2026年の佐々木朗希を評価するうえで、勝敗だけを見て判断するのは早計だ。注目したいのは、登板数、投球回数、奪三振数、そして走者をどれだけ許したかを示すWHIPである。
MLB公式選手ページによると、2026年のレギュラーシーズン成績は次のとおりだ。
- 登板:26試合
- 先発:23試合
- 勝敗:5勝5敗
- 投球回:122回1/3
- 防御率:4.49
- 奪三振:123
- WHIP:1.32
- 与四球:48
特に評価したいのは、前年から投球回数を大きく伸ばしたことだ。
2025年はメジャー1年目で10試合に登板し、8試合に先発。1勝1敗、防御率4.46、36回1/3、28奪三振、WHIP1.43だった。
2026年は防御率こそほぼ同水準だが、投球回数は122回1/3まで増加。奪三振も28から123へと伸びている。WHIPも1.43から1.32に改善した。
つまり、MLBの打者に対応する過程で、一定の投球量と走者抑制能力を身につけてきたことが数字から読み取れる。
防御率4.49とWHIP1.32が示す課題一方、防御率4.49は先発投手として改善の余地がある数字だ。
防御率は9イニング換算で何点の自責点を許したかを示す。WHIPは1イニングあたりに被安打と与四球で何人の走者を出したかを示す指標だ。
佐々木の場合、123奪三振という数字から三振を奪う能力は維持できているものの、48四球を与えている点は気になる。
奪三振だけでなく、四球を減らし、投球数を抑えながら長いイニングを投げられるか。これが先発投手として評価を上げるための重要な条件になる。
2026年は能力不足が明らかになったシーズンではなく、MLBで先発を続けるための課題が具体的な数字に表れたシーズンと評価できる。
出典:MLB公式選手成績、Baseball Savantの年度別投手記録。
【経歴・年表】千葉ロッテ時代からドジャース移籍後までの転換点

佐々木朗希のキャリアを理解するには、千葉ロッテマリーンズ時代の実績と、ドジャース移籍後の役割の変化を分けて考える必要がある。
NPBでは圧倒的な奪三振能力と安定した防御率を記録した一方、MLBでは先発としての投球回数を増やし、異なる打者への対応を進めている。
佐々木朗希の主なキャリアと成績| 時期 | 所属・出来事 | 主な成績・内容 |
|---|---|---|
| 2021年 | 千葉ロッテ | 3勝2敗、防御率2.27 |
| 2022年 | 千葉ロッテ | 9勝4敗、防御率2.02、173奪三振 |
| 2023年 | 千葉ロッテ | 7勝4敗、防御率1.78 |
| 2024年 | 千葉ロッテ | 10勝5敗、防御率2.35 |
| 2025年 | ドジャース移籍 | MLB1年目。10試合登板、1勝1敗 |
| 2026年8月 | 右手中指のマメ | 15日間の負傷者リスト入り |
| 2026年9月 | 実戦復帰 | 先発ではなく救援投手として復帰 |
| 2026年10月 | ポストシーズン | 3試合、3回1/3、防御率2.70 |
出典:日本野球機構(NPB)公式年度別成績、MLB公式選手記録、MLB公式ニュース。
2022年の完全試合が示した圧倒的な能力佐々木朗希の名前を全国に知らしめた出来事の一つが、2022年4月10日のオリックス戦で達成した完全試合だ。
この試合では27人の打者を一人も出塁させず、19奪三振を記録した。
その後も高い奪三振能力を発揮し、2023年には防御率1.78を記録。2024年も10勝を挙げ、千葉ロッテの主力先発投手として活躍した。
NPBで積み重ねた実績が、MLB挑戦への大きな土台になった。
2025年のドジャース移籍と2026年の変化2025年にロサンゼルス・ドジャースへ移籍した佐々木は、メジャーの環境への適応を進めた。
1年目は故障などもあり、登板機会が限られたが、ポストシーズンでは救援として起用された。
2026年は先発ローテーションに加わり、23試合に先発。前年よりも多くのイニングを投げたことは明確な進歩だった。
ただし、8月の故障と9月の復帰後の起用法変更によって、再びキャリアの転換点を迎えることになった。
【故障の真相】右手中指のマメでIL入りした経緯と復帰まで
2026年シーズン後半の大きな転機となったのが、右手中指にできたマメだった。
投手にとって指先の状態は、球速や変化球の精度を左右する重要な要素だ。特に佐々木のように直球とスプリットを武器にする投手にとって、ボールを握る指のコンディションは無視できない。
8月26日のブレーブス戦で異変2026年8月26日、佐々木はアトランタ・ブレーブス戦に先発した。
しかし、試合途中に右手中指のマメが悪化。4回途中の3回1/3で降板することになった。
