「自分の周りでは聞いたことがない言葉がノミネートされている」「なぜこの言葉が選ばれたの?」という疑問は、毎年の発表後に起こりやすいものです。
その理由を理解するには、新語・流行語大賞の選考基準と候補語が絞られる過程を知る必要があります。
新語・流行語大賞の選考基準は何か選考対象は、前年12月から当年11月までのおよそ1年間に登場した新語や流行語です。
基本となる考え方は、世相を軽妙に表現し、多くの人の目や耳を引きつけた言葉を選ぶことです。
単に検索回数が多い言葉や、SNSで再生数を稼いだフレーズだけが対象ではありません。
主に次のような観点から、その年を象徴する言葉が検討されます。
- 社会的な影響力: 政治、経済、国際情勢、生活などを象徴しているか。
- 話題性: テレビ、新聞、インターネットなどで広く取り上げられたか。
- 新しさ: 新しく生まれた言葉や、これまでとは異なる意味で使われ始めた言葉か。
- 世相との結び付き: その年の出来事や社会の変化を思い起こさせるか。
- 言葉としての印象: 表現の面白さやインパクトがあり、人々の記憶に残るか。
ここで重要なのは、必ずしも2026年に初めて生まれた言葉だけが対象ではないという点です。
2025年のノミネート語「ミャクミャク」は、2022年に登場した大阪・関西万博の公式キャラクターです。登場から時間が経過した後、万博の開催によって改めて人気が広がりました。
同じく「薬膳」も以前から存在していた言葉ですが、食文化や健康への関心と結び付いて話題になりました。
このように、昔からある言葉でも、その年に新しい広がりを見せれば候補になる可能性があります。
選考委員は誰?2025年に明らかになった顔ぶれ新語・流行語大賞の選考委員会は、各分野で活動する著名人と『現代用語の基礎知識』編集長によって構成されます。
2025年の選考過程を紹介した文春オンラインの記事では、次の6人が選考委員として紹介されました。
- 神田伯山:講談師
- 辛酸なめ子:漫画家・コラムニスト
- パトリック・ハーラン:お笑い芸人
- 室井滋:俳優・エッセイスト
- やくみつる:漫画家
- 大塚陽子:『現代用語の基礎知識』編集長
2025年から講談師の神田伯山さんが加わったことも、選考体制の変化として注目されました。
また、2026年2月に公開された文藝春秋のやくみつる氏の寄稿では、同氏が20年以上にわたって選考に携わってきた経験を紹介しています。2026年の選考委員全員の確定名簿については、別途正式発表を確認する必要があります。
ノミネート語の選考の仕組みは?選考は、編集部が30語を独断で決める単純な仕組みではありません。
2025年の文春オンラインによる自由国民社編集長への取材では、候補語の選定について具体的な手順が明かされています。
おおまかな流れは次のとおりです。
1. 『現代用語の基礎知識』に掲載された用語を土台にする。
2. 編集部が掲載語から約100語程度の候補を抽出する。
3. 選考委員会が候補を検討し、議論を重ねて30語に絞る。
4. 選考委員が事前に候補語を採点する。
5. 選考会当日に評価を共有し、議論を経てトップテンと年間大賞を決める。
特に興味深いのは、選考委員がノミネート30語を決める段階から関わっていることです。
選考委員は世代や専門分野が異なるため、同じ言葉でも評価が分かれることがあります。事前の採点だけで機械的に決めるのではなく、最終的には議論を重ねて受賞語を決定します。
一般投票はある?読者が大賞を決める仕組みではない一般投票についても、誤解されやすいポイントがあります。
過去には『現代用語の基礎知識』の読者アンケートなどを利用し、一般から意見や投票を募ってノミネート語を決めていた時期がありました。
しかし、現在の選考は同書に収録された用語を基礎とする選考委員会方式です。
ノミネート30語が発表された後、一般の人が投票して年間大賞を決める仕組みではありません。
SNSで「今年の大賞はこれだ」と予想したり、独自のランキングを作ったりすることはできますが、それが公式選考の投票結果に直接反映されるわけではありません。
モデルプレスなどが実施する読者アンケートも、別のメディアによる独自企画です。新語・流行語大賞の公式投票と混同しないことが大切です。
【ノミネートから年間大賞へ】トップテンとの違いと発表の経緯

新語・流行語大賞には、ノミネート、トップテン、年間大賞という3つの段階があります。
この違いを理解しておくと、11月の候補発表と12月の授賞式のニュースを正しく読み取れます。
ノミネート30語は受賞確定ではないノミネート30語は、その年を代表する可能性がある言葉を集めた候補リストです。
ノミネートされたからといって、トップテン入りや年間大賞が保証されるわけではありません。
2025年も30語が候補となり、その中から10語がトップテンとして選ばれました。
候補に残った言葉のすべてが同じ評価を受けるわけではなく、話題の広がり方や社会的な意味、選考委員の議論によって最終的な受賞語が決まります。
年間大賞とトップテンはどう違う?トップテンは、その年を象徴する受賞語をまとめたものです。
年間大賞は、その中でも特に代表的な言葉として選ばれる賞です。
