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京都のオーバーツーリズムは2026年に改善したのか?最新統計で混雑と対策を徹底検証

桐島 奈緒 桐島 奈緒 • 更新: • 公開: • 読了約 26 分
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2026年11月現在、京都のオーバーツーリズム(観光公害)は、改善に向かっているのか。それとも、観光客の増加によって市民生活への負担がさらに深刻化しているのか。京都市が2026年6月12日に公表した「令和7年(2025年)京都観光総合調査」と、2025年12月24日に発表した「京都観光に関する市民意識調査」を照らし合わせると、観光施策の前進と、依然として解消されない混雑問題の両方が浮かび上がる。

2025年の京都市の年間観光客数は6,279万人に達し、観光消費額も2兆474億円を記録した。一方、市民意識調査では79.9%が観光地の混雑、公共交通機関の混雑、道路渋滞、観光客のマナー違反のいずれかに迷惑していると回答している。観光特急バスや嵐山の交通規制、宿泊税の見直しなど、2026年に進む対策の成果と限界を検証する。

【2026年最新】京都のオーバーツーリズムはどこまで改善した?2025年調査から実態を検証

京都オーバーツーリズム

2026年時点の京都観光を評価するうえで、まず押さえたいのが京都市の2025年観光総合調査である。2025年1月から12月までの動向をまとめた同調査は、2026年6月12日に公表された。

年間観光客数は6,279万人、観光消費額は2兆円を突破

京都市の調査によると、2025年の年間観光客数は6,279万人。2024年の5,606万人から増加した。

内訳を見ると、日帰り客は4,620万2,000人で全体の73.6%、宿泊客は1,658万5,000人で26.4%を占める。つまり、京都を訪れる人の約4人に3人は日帰り客という構造だ。

観光消費額は2兆474億円で、2024年の1兆8,839億円から8.7%増加した。観光は京都市の経済を支える大きな産業であり、飲食店、小売店、宿泊施設、文化施設など幅広い事業者に経済的な影響を与えている。

ただし、京都市が公表する観光客数は、狭い意味での観光旅行者だけを数えたものではない。市外在住者が通勤・通学以外の目的で京都を訪れた場合、買い物、仕事、イベント参加、友人・知人への訪問なども含まれる。この数字を、そのまま外国人観光客の人数と解釈するのは誤りだ。

市内ホテルの宿泊需要も高水準

京都市観光協会の「データ年報2025」によると、市内主要ホテルの年間客室稼働率は80.6%となり、前年の77.8%を上回った。

主要宿泊施設における延べ宿泊数は1,054万9,946泊で前年比4.9%増。外国人の延べ宿泊数は14.6%増加した一方、日本人の延べ宿泊数は10.0%減少している。

外国人宿泊客の割合は66.4%で、同協会の統計開始以来の最高値を更新した。なお、これは市内の主要ホテルを対象とした調査の数値であり、京都市内の全宿泊施設を対象とした割合ではない。

観光需要の回復は経済面では明るい材料だが、宿泊施設の稼働率が高い状態が続けば、繁忙期の交通、飲食、観光施設周辺への負荷も無視できなくなる。

2025年の主要データ一覧
調査項目 2025年の結果 読み取れるポイント
年間観光客数 6,279万人 日帰り・宿泊を合わせた入洛者数
日帰り客 4,620万2,000人 全体の73.6%
宿泊客 1,658万5,000人 全体の26.4%
観光消費額 2兆474億円 前年比8.7%増
主要ホテル客室稼働率 80.6% 前年から2.8ポイント増
主要ホテル外国人宿泊比率 66.4% 2014年の統計開始以来最高
市民の迷惑経験 79.9% 混雑・交通・マナーの4項目のいずれか

ここで注目したいのは、観光消費額の増加と、市民生活の改善が必ずしも同時に進んでいないことだ。観光産業が成長していても、その恩恵が地域住民に十分届かなければ、観光への理解は広がりにくい。

【京都市民意識調査2025】約8割が迷惑を実感!観光公害の原因と生活への影響

京都のオーバーツーリズムを考える際、観光客数と同じくらい重要なのが、実際に京都で生活する市民の意識である。

京都市が2025年9月24日から10月23日まで実施した市民意識調査では、市内在住の18歳以上5,500人を無作為抽出し、2,745件の有効回答を得た。回答率は49.9%だった。

