親にお年玉を渡す習慣は、すべての家庭に共通するものではない。子どもや孫に渡すお年玉とは異なり、親への贈答は家庭ごとの考え方や経済状況によって大きく変わる。
2026年のお年玉事情を把握するために注目したいのが、株式会社マルアイが2025年12月16日に発表した「2026年お年玉に関する実態調査」だ。
2026年調査で分かったお年玉の実態同調査は、全国の20代以上の男女2,405人を対象に事前調査を実施。そのうち、2026年のお正月にお年玉をあげると回答した604人を対象に、具体的な金額や渡し方などを調べている。
主な結果は次のとおりだ。
- 2026年のお正月にお年玉をあげる予定の人:40.4%
- お年玉を渡す予定の人数:平均3人
- 最も多い贈答先:親戚の子ども58.6%
- 自分の子ども:38.6%
- 孫・ひ孫:29.3%
- 1,000円台~4,000円台の金額帯:45.5%
- 5,000円台~9,000円台:21.1%
- 10,000円台~40,000円以上:16.7%
- ぽち袋に現金を入れて手渡す人:77.8%
特に興味深いのは、1万円台から4万円以上のお年玉を渡す相手として、孫・ひ孫が29.9%、自分の子どもが24.9%、親(配偶者の親を含む)が24.7%という結果だ。
親への贈答も、比較的高い金額帯を選ぶ人がいることが分かる。ただし、この24.7%は高額帯の贈答先に関する数値であり、親にお年玉を渡す人全体の割合ではない。平均金額を示す数字でもない点には注意したい。
親に渡す人は約2割?前年調査との比較親へのお年玉を考えるうえでは、マルアイが2024年12月に公表した2025年向けの調査も参考になる。
この調査では、お年玉をあげる人のうち、親に渡す人は約2割だった。また、親に渡す人のうち、1万円以上を選んだ人が42.1%で最多となっている。
ここから見えてくるのは、親へのお年玉が一般的な子ども向けのお年玉とは異なる性格を持っていることだ。
子ども向けでは1,000円台から4,000円台が中心なのに対し、親への贈答では1万円以上のまとまった金額を包む人もいる。
ただし、2026年調査では親への贈答率そのものは独立した数値として公表されていない。そのため、2025年の約2割という結果を、そのまま2026年の割合として扱うことはできない。
2026年の調査から見える3つの傾向1. 親への贈答は少数派でも、珍しい習慣ではない
親にお金を渡すことは、親孝行や感謝の表現として受け入れられている家庭がある。一方、渡さない家庭もあり、どちらか一方が正しいわけではない。
2. 金額は一律ではなく、相手との関係で変わる
親への贈答は、日頃の支援への感謝なのか、新年の挨拶なのか、生活費の援助なのかによって適切な金額が変わる。
3. 現金を直接渡す文化は根強い
キャッシュレス決済が広がっているにもかかわらず、2026年調査では、ぽち袋に現金を入れて手渡す方法が77.8%を占めた。
お年玉は単なる送金ではなく、正月に顔を合わせて気持ちを伝える機会としても機能している。
【結論と相場】親にお年玉はいくら渡す?無理のない金額の決め方

親に渡すお年玉には、全国共通の法的な基準や統一された金額相場はない。
そのため、調査結果を参考にしつつ、自分の収入、親の経済状況、兄弟姉妹との関係などを踏まえて決めることが大切だ。
親へのお年玉の金額目安以下は調査によって確定した平均額ではなく、家計に負担をかけずに贈るための実務的な設定例である。
| 金額 | 想定するケース | 考え方 |
|---|---|---|
| 3,000円~5,000円 | 就職直後・若い社会人 | 感謝を伝える少額の贈答 |
| 5,000円~10,000円 | 安定した収入がある社会人 | 初めて親に渡す場合の目安 |
| 10,000円~30,000円 | 家計に余裕がある人 | 毎年の贈答や親孝行として |
| 30,000円以上 | 継続的な経済的支援ができる人 | 親の希望や家計状況を優先 |
特に初めて渡す場合は、5,000円から10,000円程度を一つの検討範囲にするとよい。
一方、すでに親へ毎年10,000円以上渡している家庭なら、無理に金額を変更する必要はない。
大切なのは、前年より高額にすることではなく、継続できる金額を設定することだ。
1万円と3万円、どちらが適切?迷ったときは、金額の違いよりも贈る目的を考えたい。
- 1万円: 新年の挨拶や日頃の感謝を伝えるための贈答。
- 2万円: 両親への贈り物として、少し余裕を持たせたい場合。
- 3万円: 経済的に余裕があり、毎年まとまった金額を贈る家庭。
ただし、両親それぞれに3万円ずつ渡す必要はない。
両親への贈答として合計1万円を包む方法もあれば、父親と母親にそれぞれ5,000円ずつ渡す方法もある。家庭の習慣に合わせて選べばよい。
親へのお年玉は毎年同じ金額でよい?毎年同じ金額でも問題ない。
むしろ、親への贈答は一度始めると翌年以降も期待される可能性があるため、最初から高額にしすぎないほうがよい。
マルアイの2026年調査では、お年玉の総額を前年から変えないと回答した人が59.9%で最多だった。
増額することだけが気遣いではない。一定の金額を無理なく続けることも、長期的な親孝行の形だ。
収入別に考える親への贈答金額を決める際は、自分の生活費や貯蓄を優先したい。
- 新社会人:数千円程度、または食事のプレゼント。
- 20代・30代:5,000円~10,000円程度を検討。
- 40代・50代:家計に余裕があれば10,000円以上も選択肢。
- 60代以上:親への贈答だけでなく、健康状態や介護、生活支援の必要性も考慮。
これは年齢別の統計的な相場ではなく、収入や生活状況に応じた考え方の例だ。
親にお年玉を渡すために借金をしたり、生活費を削ったりする必要はない。
【贈答マナー】お年玉と御年賀・御礼の違いは?親には何と書く?
