアのビブラム社が手掛ける「ファイブフィンガーズ」という、足指の形状を生かしたランニングシューズの話題から、足袋メーカーがランニングシューズを作るという物語を思いついたと説明しています。
また、池井戸潤は別のインタビューで、ランニングや裸足感覚をテーマにした書籍『BORN TO RUN』から受けた影響にも触れています。メキシコのタラウマラ族の走り方や、従来のランニングシューズとは異なる履物の存在が、作品の着想につながりました。
その後、足袋が実際にどこで作られているのかを調べ、足袋の産地として知られる埼玉県行田市にたどり着きます。
池井戸潤が取材したのは、きねや足袋と藍染めメーカーの小島染織工業です。工場見学を通じて、伝統的な製造工程や職人の仕事、地域に根付くものづくりの実態に触れました。
週刊文春の2016年7月のインタビューでも、池井戸潤本人がきねや足袋を取材したことを明かしています。
きねや足袋は「こはぜ屋」の完全なモデルなのかここには、ネット上で広まりやすい誤解があります。
池井戸潤がきねや足袋を取材したことは事実ですが、取材先が存在することと、小説の企業がそのまま実在することは別問題です。
週刊女性PRIMEが2017年12月に掲載した行田市への取材記事では、きねや足袋側の説明として、池井戸潤が2012年に取材に訪れた時点で、すでに小説の構想があったことが紹介されています。また、きねや足袋側も同時期にランニング足袋を企画していたとされています。
つまり、実際の企業の取り組みと小説の構想が並行して進んでいたという関係です。
こはぜ屋の事業環境や経営上の苦労には、実際の伝統産業を取材したからこそ生まれたリアリティがあります。しかし、宮沢紘一をはじめとする登場人物の人生や、会社の危機、ライバル企業との対立を、きねや足袋の実際の出来事と結び付けることはできません。
きねや足袋の歴史と行田の足袋産業きねや足袋は1929年に創業しました。現在も埼玉県行田市を拠点に、足袋や地下足袋などを製造・販売しています。
行田市の足袋産業は江戸時代から続く歴史を持ち、昭和初期には地域の主要産業として発展しました。きねや足袋の公式歴史資料によると、1929年に創業者の中澤政雪が足袋の下請け業を始め、その後、1949年に中澤足袋有限会社を設立。1965年には現在につながる「きねや足袋株式会社」へと名称を変更しています。
こうした歴史を見ると、『陸王』が描いた伝統産業の継承と新規事業への挑戦は、単なるドラマ上の設定ではなく、実際の行田のものづくり文化とも深くつながっていることが分かります。
【関係性を徹底比較】陸王・こはぜ屋・MUTEKI・ミズノの違い
ここで、作品と現実の商品・企業の関係を整理します。検索時に混同されやすい要点は、モデルとなった企業、実際に販売されているシューズ、撮影用に作られたシューズが別々に存在することです。
| 名称・人物 | 実在・架空 | 『陸王』との関係 | 現在の位置付け |
|---|---|---|---|
| 池井戸潤 | 実在 | 原作小説の作者。行田市の足袋メーカーを取材 | 作品の創作者 |
| きねや足袋 | 実在 | 池井戸潤の取材先。足袋づくりの背景資料 | 行田市の足袋メーカー |
| こはぜ屋 | 架空 | 伝統的な足袋メーカーとして登場 | 小説・ドラマ内の企業 |
| MUTEKI(無敵) | 実在 | 作品と共通する足袋型ランニングシューズ | きねや足袋の販売商品 |
| 陸王 | 架空 | こはぜ屋が開発するランニングシューズ | 作品内のシューズ |
| ミズノ | 実在 | ドラマに登場する陸王の撮影用シューズを製作 | 劇中シューズの製作協力企業 |
| シルクレイ | 架空の素材 | 小説内で陸王の開発を支える重要な新素材 | 池井戸潤が創作した設定 |
特に注目したいのが、シルクレイの存在です。
小説では、陸王の開発を大きく前進させる新素材としてシルクレイが登場します。繭を利用した特殊な素材という設定ですが、集英社の著者インタビューで池井戸潤本人は、シルクレイは創作したものだと説明しています。
つまり、作品には実在する足袋製造技術を参考にした部分と、物語を成立させるために創作された技術の両方があります。この区別が『陸王』の実話説を理解する要点です。
【2026年最新】きねや足袋のMUTEKIは購入できる?価格・サイズ・仕様
