2026年11月現在、甘利明氏は国会議員ではありません。しかし、2024年の衆議院選挙で落選した後も、政治・経済分野での活動を続けています。自民党の半導体戦略推進議員連盟では名誉会長を務め、投資会社ポラリス・キャピタル・グループのシニア・アドバイザーとしても名前が掲載されています。
注目すべきは、2024年12月に次期衆院選への不出馬を表明した後、実際に2026年2月の衆院選にも立候補しなかったことです。一方、個人事務所を拠点とした政策活動や半導体関連の講演、大学・研究機関への訪問などは継続しています。現在77歳となった甘利氏は、国会議員という立場を離れ、どのような形で日本の政策形成に関わっているのでしょうか。
【2026年現在】甘利明は何をしている?政界引退ではなく政策活動を継続

2026年11月2日時点
甘利明氏の現在を理解するうえで、まず押さえておきたいのは、国会議員を辞めたことと、政治活動から引退したことは別であるという点です。
2024年10月の衆院選で議席を失った後、甘利氏は次の衆院選に出馬しない意向を明らかにしました。しかし、経済安全保障や半導体産業の振興など、長年取り組んできた政策分野から離れたわけではありません。
2026年現在の主な立場は次のとおりです。
- 国会議員:元衆議院議員
- 自民党半導体戦略推進議員連盟:名誉会長
- ポラリス・キャピタル・グループ:シニア・アドバイザー
- 政策活動:半導体、経済安全保障、産業振興など
- 活動拠点:東京都内に開設した個人事務所
投資会社ポラリス・キャピタル・グループの公式プロフィールにも、甘利氏はシニア・アドバイザーとして掲載されています。同社は、甘利氏が経済産業大臣や経済再生担当大臣、自民党幹事長などを歴任した経歴を紹介しています。
つまり、現在の甘利氏は選挙で有権者から選ばれる国会議員ではなく、政策経験や人脈を生かして経済・産業分野に関わる元政治家という位置づけです。
2026年2月の衆院選にも出馬せず2024年12月に表明した次期衆院選への不出馬は、その後の選挙で具体化しました。
2026年2月8日に実施された第51回衆議院議員総選挙では、甘利氏は立候補していません。
かつて甘利氏が出馬した神奈川20区では、自民党の金澤ゆい氏が当選しました。2024年に敗れた立憲民主党の大塚さゆり氏も再び立候補しましたが、議席を獲得できませんでした。
この結果からも、甘利氏が少なくとも2026年の衆院選では、議席回復を目指す道を選ばなかったことが分かります。
ただし、2024年の不出馬表明を、将来にわたるあらゆる政治活動の終了宣言と解釈するのは正確ではありません。
【2024年衆院選の敗北】甘利明が神奈川20区で落選した理由と政界引退の真相
甘利氏の現在を語るうえで、大きな転換点となったのが2024年10月27日の第50回衆議院議員総選挙です。
甘利氏は神奈川20区から自民党公認で出馬しましたが、立憲民主党の新人・大塚小百合氏に敗れました。
2024年の落選には比例復活できない事情もあった2024年の選挙で注目されたのが、自民党の比例代表候補者に適用される73歳定年制です。
甘利氏は当時75歳で、この年齢制限に該当していました。そのため、小選挙区と比例代表への重複立候補ができず、選挙区で敗れた場合に比例代表で復活する道がありませんでした。
実際、2021年の衆院選では、当時の神奈川13区で落選したものの、比例南関東ブロックで復活当選しています。このときは党幹事長在任中の敗北が大きな政治的責任問題となり、幹事長を辞任しました。
2024年は同じような比例復活ができず、議席を失う結果になりました。
不出馬を決めた理由は何だったのか2024年12月21日、甘利氏は支援者らとの会合後、記者団に次の衆院選に出馬しない意向を表明しました。
ANNニュースの報道では、決断に際して次のように語っています。
「私に残された時間はそう長くない」
この発言から読み取れるのは、再び選挙に出て議席を取り戻すことよりも、残された時間を政策の実現に使いたいという考えです。
同時に、甘利氏は政界からの引退を否定し、経済安全保障などの政策に引き続き取り組む意向を示しました。
したがって、政界引退の真相を整理すると、次のようになります。
- 国会議員としての活動:2024年の落選で終了
- 次の衆院選への出馬:2024年12月に不出馬を表明
- 2026年2月の衆院選:実際に出馬せず
- 政策活動:継続
- 半導体・経済安全保障分野:引き続き関与
ここで重要なのは、健康上の問題や特定の病気が不出馬の理由だったと断定できる公表情報はないことです。本人が示したのは、残された時間と政策実現を意識した進路選択でした。
【個人事務所と民間企業】落選後の甘利明を支える2つの活動拠点