親へのお年玉で特に注意したいのが、表書きの選び方だ。
一般的なお年玉は、年長者から年少者へ渡す正月の贈り物という性格を持つ。そのため、子どもから親へ渡す場合は、名目を変えることで敬意を表しやすくなる。
お年玉・御年賀・御礼の違いそれぞれの言葉には異なる意味がある。
お年玉
本来は目上の人から目下の人へ渡すもの。子どもや孫への正月の贈り物として一般的に使われる。
御年賀
新年の挨拶とともに贈る品物や金品に使う表書き。親や義両親への新年の贈答に適している。
御礼
日頃の感謝や、特定の支援・援助に対するお礼として贈る場合に使う。
三菱UFJカードのマナー解説でも、お年玉は目上から目下へ渡すものとされ、親など目上の相手には「お年賀」や「お小遣い」といった別の名目を検討する方法が紹介されている。
親に現金を渡す場合の表書き| 渡す目的 | 表書き | 適した場面 |
|---|---|---|
| 新年の挨拶 | 御年賀 | 元日から松の内まで |
| 日頃の感謝 | 御礼 | いつもお世話になっている親へ |
| 感謝を伝える | 感謝 | 家族間で柔らかく贈りたい場合 |
| 控えめな贈り物 | こころばかり | 少額の贈答や気軽なプレゼント |
特に迷った場合は「御年賀」が使いやすい。
ただし、御年賀は本来、新年の挨拶に添える贈り物の名目である。何か特定の出来事に対するお礼なら「御礼」のほうが自然だ。
御年賀を渡す時期にも注意御年賀は、一般的に松の内の期間に渡す。
- 関東:1月1日~1月7日
- 関西:1月1日~1月15日
地域や家庭の慣習によって違いがあるため、訪問先の習慣を優先したい。
松の内を過ぎた場合は「寒中御伺」や「寒中御見舞」などに切り替える方法もある。
三越伊勢丹の贈答マナーでも、御年賀と寒中御伺は贈る時期によって使い分けるものとして紹介されている。
親に渡すときの言葉遣い形式にこだわりすぎず、自然な言葉を添えると受け取ってもらいやすい。
例えば、次のような伝え方が考えられる。
- 「いつもありがとう。お正月だから少しだけ受け取ってね」
- 「今年もよろしく。二人で好きなものに使って」
- 「日頃のお礼も兼ねているから、遠慮しないで使ってね」
金額の説明を長々とする必要はない。
親に気を遣わせないよう、さりげなく渡すことがポイントになる。
【関係別マナー】実の親と義両親へのお年玉は同額にすべき?