最も多い不満は観光地周辺の混雑

観光客や京都観光に関して迷惑を感じているかという質問では、次の結果が示された。

  • 観光地やその周辺の混雑:70.6%
  • バスや地下鉄など公共交通機関の混雑:63.8%
  • 道路の渋滞:55.9%
  • 観光客のマナー違反:56.3%

4項目のうち、少なくとも1項目で迷惑を感じている人は79.9%に達した。

2024年調査との比較では、観光地の混雑は71.4%から70.6%、公共交通機関の混雑は67.0%から63.8%、道路渋滞は60.3%から55.9%にそれぞれ低下した。一方、マナー違反は55.0%から56.3%に上昇している。

交通面では一定の改善が見られるものの、観光客の行動に関する不満は依然として根強い。

観光を歓迎する市民と、負担を感じる市民が共存

興味深いのは、市民の多くが観光を全面的に否定しているわけではない点だ。

同調査では、京都市の発展に観光が重要な役割を果たしていると回答した人が70.1%、京都市が観光で評価されることを誇りに感じる人が65.2%だった。また、京都市に愛着があると回答した人は73.8%となっている。

つまり、観光の経済的・文化的な価値を認めながらも、自分たちの生活空間が混雑によって圧迫されることには不満を抱いているのだ。

観光によって京都の文化財や伝統産業に注目が集まることと、通勤・通学で使うバスに乗りにくくなることは、住民にとって別々の問題ではない。観光振興の恩恵と生活上の負担を同時に考える必要がある。

改善を感じる市民は約3割にとどまる

2025年調査では、前年と比べて観光課題が改善・緩和したと思うかという質問も新たに設けられた。

  • 観光地周辺の混雑が改善した:31.0%
  • バス・地下鉄の混雑が改善した:32.7%
  • 道路渋滞が改善した:29.2%
  • 観光客のマナー違反が改善した:28.7%

いずれも改善を感じる回答が一定数存在する一方、7割前後は明確な改善を実感していない計算になる。

ただし、これは住民の体感を尋ねた調査であり、交通量や待ち時間が同じ割合で減少したという意味ではない。観光対策の成果を測るには、実際の交通データと市民意識の両方を追う必要がある。

【観光地別】清水寺・嵐山・祇園・伏見稲荷で続く混雑問題

京都の観光公害には、観光客が市内全域に均等に分散せず、特定のエリアと時間帯に集中するという特徴がある。

とりわけ、東山、嵐山、祇園、伏見稲荷周辺は、京都市が観光課題への地域別対策を進めている主要エリアだ。

東山・清水寺周辺:狭い道路とバス需要が集中

清水寺周辺は、京都を代表する観光スポットであり、東山エリアの混雑を象徴する場所だ。

清水坂や五条坂周辺には、観光客だけでなく、路線バス、タクシー、観光バス、地域住民の車両も集まる。道路の幅員や交差点の構造に制約があるため、観光客が増えると歩行者と車両の双方で混雑が発生しやすい。

2026年11月には、東山五条周辺で交通規制を実施する。11月21日から23日、28日、29日の5日間は、周辺道路の右折・左折進入を制限するほか、大谷本廟前のタクシー乗り場も一時閉鎖する。

京都市は、東大路通南行の混雑がなお残っていることから、堀川通への迂回誘導も強化している。これは、従来の規制だけでは渋滞を十分に解消できていないことを示す動きでもある。

嵐山:竹林の小径に集中する観光客を周辺へ誘導

嵐山では、渡月橋、竹林の小径、長辻通周辺に観光客が集中しやすい。

特に竹林の小径は、写真撮影を目的とした来訪者が多く、限られた歩行空間に人が集まることで、歩行者の流れが滞りやすい。

2026年秋の対策では、11月21日から23日、28日、29日に長辻通の一部を歩行者用道路とする時間帯を設ける。また、竹林の小径の大河内山荘前に案内誘導員を配置し、観光客を奥嵯峨や嵐山公園亀山地区へ誘導する。

