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【約76万便に1件】飛行機が墜落する確率と2025年の最新事故統計

小野寺 拓海 小野寺 拓海 • 更新: • 公開: • 読了約 20 分
目次

最初に、2026年3月に発表されたIATAの2025年安全報告書から、世界の航空事故の実態を確認したい。

2025年に世界で運航された航空便は約3,870万便。そのうち、IATAが集計した航空事故は51件だった。

事故発生率を整理すると、次のようになる。

- 2025年の航空事故:51件
- 世界の総運航便数:約3,870万便
- 全事故発生率:100万便あたり1.32件
- 事故1件あたりの運航便数:約75万9,646便
- 死亡事故:8件
- 機内死亡者数:394人

ここで重要なのは、約76万便に1件という数字は、飛行機が墜落する確率ではなく、IATAの定義に基づく航空事故全体の発生率だという点だ。

1回の搭乗で事故に遭う確率は?

1回の搭乗を1便の利用と考えた場合、全事故の発生頻度は次のように表せる。


2025年・全航空事故の発生頻度

約75万9,646便に1件

飛行機が墜落する確率


100万便あたり
1.32件


1便あたりの発生率
約0.000132%


対象期間
2025年

IATA 2025 Annual Safety Reportに基づく。事故全体の発生頻度であり、墜落や死亡の確率ではない。

この数字は、1回飛行機に乗ると約76万分の1の確率で墜落するという意味ではない。

航空事故には、機体が大破するような深刻な事故だけでなく、乗客が死亡しなかった事故や、機体が損傷して修理が必要になった事案なども含まれている。

死亡事故だけに限定するとどうなる?

死亡事故については、さらに低い発生頻度になる。

IATAの発表によると、2021~2025年の5年間における死亡事故の平均発生頻度は、約560万便に1件だった。

また、2025年単年では8件の死亡事故が発生している。前年の7件、過去5年間の平均6件を上回った。

つまり、航空事故全体の発生率は前年より改善した一方、死亡事故と死亡者数は増加したという、異なる傾向が同時に見られる。

この違いを理解することが、飛行機の安全性を正しく評価する第一歩になる。

【IATA・ICAOの統計を比較】航空事故率と死亡事故率の違い

航空事故の確率を調べると、IATAとICAOで異なる数字が掲載されていることがある。

これは、どちらかの統計が間違っているわけではない。対象とする航空機や運航形態、事故の集計方法が異なるためだ。

IATAとICAOは何を調べているのか

IATAは国際航空運送協会で、世界の航空会社が加盟する業界団体だ。航空会社の運航実績や事故情報を集約し、世界の航空安全を分析している。

一方、ICAO(国際民間航空機関)は国連の専門機関であり、国際的な航空安全基準や各国の安全監督体制を整備する役割を担う。

両者の統計は、次のように整理できる。



航空会社の運航実績・事故率・機材別の安全性を分析
2025年実績を2026年3月公表


各国の定期商業航空の事故・死亡率・国際安全基準を分析
2024年実績を2025年版報告書で公表


日本の航空運送事業者の安全情報、事故発生状況、運航実績を集計


航空事故・重大インシデントの調査と原因究明を担当


IATAとICAOの2025年版統計を比較

ICAOが2025年8月に公表した「2025 Edition Safety Report」は、2024年の実績をまとめたものだ。

対象は、最大離陸重量5,700kgを超える航空機による定期商業運航である。

その主な数値は次のとおり。

統計項目 IATA・2025年実績 ICAO・2024年実績
航空事故 51件 95件
死亡事故 8件 10件
死亡者数 394人 296人
運航便数 約3,870万便 約3,709万便
事故発生率 1.32件/100万便 2.56件/100万便
死亡率 死亡リスク指標0.17 65人/10億旅客

この表で注意したいのは、IATAとICAOの事故件数をそのまま比較して、どちらの年のほうが安全だったと判断できないことだ。

IATAとICAOでは事故の集計対象や定義が異なる。また、IATAの死亡リスク指標0.17と、ICAOの旅客10億人あたり65人という死亡率も、同じ計算方法ではない。

乗客個人の死亡リスクを考えるならICAOの指標も参考になる

ICAOの2024年統計では、定期商業航空の死亡者数は296人、旅客数は約45億2,800万人だった。

死亡率は旅客10億人あたり65人となっている。

単純に逆数に換算すると、約1,540万回の旅客搭乗に対して死亡者1人という規模だ。

ただし、これは統計上の死亡者数を旅客数で割った指標であり、特定の航空会社や個々の搭乗者の将来の死亡確率を保証するものではない。

ここから分かるのは、事故の発生頻度と、乗客が死亡する危険性は別々に評価しなければならないということだ。

【日本の航空事故統計】国内定期便の死亡事故はどうなっている?

