「日大アメフト部大麻メンバー」と検索すると、逮捕された部員の実名、大麻を使用していたとされる人数、事件後に廃部となったチームの現在が気になる人は多いはずだ。日本大学アメリカンフットボール部の薬物事件では、現役部員3人が逮捕され、元部員やOBを含む関係者は最終的に計11人が立件された。ただし、11人全員が逮捕されたわけでも、有罪判決を受けたわけでもない。
2023年12月15日付で名門フェニックスは廃部となったが、その後、後継組織「日本大学アメリカンフットボール有志の会」が発足。2025年に関東学生アメリカンフットボール連盟への加盟が認められ、2026年には1部BIG8への昇格を果たした。11月2日現在、リーグ戦でも好成績を残している。事件の発端から公判証言、大学の組織的な問題、そして現在のチームまでを時系列で整理する。
【結論】日大アメフト部の大麻事件で逮捕された3人と公表された実名

最初に押さえておきたいのは、事件に関係して逮捕された人数と、警察によって立件された人数は異なるという点だ。
2023年8月から11月にかけて逮捕されたのは現役部員3人。加えて、2023年11月、2024年2月、3月にかけて元部員やOBらの書類送検が続き、最終的な立件人数は11人となった。
報道で実名が確認できる逮捕者3人当時の主要報道で実名が公表された逮捕者は、次の3人だ。
- 北畠成文:2023年8月5日に逮捕された当時の3年生部員。薬物所持事件で起訴され、2024年1月に有罪判決を受けた。
- 矢部鑑羅:2023年10月16日に逮捕された当時の4年生部員。麻薬特例法違反の疑いで逮捕された。
- 藤津凜人:2023年11月27日に逮捕された当時の3年生部員。知人から違法薬物を譲り受けた疑いなどが報じられた。
北畠については、東京地裁での公判や判決まで広く報じられている。一方、矢部と藤津については、逮捕時の容疑とその後の刑事処分を区別する必要がある。2024年2月の報道では、北畠以外の逮捕者2人について、麻薬特例法違反による罰金刑が伝えられた。
「11人立件」は11人全員が逮捕されたという意味ではない2024年2月26日、警視庁は元部員やOBら6人を書類送検した。内訳は当時の3年生4人とOB2人。これにより、逮捕・書類送検された関係者は計10人となった。
さらに2024年3月6日、元部員1人が追加で書類送検され、合計11人となった。警視庁はこの段階で一連の捜査を終結したと報じられている。
つまり、人数を整理すると逮捕者3人、書類送検された関係者8人、立件総数11人となる。書類送検は警察が捜査資料を検察に送る手続きであり、それ自体が起訴や有罪判決を意味するものではない。
また、書類送検された元部員やOB全員の実名が広く公表されたわけではない。ネット上で名前が挙がっている人物を、立件された11人の一員だと断定することはできない。
【事件の経緯】2022年の兆候から2024年3月の捜査終結まで
日大アメフト部の大麻事件は、2023年8月の逮捕によって突然始まったものではない。日本大学が公表した第三者委員会の調査報告書によると、部内で薬物使用の疑いが浮上したのは2022年までさかのぼる。
事件の経過を追うと、問題は薬物を所持した学生だけにとどまらず、早い段階で寄せられていた情報を組織として適切に処理できなかったことにもあった。
主要な出来事を時系列で整理| 時期 | 出来事 | 確認された内容・関係者 |
|---|---|---|
| 2022年10月 | 保護者から薬物使用の情報 | 部内の大麻使用の噂を受け、部員121人への聞き取りが実施された。 |
| 2022年11月 | 部員による自己申告 | 部員1人が大麻使用を認め、先輩部員7人の使用についても申告した。 |
| 2023年6月30日 | 警視庁から大学側へ情報提供 | 寮内で複数人が大麻を使用している可能性などが伝えられた。 |
| 2023年7月6日 | 寮で植物片を発見 | 大麻である可能性が極めて高い植物片を含む缶が見つかり、大学側が保管した。 |
| 2023年8月5日 | 北畠成文を逮捕 | 薬物所持の疑いで現役部員が逮捕された。 |
| 2023年8月10日~9月1日 | 活動停止と解除、再停止 | 大学が一度停止処分を解除したものの、追加捜査を受けて再び無期限活動停止とした。 |
| 2023年10月16日・11月27日 | 2人目・3人目の逮捕 | 矢部鑑羅、藤津凜人が相次いで逮捕された。 |
| 2023年11月30日~2024年3月6日 | 元部員らを書類送検 | 追加の書類送検が行われ、立件された関係者は計11人となった。 |
| 2023年12月15日 | 旧アメフト部の廃部 | 日本大学の臨時理事会で決定された廃部日。 |
| 2024年1月23日・25日 | 廃部手続き完了・公表 | 学長決裁を経て正式な廃部手続きが完了した。 |