この取り組みの特徴は、単に観光客を規制するのではなく、近隣の別の観光エリアへ人の流れを移すことにある。

人気スポットへの集中を緩和しながら、地域全体を楽しんでもらうという分散観光の考え方だ。

祇園:観光マナー違反が地域との摩擦を生む

祇園では、歴史ある町並みや花街の文化を求める観光客が多い一方、住民や地域関係者の日常生活と観光行動の境界が問題になりやすい。

写真撮影をめぐるトラブルや、撮影禁止の場所での撮影、地域のルールを理解しない行動などは、観光客と地域住民の摩擦につながる。

京都観光モラルでは、地域の習慣を尊重すること、撮影禁止の注意書きを確認すること、地域の人々の暮らしを思いやることなどを観光客に呼びかけている。

祇園を単なる撮影スポットとして扱うのではなく、現在も人々が生活し、文化を継承している地域として理解することが求められる。

伏見稲荷周辺:参道・駅周辺への人の集中

伏見稲荷大社周辺も、京都市が地域別の観光課題対策の対象として挙げているエリアだ。

千本鳥居をはじめとする象徴的な景観が国内外で広く知られ、参拝客や観光客が特定の時間帯に集中しやすい。

参道や周辺道路、駅へのアクセス動線に人が集まれば、飲食店や商店の利用者、地域住民の移動にも影響が及ぶ。

東山や嵐山と同じく、人気スポットだけを目的地とする旅行から、周辺地域にも立ち寄る周遊型の観光へと転換できるかが課題となる。

【京都オーバーツーリズム対策2026】観光特急バスと分散観光の効果・課題

京都市は2025年秋から2026年にかけて、観光地の分散化、道路渋滞の緩和、市バスの混雑対策、手ぶら観光の推進、観光マナーの啓発などを進めている。

2026年2月17日に発表された京都市の取り組み結果では、2025年秋の対策について、市民生活と観光の調和・両立に一定の寄与があったとの認識が示された。一方で、市民の約8割が混雑やマナー違反に迷惑していることから、継続的な対策が必要とされている。

観光特急バスで市民利用と観光利用を分ける

交通対策の中心となるのが、2024年6月から運行されている「観光特急バス」だ。

京都駅と東山の主要観光地を結ぶ路線で、一般の市バスとは異なる運賃体系を採用している。観光客が観光特急バスを利用することで、市民の日常利用が多い一般路線への集中を緩和する狙いがある。

2026年10月時点の運賃は、大人500円、小児250円。EX100号系統は京都駅前から五条坂、清水道、祇園、岡崎公園、銀閣寺前方面へ向かい、EX101号系統は京都駅前と五条坂を結ぶ。

さらに2026年春には、利用状況を踏まえて運行パターンを見直した。利用の少ない時間帯の便を再編し、輸送力をより効率的に配分する取り組みを進めている。

2026年秋は市バスの増発とデジタル案内を強化

2026年10月31日から11月29日までの土曜日・休日には、市バスの混雑対策が実施されている。

東山方面では、京都駅から清水寺・祇園方面に向かう便を、観光特急バスや106号・206号系統などと組み合わせて運行する。利用が多い午前9時から11時台には、対象路線を合わせて3~4分間隔で運行する体制を整えている。

また、清水道や金閣寺道などの観光地最寄りのバス停では、リアルタイムの運行情報を確認できる「ポケロケplus+」を活用し、比較的混雑していないバスや観光特急バスへの誘導を行う。

観光特急バスの認知度を高めるため、2026年10月9日から12月13日まで、国内外の旅行検討者に向けた動画広告も配信されている。東京駅などでのPRや多言語での情報発信も進められている。