甘利氏の落選後の活動を具体的に見ると、個人事務所と民間企業でのアドバイザーという2つの側面が浮かび上がります。
2025年1月に東京都内で個人事務所を開設甘利氏は2025年1月、東京都内に個人事務所を開設しました。
2025年3月の専門誌『Newww』のインタビューでは、個人事務所を今後の活動拠点とし、これまで続けてきた政策勉強会「Vision2020」も継続する考えを説明しています。
また、政治雑誌『選択』2025年3月号も、甘利氏が落選後に東京都内の赤坂で事務所を開設したことを報じています。
個人事務所を設けたことには、国会議員という立場を失った後も、政策活動を継続するための拠点を確保する意味があります。
国会議員には、議員会館や公的な職務を通じた活動基盤があります。しかし、落選後はそれらを前提に活動できません。
個人事務所を持つことで、企業関係者や政策関係者との意見交換、勉強会、講演活動などを続けやすくなります。
ただし、個人事務所の開設自体が、公的な政治権限や議員としての地位を回復させるわけではありません。
ポラリス・キャピタル・グループのシニア・アドバイザー
甘利明氏の民間企業での肩書き
シニア・アドバイザー
甘利氏は、ポラリス・キャピタル・グループの公式サイトでシニア・アドバイザーとして紹介されています。
同社のプロフィールには、次の経歴が掲載されています。
- 1949年、神奈川県生まれ
- 1972年、慶應義塾大学法学部卒業
- ソニー入社
- 1983年、衆議院議員に初当選
- 13期連続、42年間にわたって議員を務める
- 労働大臣、経済産業大臣、経済再生担当大臣などを歴任
- 自民党幹事長、税制調査会長などを歴任
同社は、甘利氏の経済政策や通商交渉、経済安全保障に関する経験を紹介しています。
ここで注意したいのは、シニア・アドバイザーという肩書きは民間企業における役職であり、政府の大臣や国会議員の職務とは異なることです。
また、具体的な報酬や個別の助言内容まで、同社の公開プロフィールから判断することはできません。
それでも、42年間にわたって経済政策や産業政策に関わってきた経験が、国会議員を離れた後の活動にも生かされる構図は見えてきます。
【半導体政策の中心人物】甘利明が名誉会長として関わる経済安全保障
甘利氏の現在の活動で、特に重要なのが半導体政策です。
同氏は、自民党の半導体戦略推進議員連盟の設立を主導した人物として知られています。
この議員連盟は2021年に立ち上げられ、日本の半導体産業を強化するための政策提言や政府支援の推進に関わってきました。
半導体戦略推進議員連盟では名誉会長に2024年11月19日、自民党の半導体戦略推進議員連盟は総会を開催し、山際大志郎氏を新会長に選出しました。
甘利氏は落選後も同議連の名誉会長に就任しています。
当時の新体制は次のとおりです。
- 会長:山際大志郎氏
- 名誉会長:甘利明氏
- 幹事長:小林鷹之氏
これは甘利氏が議席を失った後も、半導体政策に関する経験を引き継ぐ役割を期待されていたことを示しています。
なぜ甘利明は半導体政策にこだわるのか半導体は、スマートフォンやパソコンだけでなく、自動車、医療機器、通信設備、AI向けデータセンターなど、幅広い産業を支える基幹技術です。
加えて、半導体の製造には高度な技術と国際的な供給網が必要です。
特定の国や地域に製造能力が集中すると、地政学的な緊張や輸出規制によって、日本の産業全体が影響を受ける可能性があります。
このため、半導体政策は単なる産業振興にとどまらず、経済安全保障の問題でもあります。
甘利氏が関わってきた主な政策テーマは以下のとおりです。
- 国内半導体製造基盤の強化
- 海外企業との戦略的な協力
- 半導体サプライチェーンの強靱化
- 技術流出への対策
- AI産業を支える次世代半導体の開発
- Rapidusなど国内半導体産業への支援
2025年4月の電波新聞デジタルのインタビューでも、甘利氏は半導体を国家の戦略的な重要物資として位置づけ、台湾有事や供給網のリスクについて見解を示しています。
名誉会長と現役議員の違いここは誤解されやすいポイントです。
名誉会長という肩書きがあっても、甘利氏は国会議員ではありません。議員連盟の名誉会長として政策活動に関わることと、国会で法案の審議や採決に参加することは別です。
実際の議員連盟の運営は、現職議員の会長や幹事長らが担います。
甘利氏の役割は、長年の政策形成経験を生かした助言や政策提言、関係者との意見交換などにあると考えられます。
【2026年の講演・活動実績】大阪大学訪問から半導体産業展まで
2026年の甘利氏については、大学や研究機関への訪問、半導体関連の講演、政策勉強会など、具体的な活動記録が複数確認できます。