MUTEKIの基本スペック実際に購入を検討するなら、MUTEKIが最も分かりやすい選択肢です。 きねや足袋の公式商品ページには、2026年10月時点でもランニング足袋として掲載されています。
きねや足袋の公式商品情報に掲載されている基本仕様は次のとおりです。
| 項目 | 公式掲載内容 |
|---|---|
| 商品名 | ランニング足袋 きねや無敵(MUTEKI) |
| 価格 | 税込6,600円 |
| 男性用サイズ | 25.0~28.0cm(0.5cm刻み)、29.0cm、30.0cm |
| 女性・子供用サイズ | 22.0~24.5cm(0.5cm刻み) |
| カラー | ブラック、グレー、水色 |
| 表地 | ナイロン100% |
| 裏地 | 綿100% |
| ソール | 天然ゴム100% |
| ソールの取り付け | 接着剤を使わず手縫い付け |
| 製造国 | ベトナム |
価格やサイズはメーカー公式ページの掲載内容に基づいています。販売店によって表示や在庫状況が異なる場合があるため、注文時には最新の商品情報を確認してください。
MUTEKIのサイズ選びは通常のスニーカーと違う購入前に特に注意したいのがサイズ選びです。
きねや足袋の公式サイズ案内では、裸足で履く場合は足の実寸より5~7mm大きいサイズ、靴下を履く場合は7~10mm大きいサイズが目安とされています。
一般的なランニングシューズのサイズ感だけで選ぶと、足指の周辺や横幅が窮屈に感じる可能性があります。
足の形には個人差があるため、普段の靴のサイズをそのまま注文するのではなく、足長を実際に測って選ぶことが大切です。可能であれば試し履きも検討してください。
MUTEKIはどこで購入できる?購入先としては、きねや足袋の公式オンラインショップや、同社の商品を取り扱う通販販売店が候補になります。
公式サイトには商品情報のほか、購入方法や問い合わせ先も案内されています。行田市の店舗では、商品によって試し履きが可能な場合もあります。訪問前に電話などで確認しておくと安心です。
なお、2026年10月時点で確認できる公式掲載価格は6,600円です。過去の販売価格や通販サイトの表示価格だけを参考にせず、購入時点の価格と在庫を確認しましょう。
【ミズノの製作秘話】ドラマ版の陸王はどのように作られた?
『陸王』のドラマ版を語るうえで欠かせないのが、ミズノによる劇中シューズの製作です。
TBSは2017年10月7日、ドラマに登場する足袋型ランニングシューズの製作をミズノに依頼したと発表しました。
製作を担当したのはミズノテクニクスの職人チーム製作を担当したのは、ミズノテクニクスのクラフトマンであり、シューフィッターでもある亀井晶氏を中心とする「チーム・ミズノ」です。
制作チームがミズノに協力を依頼した理由は、ドラマの中心的なアイテムであるシューズに、本物の陸上競技用シューズを製造する技術とリアリティを持たせるためでした。
完成したシューズは、親指とほかの指の間が分かれた足袋型でありながら、一般的なランニングシューズに近い外観を持つ独特のデザインでした。
TBSの制作日誌でも、劇中の陸王が実際に竹内涼真演じる茂木選手の足元に使われ、走行シーンの撮影に使用されたことが紹介されています。
ミズノが作った陸王は市販品なのかここは購入希望者が最も間違えやすい部分です。
2017年の週刊女性PRIMEの取材記事では、ミズノ側の説明として、劇中用の陸王は原作や監督のイメージに合わせて製作された特別なモデルであり、実際の耐久テストや走行テストを行った製品ではないことが紹介されています。
素材には陸上・マラソン・駅伝のトップ選手が使用するシューズと同じものが使われていたものの、一般販売するための商品とは目的が異なっていました。
当時、ミズノ側は陸王の一般販売について予定がないと説明し、TBS側も販売予定はないと回答しています。
また、同じドラマに登場したライバル企業アトランティス社のシューズ「RII」については、TBSの公式グッズとして50足限定で予約販売されたという報道があります。しかし、これは陸王とは別の劇中アイテムです。
2026年10月現在も、陸王そのものを一般向けの現行ランニングシューズとして購入できるという公式案内は確認できません。
したがって、ドラマの陸王を探している人が購入候補にすべきなのは、劇中の完全再現品ではなく、実在する足袋型ランニングシューズのMUTEKIなどです。