第三者委員会の報告書によると、2022年10月29日、保護者からアメフト部内で大麻が使用されているとの情報が寄せられた。
部の指導陣は部員121人への聞き取りを行ったが、名前が挙がった部員が使用を否定したことなどから、使用の事実は認められないと判断した。調査結果は部長に伝えられたものの、大学の競技スポーツ部や担当副学長まで十分に情報が共有されなかった。
さらに同年11月27日には、ある部員が監督に対して自身の大麻使用を認め、先輩部員7人の使用についても具体的な名前を挙げて申告した。
しかし、指導陣は厳重注意にとどめた。大学の管理部門に情報が適切に伝わらず、組織的な調査や対策につながらなかったことが、後の第三者委員会で問題視された。
2023年7月の発見と「空白の12日間」2023年6月30日、警視庁の担当者が大学を訪れ、アメフト部の寮で複数人が大麻を使用している可能性などを伝えた。
7月6日には寮で荷物検査が実施され、部員の部屋から大麻である可能性が極めて高い植物片が保管された缶が見つかった。ところが、担当していた澤田康広副学長は、その缶を大学本部で保管し、警察への報告まで12日間を要した。
この対応が後に「空白の12日間」として大きく批判されることになる。
7月19日には、当該部員が大麻の自己使用を申告。大学側でも問題の重大性が認識されていたが、情報共有や危機管理の対応は十分ではなかった。
そして8月5日、北畠成文が逮捕された。ここから事件は全国的なニュースとなり、日大の危機管理体制そのものが問われる事態へと発展した。
【公判証言】北畠成文の有罪判決と「10人程度」の意味
日大アメフト部の薬物事件を考えるうえで重要なのが、北畠成文の公判で明らかになった証言だ。
2023年12月1日、北畠は東京地裁の初公判で起訴内容を認めた。検察側の説明や被告人質問では、大学入学前からの大麻使用や、部の寮で友人らと薬物を使用していた状況が語られた。
「部内で10人程度が大麻を使っていた」と証言特に注目されたのが、部内で大麻を使用していた人数についての発言だ。
「10人程度だったと思う」
これは北畠自身が公判で述べた内容である。報道によると、同被告は部内の友人らと寮の屋上や部屋などで薬物を使用していたと説明した。
ただし、この「10人程度」は被告人質問での概数であり、警察が11人全員の大麻使用を確認したという意味ではない。
ここには、検索時に混同されやすい3つの数字がある。
- 10人程度:北畠が公判で証言した、部内の大麻使用者に関する推定人数。
- 3人:2023年に逮捕された現役部員の人数。
- 11人:逮捕・書類送検によって立件された関係者の総数。
それぞれ意味が異なるため、10人程度という証言と11人の立件人数を同一視するのは正確ではない。
北畠成文に言い渡された有罪判決北畠は2024年1月9日、東京地裁で懲役1年4月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡された。
この裁判で問われたのは、アメフト部の寮で覚醒剤を麻薬と誤認して所持した事件に関する罪だった。公判では大麻の使用経験についても証言したが、10人程度という証言が、そのまま10人の有罪を認定したものではない。
他の逮捕者2人については、麻薬特例法違反による罰金刑が報じられている。書類送検された元部員らについても、書類送検という警察段階の手続きと、検察による起訴・不起訴の判断を分けて考える必要がある。
この事件をめぐる刑事責任は、あくまで個人ごとに判断される。一方、大学や部の管理責任は、第三者委員会による別の調査対象となった。
【第三者委員会の調査報告書】事件の真相は個人犯罪だけではなかった
日大アメフト部の大麻事件が社会的に大きな問題となった理由は、部員による薬物所持だけではない。大学側が事前に複数の情報を得ていたにもかかわらず、組織として適切に対応できなかったことが明らかになったためだ。
2023年8月24日に第三者委員会を設置文部科学省は2023年8月22日、日本大学に対し、事件の真相究明と大学の対応に関する検証を求めた。
これを受けて日大は8月24日、外部の弁護士らで構成する「日本大学アメリカンフットボール部薬物事件対応に係る第三者委員会」を設置した。
委員長は元名古屋高裁長官の綿引万里子氏。弁護士の中村直人氏、小林明彦氏が委員を務めた。
同委員会は関係者への聞き取りや資料の検証を行い、2023年10月30日に調査報告書を提出。日大は翌31日に公表した。
報告書が指摘した大学の問題点報告書では、事件発生後の大学の対応について、次のような問題が指摘された。
- 情報伝達の不備:部内で把握されていた薬物使用の疑いが、大学本部の責任者まで十分に共有されなかった。
