2026年現在、自民党の参議院選挙を振り返るうえで最大の転換点となったのが、2025年7月20日に投開票された第27回参議院議員通常選挙です。自民党は獲得議席を39議席にとどめ、公明党も8議席に後退。自公両党の獲得議席は合計47議席となり、参議院での過半数維持に必要だった50議席に届きませんでした。選挙後の自公勢力は122議席となり、過半数の125議席を3議席下回りました。
敗因には、物価高やコメ価格の上昇、政治資金問題への不信、現金給付を中心とした経済政策への反発、石破政権の求心力低下など、複数の要因が重なっています。一方、国民民主党と参政党が大きく議席を伸ばし、従来の政党支持の構図にも変化が生じました。2026年10月29日時点の参議院会派別議席数、現在の自民党支持率、2028年の次回参院選までの展望を含め、選挙結果の意味を整理します。
【2025年7月の選挙結果】自民党39議席で自公の過半数割れが決定

2025年7月20日に実施された第27回参議院議員通常選挙は、石破茂政権にとって極めて厳しい結果となりました。
自民党の獲得議席は39議席。改選対象だった52議席を13議席下回りました。公明党も改選14議席に対して8議席しか獲得できず、与党全体では47議席に終わっています。
過半数に必要な50議席に届かなかった理由参議院の定数は248議席で、過半数を確保するには125議席が必要です。選挙前、自民党は非改選議席62、公明党は13議席を持っており、両党を合わせた非改選議席は75でした。
そのため、今回の選挙で50議席を獲得できれば、非改選議席と合わせて125議席となり、過半数を維持できる計算でした。しかし、実際の獲得は47議席。選挙後の議席は次のようになりました。
- 自民党:101議席
- 公明党:21議席
- 自公合計:122議席
- 参議院の過半数:125議席
つまり、与党は過半数に3議席足りない状態になりました。
さらに重要なのは、2024年10月の衆議院議員総選挙ですでに自公が衆議院の過半数を失っていたことです。2025年の参院選によって参議院でも少数与党となり、1955年の自民党結党以来、政権を担う自民党が衆参両院で過半数を失うという重大な事態になりました。
各党の獲得議席が示した有権者の変化自民党と公明党が議席を減らした一方、国民民主党は17議席、参政党は14議席を獲得しました。
特に国民民主党は改選4議席から17議席へと大幅に増加。参政党も改選前の1議席から14議席へと躍進しました。
日本維新の会は7議席を獲得し、立憲民主党は22議席で改選前と同数を維持しています。野党全体が一様に支持を伸ばしたわけではなく、有権者の選択が複数の政党へ分散した点が今回の特徴です。
【選挙区・比例代表を分析】自民党39議席の内訳と投票率58.51%
参議院選挙の結果を正しく理解するには、選挙区と比例代表を分けて見る必要があります。両者は投票方法も議席の決まり方も異なり、政党がどのような支持を失ったのかを読み解く手掛かりになります。
選挙区では27議席、比例代表では12議席2025年の参議院選挙で、自民党が獲得した39議席の内訳は以下のとおりです。
- 選挙区:27議席
- 比例代表:12議席
- 合計:39議席
選挙区は都道府県単位などで候補者に投票する方式です。地域に根差した活動、候補者個人の知名度、地方組織や支持団体の動員力などが結果を左右します。
一方、比例代表は全国を一つの選挙区として扱い、政党名または候補者名で投票します。政党の得票数に応じて議席が配分されるため、全国的な政党支持の動向が反映されやすい仕組みです。
自民党は選挙区でも比例代表でも議席を減らしました。特定の地域だけで支持を失ったのではなく、全国的な政党支持の低下が選挙結果に表れたと考えられます。
投票率は58.51%に上昇今回の参議院選挙の全国投票率は58.51%でした。2022年の前回参院選の52.05%と比較すると、6.46ポイントの上昇です。
有権者の政治への関心が高まり、選挙結果に影響する投票行動が広がったことがうかがえます。
ただし、投票率の上昇だけで特定の政党が有利になるわけではありません。重要なのは、どの層が投票に参加し、どの政党や候補者に票を投じたかです。
今回の選挙では、物価高対策や減税、政治改革など、日常生活に直結する争点が注目されました。投票率の上昇と新興政党の躍進を合わせて見ると、従来の支持政党にとらわれない投票行動が広がったことが読み取れます。
【自民党の参院選敗因】物価高・政治資金問題・政策への不満を検証
自民党の敗北は、単一の政策や出来事だけで説明できるものではありません。選挙後に党がまとめた総括では、石破内閣の支持率低迷、従来の支持層の離反、物価高対策への評価、政治資金問題などが敗因として挙げられました。