MLB.comの試合報道によると、この日の佐々木は4失点。マメが悪化してスライダーにも影響したと報じられている。
翌27日、ドジャースは佐々木を15日間の負傷者リスト(IL)に登録した。
この故障によって、先発ローテーションの一角を担っていた佐々木は、シーズン終盤の重要な時期に戦列を離れることになった。
9月22日に復帰、しかし先発ではなかった佐々木は9月22日(日本時間23日)のサンディエゴ・パドレス戦で実戦復帰を果たした。
登板したのは4回。1イニングを投げ、2安打を許しながらも無失点、2奪三振という内容だった。
注目すべきは、復帰後の役割だ。
ドジャースは佐々木を先発ローテーションに戻すのではなく、ブルペンに配置した。
MLB公式報道では、復帰登板での直球の平均球速は98.7マイル(約158.8キロ)。レギュラーシーズンの平均97.8マイルを上回っていた。
故障からの復帰直後でも、短いイニングで球威を発揮できることを示した登板だった。
ただし、球威が戻ったことと、先発として長いイニングを投げられる状態に戻ったことは同じではない。
故障後のコンディション管理と、先発としての再調整は別の課題として残った。
出典:MLB.com「Sasaki headed to injured list with right middle finger blister」「Sasaki settles back into bullpen role with postseason approaching」。
【配置転換の理由】なぜ佐々木朗希は先発からリリーフに回ったのか?
佐々木朗希の2026年を語るうえで、最も注目されるのが先発からリリーフへの配置転換だ。
ただし、この変更を単純に「先発失格」と解釈するのは正しくない。
背景には、故障からの復帰、ドジャースの投手陣の状況、ポストシーズン特有の起用戦略という複数の事情がある。
理由1:故障後の負担を考慮した起用8月のマメによる離脱から復帰した佐々木にとって、いきなり先発として長いイニングを投げることには慎重な判断が必要だった。
救援なら、登板するイニングや投球数を調整しやすい。
もっとも、リリーフは必ずしも負担が小さい役割ではない。試合展開に応じた準備や、急な登板への対応が求められる。
今回の配置転換は、復帰直後の状態とチーム事情を踏まえた起用として見るのが自然だ。
理由2:ドジャースの先発投手陣が充実していた佐々木が離脱した時期、ドジャースではタイラー・グラスノーやブレイク・スネルが故障から復帰していた。
加えて、大谷翔平の先発復帰も見込まれていた。
MLB.comは8月27日の報道で、先発ローテーションがほぼ本来の陣容に近づいていた状況を伝えている。
そのため、佐々木を急いで先発に戻すよりも、救援陣に加える選択肢が現実的になった。
理由3:短期決戦では柔軟な救援投手が必要ポストシーズンは、レギュラーシーズンとは起用法が異なる。
先発投手が早い回に降板した場合、複数イニングを投げられる救援投手が必要になる。また、試合の重要な場面で相手打者を抑えられる投手も欠かせない。
佐々木には、2025年のポストシーズンでリリーフとして登板した経験がある。
2026年もその経験が評価され、救援としての起用が続いた。
9月の復帰後には、クローザー候補としても名前が挙がった。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、試合の状況に応じて救援投手を使い分ける方針を示していた。
MLB.comの9月23日の報道では、ロバーツ監督が次のように語っている。
「9回がどこになるかは分からない」
これは、必ずしも9回だけに最も信頼する投手を固定するのではなく、試合の重要局面に応じて起用する考え方を示している。
佐々木の球威と複数イニングを投げられる可能性は、こうした戦略に合致する。
リリーフ転向は永久的なものなのか?ここは誤解しやすいポイントだ。
2026年にリリーフとして起用されたからといって、2027年以降も救援専門になると決まったわけではない。
むしろ、10月16日の報道では、佐々木自身が先発としてシーズンを戦い抜く意欲を示している。
中日スポーツが伝えたコメントには、次の言葉がある。
「今年は足りなかったのは自分でもわかる」
加えて、先発で良い成績を残し、ポストシーズンでも先発を任される投手になりたいという考えを語った。
つまり、本人の目標は先発としての地位を確立することにある。
リリーフでの経験は、その目標と矛盾するものではない。短いイニングでの投球技術や試合への対応力を磨く機会にもなる。
出典:MLB.com、2026年9月23日付報道、中日スポーツ、2026年10月16日付報道。
【ポストシーズン成績】佐々木朗希は短期決戦で何を見せた?