結婚している人にとって、もう一つ悩ましいのが義両親へのお年玉だ。
自分の親には気軽に渡せても、配偶者の親にはどのように渡せばよいのか分からない場合もある。
基本的には、実の親と義両親で極端な金額差をつけないほうが無難だ。
実の親と義両親で金額をそろえる夫婦で贈答する場合は、双方の親に対して同程度の金額を設定すると、後々の誤解を防ぎやすい。
例えば、実家には1万円、義実家には3万円という差があると、金額を知った際に不公平感が生まれる可能性がある。
もちろん、親の経済状況や家族関係が異なるため、必ず同額にしなければならないわけではない。
大切なのは夫婦間で事前に相談しておくことだ。
義両親への贈答で確認したいこと特に気をつけたいのは、配偶者が育ってきた家庭の習慣だ。
義両親が現金を受け取ることに抵抗を感じる家庭もある。最初から現金を包むより、配偶者に普段の正月の過ごし方を聞いておくと安心できる。
また、兄弟姉妹がいる場合は、親への贈答をどのように分担しているかも確認しておきたい。
家族関係別の贈答方法以下は、相手との関係性に応じた実践的な整理だ。
| 相手・関係性 | 贈り物の位置づけ | 表書き・渡し方 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 実の父母 | 感謝・新年の挨拶 | 御年賀・御礼 | 親の希望を優先 |
| 義父母 | 夫婦からの新年の贈答 | 御年賀 | 配偶者と金額を相談 |
| 兄弟姉妹 | 親への贈答の分担 | 家族内で相談 | 金額や負担の公平性 |
| 祖父母 | 感謝や生活支援 | 御年賀・御礼 | 年齢や健康状態に配慮 |
| 親戚の子ども | 一般的なお年玉 | お年玉 | 年齢に応じた金額 |
親への贈答は、兄弟姉妹全員が同じ金額を出す必要はない。
収入や家庭環境が異なるため、それぞれが無理のない範囲で負担する方法もある。
例えば、兄が1万円、弟が5,000円を渡すことも、双方が納得していれば問題ない。
ただし、親の生活費を援助する目的であれば、正月の贈答とは分けて話し合うほうがよい。
【ぽち袋の選び方】親へのお年玉はどんな封筒に入れる?表書きとお札のマナー
親に現金を渡すなら、封筒の選び方にも気を配りたい。
子どもに渡すようなキャラクター入りのぽち袋を使うより、落ち着いたデザインの封筒や金封を選ぶと、目上の人への贈り物として自然になる。
親へのぽち袋はシンプルなデザインが基本おすすめは次のようなタイプだ。
- 白を基調にした上品な封筒
- 紅白の水引をあしらった金封
- 和紙を使った落ち着いたデザイン
- 「御年賀」「御礼」と印字された贈答用封筒
親への贈答では、子ども向けのお年玉袋よりも、一般的な金封を選ぶほうが丁寧な印象になる。
1万円以上ならぽち袋以外も検討ぽち袋は小額の現金を包むための略式の袋だ。
金額が大きくなる場合は、紙幣を折らずに入れられる長封筒タイプの金封を選ぶとよい。
目安として、1万円未満ならぽち袋や小型封筒、1万円以上なら中袋付きの金封などが選択肢になる。
ただし、親への贈答では金額だけでなく、相手との関係や家庭の習慣も考慮したい。
お札の入れ方と名前の書き方現金を包むときは、次の点を意識すると丁寧だ。
1. できるだけきれいな新札を用意する。
2. お札の肖像がある面を袋の表側に向ける。
3. お札を折らずに入れられる袋なら、折らずに包む。
4. 表書きは「御年賀」または「御礼」とする。
5. 裏面には贈り主の名前を記載する。
新札は、あらかじめ贈答のために準備したという気持ちも伝えられる。
また、夫婦連名で渡す場合は、夫婦の名前を記載してもよい。
親に渡すときは直接手渡しが基本2026年調査では、ぽち袋に現金を入れて手渡す人が77.8%だった。
正月に実家へ帰省するなら、食事の後や新年の挨拶のタイミングで渡すと自然だ。
遠方に住んでいて直接会えない場合は、贈り物を配送する方法もある。現金を郵送する場合は、通常の郵便ではなく現金書留を利用する。
【親が断る理由と代替案】現金以外のプレゼントで親孝行する方法
親にお金を渡そうとしたとき、「そんなものはいらない」「自分たちのために使いなさい」と断られるケースもある。
せっかく用意したのに受け取ってもらえないと、少し寂しい気持ちになるかもしれない。
しかし、親が断ることには、いくつかの理由が考えられる。
親がお年玉を断る主な理由1. 子どもの生活を心配している
親にとって、子どもはいくつになっても大切な存在だ。
住宅費や教育費、子育てなどで出費が多いことを知っていれば、自分たちにお金を使うより、子どもの将来のために残してほしいと考えることがある。
2. 親子の立場が逆転することに抵抗がある
長年、子どもを養ってきた親にとって、子どもから現金を受け取ることは、心理的に複雑な場合もある。
特に現役で働いている親や経済的に自立している親は、子どもから援助される必要はないと考えることもある。
3. 受け取ると返礼が必要だと感じる
親によっては、子どもからお金を受け取ると、何かお返しをしなければならないと考える。