1. 物価高とコメ価格への対応が有権者の不満を招いた選挙期間中、有権者の関心を集めたのが生活費の上昇でした。食品や日用品の値上がりに加え、コメ価格の高騰も家計に影響を与えていました。
物価高が続くなか、政府に求められていたのは、家計の負担を実感できる形で軽減することでした。しかし、政府の対応が生活実感に追いついていないという批判が強まりました。
AP通信やロイター通信も、コメ価格の上昇、実質賃金への不満、生活費の負担が与党の支持低下につながったと報じています。
2. 2万円の現金給付案と減税をめぐる政策のずれ自民党は2025年の参院選で、物価高対策として現金給付を打ち出しました。子どもや住民税非課税世帯の大人には1人4万円、それ以外の人には1人2万円を給付するという内容です。
しかし、選挙では現金給付だけでなく、消費税減税や所得税の負担軽減を求める声も大きくなっていました。
共同通信によるSNS分析でも、選挙関連の政策ワードでは「減税」「消費税」が上位となり、物価高対策への関心の高さが確認されています。
自民党の選挙後の総括についてテレビ朝日は、現金給付による物価高対策が有権者に十分響かなかったことや、与野党協議を通じて減税に抵抗する政党という印象を与えたことを報じました。
ここには政策の内容だけでなく、政策をどう伝え、生活者に納得してもらうかという政治コミュニケーション上の問題もありました。
3. 政治資金問題による信頼の低下自民党にとって、派閥の政治資金パーティーをめぐる不記載問題も大きな課題でした。
政治資金の透明性や説明責任に対する不信は、選挙の直前だけで解消できる問題ではありません。選挙後の党内総括でも、政治とカネの問題が自民党に対する不信の底流に残っていることが指摘されています。
有権者が政治家に求めるのは、政策の実現力だけではありません。公金や政治資金を適切に扱い、疑問に対して説明する姿勢も、政党への信頼を左右します。
4. 若年層・現役世代・保守層の支持離れ自民党の総括報告書では、若年層や現役世代、保守層の一部が離れたことも敗因として挙げられました。
従来、自民党が支持を集めてきた保守層の一部には、政策や政治姿勢に対する不満がありました。その受け皿として存在感を高めたのが参政党です。
また、手取りの増加を前面に掲げた国民民主党は、税負担や社会保険料、賃金に関心を持つ現役世代に政策を訴えました。
この結果、自民党は従来の支持基盤を維持できない一方、新しい支持層を十分に取り込めなかったと分析できます。
5. 石破政権の求心力低下選挙の結果には、石破茂首相の政権運営に対する評価も影響しました。
テレビ朝日が報じた自民党の総括では、石破内閣の支持率低迷が党の基礎体力を弱めたことも主要な要因とされています。
つまり、参院選は候補者個人や政策だけを評価する選挙ではなく、政権そのものに対する評価を示す場にもなっていました。
石破首相は2025年9月7日に自民党総裁を辞任する意向を表明しました。首相官邸での会見では、選挙結果に対する責任にも言及しています。
「選挙結果に対する責任は総裁たる私にある」
その後、石破内閣は2025年10月21日に総辞職しました。参院選の敗北は、党内の指導体制にも大きな影響を及ぼしたのです。
【2026年最新】参議院の会派別議席数と自民党の勢力図
2025年の選挙結果を理解したうえで確認したいのが、2026年現在の参議院の勢力構成です。
参議院公式サイトの会派別所属議員名簿によると、2026年10月29日時点の参議院は定数248議席のうち247人が在籍し、1議席が欠員となっています。
2025年の当選議席と2026年10月29日の会派別人数以下は、2025年の選挙結果と2026年10月29日時点の参議院会派の所属人数を比較したものです。
| 政党・会派 | 2025年当選議席(選挙区・比例) | 2026年10月29日会派人数 |
|---|---|---|
| 自民党・無所属の会 | 39(27・12) | 101 |
| 立憲民主・無所属 | 立憲民主党22(15・7) | 39 |
| 国民民主党・新緑風会 | 17(10・7) | 25 |
| 公明党 | 8(4・4) | 21 |
| 日本維新の会 | 7(3・4) | 19 |
| 参政党 | 14(7・7) | 15 |
| 日本共産党 | 3(1・2) | 7 |
| いのちの党 | 該当なし | 5 |
| 日本保守党 | 2(0・2) | 2 |
| 沖縄の風 | 該当なし | 2 |
| チームみらい・無所属の会 | チームみらい1(0・1) | 2 |
| 社会民主党 | 1(0・1) | 2 |
| れいわ新選組 | 3(0・3) | 同名会派なし |
| 各派に属しない議員 | 無所属8(8・0) | 7 |