2026年の佐々木は、ポストシーズンでもリリーフとして登板した。
MLB公式選手ページによると、ポストシーズンの成績は以下のとおり。
- 登板:3試合
- 勝敗:0勝0敗
- 投球回:3回1/3
- 奪三振:2
- 防御率:2.70
- WHIP:1.50
レギュラーシーズンとは別の成績として集計する必要がある。
ブレーブス戦では2イニングを無失点最初の大きな見せ場は、10月4日(日本時間5日)のブレーブスとの地区シリーズ第2戦だった。
佐々木は8回から登板し、2イニングを無安打無失点に抑えた。
1死満塁のピンチではロナルド・アクーニャJr.を併殺打に仕留め、危機を脱した。
9回も三者凡退。短期決戦で求められる勝負強さを示した登板だった。
テレビ東京スポーツの報道によると、佐々木はこの時期の救援起用について、前年とは役割が異なり、さまざまな試合展開で登板する可能性があると説明していた。
ブルワーズ戦では1失点その後、ナ・リーグ優勝決定シリーズでも救援登板した。
10月12日の第2戦では1イニングを無失点。1奪三振を記録した。
しかし、10月14日の第3戦では0回1/3で2安打を許し、1失点。ここでポストシーズン初失点を記録した。
結果として、2026年のポストシーズン成績は3試合、防御率2.70となった。
ドジャースはリーグ優勝決定シリーズで敗退ドジャースはミルウォーキー・ブルワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズで4連敗し、ワールドシリーズ進出を逃した。
佐々木も第4戦では登板機会がなく、チームのシーズン終了を迎えた。
今回のポストシーズンで評価できるのは、最初の登板で2イニングを無失点に抑えたことだ。
一方、短いイニングでも走者を許す場面があり、救援投手として絶対的な信頼を確立したとまではいえない。
先発と救援の両方を経験した2026年は、佐々木にとって投手としての幅を広げるシーズンだった。
出典:MLB公式ポストシーズン成績、テレビ東京スポーツ、2026年10月6日付報道、MLB公式ポストシーズン結果。
【NPBとMLBを比較】佐々木朗希の投球能力はどう変わった?
佐々木朗希のMLBでの評価を考えるとき、千葉ロッテマリーンズ時代との比較は欠かせない。
NPB時代の通算成績は、64試合で29勝15敗、防御率2.10。394回2/3を投げて505奪三振を記録している。
一方、MLBでは2026年終了時点で、通算6勝6敗、防御率4.48、151奪三振となっている。
NPBとMLBの成績比較| 比較項目 | NPB通算 | MLB通算 |
|---|---|---|
| 登板 | 64試合 | 36試合 |
| 勝敗 | 29勝15敗 | 6勝6敗 |
| 防御率 | 2.10 | 4.48 |
| 投球回 | 394回2/3 | 158回2/3 |
| 奪三振 | 505 | 151 |
| WHIP | 0.89 | 1.34 |
出典:NPB公式個人年度別成績、MLB公式選手ページ。
最大の違いは走者を許す割合特に注目したいのはWHIPだ。
NPB通算では0.89だったWHIPが、MLB通算では1.34となっている。
NPB時代は1イニングあたりの被安打と与四球の合計が1人を下回る水準だったが、MLBでは1.34人となった。
この差は、打者への対応が簡単ではないことを示している。
MLBでは打者のパワーや選球眼、球種への対応力も高く、少しでも制球が甘くなると長打につながる可能性がある。
奪三振能力は依然として武器ただし、奪三振能力が失われたわけではない。
2026年は122回1/3で123奪三振。1イニングあたり1個を超えるペースで三振を奪っている。
NPB時代の奪三振率には及ばないものの、メジャーの打者に対しても空振りを奪う能力を発揮している。
ここで重要なのは、NPBとMLBの防御率を単純に並べて優劣を決めないことだ。
対戦する打者の水準、試合環境、投球スタイル、登板間隔などが異なるため、同じ指標でも背景を踏まえた評価が必要になる。
佐々木の現状は、奪三振能力を維持しながら、MLBの打者に対する制球と投球効率を改善する段階にある。
【来季の課題】佐々木朗希が2027年に先発ローテーションを取り戻す条件
2026年の経験を踏まえると、佐々木朗希の2027年に向けた課題は大きく4つに整理できる。
1. 四球を減らして投球効率を改善する2026年は123奪三振を記録した一方、48四球を与えた。
