2026年の夏は、全国的に見ても記録的な暑さだったのか。気象庁が公表した2026年6〜8月の観測データを確認すると、日本の夏の平均気温は平年差+1.02℃となり、1898年の統計開始以降で歴代5位の高温を記録した。西日本では1946年の統計開始以降で3番目に高く、最高気温40℃以上の「酷暑日」も延べ36地点に達している。
ただし、全国平均の暑さだけを見ると、2025年のほうが厳しかった。2025年は平年差+2.36℃で観測史上最高を記録した一方、2026年は40℃以上を観測した延べ地点数で2025年を上回った。偏西風の蛇行、チベット高気圧と太平洋高気圧の影響、エルニーニョ現象、地球温暖化など、複数の要因が重なった2026年夏。その実態を気象庁の公式資料から検証する。
【結論】2026年の夏は暑かった?気象庁の6〜8月データで実態を検証

2026年の夏は、客観的な気象データから見ても、かなり暑い夏だった。全国平均気温の平年差は+1.02℃。1898年から続く統計の中で5番目に高く、歴史的な高温の夏に数えられる。
ここでいう平年差とは、1991〜2020年の30年間の平均値を基準に、実際の気温がどれだけ高かったかを示す数値だ。+1.02℃という数字は、全国の夏の平均気温が平年より約1℃高かったことを意味する。
気象庁の「日本の季節平均気温」によると、2026年より高い記録を持つのは、2025年、2024年、2023年、2010年。2024年と2023年は同率2位となっている。
つまり、2026年は前年の記録的な高温には及ばなかったものの、歴代上位に入る暑さだった。特に西日本では全国平均以上に厳しい状況が続いた。
2026年夏の平均気温ランキング日本の夏(6〜8月)の平均気温偏差を高い順に並べると、次のようになる。
- 1位:2025年 平年差+2.36℃
- 2位:2024年・2023年 平年差+1.76℃
- 4位:2010年 平年差+1.08℃
- 5位:2026年 平年差+1.02℃
2026年の+1.02℃は、4位の2010年との差がわずか0.06℃。近年の高温傾向が一時的な現象ではなく、長期的な気候変化の中で起きていることも読み取れる。
気象庁によると、日本の夏の平均気温は100年あたり1.41℃の割合で上昇している。年ごとの変動はあるものの、長期的には夏の高温化が進んでいる。
なお、このランキングは都市別の最高気温ランキングではない。全国の平均気温を対象とした季節統計であり、特定の地域で40℃を記録したかどうかとは別の指標だ。
【2025年と2026年を比較】全国平均は前年より低いのに40℃以上は増加
2026年の夏を評価するうえで欠かせないのが、前年の2025年との比較だ。両年のデータを並べると、全国平均の暑さと極端な高温の発生状況が必ずしも一致しないことが分かる。
気象庁の公表資料や気象データを基に整理すると、主な違いは以下のとおりだ。
| 比較項目 | 2025年夏 | 2026年夏 |
|---|---|---|
| 全国平均気温の平年差 | +2.36℃ | +1.02℃ |
| 全国平均気温の順位 | 観測史上1位 | 観測史上5位 |
| 猛暑日(35℃以上) | 延べ9,385地点 | 延べ約7,500地点 |
| 酷暑日(40℃以上) | 延べ30地点 | 延べ36地点 |
| 40℃以上の観測状況 | 2025年当時の最多記録 | 比較可能な2010年以降で最多 |
※猛暑日・酷暑日の地点数は、同じ観測地点で複数日に観測された場合も加算する延べ数。2026年の猛暑日は公表資料により集計値に1地点の差があるため、ここでは約7,500地点としている。
全国的な暑さでは2025年が上回った最初に、全国平均気温の比較では2025年が明確に上回っている。2025年は平年差+2.36℃で観測史上最高を記録した。2026年の+1.02℃も歴代5位の高温だが、前年ほど広範囲に高温が続いたわけではない。
猛暑日についても、2025年は延べ9,385地点に達していた。2026年は約7,500地点で、2025年と比べると減少している。全国的に35℃以上の気温が観測される頻度という点では、2025年のほうが厳しかった。
40℃以上の極端な暑さは2026年が上回った一方、40℃以上の酷暑日に注目すると、状況は逆転する。
2025年の酷暑日は延べ30地点だったのに対し、2026年は延べ36地点。比較可能な2010年以降で最多となった。
つまり、2026年は35℃以上の猛暑日が全国的に広がる頻度では前年を下回ったものの、一部地域では40℃以上という極端な高温が発生した夏だった。
この違いは、夏の暑さを評価するときに平均気温だけを見てはいけない理由でもある。全国平均が低くても、特定地域では生命に関わるほどの高温が発生する可能性があるからだ。
【地域別の気温差】西日本は1946年以降3位、沖縄・奄美は平年並み
2026年夏の大きな特徴は、地域によって暑さの程度が異なったことだ。