2026年秋の対策と対象エリアの関係

京都市が進める対策は、観光客の移動経路、訪問先、交通手段、地域のマナーという複数の課題に対応している。

対象エリア・施策 主な取り組み 期待される効果と残る課題
京都駅・東山 観光特急バス、臨時便の増発、運行案内 一般路線の混雑緩和。利用者の認知度向上が課題
清水寺・東山五条 臨時交通規制、迂回誘導、タクシー乗り場の運用変更 車両の滞留を抑制。周辺道路への影響にも注意が必要
嵐山 長辻通の歩行者専用化、竹林周辺から奥嵯峨への誘導 特定の観光スポットへの集中緩和
祇園 観光マナー啓発、地域ルールの周知 生活空間と観光行動の摩擦軽減
伏見稲荷周辺 地域別の観光課題対策、分散観光の推進 参道・周辺地域への集中緩和
市内周辺部 洛西、山科・醍醐などへの誘客 市内観光の広域化と新たな観光需要の創出

特に注目したいのは、2026年秋からの周遊観光の強化だ。京都市は「まるっと京都」の新サイトやスタンプラリーなどを通じて、京都市内の中心観光地だけでなく、山科・醍醐や滋賀方面を含む広域観光を促進している。

一方、施策を実施したことと、混雑が実際に解消されたことは同じではない。観光特急バスの利用者数、一般路線の混雑率、道路の所要時間、周辺地域への観光客の移動状況など、効果を定量的に検証することが今後の課題となる。

【京都市の宿泊税】2026年3月の税額改正と観光公害対策への使い道

京都市がオーバーツーリズム対策を進めるうえで、財源の確保も重要なテーマだ。その中心の一つが、2018年10月に導入された宿泊税である。

2026年3月1日から宿泊税を5段階に改正

京都市では2026年3月1日の宿泊分から、新しい税率が適用されている。従来の税率と比べ、特に高額宿泊施設を利用する人の負担が大きくなった。

2026年3月以降の宿泊税は、1人1泊あたり次のとおりだ。

  • 宿泊料金6,000円未満:200円
  • 6,000円以上20,000円未満:400円
  • 20,000円以上50,000円未満:1,000円
  • 50,000円以上100,000円未満:4,000円
  • 100,000円以上:10,000円

宿泊料金は、食事代や消費税などを除き、サービス料を含む金額を基準とする。

改正前は、宿泊料金20,000円以上50,000円未満の区分が500円、50,000円以上100,000円未満が1,000円だった。今回の改正では、宿泊料金に応じて負担を段階的に引き上げる仕組みになった。

宿泊税は何に使われるのか

京都市の公式説明によると、宿泊税は国際文化観光都市としての魅力を高め、観光振興を図るための施策に活用されている。

2026年度についても、宿泊税を活用する主な事業や活用状況の全体像が公表されており、税率見直しによる効果を含めた情報公開が進められている。

重要なのは、宿泊税が単に観光客を増やすための宣伝費ではないという点だ。京都の文化や景観を守り、観光地としての環境を維持し、市民と観光客の双方にとって利用しやすい都市をつくるための財源として考える必要がある。

ただし、宿泊税の引き上げだけで観光公害が解決するわけではない。税収が交通対策や地域の環境整備にどの程度充当され、どのような改善につながったのかを継続的に説明することが、住民の納得を得るうえで欠かせない。

【京都観光モラルとツーリストシップ】観光客にも求められる責任ある行動

オーバーツーリズムの解決を行政の交通規制や施設整備だけに任せることには限界がある。訪問する側にも、地域の暮らしや文化を尊重する姿勢が求められる。

京都観光モラルが掲げる4つの行動基準

京都市観光協会が推進する「京都観光行動基準(京都観光モラル)」では、観光客、事業者、市民がともに持続可能な京都観光をつくるという考え方が示されている。

観光客向けの行動基準は、主に次の4つに整理できる。

  • 地域を思いやる:市民の暮らしや地域のルール、習慣を尊重する。
  • 環境と美しい街を守る:ごみを捨てない、景観や自然環境に配慮する。
  • 人とふれあう:地域の人との交流を通じて歴史や文化を学ぶ。
  • もしもに備える:混雑を避ける計画を立て、安全に行動する。

具体的には、撮影禁止の表示を確認すること、マイバッグやマイボトルを活用すること、ごみを持ち帰ること、宿泊先で地域のおすすめ観光地を尋ねることなどが推奨されている。