ここで注意したいのは、トップテンが必ずしも1位から10位までの人気ランキングを意味するわけではないことです。
複数のジャンルから選ばれた言葉を並べて、その年の社会や文化を振り返る性格を持っています。
また、年間大賞が複数の言葉に贈られる年もあります。2013年には「今でしょ!」「お・も・て・な・し」「じぇじぇじぇ」「倍返し」の4語が年間大賞に選ばれました。
2025年の発表経緯を振り返る2025年は、ノミネート発表から年間大賞の決定まで、次のようなスケジュールで進みました。
- 11月5日:ノミネート30語を発表。
- 12月1日:年間大賞・トップテンを発表。
- 12月1日:都内で発表・表彰式を開催。
年間大賞に選ばれたのは、高市早苗首相に関連する「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」でした。
政治に関する言葉だけでなく、映画、キャラクター、食文化、経済、環境など、さまざまなジャンルから受賞語が選ばれています。
この結果からも、賞が特定の分野だけを対象にしたものではないことが分かります。
【歴代受賞語一覧】1984年から2025年までの流行語を振り返る
新語・流行語大賞は、1984年に始まりました。2025年は第42回に当たります。
40年以上の歴史を振り返ると、その時代の政治、経済、スポーツ、テレビ、音楽、インターネット文化が、選ばれた言葉に色濃く反映されています。
1984年から1990年:新語と流行語の2部門創設当初は、現在のような年間大賞とトップテンの仕組みではありませんでした。
新語部門と流行語部門に分け、それぞれ金賞が選ばれていました。
代表的な受賞語には、次のようなものがあります。
- 1984年:「オシンドローム」「まるきん・まるび」
- 1985年:「分衆」「イッキ!イッキ!」
- 1986年:「究極」「新人類」
- 1987年:「マルサ」「懲りない○○」
- 1988年:「ペレストロイカ」「今宵はここまでに」
- 1989年:「セクシャル・ハラスメント」「オバタリアン」
- 1990年:「ファジィ」「ちびまる子ちゃん(現象)」
当時の受賞語を見ると、社会現象やテレビ番組、映画、経済の変化などが、言葉として記録されていることが分かります。
1990年代から2000年代:政治・スポーツ・テレビの言葉1990年代以降は、政治家の発言やスポーツ選手の活躍、テレビ番組などから生まれた言葉が目立ちます。
代表例は以下のとおりです。
- 1991年:「…じゃあ~りませんか」
- 1992年:「きんさん・ぎんさん」
- 1993年:「Jリーグ」
- 1994年:「すったもんだがありました」「イチロー(効果)」「同情するならカネをくれ」
- 2000年:「おっはー」「IT革命」
- 2002年:「タマちゃん」「W杯(中津江村)」
- 2004年:「チョー気持ちいい」
- 2005年:「小泉劇場」「想定内(外)」
- 2006年:「イナバウアー」「品格」
特に2004年の「チョー気持ちいい」は、アテネ五輪で金メダルを獲得した北島康介選手の言葉として広く知られるようになりました。
スポーツの感動的な瞬間が、そのまま国民的な言葉として定着した例です。
2010年代から2025年:SNSと社会問題が存在感を強める2010年代以降は、テレビや新聞に加え、インターネットやSNSを通じて広がる言葉が目立つようになりました。
| 年 | 年間大賞 | 時代背景・特徴 |
|---|---|---|
| 2010年 | ゲゲゲの~ | NHK連続テレビ小説 |
| 2011年 | なでしこジャパン | 女子サッカーの活躍 |
| 2013年 | 今でしょ!ほか4語 | テレビ・スポーツ・社会現象 |
| 2015年 | 爆買い、トリプルスリー | インバウンド・野球 |
| 2017年 | インスタ映え、忖度 | SNS・政治 |
| 2018年 | そだねー | カーリング |
| 2019年 | ONE TEAM | ラグビー |
| 2020年 | 3密 | 新型コロナウイルス |
| 2021年 | リアル二刀流/ショータイム | 大谷翔平選手 |
| 2022年 | 村神様 | 村上宗隆選手 |
| 2023年 | アレ(A.R.E.) | 阪神タイガース |
| 2024年 | ふてほど | テレビドラマ |
| 2025年 | 働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相 | 政治・社会 |
この一覧から見えてくるのは、受賞語が必ずしも若者の間で流行した言葉だけではないということです。
例えば、2020年の「3密」は感染症対策を象徴する社会的な言葉でした。2021年の「リアル二刀流/ショータイム」はスポーツの記録とスター選手の活躍を反映しています。
2024年の「ふてほど」はドラマの略称であり、2025年の年間大賞は政治家の発言と女性首相の誕生を結び付けたものでした。
歴代受賞語は、単なる流行の記録ではなく、その年に日本社会が何に関心を寄せていたかを読み解く資料でもあります。
【よくある質問】流行語大賞ノミネート2026に関するFAQ
Q1:流行語大賞2026のノミネート30語はいつ発表されますか?