先発投手として長いイニングを投げるには、三振だけでなく、打者を少ない球数で打ち取る能力も求められる。
特に四球を減らせれば、無駄な投球数を抑え、6回、7回と試合を作る可能性が高まる。
2. 右手中指のマメを再発させない2026年8月の離脱は、シーズン終盤の調整に影響を与えた。
投手にとって指先は、直球の回転や変化球の制御に直結する。
今後は投球フォームだけでなく、指先のコンディションや登板後のケアも重要になる。
ただし、マメの発生原因が投球フォームや特定の球種にあると断定できる公表情報はない。故障の再発防止には、球団の医療スタッフや本人による継続的な管理が必要だ。
3. 先発として年間を通じて投げる2026年は26試合に登板し、23試合に先発した。
2025年の10試合登板から大きく前進したものの、故障によってシーズン終盤の先発登板が途切れた。
来季は年間を通じてローテーションを守り、安定した登板間隔を維持できるかが問われる。
4. リリーフで得た経験を先発に生かすリリーフ登板では、短いイニングで高い球威を発揮することが求められる。
一方、先発では複数の打席で同じ打者と対戦するため、球種の組み立てや配球の変化が必要だ。
2026年に経験した救援登板を、先発時の球種選択や勝負どころでの集中力にどう生かすか。
これも来季の成長を左右する要素になる。
【プロの結論】2027年は防御率だけでなく年間の安定感を見る佐々木の評価を判断するとき、来季は単純な勝利数だけに注目すべきではない。
重要なのは次の3点だ。
- 健康面: マメなどの故障で長期離脱しないこと。
- 投球内容: 四球を減らし、WHIPを改善すること。
- 役割: 先発として年間を通じてローテーションを守れること。
特に先発投手としての価値を高めるには、奪三振数だけではなく、6回以上を安定して投げる能力が重要になる。
2026年は123奪三振という武器を示した一方、先発としてシーズンを完走する課題も残した。
来季は、その両方を高い水準で実現できるかが最大の見どころだ。
【佐々木朗希の現在】よくある質問(FAQ)
Q1:佐々木朗希の2026年の成績は?
2026年のレギュラーシーズンは、26試合登板、5勝5敗、防御率4.49、123奪三振、WHIP1.32、投球回122回1/3だった。
Q2:佐々木朗希がリリーフに転向した理由は?
8月の右手中指のマメによる離脱後、9月に復帰した際、ドジャースは救援投手として起用した。先発陣の復帰状況やポストシーズンを見据えたチーム戦略も背景にある。永久的なリリーフ転向が決まったわけではない。
Q3:佐々木朗希の2026年ポストシーズン成績は?
3試合に救援登板し、3回1/3、防御率2.70、2奪三振、WHIP1.50を記録した。ドジャースはブルワーズに敗れ、ナ・リーグ優勝決定シリーズで敗退した。
Q4:佐々木朗希は2027年もリリーフとして起用される?
2026年10月時点で、佐々木自身は先発投手としてシーズンを戦い、ポストシーズンでも先発を任されることを目標として語っている。2027年の具体的な起用法は確定していない。
Q5:佐々木朗希のNPB時代の通算成績は?
千葉ロッテマリーンズ時代のNPB通算成績は64試合、29勝15敗、防御率2.10、505奪三振、394回2/3、WHIP0.89。2022年には完全試合も達成している。
まとめ:佐々木朗希の2026年は先発投手としての再出発につながるか
2026年の佐々木朗希は、ドジャースで5勝5敗、防御率4.49、123奪三振、WHIP1.32という成績を残した。
千葉ロッテ時代の圧倒的な実績と比較すると、MLBではまだ改善すべき部分がある。しかし、2025年から投球回数を大きく増やし、奪三振数も伸ばしたことは前進と評価できる。
一方、右手中指のマメによるIL入りと、復帰後のリリーフ起用は、先発投手としての地位を確立するうえで課題を残した。
ポストシーズンでは3試合に登板し、防御率2.70を記録。短期決戦での救援経験を積んだものの、本人が目指すのは先発として年間を通じて結果を残すことだ。
佐々木朗希の2027年を占う最大の要点は、160キロ級の球威や奪三振能力だけではない。故障なく投げ続け、四球を減らし、先発ローテーションの一角を任され続ける安定感を身につけられるかにある。
「令和の怪物」がMLBでも先発投手として確固たる評価を築けるか。2026年は、その挑戦の現在地を示す重要なシーズンとなった。