ツーリストシップとは何か

ツーリストシップとは、旅行者が訪問先の地域や文化、そこに暮らす人々に敬意を払い、責任ある行動を取るという考え方だ。

観光客は地域のサービスを消費するだけの存在ではない。地域の文化を学び、地元の店舗を利用し、地域のルールを守ることで、観光地の持続可能性に貢献できる。

例えば、祇園で撮影する際には、撮影禁止の表示や地域のルールを確認する。清水寺や伏見稲荷では、通行の妨げにならない場所で写真を撮る。嵐山では、竹林の小径だけに滞在せず、周辺の地域にも足を延ばす。

こうした行動は一つひとつが小さくても、観光客が増えるほど地域に与える効果は大きくなる。

混雑を避けながら京都を楽しむ旅行者の判断基準

2026年に京都を訪れる場合、旅行者自身が時間・場所・交通手段を工夫することも、オーバーツーリズム対策につながる。

  • 時間をずらす:人気観光地への訪問をピーク時間帯から外す。
  • 場所を分散する:有名観光地だけでなく、周辺エリアや市内周辺部も訪れる。
  • 交通手段を選ぶ:鉄道と徒歩を組み合わせ、市バスへの過度な依存を避ける。
  • 手荷物を減らす:大型荷物を持って混雑した公共交通機関に乗らない。
  • 地域のルールを守る:撮影禁止区域や私有地への立ち入り制限を尊重する。

特に、京都駅から清水寺方面へ移動する際には、観光特急バスや地下鉄を組み合わせたルートを検討するとよい。目的地までの最短距離だけでなく、地域住民の生活交通と重ならない移動方法を選ぶ視点も大切だ。

【プロの結論】京都の観光客数と市民生活は両立できるのか?残された3つの課題

2026年の京都観光を評価すると、行政の取り組みは確実に多様化している。観光特急バス、交通規制、リアルタイム案内、広域観光、観光モラルの啓発など、以前よりも幅広い対策が実施されている。

一方、2025年の観光客数は6,279万人に達し、市民の79.9%が混雑やマナー問題などによる迷惑を感じている。現状を「オーバーツーリズムが解消した」と評価するのは早い。

課題1:観光客の総数よりも集中する場所と時間を管理する

京都の問題は、観光客が多いことだけではない。特定の時間帯に、特定の場所へ観光客が集中することにある。

例えば、嵐山の竹林の小径に人が集中しているとき、近隣の奥嵯峨や嵐山公園亀山地区に人を誘導できれば、地域全体の観光需要を維持しながら混雑を緩和できる可能性がある。

観光客の数を一律に抑制するのではなく、時間帯・訪問先・移動経路を調整することが、京都のような歴史都市には適している。

課題2:観光による経済的な恩恵を地域住民に還元する

2025年の観光消費額は2兆474億円に達した。しかし、市民意識調査で「売上の増加や給与などへの好影響につながっている」と感じている人は17.7%にとどまる。

観光消費が増えても、その利益が地域住民の生活向上や地元事業者の収益改善につながらなければ、観光への理解は深まりにくい。

地域の商店や伝統産業への消費を促すこと、観光関連の雇用環境を改善すること、宿泊税を地域の環境整備に活用することが、観光と生活の両立に必要になる。

課題3:対策の実施件数ではなく、実際の改善効果を測る

観光特急バスを運行した、道路規制を実施した、観光客向けの広告を配信したという事実だけでは、対策の成否は判断できない。

今後は、一般市バスの混雑率や乗車待ち時間、観光地周辺の歩行者密度、道路の所要時間、市民の迷惑経験率などを継続的に比較することが重要になる。

また、観光客の分散化によって、混雑が別の地域に移っただけではないかという検証も欠かせない。観光地の一部だけが改善しても、新たな生活上の問題を別の地域に生み出せば、持続可能な観光とはいえない。

【プロの結論】成功の基準は観光客数ではなく、京都の暮らしを守れているか

京都のオーバーツーリズム問題には、単純な正解がない。観光客が減れば経済への影響が生じる一方、観光客が増え続ければ、交通や地域生活への負担が大きくなる。

だからこそ、今後の京都観光政策では、観光消費額や宿泊者数だけでなく、市民が日常生活を不自由なく送れているかを同じ重要度で評価する必要がある。

2026年の京都は、対策を実施する段階から、その成果を測り、改善する段階へ移行しつつある。観光特急バスや嵐山の分散誘導がどれだけ実際の混雑緩和につながるか、宿泊税が地域の環境整備にどれだけ還元されるかが、今後の評価を左右する。