A1:2026年11月2日時点では正式な発表日は未確定です。『現代用語の基礎知識2027』の書店情報では11月5日発売予定となっており、2024年と2025年も11月5日にノミネート30語が発表されたことから、11月5日が有力な予想日です。
Q2:2026年の流行語大賞候補には何が予想されていますか?
A2:「滅」「ドパガキ」「メロい」「フレネミー」「りくりゅう」「ボンドロ」「ナフサ不足」などが注目候補です。女子高生向け調査やモデルプレスのランキングにも登場した言葉ですが、いずれも公式ノミネートが確定したものではありません。
Q3:流行語大賞は一般投票で決まりますか?
A3:現在は一般投票で年間大賞を決める方式ではありません。『現代用語の基礎知識』に掲載された用語を基礎として、編集部と選考委員会が候補語を検討し、最終的なトップテンと年間大賞を決定します。
Q4:2026年の年間大賞とトップテンの発表日はいつですか?
A4:正式な2026年の日程は未発表です。2025年は12月1日、2024年は12月2日に発表されました。2026年は12月1日が火曜日に当たるため、前年までの実績から同日の発表が有力と考えられます。
Q5:2025年の年間大賞は何でしたか?
A5:2025年の年間大賞は「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」です。高市早苗首相の言葉として選ばれ、トップテンには「エッホエッホ」「国宝(観た)」「ミャクミャク」「オールドメディア」なども入りました。
まとめ:2026年の流行語大賞は公式発表と候補予想を区別して楽しもう
2026年11月2日時点では、新語・流行語大賞のノミネート30語はまだ公式発表されていません。
発表時期を予想するうえで有力な材料となるのは、自由国民社の『現代用語の基礎知識2027』です。複数の書店情報では11月5日発売予定とされており、2024年・2025年のノミネート発表日とも一致しています。
候補予想では「滅」「ドパガキ」「りくりゅう」「ボンドロ」などが注目されますが、最終的には若者文化だけでなく、政治・経済・スポーツ・社会問題を含めた幅広い視点から選ばれます。
【プロの結論】本当に注目すべきは言葉が生まれた社会背景流行語大賞をより深く楽しむには、言葉の知名度だけで判断しないことが大切です。
例えば、次の3つを意識すると、候補語の見方が変わります。
1. どこで広がった言葉なのか: テレビ、SNS、スポーツ、政治、日常会話など、発生源を確認する。
2. どの程度社会に浸透したのか: 一部のコミュニティでの流行なのか、幅広い世代に認識された言葉なのかを区別する。
3. 2026年を象徴する背景があるか: 一時的なブームだけでなく、その年の社会や価値観の変化と結び付いているかを考える。
特に、SNSのトレンドランキングだけを見て年間大賞を予想したい人には注意が必要です。若者の間で人気の言葉と、社会全体を象徴する言葉は必ずしも一致しません。
2025年の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」が示したように、政治や社会の大きな転換点が年間大賞につながることもあります。
2026年の正式な30語が発表された際には、候補語の背景と選考基準を照らし合わせることで、単なる人気投票とは異なる賞の面白さが見えてくるはずです。
今年を象徴する一言は何になるのか。11月上旬のノミネート発表と12月初めの年間大賞・トップテン発表に注目です。
主な参考資料:自由国民社『現代用語の基礎知識』関連発表、文春オンライン「新語・流行語大賞」の選考過程に関する取材記事、テレビ朝日ニュースの2024・2025年受賞記録、JKラボ2026年調査、渋谷トレンドリサーチ2026年秋調査、モデルプレス2026年上半期調査。