特に注目されるのは、活動の中心が半導体政策にありながら、研究機関や学生との交流にも広がっていることです。
以下に、公開されている主な活動を時系列で整理しました。
甘利明の落選後の活動年表2026年3月30日、甘利氏らは大阪大学・日本財団感染症センター(CiDER)を訪問しました。
同センターが2026年4月8日に公表した活動報告によると、熊ノ郷淳総長や山﨑拠点長から施設の概要について説明を受けた後、研究者らと意見交換を実施。
加えて、共創スペース、共用実験室、オープンラボなどを視察し、最新の研究成果や研究設備について説明を受けました。
この訪問は、半導体政策に限らず、科学技術や研究開発に関する現場を訪れ、専門家と意見交換する活動の一例です。
なお、大学の教員や研究職に就任したという意味ではなく、元政治家として研究拠点を訪問したものです。
2026年5月の半導体シンポジウムで基調講演2026年5月28日には、ホテルニューオータニ博多で開催された「日本が半導体文明世紀を先導しよう」に参加しました。
主催は特定非営利活動法人・半導体文明推進研究会です。
甘利氏は半導体戦略推進議員連盟名誉会長として、「半導体文明世紀の俯瞰」というテーマで基調講演を行いました。
熊本県立大学が6月3日に公開した報告でも、この講演が紹介されています。
2026年7月には政策勉強会と学生向けフォーラム2026年7月15日には、甘利氏による「Vision2020第87回セミナー」がザ・キャピトルホテル東急で開催されました。
日本弁理士政治連盟の活動報告にも、このセミナーの開催記録が掲載されています。落選後も、継続的な政策勉強会を開催していることが分かります。
さらに7月31日には、東京大学縁政会が主催した政策提言フォーラム2026に参加しました。
テーマは「半導体が拓く、熊本と日本の未来」。
甘利氏は蒲島郁夫氏とともに講演し、学生が発表した政策提言に対してフィードバックを行いました。
現役議員を離れた後も、次世代の政策人材と接点を持っていることが特徴的です。
2026年9月には九州半導体産業展で特別講演2026年9月30日から10月1日にかけて、マリンメッセ福岡で第3回九州半導体産業展が開催されました。
甘利氏は初日の特別講演に登壇し、「AI覇権と半導体主権」をテーマに講演しました。
10月26日付のNetIB-Newsによる開催報告でも、甘利氏の登壇が紹介されています。
この展示会は半導体関連企業が集まる産業イベントで、2026年は543社が出展したと報じられています。
2026年の活動を見ると、甘利氏が単に過去の政治実績を語る立場にとどまらず、半導体産業の将来やAI時代の経済安全保障について、産業界や学生、研究者に向けて発信していることが分かります。
【甘利明の経歴と歴代役職】42年間の政治活動と旭日大綬章
甘利氏は、経済政策と産業政策を中心に活動してきた政治家です。
現在の活動を理解するためには、これまでどのような役職を経験してきたかを知ることも重要です。
基本プロフィール| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名 | 甘利明(あまり・あきら) |
| 生年月日 | 1949年8月27日 |
| 年齢 | 77歳(2026年11月現在) |
| 出身地 | 神奈川県厚木市 |
| 学歴 | 慶應義塾大学法学部卒業 |
| 民間企業 | ソニー |
| 政界入り | 1983年 |
| 衆議院当選 | 13期 |
| 最終出馬選挙区 | 神奈川20区 |
| 主な政策分野 | 経済政策、通商、経済安全保障、半導体 |
1972年:慶應義塾大学法学部卒業、ソニー入社
大学卒業後、ソニーに入社しました。政治家になる前に民間企業で勤務した経験があります。
1983年:衆議院議員に初当選
父・甘利正氏の政治秘書などを経て、衆議院議員選挙に出馬し初当選しました。
以後、長期にわたり国政に携わります。
1998年:労働大臣として初入閣
小渕内閣で労働大臣を務めました。
2006~2008年:経済産業大臣
安倍内閣や福田内閣で経済産業大臣を歴任。産業政策や資源・エネルギー政策に関わりました。
2012~2016年:経済再生担当大臣
第2次安倍内閣以降、経済再生担当大臣としてアベノミクスの政策形成に携わりました。
また、TPP交渉では日本側の交渉担当として重要な役割を担いました。
2021年:自民党幹事長
岸田政権発足時に自民党幹事長に就任しましたが、同年の衆院選で小選挙区では落選。比例復活後、幹事長を辞任しました。
2024年:神奈川20区で落選
比例復活ができない状況で敗北し、国会議員としての活動に区切りがつきました。
2025年春の叙勲で旭日大綬章を受章