- 危機管理の不徹底:警察への報告や相談、学内での情報共有が適切なタイミングで行われなかった。
- 判断基準の誤り:薬物使用を立証できなければ事実が存在しないかのように扱う姿勢が見られた。
- 管理監督体制の不備:部の指導陣、競技スポーツ部、大学本部の責任と権限が十分に機能していなかった。
特に重大だったのが、2022年の保護者情報や部員の自己申告を受けながら、組織的な対応に結びつかなかった点である。
第三者委員会は、大学が不都合な情報を十分に共有せず、自らの判断を正当化する方向で対応していたことを問題視した。
事件の真相を考えるうえで重要な視点この事件には、少なくとも2つの異なる責任が存在する。
1つは違法薬物を所持・使用した個人の刑事責任。もう1つは、学生を管理する教育機関としての日本大学の組織的責任だ。
前者は警察や検察、裁判所によって個人ごとに判断される。後者は第三者委員会の調査によって、情報共有、危機管理、学生寮の管理、指導体制などの問題が検証された。
つまり、事件の本質は「何人が逮捕されたか」だけでは説明できない。薬物使用の兆候を把握した段階で、なぜ組織的な調査や再発防止につなげられなかったのか。この点こそ、事件が大学全体のガバナンス問題に発展した大きな理由だった。
【廃部と関東学連の処分】2023年12月15日にフェニックスが消滅
日本大学アメフト部は1940年創部の伝統あるチームだった。愛称は「フェニックス」。甲子園ボウルで21回の優勝を誇る大学アメフト界の名門であり、廃部は競技界にも大きな影響を与えた。
関東学生アメリカンフットボール連盟の処分大学とは別に、関東学生アメリカンフットボール連盟も独自の判断で処分を決定した。
2023年8月10日、連盟は日大アメフト部に対して「当面の間の出場資格の停止」を決定した。
処分理由には、逮捕された部員以外の関係者の潔白を保証できないこと、他の部員による薬物使用の疑いが払拭されていないこと、再発防止策や責任の所在が明確になっていないことなどが挙げられた。
8月17日にも処分解除は認められず、9月の早稲田大学戦は中止となった。
さらに11月8日には、今季の出場資格停止と翌季のBIG8降格が決定。戒告処分も科された。
廃部の決定と正式な手続き薬物事件で逮捕者が相次ぐ中、大学は2023年11月28日の学内会議で廃部方針を決定した。
その後、12月15日の臨時理事会で正式に廃部が決定。2024年1月23日に学長決裁が行われ、1月25日に大学が手続き完了を発表した。
これにより、1940年から続いた旧アメフト部フェニックスは、84年の歴史に幕を下ろした。
大学は、事件に関与していない在学生や2024年度入学予定者への支援を続ける方針も示した。指導陣4人も解任され、部の組織そのものがいったん解体された。
また、2024年2月15日には関東学生アメリカンフットボール連盟から退会。旧チームのままリーグに復帰する道は閉ざされた。
【2026年の現在】後継組織「有志の会」がBIG8に昇格
旧アメフト部が廃部になった後も、競技を続けたい学生や事件に関与していない元部員たちの活動は終わらなかった。
その受け皿となったのが、日本大学アメリカンフットボール有志の会である。
2024年5月17日に有志の会が始動2024年5月17日、有志の会が活動を開始した。
大学は新設した競技スポーツセンターの管理下に置き、須永恭通氏を現場責任者として、大学のグラウンドなどを利用した練習を認めた。
参加にあたっては、薬物事件に関与していないことや薬物検査、誓約書の提出などの条件が設けられた。不定期の薬物検査や薬物防止に関する講習も再発防止策として実施された。
2025年6月の日本大学の発表では、当時の会員数は選手70人、スタッフ10人。事件に関与していない学生たちが、競技環境を取り戻すために活動を続けていた。
2025年6月17日に関東学生連盟への加盟が承認2025年2月19日、日大は有志の会の関東学生アメリカンフットボール連盟への加盟を申請した。
そして6月17日、連盟の臨時理事会で新規加盟が認められた。これにより、2025年秋から関東大学リーグ2部で公式戦に出場できるようになった。
ただし、加盟承認には重要な付帯決議があった。連盟は有志の会の早期の競技部への移行を希望し、旧日大アメフト部を前身とするチームであることを踏まえ、今後重大な規律違反が発生した場合には過去の規律違反や処分も考慮するとした。
つまり、競技への復帰が認められた一方で、組織としての信頼回復は引き続き求められていた。
2026年は1部BIG8に昇格有志の会は2025年の2部リーグで結果を残し、2026年度から1部BIG8に昇格した。
2025年12月8日に関東学生連盟が自動昇格を決定。日大の公式発表によると、当時の特別ルールに基づき、Bブロックで2位以内を確定させていた有志の会の昇格が認められた。