【陸王シューズの仕組み】足袋型ランニングシューズの特徴とMUTEKIの評判
なぜ足袋型だと裸足感覚になるのか一般的なランニングシューズは、足全体を包み込む形状で、クッション材やソールによって着地時の衝撃を和らげる設計が主流です。
一方、足袋型ランニングシューズは、親指とほかの指を分ける構造が特徴です。足指を独立して動かしやすく、薄いソールによって地面の感覚を得やすい設計になっています。
MUTEKIの場合、天然ゴム100%のソールを接着剤を使わずに手縫いで取り付けています。メーカーは、裸足感覚のベアフットランニングシューズとして紹介しており、足裏の感覚や足力を意識するトレーニングにも活用できるとしています。
ただし、裸足感覚で走れることと、誰でも速く走れることは同じではありません。足袋型シューズに履き替えれば自動的に走行フォームが改善したり、けがを防げたりするわけではありません。
きねや足袋のMUTEKIの評判は?実際の購入者の評価を確認する際には、販売店のレビューも参考になります。
2026年に確認できるYahoo!ショッピングのある販売店の商品レビューでは、MUTEKIの評価は5点満点中4.57点、レビュー数は35件でした。
寄せられた評価では、軽さや地面を感じやすい履き心地、足袋型ならではの独特な感覚が好意的に取り上げられています。
一方、サイズ選びの難しさ、横幅のフィット感、一般的なランニングシューズと比較したクッション性の低さを気にする意見も見られます。
この評価は特定の販売店に寄せられたレビューであり、全購入者を対象とした調査ではありません。ただし、購入前に知っておきたい長所と短所を把握する参考にはなります。
MUTEKIが向いている人・向いていない人向いている人
- 足袋型の履物や裸足に近い感覚に興味がある人。
- 足指や足裏の感覚を意識したトレーニングをしたい人。
- 一般的な厚底シューズとは異なる履き心地を試したい人。
- ウォーキングや短い距離の軽いジョギングから始めたい人。
向いていない可能性がある人
- 厚いクッションによる柔らかな履き心地を重視する人。
- 普段から薄底シューズに慣れていない人。
- サイズの細かな調整や試し履きが難しい人。
- 履き替えた直後から長距離ランニングに使用したい人。
きねや足袋の公式案内でも、まずウォーキングから始め、ジャンプや軽いジョギングなどを短い距離で試す方法が紹介されています。使用後にはソールの削れ方を確認し、足の使い方の傾向を把握することも推奨されています。
通常のランニングシューズとは構造が違うため、最初から長距離を走るのではなく、少しずつ慣らしていくことが大切です。
【陸王モデルの実話と現在】2026年に知っておきたい誤解と購入判断
陸王は実話なのか?『陸王』は実話そのものではなく、池井戸潤によるフィクション小説が原作です。
実際の企業を取材したことと、実際に起きた事件を小説化したことは違います。きねや足袋という取材先が存在し、MUTEKIというランニング足袋も実際に販売されていたため、物語全体が実話だと受け取られやすくなりました。
しかし、作品に登場するこはぜ屋、宮沢紘一、茂木裕人、ライバル企業アトランティス社などは物語上の人物・設定です。シルクレイも池井戸潤が創作した素材です。
実在するものづくりの背景を土台にしながら、経営や技術開発、人間関係をドラマとして再構成した作品と理解するのが適切です。
2026年現在の陸王モデルを選ぶなら何を買うべきか購入目的によって選択肢は変わります。
ドラマの陸王に近い足袋型シューズを実際に履いてみたいのであれば、きねや足袋のMUTEKIが有力な候補です。メーカー公式ページに商品情報が掲載されており、価格やサイズも確認できます。
一方、ドラマに登場したミズノ製の陸王そのものを探している場合は注意が必要です。撮影用の特別製作モデルと一般販売されるランニングシューズは別物であり、MUTEKIを購入しても劇中シューズと同一仕様になるわけではありません。
また、陸王という名称を使った中古品や非公式商品を見つけた場合は、製造元、商品名、販売元、実際の仕様を確認することが大切です。
作品の再現性を優先するのか、実際のランニング性能や履き心地を優先するのかによって、選ぶべき商品は変わります。
【よくある質問】陸王のモデル・MUTEKI・ミズノに関するFAQ
Q1:ドラマ『陸王』のモデルになった会社は実在しますか?