世界の統計だけでなく、日本国内の航空安全も確認しておきたい。

日本では国土交通省が航空輸送の安全に関する情報を毎年度公表し、運輸安全委員会が事故や重大インシデントの調査を行っている。

日本の大手航空会社では1986年以降、乗客死亡事故が発生していない

国土交通省が2026年9月1日に公表した「航空輸送の安全にかかわる情報(令和7年度)」には、重要な記録が記載されている。

それは、1986年以降、特定本邦航空運送事業者による乗客死亡事故が発生していないというものだ。

ここでいう特定本邦航空運送事業者とは、客席数100席または最大離陸重量5万kgを超える航空機を使用する事業者を指す。

つまり、ANAやJALなどを含む国内の主要航空運送事業者について、長期にわたって乗客死亡事故が発生していないという実績がある。

なお、この記録は国内線だけに限定した統計ではなく、対象となる事業者による運航全体についての記録である。

2025年度の日本の航空事故は8件

同じ国土交通省の報告書では、2025年度に本邦航空運送事業者で発生した航空事故は8件、重大インシデントは2件とされている。

ただし、ここには大型旅客機だけでなく、ヘリコプターなどの事故も含まれる。

事故の内容を見ると、以下のような事例があった。

- ヘリコプターが海上に不時着水し、搭乗者3人が死亡。
- 航空機が地上走行中に別の航空機と接触。
- 降下中の被雷による機体損傷。
- 飛行中の機体の動揺による乗客・客室乗務員の負傷。
- 着陸時の機体尾部と滑走路の接触。
- 離陸後の鳥との衝突による機体損傷。

特に注意したいのは、死亡者3人が出た事案は回転翼航空機による海上への不時着水であり、定期旅客便の大型ジェット機の墜落事故とは区別すべき事案だという点である。

運輸安全委員会が調べる事故と重大インシデント

は、事故の責任追及だけを目的とする機関ではない。

航空機の設計、整備、操縦、気象、空港設備など、さまざまな要因を調査し、同様の事故が再発しないための改善策につなげる。

2026年版の運輸安全委員会年報によると、2025年に新たに調査対象となった航空事故は20件、航空重大インシデントは12件だった。

事故の対象には大型機だけでなく、小型飛行機、ヘリコプター、滑空機なども含まれる。死亡者は7人、負傷者は13人と報告されている。

こうした調査は、単に事故件数を数えるためではなく、事故に至る前の兆候を把握し、安全対策を更新するために行われている。

【ジェット機とプロペラ機】事故率が高いのはどちら?