気象庁の地域平均気候表では、北日本と西日本の平均気温は平年差+1.2℃、東日本は+0.8℃、沖縄・奄美は0.0℃だった。
全国平均では+1.02℃という高温でも、沖縄・奄美は平年並み。日本列島全体が一様に暑かったわけではない。
西日本は夏を通じて厳しい高温が続いた特に深刻だったのが西日本だ。夏の平均気温は1946年の統計開始以降で3番目に高い記録となった。
7月中旬と下旬には、それぞれ統計開始以来の最高気温となる平均気温を記録。8月下旬にも西日本で観測史上1位の高温となった。
梅雨明け以降は雨の少ない状態が続き、晴天による日射も加わって、厳しい暑さが長引いた。8月の九州北部地方では、降水量が1946年以降で最も少なくなった。
高温と少雨が同時に進んだことは、農業や水資源、屋外で働く人々にとっても大きな負担となる。
北日本も平年を大きく上回る高温北日本の夏平均気温も平年差+1.2℃で、気象庁の分類では「かなり高い」に該当した。
7月中旬には北日本でも1955年と並ぶ高温記録となった。北海道や東北でも、夏の暑さが例外的なものではなくなっていることがうかがえる。
東日本は暑さと大雨が同居東日本の平均気温は平年差+0.8℃で高かった。ただし、西日本と同じように夏を通じて晴天と高温が続いたわけではない。
東日本太平洋側の降水量は平年比124%で、かなり多かった。台風第6号、第15号などの影響に加え、8月には令和8年8月千葉豪雨が発生した。
気温が高い一方で、豪雨にも見舞われた地域があった点は2026年夏の特徴だ。
沖縄・奄美は全国平均と異なる傾向沖縄・奄美の平均気温は平年差0.0℃で、全国の高温傾向とは異なる結果だった。
6月には梅雨前線や台風、8月には複数の台風や湿った空気の影響を受けやすく、降水量は平年比148%となった。
同じ日本の夏でも、地域によって気温や降水量が大きく異なる。2026年のデータは、全国一律の暑さ対策だけでは不十分であることを示している。
【2026年夏の猛暑の原因】偏西風の蛇行と2つの高気圧が重なった
2026年の高温を理解するためには、地上の気温だけでなく、上空の大気の流れを見る必要がある。
気象庁の異常気象分析検討会が2026年9月1日に公表した分析では、日本付近の偏西風が大きく蛇行し、平年より北側を流れやすかったことが重要な背景として挙げられている。
偏西風が北に蛇行すると何が起きるのか偏西風は、地球の中緯度地域の上空を西から東へ吹く強い風だ。日本付近の天候や気温にも大きな影響を及ぼす。
2026年夏は、この偏西風が日本付近で北側に蛇行する時期があった。その結果、西日本付近では暖かい空気に覆われやすくなり、上空の高気圧が強まった。
高気圧の勢力が強いと、下降気流が発生しやすい。上空から下降した空気は、地表に近づくにつれて気圧が高くなり、圧縮されて温度が上昇する。これが断熱昇温と呼ばれる現象だ。
さらに晴天が続けば、強い日射によって地表付近の気温も上昇する。こうした大気の状態が重なり、西日本を中心に記録的な高温が発生した。
チベット高気圧と太平洋高気圧の役割2026年の猛暑では、上空のチベット高気圧と下層の太平洋高気圧の双方が関係していた。
チベット高気圧は、上空の高い層に広がる高気圧だ。2026年夏は偏西風の北への蛇行に伴って西日本付近に張り出し、背の高い高気圧に覆われる状態を生み出した。
一方、太平洋高気圧は日本の南西諸島付近で強まり、その縁辺を回る暖かい空気が西日本方面に流れ込んだ。
つまり、上空ではチベット高気圧に伴う下降気流、下層では太平洋高気圧の縁辺から流れ込む暖気が作用した。これらが強い日射と重なり、気温を押し上げたのである。
2026年のエルニーニョ現象は猛暑とどう関係した?もう一つ注目されたのが、2026年春から発生しているとみられるエルニーニョ現象だ。
気象庁の分析によると、2026年7月の太平洋赤道域東部の海面水温は、基準値との差が+2.5℃となった。1997年と並び、7月として過去最大級の顕著なエルニーニョ現象だった。
エルニーニョ現象は、太平洋赤道域の海面水温が平年より高くなる現象で、熱帯域の対流活動や大気の循環に影響する。
2026年夏は偏東風波動の活動が活発となり、台風の発生数は17個に達した。平年値の11.0個を大きく上回り、1951年の統計開始以降で3位タイの多さだった。
ただし、エルニーニョ現象だけで日本の猛暑を説明することはできない。気象庁は、ユーラシア大陸の中緯度帯で偏西風が北側を流れたことなど、過去のエルニーニョ発生時とは異なる大気の特徴も指摘している。
エルニーニョ現象は2026年夏の大気循環を考えるうえで重要だが、西日本の記録的高温については、偏西風の蛇行や高気圧の配置などを合わせて考える必要がある。
【地球温暖化の影響】2026年の猛暑は自然現象だけでは説明できない
2026年夏の高温について、もう一つ重要なのが地球温暖化の影響だ。
偏西風の蛇行や高気圧の張り出しは、年によって変化する自然の大気現象である。しかし、地球全体の気温が上昇していると、同じような大気の配置が発生しても、過去より高い気温になりやすい。