A1:埼玉県行田市のきねや足袋が、原作者・池井戸潤の取材先として知られています。ただし、ドラマのこはぜ屋と同社が完全に同一の企業というわけではありません。伝統的な足袋製造の現場や技術が、作品のリアリティを支えています。
Q2:MUTEKIと陸王は同じシューズですか?
A2:同じではありません。MUTEKIはきねや足袋が実際に販売するランニング足袋で、陸王は作品内の架空の商品です。ドラマに登場する陸王の撮影用シューズはミズノが製作しました。
Q3:MUTEKIの2026年の価格はいくらですか?
A3:きねや足袋の公式商品ページでは税込6,600円と掲載されています。販売店によって価格や送料、在庫状況が異なる場合があります。
Q4:ミズノ製のドラマ版陸王は購入できますか?
A4:一般向けの通常販売品としての公式案内は確認できません。2017年の報道では、ミズノとTBSの双方が販売予定はないと説明していました。劇中の陸王と実在するMUTEKIは区別する必要があります。
Q5:MUTEKIは初心者でも履けますか?
A5:履くこと自体は可能ですが、薄いソールの感覚に慣れる必要があります。メーカーはウォーキングから始め、軽いジョギングを短い距離で試すことを案内しています。最初から長距離を走る使い方は避け、少しずつ慣らすことが大切です。
Q6:陸王のシルクレイは実在する素材ですか?
A6:小説に登場するシルクレイは池井戸潤が創作した素材です。物語ではランニングシューズの性能を左右する重要な技術として描かれていますが、実在するきねや足袋の製品仕様ではありません。
まとめ:陸王のモデルは実在するが、MUTEKIと劇中シューズは別物
『陸王』の魅力は、完全な架空の世界を描いた作品ではなく、実際の伝統産業や製造現場を参考にしながら、そこに新規事業への挑戦という物語を重ねた点にあります。
池井戸潤が取材したきねや足袋は、1929年創業の実在する足袋メーカーです。同社が2013年9月に発売したMUTEKIも、現在まで商品情報が掲載されている実在のランニング足袋です。
一方、ドラマ版の陸王はミズノが劇中用に製作した特別なシューズであり、一般向けの商品として販売されているものではありません。加えて、小説のシルクレイやこはぜ屋の経営危機などには創作の要素が含まれています。
2026年に陸王モデルを実際に履いてみたいなら、まず検討したいのはMUTEKIです。税込6,600円という公式掲載価格に加え、サイズや素材、ソールの構造も公開されています。ただし、通常のランニングシューズとは履き心地が異なるため、サイズ選びと段階的な使用を意識してください。
ドラマの感動を現実の商品に重ねるときに大切なのは、作品の世界観と実際の製品性能を分けて考えることです。『陸王』が描いた足袋職人の挑戦はフィクションですが、伝統技術を新しい商品へ生かそうとするきねや足袋の取り組みは、現実のものづくりとして今も続いています。
主な参照資料: TBSテレビ『陸王』公式サイト・制作日誌、きねや足袋公式商品情報・会社沿革、ダイヤモンド・オンラインの池井戸潤インタビュー、週刊文春の著者インタビュー、週刊女性PRIMEの2017年取材記事、Yahoo!ショッピングの商品レビュー。