この表で特に注目したいのは、自民党・無所属の会が101人で最大会派を維持している点です。
ただし、101人という数字は自民党所属議員だけの人数ではなく、無所属議員を含む会派の人数です。同様に、立憲民主・無所属も無所属議員を含んでいます。政党の所属人数と院内会派の人数は必ずしも一致しません。
また、選挙直後の政党別議席数と2026年の会派別人数は、会派の結成や所属変更などがあるため、単純に増減を比較できるものではありません。
国民民主党・参政党の存在感が増した参議院国民民主党は2025年の選挙で17議席を獲得し、2026年10月29日時点では25人の会派を形成しています。
参政党も15人の会派となり、選挙での躍進をその後の国会活動につなげています。
日本維新の会は19人、公明党は21人です。自民党が最大会派であることに変わりはありませんが、他党の議席も一定の規模を持っています。
この構成では、自民党が単独で法案を成立させることは容易ではありません。政策ごとに他党との調整や合意形成を進める必要があります。
【自民党の政策公約2025】掲げた重点政策と有権者が求めたもの
2025年の参議院選挙で自民党が掲げた公約は、経済成長、物価高対策、社会保障、安全保障など幅広い分野を対象としていました。
公式の参院選公約では、大きく3つのビジョンとして「強い経済」「豊かな暮らし」「揺るぎない日本」を掲げ、5つの行動分野を示しています。
物価高対策と賃上げ家計への直接的な支援として打ち出されたのが、1人2万円の現金給付です。子どもや住民税非課税世帯の大人には1人4万円を給付する内容でした。
また、賃上げについては実質1%、名目3%の賃金上昇率を目指し、2030年度に賃金を約100万円増加させる目標も示しました。
中小企業の生産性向上や成長産業への投資、AI・データサイエンス分野の人材育成なども盛り込まれています。
社会保障・教育・子育て支援年金、医療、介護、福祉の充実に加え、高校授業料の実質無償化や教育費負担の軽減、子育て支援なども公約の柱でした。
特に、物価上昇が家計を圧迫するなかで、教育費や社会保険料など長期的な負担をどう軽減するかは、幅広い世代に関係する政策課題です。
外国人政策・安全保障・憲法改正自民党は外国人による不動産所有や在留管理などをめぐる問題への対応、治安対策の強化、憲法改正、防衛・経済安全保障の充実も掲げました。
一方、2025年の選挙では外国人との共生や規制のあり方も争点となり、参政党などがこのテーマを前面に出しました。
選挙戦で有権者が重視したのは、経済政策だけではありません。生活費、税負担、政治への信頼、安全保障、外国人政策など、複数のテーマが政党選択に影響したと考えられます。
【自民党の歴代参院選議席推移】2022年の63議席から39議席へ
2025年の39議席がどれほど大きな後退だったのかを理解するには、過去の参議院選挙との比較が有効です。
自民党の主要な参院選での獲得議席は次のように推移しています。
- 2013年:65議席
- 2016年:56議席
- 2019年:57議席
- 2022年:63議席
- 2025年:39議席
2013年から2022年まで、自民党は56~65議席の範囲で推移していました。しかし2025年には39議席となり、2022年の63議席と比べて24議席少ない結果となりました。
なお、2025年の改選対象は52議席であり、そのうち39議席を獲得したため、改選前の議席数との比較では13議席減です。2022年の選挙で獲得した議席数との比較では24議席減となります。比較する基準が異なるため、両方の数字を区別する必要があります。
特に注目されるのは、比例代表の得票率も低下したことです。2022年の比例代表得票率34.4%に対して、2025年は21.64%でした。
選挙区だけでなく全国比例でも支持を減らしたことは、自民党にとって選挙戦略や支持基盤の再構築が必要であることを示しています。
【2026年の自民党支持率と今後の展望】次回参議院選挙は2028年
2025年の選挙で大きく議席を減らした自民党ですが、2026年10月現在の支持状況を見ると、政党支持率と内閣支持率を分けて考える必要があります。
2026年10月の自民党支持率テレビ朝日が2026年10月17日・18日に実施した世論調査では、自民党の政党支持率は36.8%でした。前回調査から6.4ポイント低下しています。
同じ調査における高市内閣の支持率は47.1%でした。
政党支持率と内閣支持率は別の指標です。内閣を支持していても、特定の政党を支持するとは限りません。反対に、政党を支持していても、内閣の政策や政権運営をすべて評価しているとは限りません。