親子だからこそ、金銭のやり取りを複雑にしたくないという気持ちもある。
4. 現金よりも別のものが欲しい
現金をもらっても使い道がない、あるいは欲しいものが決まっている場合もある。
このような場合は、無理に現金を受け取ってもらうより、親が喜ぶものを贈るほうがよい。
現金以外で喜ばれやすい親へのプレゼント食事をごちそうする
家族で過ごす時間を贈れる。外食や自宅での食事会がおすすめ。
高級食材・グルメ
和牛、果物、お菓子など、普段は買わない少し特別な品。
旅行・温泉のプレゼント
日帰り旅行や宿泊券など、思い出に残る体験を贈る。
生活用品・日用品
上質な寝具、衣類、家電など、日常で役立つもの。
そのほか、カタログギフトや旅行券、商品券なども選択肢になる。
ただし、旅行券は利用できる日程や移動手段、親の体調を確認してから贈りたい。
親に喜ばれるのは高額なプレゼントだけではない親孝行というと、まとまった金額を渡すことを想像しがちだ。
しかし、実際には次のようなことも立派な親孝行になる。
- 正月に家族で食卓を囲む。
- 親の好きな料理を作る。
- 普段できない家の手伝いをする。
- スマートフォンや家電の使い方を教える。
- 一緒に写真を撮る。
- 健康状態や生活の様子を気にかける。
特に離れて暮らしている親にとっては、子どもが帰省して一緒に過ごす時間そのものが贈り物になることもある。
親に断られたら無理に押しつけない一度断られた場合は、何度も現金を渡そうとする必要はない。
「じゃあ、今日は食事をごちそうさせて」「好きなものを買っておいたよ」と別の方法に切り替えると、親も受け取りやすくなる。
親が現金を必要としていないのであれば、その気持ちを尊重することも大切だ。
【親にお年玉】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:親にお年玉を渡すのはマナー違反ですか?
A1:親に現金を渡すこと自体がマナー違反というわけではない。ただし、伝統的にはお年玉は目上から目下へ渡すものなので、親には「御年賀」や「御礼」といった表書きを使う方法が適している。
Q2:親へのお年玉はいくらが一般的ですか?
A2:全国共通の平均額は公表されていない。実務的な目安としては5,000円~10,000円程度から検討し、家計に余裕があれば10,000円~30,000円程度も選択肢になる。2025年向けの調査では、親に渡す人のうち42.1%が1万円以上を選んでいた。
Q3:義両親にもお年玉を渡すべきですか?
A3:義両親にも必ず渡さなければならない決まりはない。渡す場合は、配偶者と相談し、実の親との金額バランスや家庭の習慣を考慮するとよい。
Q4:親へのお年玉の袋には何と書けばよいですか?
A4:新年の挨拶として渡すなら「御年賀」、日頃の感謝を伝えるなら「御礼」が適している。「お年玉」という表書きは避けるほうが無難だ。
Q5:親が現金を受け取ってくれない場合はどうすればよいですか?
A5:無理に渡さず、食事や旅行、日用品、グルメなどに切り替える方法がある。親が喜ぶものを優先しよう。
Q6:親へのお年玉はぽち袋に入れてもよいですか?
A6:小額ならシンプルなぽち袋や封筒も選択肢になる。ただし、目上の人への贈答なので、1万円以上なら中袋付きの金封など、より丁寧な包み方も検討したい。
Q7:親へのお年玉と生活費の援助は同じですか?
A7:異なるものとして考えるとよい。お年玉や御年賀は新年の挨拶や感謝を表す贈答であり、生活費の援助は継続的な経済的支援だ。目的を分けて話し合うことで、金額や負担についても整理しやすくなる。
まとめ:親へのお年玉は金額よりも感謝と無理のない贈り方が大切
2026年のお年玉事情を調べると、親への贈答は一部の家庭で定着している一方、すべての人が実践する習慣ではないことが分かる。
株式会社マルアイの2026年調査では、お年玉を渡す予定の人は40.4%。親や配偶者の親への高額帯の贈答も確認されている。また、2025年向けの調査では、親に渡す人は約2割で、そのうち42.1%が1万円以上を選んでいた。
親へのお年玉を考える際に押さえておきたいのは、次の5点だ。
1. 親にお年玉を渡すことは義務ではない。
2. 金額は5,000円~10,000円程度から家計に合わせて検討する。
3. 新年の贈答には「御年賀」、日頃の感謝には「御礼」を使う。
4. 義両親への贈答は配偶者と相談し、双方の親へのバランスを考える。
5. 現金を断られたら、食事や旅行など別の親孝行に切り替える。
【プロの結論】
親にお年玉を渡すかどうかを判断するうえで、最も大切なのは世間の平均額に合わせることではない。
親が何を望んでいるのか、自分にどれだけの経済的余裕があるのか、そして家族としてどのような関係を築いていきたいのか。この3つを考えれば、自然と適切な贈り方が見えてくる。
1万円を包むことも、3万円を渡すことも、家族で食事を楽しむことも、感謝を伝える方法の一つだ。
親へのお年玉は、金額を競うものではない。新しい一年の始まりに、これまで育ててくれた親へ「ありがとう」を伝える機会として考えたい。