京都が目指すべきなのは、観光客を排除する都市でも、観光客の利便性だけを優先する都市でもない。訪れる人が京都の文化を楽しみ、住む人がこれまでどおり安心して暮らせる都市である。

【京都のオーバーツーリズム】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:京都のオーバーツーリズムは2026年現在、改善していますか?
A1:一定の改善は見られるものの、解消には至っていません。2025年の市民意識調査では、79.9%が混雑やマナー違反などのいずれかに迷惑していると回答しています。一方、バス混雑や道路渋滞への不満は前年より低下しており、対策の効果も一部に表れています。

Q2:京都で最もオーバーツーリズムが深刻な場所はどこですか?
A2:東山・清水寺周辺、嵐山、祇園、伏見稲荷周辺などが代表的な観光課題への対策対象です。特に清水寺周辺では道路とバスの混雑、嵐山では竹林の小径周辺への観光客の集中、祇園では観光マナーと地域生活の摩擦が課題になっています。

Q3:京都市の観光客数は2025年に何人でしたか?
A3:京都市の2025年京都観光総合調査によると、年間観光客数は6,279万人です。内訳は日帰り客4,620万2,000人、宿泊客1,658万5,000人です。なお、この統計には観光目的以外の買い物や仕事、イベントなどで訪れた市外在住者も含まれます。

Q4:京都市バスの混雑対策には何がありますか?
A4:観光特急バスの運行、臨時便の増発、運行情報の案内、地下鉄への利用誘導などがあります。2026年秋には、東山方面の午前9時から11時台に対象便を3~4分間隔で運行する取り組みも実施されています。

Q5:京都市の宿泊税はいくらですか?
A5:2026年3月1日から、1人1泊あたり200円、400円、1,000円、4,000円、10,000円の5段階になっています。宿泊料金に応じて税額が決まり、税収は京都市の観光振興施策などに活用されています。

Q6:観光客が京都のオーバーツーリズム対策に協力する方法は?
A6:混雑時間帯を避ける、鉄道を積極的に利用する、観光特急バスを活用する、周辺地域にも足を延ばす、ごみを持ち帰る、撮影禁止の場所で撮影しないなどの行動が挙げられます。京都観光モラルを意識した旅行が、地域との共存につながります。

まとめ:京都のオーバーツーリズムは2026年も改善途上、持続可能な観光へ

京都のオーバーツーリズムは、2026年に入って交通対策や観光客の分散化などが進み、改善に向けた動きが具体化している。しかし、2025年の年間観光客数は6,279万人、市民の迷惑経験率は79.9%という結果が示すように、問題は依然として大きい。

特に、清水寺周辺の交通混雑、嵐山の観光客集中、祇園のマナー問題、伏見稲荷周辺の人流管理など、地域ごとに異なる課題への対応が必要だ。

2026年秋の観光特急バスや交通規制、宿泊税の活用、京都観光モラルの普及が、どこまで具体的な改善につながるかが今後の焦点となる。

京都の魅力は、寺社や景観だけではない。そこに暮らす人々の日常や、長い年月をかけて受け継がれてきた文化も含めて京都の価値である。観光客数の拡大だけを追い求めず、市民生活と観光の両立を実現できるか。それが、2026年以降の京都観光に問われている。

主な検証資料: 京都市「令和7年(2025年)京都観光総合調査」(2026年6月12日公表)、京都市「令和7年京都観光に関する市民意識調査」(2025年12月24日公表)、京都市観光協会「データ年報2025」、京都市「令和8年秋の観光課題対策」、京都市交通局の2026年秋の市バス混雑対策、京都観光モラル公式資料。

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桐島 奈緒

芸能担当デスクとして14年。所属事務所の公式リリース、番組公式サイト、配信サービスの告知を一次情報として照合し、出典の確認できない話は記事にしません。

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