また、今回の調査は電話調査で、全国18歳以上の男女3,141人を対象に実施され、有効回答率は32.4%でした。単独の世論調査を日本全体の政治意識そのものとみなすのではなく、調査時期や方法を含めて判断する必要があります。
次回の参議院選挙は2028年参議院議員の任期は6年間で、3年ごとに半数が改選されます。そのため、2025年に選出された議員の次の改選時期は2031年となり、2028年には2022年に選出された議員を中心とする任期満了組が対象となります。
参議院公式の2026年10月29日時点の議員名簿では、次の任期満了日は2028年7月25日とされています。したがって、次回の参議院議員通常選挙は2028年に予定されています。ただし、具体的な投票日は今後の選挙日程によって決まります。
2028年に向けて自民党が問われる3つの課題第一は、物価高と賃金の問題です。給付金や減税の議論だけでなく、実質賃金を改善し、家計の購買力を回復できるかが重要になります。政策目標を掲げるだけではなく、国民が実際に生活の改善を感じられる成果が大切です。
第二は、政治資金問題への対応です。政治への信頼は一度失われると、選挙直前の説明だけで回復するものではありません。資金の透明性、説明責任、政治改革の実効性が引き続き問われます。
第三は、支持層の再構築です。国民民主党や参政党などが一定の議席を持つなか、自民党は若年層、現役世代、保守層など幅広い有権者に政策の違いを示す必要があります。
2028年の選挙では、2025年の敗北から何を改善できたのかが評価の対象になります。
【自民党参議院選挙】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2025年の参院選で自民党は何議席を獲得しましたか?
A1:自民党は合計39議席を獲得しました。内訳は選挙区27議席、比例代表12議席です。公明党は8議席で、自公合計は47議席でした。
Q2:なぜ自民党と公明党は参議院で過半数を失ったのですか?
A2:物価高への対応不足、コメ価格の上昇、政治資金問題への不信、現金給付を中心とした政策への反発、石破政権の支持低下などが主な要因です。国民民主党や参政党への支持の広がりも選挙結果に影響しました。
Q3:2026年現在、自民党は参議院で何議席を持っていますか?
A3:2026年10月29日時点で、参議院の「自由民主党・無所属の会」は101人です。これは無所属議員を含む会派の人数であり、自民党の党籍を持つ議員だけの人数とは異なります。
Q4:次回の参議院選挙はいつですか?
A4:次回の参議院議員通常選挙は2028年に予定されています。具体的な投票日はまだ確定しておらず、対象となる議員の任期満了日は2028年7月25日です。
Q5:2025年の参院選の投票率は何%でしたか?
A5:全国の投票率は58.51%でした。2022年の52.05%から6.46ポイント上昇しています。
まとめ:自民党参院選2025の敗北が2028年の選挙を左右する
2025年7月の参議院選挙で、自民党は39議席、公明党は8議席を獲得しました。自公合計47議席という結果は、過半数維持に必要な50議席に届かず、参議院の勢力図を大きく変えることになりました。
敗因は、物価高への不満や政治資金問題、政策の伝え方、政権の求心力低下などが複合的に重なったことにあります。国民民主党と参政党の躍進は、有権者が従来の政党にこだわらず、具体的な政策や政治姿勢を比較して投票する傾向を示しました。
2026年10月29日時点で、自民党・無所属の会は101人を擁する最大会派です。しかし、最大会派であることと、参議院で安定した多数を確保していることは同じではありません。
今後の自民党を評価する際には、次の3点を確認が必要です。
- 物価高を上回る賃上げと家計負担の軽減を実現できるか。
- 政治資金問題への説明責任を果たし、国民の信頼を取り戻せるか。
- 国民民主党や参政党などとの競争のなかで、新しい支持層を獲得できるか。
2025年の39議席は、単なる選挙での敗北ではなく、自民党の政策運営と支持基盤のあり方を問い直す結果でした。次回2028年の参議院選挙に向けて、政党支持率の変化だけでなく、実際の政策成果や国会での合意形成にも注目する必要があります。
自民党が再び安定した支持を獲得できるかどうかは、選挙公約の実現と政治への信頼回復をどこまで進められるかにかかっています。
主な根拠資料・確認先
- 参議院公式サイト:2026年10月29日現在の会派別所属議員数・任期満了日。
- 自民党公式サイト:2025年参議院選挙公約。
- テレビ朝日:自民党の選挙総括報道、2026年10月世論調査。
- Nippon.com:2025年参院選の獲得議席・投票率・自公過半数割れ。
- 首相官邸:2025年9月7日の石破首相記者会見、10月21日の内閣総辞職。
- 自民党の歴代参院選議席推移。