そして2026年シーズン、ついに1部BIG8での戦いが始まった。
関東学生アメリカンフットボール連盟が公表する2026年度の星取表では、11月2日現在、日大はBIG8のBブロックで4勝0敗、勝ち点12の首位に立っている。
主な勝利は次の通りだ。
- 桜美林大学:24-0
- 国士舘大学:34-7
- 明治学院大学:38-10
- 東海大学:53-3
4試合で失点を大きく抑え、Bブロックの一次リーグを全勝で終えた。さらに上位3チームが進出する二次上位リーグへの進出も果たしている。
2026年9月には桜美林大学との1部初戦を24-0で完封。主将の會田空都らを中心に、競技面での再出発を印象づけた。
ただし、ここで区別したいのは、関東学連へのチーム加盟と大学内部での正式な競技部への移行は別の問題だという点である。大学は2025年6月時点で有志の会を競技スポーツセンターの管理下にある組織として説明し、連盟からも早期の競技部移行を求められていた。2026年のリーグ戦出場は確認できるが、大学内部の正式な組織変更については別途確認が必要となる。
少なくとも競技面では、廃部から約2年を経て1部リーグに戻り、Bブロック首位を争う段階まで回復したことは大きな進展だ。
【プロの結論】日大アメフト部大麻事件で誤解してはいけない3つのポイント
この事件を振り返る際には、逮捕者の実名や人数だけでなく、刑事責任、組織責任、後継チームの活動を分けて理解する必要がある。
1. 11人立件と10人程度の証言は別の数字公判で北畠が証言した「10人程度」は、部内の大麻使用者についての本人の認識だ。一方、11人という数字は、警察が逮捕・書類送検した関係者の総数である。両者を同じ意味で扱うと、事件の実態を誤って理解することになる。
2. 旧部員全員が事件に関与したわけではない廃部によって影響を受けたのは、薬物事件に関与したとされた人物だけではない。競技に真剣に取り組んでいた学生、事件とは無関係の在学生、入学予定者にも影響が及んだ。
大学が有志の会という受け皿を用意した背景には、こうした学生の競技機会を確保する必要性があった。
3. BIG8復帰は信頼回復のゴールではない2026年のBIG8昇格と好成績は、競技チームとしての再建を示す重要な成果だ。しかし、過去の問題に対する組織的な責任や再発防止への取り組みが、それだけで解消されたわけではない。
学生の安全を守る管理体制、薬物検査、指導者の責任、大学本部との情報共有が継続して機能することが、長期的な信頼回復につながる。
フェニックスの競技実績を引き継ぐことと、過去の組織運営の問題を繰り返さないこと。この2つを両立できるかどうかが、今後の日大アメフトの評価を左右する。
【日大アメフト部の大麻事件とメンバー】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:日大アメフト部の大麻事件で逮捕されたメンバーは誰ですか?
A1:報道で実名が確認できる逮捕者は、北畠成文、矢部鑑羅、藤津凜人の3人です。逮捕時はいずれも現役部員でした。
Q2:日大アメフト部の薬物事件で立件された11人は全員有罪ですか?
A2:いいえ。11人は逮捕・書類送検された関係者の総数です。北畠成文には懲役1年4月、執行猶予3年の有罪判決が言い渡され、他の逮捕者2人には罰金刑が報じられています。書類送検は有罪判決を意味しません。
Q3:2026年現在、日大アメフト部は復活していますか?
A3:旧アメフト部フェニックスは2023年12月15日付で廃部となっています。ただし、後継組織の日本大学アメリカンフットボール有志の会が活動を続け、2025年に関東学生連盟へ加盟。2026年は1部BIG8で公式戦に出場しています。
まとめ:日大アメフト部の事件から現在のBIG8まで
日大アメフト部の大麻事件では、現役部員3人が逮捕され、元部員やOBを含む計11人が立件された。北畠成文の公判では部内で10人程度が大麻を使用していたとの証言も出たが、これは立件人数とは別の数字である。
また、第三者委員会の調査報告書は、2022年から寄せられていた情報への対応、2023年7月の薬物発見後の報告の遅れ、大学内部の情報共有や危機管理の不備を厳しく指摘した。
事件の責任を受けて旧フェニックスは廃部となったが、2024年5月に有志の会が始動。2025年の関東学生連盟加盟を経て、2026年には1部BIG8に昇格した。
2026年11月2日現在、日大はBIG8のBブロックで4戦全勝の首位。競技面では着実に再建が進んでいる。
今後注目すべきなのは、勝敗や昇格だけではない。薬物事件の教訓を組織運営に反映し、学生が安心して競技に打ち込める環境を維持できるかどうかだ。名門フェニックスの歴史を引き継ぐ新しいチームが、競技力と社会的信頼の両方を取り戻せるか。その歩みが引き続き注目される。