飛行機の種類によって事故発生率は異なる。

IATAの2025年統計では、ジェット機とターボプロップ機の事故率に差が見られた。


ジェット機の事故率

100万便あたり1.03件


約97万便に1件


ターボプロップ機の事故率

100万便あたり4.08件


約24万5,000便に1件



2025年の事故発生率。棒の長さは両機種の数値を比較したもの。

2025年は、ターボプロップ機の事故率がジェット機の約4倍になった。

しかし、これだけを見てプロペラ機は危険だと判断するのは早計だ。

ジェット機の特徴

ジェット機は、ジェットエンジンの推力を利用して飛行する航空機だ。

主に中長距離の路線や幹線路線で使用され、大量の旅客を効率よく運ぶことができる。

IATAの2025年統計では、ジェット機の事故率は2024年の100万便あたり1.23件から1.03件へと改善した。

ターボプロップ機の特徴

ターボプロップ機は、タービンエンジンでプロペラを回転させて推進力を得る航空機だ。

地域路線や短距離路線などで使われることが多く、ATRやDHC-8などが代表例として挙げられる。

2025年の事故率は100万便あたり4.08件で、前年の3.22件から上昇した。

ただし、運航する地域や空港環境、飛行距離、機材数などが異なるため、機種だけで安全性を決めることはできない。

また、事故率が約4倍というのは、死亡事故や墜落の確率が4倍という意味でもない。

航空機事故の原因と仕組み

飛行機の事故は、単純にエンジンが故障したから起きるわけではない。

航空事故には、複数の要因が重なって発生するものもある。

代表的な事故の種類を整理すると、次のとおりだ。



滑走路逸脱

着陸時や離陸中に航空機が滑走路から外れる事故。路面状態、速度、気象条件、操縦判断などが関係する。


テールストライク

離陸や着陸時に機体の尾部が滑走路に接触する事象。機体の姿勢や操縦操作などが関係する。


機械・整備上の不具合

エンジンや各種装置の故障、整備上の問題など。異常を検知する仕組みや予防整備が重要になる。


乱気流・気象現象

強い気流の変化によって機体が揺れ、乗客や乗務員が負傷することがある。


鳥との衝突・空港設備の問題

バードストライクや滑走路周辺の障害物など、空港環境に起因するリスクも存在する。


IATAによると、2025年に多かった事故は、テールストライク、着陸装置に関する事象、滑走路逸脱、地上での機体損傷だった。

一方、死亡事故の主要な要因として知られる飛行中の制御喪失(LOC-I)は、2025年には発生しなかった。

ICAOは2024年の統計分析で、地表への制御飛行衝突(CFIT)、飛行中の制御喪失、空中衝突、滑走路誤進入を重点的な高リスクカテゴリーとして挙げている。また、乱気流は重傷事故の約4分の3に関係していた。

事故を防ぐには、操縦士の技術だけでなく、航空機の整備、管制、空港施設、気象情報の共有など、複数の安全対策が必要になる。

【飛行機と自動車の事故率比較】本当に飛行機のほうが安全?

飛行機と自動車では、どちらが危険なのか。

日常的に自動車を利用する人にとって、気になる比較だろう。

2025年の日本の交通事故統計を見ると、道路交通事故による死者数は2,547人だった。交通事故発生件数は287,023件に上る。

死者数は前年より116人減少し、1948年以降で最少となった。

一方、世界の航空業界では、IATAの2025年統計で機内死亡者数394人が報告されている。

ただし、この2つの数字を並べて、飛行機のほうが約6.5倍安全だと結論づけることはできない。

理由は、比較対象の範囲が異なるからだ。

- 日本の道路交通死亡者数:日本国内の道路交通事故による死者。
- 世界の航空機死亡者数:世界の航空便における機内死亡者。
- 自動車:歩行者や自転車利用者なども道路交通死亡者に含まれる。
- 飛行機:運航便数や旅客数を分母にした統計が使われる。

正しく比較するなら「移動距離あたりの死亡リスク」

交通手段の安全性を比較するときは、単純な事故件数よりも、旅客キロあたりの死亡率を使うほうが合理的だ。

旅客キロとは、乗客1人を1km運んだ場合を1旅客キロとする単位である。

例えば、100人の乗客を100km運べば、合計10,000旅客キロとなる。

この方法なら、移動距離や利用者数の違いをある程度調整できる。

欧州鉄道機関が公表した2012~2021年の10年間の比較では、旅客の移動距離を基準にすると、乗用車の死亡リスクは鉄道より約30倍高く、商業航空の死亡リスクは鉄道とほぼ同程度だった。

このデータは欧州のもので、日本国内の航空・自動車の直接比較ではないが、長距離移動における航空機の安全性を考える参考になる。

したがって、一般的な長距離移動では、飛行機は非常に安全性の高い交通手段と評価されている。

【飛行機の安全性は2026年にどう変わる?】今後の注目ポイント

2026年時点の航空安全を考えるうえで、事故率だけでなく、事故を未然に防ぐ技術や制度の進歩にも注目したい。

特に重要なのは次の3点だ。

1. データを活用した予防安全

航空会社は、事故が発生してから原因を調べるだけでなく、事故につながりかねない異常やトラブルを収集・分析している。

国土交通省の2025年度安全報告書でも、機材不具合への対応やヒューマンエラーの防止、安全情報の共有が今後の重点課題として挙げられた。

事故が発生する前の段階で危険を察知し、運航方法や整備方法を改善することが重要になっている。

2. 航空機の位置情報や気象情報の高度化

乱気流や気象の急変は、乗客の負傷につながる可能性がある。

ICAOは、乱気流のリアルタイム監視や気象情報の高度化を安全対策の一つとして進めている。

また、GNSS(衛星測位システム)への妨害や偽の位置情報を送るスプーフィングも、新たな課題となっている。

IATAの報告では、2025年のGNSSジャミングの報告件数は2023年比67%増、GPSスプーフィングは193%増だった。

こうした問題に対して、航空機側のシステムの冗長性や、操縦士・管制官の対応能力が重要になる。

3. 航空会社の安全管理体制

航空会社の安全性を見るうえでは、機材の新しさや知名度だけでなく、安全管理の仕組みも重要だ。

IATAの2025年報告書によると、IOSA(IATA運航安全監査)の登録航空会社の事故率は100万便あたり0.98件だった。

一方、非登録航空会社は2.55件だった。

また、IATA加盟航空会社の事故率は0.72件で、非加盟航空会社の3.09件を下回っている。

ただし、これらの差には運航規模や運航地域なども影響するため、数字だけで個別航空会社の安全性を断定することはできない。

【飛行機が墜落する確率】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:飛行機が墜落する確率は1回の搭乗あたり何分の1ですか?