気象庁が公表した2026年夏の異常気象分析では、7月中旬から8月上旬にかけての西日本の高温について、イベント・アトリビューション解析を実施した。
その結果、地球温暖化がなかったと仮定した場合、この時期の西日本の高温はほぼ発生し得なかったことが示された。
これは、単に温暖化が進んでいるという一般論ではない。2026年に実際に起きた特定の高温現象について、温暖化の影響を気候モデルによって分析した結果である。
暑さの背景には長期的な気温上昇がある気象庁が公表している日本の季節平均気温のデータでは、日本の夏の平均気温は100年あたり1.41℃上昇している。
2026年の平年差+1.02℃という数字は、こうした長期的な気温上昇の傾向と無関係ではない。
毎年同じ強さの猛暑になるわけではないものの、地球温暖化によって気温の土台が高くなれば、自然の大気循環による高温が重なったときに、極端な暑さが発生しやすくなる。
「2026年は2025年より暑かった」という認識は正しい?ここで、2026年夏について誤解しやすいポイントを整理しておきたい。
40℃以上の観測地点数が増えたため、2026年のほうが2025年より暑かったと感じる人もいるかもしれない。しかし、全国平均気温の平年差では2025年の+2.36℃に対して、2026年は+1.02℃だった。
全国的な高温の持続という意味では2025年が上回り、局地的な極端高温の発生という意味では2026年が上回った。この2つは異なる評価軸である。
また、40℃以上の延べ36地点は、36か所の異なる市町村で一度ずつ観測されたという意味ではない。同じ観測地点で複数日に40℃以上を記録すれば、その日数分が加算される。
なお、2026年4月17日、気象庁は最高気温40℃以上の日の名称を「酷暑日」と正式に決定した。35℃以上の「猛暑日」と区別して情報発信することで、極端な高温への警戒を呼びかけている。
これからの夏に向けて注目したい判断基準夏の暑さを正確に把握するには、次の3つの指標を組み合わせて見ることが大切だ。
- 全国平均気温の平年差:その年の夏が全国的にどれほど高温だったかを確認する。
- 猛暑日・酷暑日の延べ地点数:35℃以上や40℃以上の極端な暑さがどの程度発生したかを確認する。
- 地域別の気温・降水量:自分が暮らす地域で高温や少雨、大雨がどのように発生したかを確認する。
2026年のように、全国平均は前年より低くても、40℃以上の観測が増える年はある。全国順位だけで自分の地域の暑さを判断しないことが重要だ。
2026年の夏はすでに終わっているが、長期的な気温上昇傾向を考えると、今後も熱中症対策や屋外活動の時間調整、冷房の適切な使用など、暑さへの備えが欠かせない。
【2026年の夏暑い問題】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年の夏は観測史上何番目に暑かった?
A1:全国平均気温の平年差は+1.02℃で、1898年の統計開始以降5番目の高温だった。西日本は1946年以降で3番目に高い夏となった。
Q2:2026年と2025年では、どちらの夏が暑かった?
A2:全国平均気温では2025年のほうが暑かった。2025年は平年差+2.36℃で観測史上1位、2026年は+1.02℃で5位だった。ただし、40℃以上の酷暑日は2025年の延べ30地点に対して、2026年は延べ36地点となり、2026年のほうが多かった。
Q3:2026年に40℃以上の酷暑日を観測した地点数は?
A3:全国で延べ36地点だった。比較可能な2010年以降で最多となった。7月下旬から8月初めにかけて東日本・西日本で厳しい暑さとなり、8月下旬にも九州で酷暑日が観測された。
まとめ:2026年夏の暑さから見える今後の気温上昇と備え
2026年の夏は、全国平均気温の平年差+1.02℃で観測史上5位という、歴史的に見ても暑い夏だった。
特に西日本では1946年以降3位の高温となり、40℃以上の酷暑日は延べ36地点に達した。全国平均では2025年に及ばなかったものの、極端な高温の発生という点では過去最多を更新している。
その背景には、偏西風の北への蛇行、チベット高気圧と太平洋高気圧の影響、エルニーニョ現象、地球温暖化による気温の底上げがあった。単一の原因ではなく、複数の気象要因が重なった結果だ。
特に注目したいのは、気象庁の分析で、2026年7月中旬から8月上旬の西日本の高温が、地球温暖化のない条件ではほぼ発生し得なかったと示された点である。
これからの夏を判断するときは、全国平均気温だけでなく、35℃以上の猛暑日、40℃以上の酷暑日、地域ごとの気温差にも目を向けたい。2026年の記録は、極端な暑さへの備えを毎年の生活に組み込む必要性を改めて示している。
主な根拠資料: 気象庁「日本の季節平均気温」「2026年夏(6月〜8月)の天候」「令和8年夏を対象とした異常気象分析検討会の結果について」「最高気温が40℃以上の日の名称を『酷暑日』に決定」。