2025年4月29日付で発令
甘利明氏が受章した勲章。
甘利氏は2025年春の叙勲で旭日大綬章を受章しました。
内閣府が公表した受章者名簿には、甘利氏について、長年にわたり国会議員として議案審議の重責を果たし、内閣府特命担当大臣などとして国政に参画した功績が記載されています。
主要経歴として、元内閣府特命担当大臣、元経済産業大臣、元労働大臣、元衆議院議員などが挙げられています。
これは国会議員を退いた後の2025年に受章したもので、甘利氏の長年の国政への貢献が評価されたものです。
【プロの結論】甘利明の現在を判断する3つのポイント
甘利氏の現在を正しく理解するには、次の3つを分けて考える必要があります。
1. 国会議員としての活動は終了している
2024年の落選後、2026年2月の衆院選にも出馬していません。現在、国会議員としての議席や採決権を持っているわけではありません。
2. 政策活動は継続している
半導体戦略推進議員連盟の名誉会長として、半導体や経済安全保障に関する活動を続けています。個人事務所や政策勉強会も、その活動を支える基盤です。
3. 民間企業や研究機関との接点がある
ポラリス・キャピタル・グループのシニア・アドバイザーという肩書きに加え、大阪大学の研究拠点訪問や大学関連のフォーラムなど、政治以外の分野にも活動が広がっています。
ここから見えてくるのは、甘利氏が選挙による政治参加から、政策経験を生かした助言・提言・交流を中心とする活動へ比重を移していることです。
ただし、名誉会長やアドバイザーという肩書きだけで、政府の政策決定を直接動かせると判断するのは適切ではありません。
今後の活動を評価する際は、肩書きの数ではなく、どのような政策提言を行い、それが実際の産業政策や制度にどの程度反映されるのかを見る必要があります。
【甘利明の現在】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:甘利明は2026年現在、何歳ですか?
A1:1949年8月27日生まれで、2026年11月現在77歳です。
Q2:甘利明は政界を引退したのですか?
A2:国会議員としては2024年の落選で議席を失い、2026年2月の衆院選にも出馬していません。ただし、政治活動そのものから完全に引退したわけではなく、経済安全保障や半導体政策に関わっています。
Q3:甘利明は次の衆院選に出馬しますか?
A3:2024年12月に次期衆院選への不出馬を表明し、2026年2月の第51回衆院選にも立候補しませんでした。次々回以降の選挙については、過去の不出馬表明だけで将来の方針まで断定することはできません。
Q4:甘利明は現在どこで活動していますか?
A4:2025年1月に東京都内に開設した個人事務所などを拠点に、政策勉強会や講演、企業・研究機関との交流などを行っています。
Q5:甘利明は半導体議連で現在も会長なのですか?
A5:現在の肩書きは名誉会長です。2024年11月に山際大志郎氏が新会長に選出され、甘利氏は名誉会長となりました。
Q6:甘利明はポラリス・キャピタル・グループで何をしていますか?
A6:同社の公式プロフィールではシニア・アドバイザーとして掲載されています。経済政策、産業政策、通商交渉などの経験を持つ人物として紹介されています。
Q7:甘利明は旭日大綬章を受章したのですか?
A7:はい。2025年春の叙勲で旭日大綬章を受章しました。長年にわたる国会議員としての活動や大臣としての国政への貢献が評価されています。
まとめ:甘利明は議員を退いても半導体・経済安全保障の活動を続ける
2026年11月現在の甘利明氏は、国会議員ではありません。2024年の衆院選で落選し、次期衆院選への不出馬を表明。その意思は2026年2月の衆院選でも変わりませんでした。
しかし、政治活動のすべてを終えたわけではありません。
東京都内の個人事務所を拠点に、半導体戦略推進議員連盟の名誉会長、ポラリス・キャピタル・グループのシニア・アドバイザーとして活動しています。
2026年には大阪大学の研究拠点訪問、半導体関連シンポジウムでの基調講演、Vision2020の政策セミナー、学生向けフォーラム、九州半導体産業展での特別講演など、複数の活動実績が確認できます。
また、2025年春には旭日大綬章も受章しました。
甘利明氏の現在を一言で表すなら、「国会議員としての政治活動には区切りをつけたが、政策分野での活動は継続している元政治家」です。
今後注目したいのは、長年取り組んできた半導体産業の強化や経済安全保障の政策が、どのような形で実現していくのかという点です。選挙への復帰だけを基準にするのではなく、講演、政策提言、産業界との連携など、実際の活動内容を追うことが甘利明氏の今後を理解する鍵になります。