A1:2025年のIATA統計では、航空事故全体が約75万9,646便に1件です。ただし、これは墜落事故だけではありません。死亡事故の5年間の平均発生頻度は約560万便に1件です。

Q2:飛行機の死亡事故率はどのくらいですか?

A2:IATAによると、2021~2025年の世界の死亡事故の平均発生頻度は約560万便に1件です。また、ICAOの2024年統計では、旅客10億人あたり65人の死亡率が報告されています。

Q3:ジェット機とプロペラ機ではどちらが安全ですか?

A3:2025年のIATA統計では、ジェット機の事故率は100万便あたり1.03件、ターボプロップ機は4.08件でした。ただし、これは事故全体の発生率であり、死亡事故や墜落の確率が同じ比率で異なるわけではありません。

Q4:日本国内の飛行機は安全ですか?

A4:国土交通省の2025年度報告書では、国内の主要航空運送事業者について1986年以降、乗客死亡事故が発生していないと報告されています。日本の定期旅客航空は長期的に高い安全実績を維持しています。

Q5:飛行機と自動車ではどちらが危険ですか?

A5:長距離移動における商業航空は、非常に安全性の高い交通手段です。ただし、厳密に比較するには事故件数ではなく、旅客キロあたりの死亡率など、同じ基準の統計を使う必要があります。

Q6:飛行機が揺れると墜落する危険がありますか?

A6:通常の乱気流による揺れだけで、直ちに墜落につながるわけではありません。ただし、強い乱気流では乗客や乗務員が負傷する可能性があります。シートベルトを着用しておくことが大切です。

まとめ:飛行機が墜落する確率は極めて低いが、死亡事故率とは区別が必要

2026年10月時点で確認できる最新のIATA統計によると、2025年の世界の航空事故発生率は約75万9,646便に1件だった。

ただし、この数字は墜落事故だけを対象にしたものではない。

重要な数字を改めて整理すると、次のようになる。

- 全事故発生率:約76万便に1件
- 死亡事故の5年間の平均:約560万便に1件
- 2025年の死亡事故:8件
- 2025年の機内死亡者数:394人
- 日本の主要航空運送事業者:1986年以降、乗客死亡事故なし

2025年は機内死亡者数が前年より増えたものの、全事故発生率は改善している。このように、航空安全は一つの数字だけでは評価できない。

飛行機の安全性を正しく判断するには、事故発生率、死亡事故率、旅客あたりの死亡率、運航会社の安全管理体制を分けて見る必要がある。

【プロの結論】

飛行機に乗ることは、日常生活で想像するほど危険な行為ではない。世界中で毎日膨大な数の航空便が運航され、その安全を支えるために航空会社、空港、管制機関、各国の規制当局が連携している。

もちろん、航空事故をゼロにするという目標は今も達成されていない。しかし、事故の原因を調査し、得られた教訓を世界中で共有する仕組みがあることこそ、航空機の安全性を支える大きな要素だ。

飛行機が怖いと感じるときは、事故の映像や衝撃的なニュースだけで危険性を判断せず、実際の運航便数と事故率に目を向けてほしい。統計を正しく理解すれば、飛行機が長距離移動において非常に安全性の高い交通手段であることが見えてくる。

主な参考資料

- IATA「2025 Annual Safety Report」(2026年3月9日)
- ICAO「State of Global Aviation Safety 2025」
- 国土交通省「航空輸送の安全にかかわる情報(令和7年度)」(2026年9月1日)
- 運輸安全委員会「運輸安全委員会年報2026」
- 内閣府「令和8年交通安全白書」
- 欧州鉄道機関「Report on Railway Safety and Interoperability in the EU 2024」

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小野寺 拓海

アニメ誌編集を経て Web メディアへ。放送・配信の日程は作品公式サイトと各配信サービスの告知で確認し、ガジェットの仕様はメーカーの公式スペック表を引用します。

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