キラキラネームとは、一般的な名前とは異なる珍しい読み方や、漢字の意味・イメージを利用した独創的な読み方、当て字などを用いた名前を指す言葉です。たとえば「光宙(ぴかちゅう)」「黄熊(ぷう)」「騎士(ないと)」などが、メディアで代表的な例として紹介されてきました。ただし、キラキラネームには法律上の明確な定義がなく、珍しい名前すべてが該当するわけではありません。
2026年11月現在、このテーマを理解するうえで欠かせないのが、2025年5月26日に施行された改正戸籍法です。戸籍に氏名のフリガナを記載する制度が始まり、新しく出生届を提出する子どもの名前には、読み方について一定のルールが設けられました。心理学の研究、名前ランキング、歴史的背景、社会的なメリット・デメリットを整理しながら、キラキラネームの実態と現在の命名基準を解説します。
【まず知っておきたい】キラキラネームとは?意味・定義と一般的な名前との違い

キラキラネームは、漢字の一般的な音読み・訓読みから離れた読み方や、外国語、キャラクター、独特のイメージなどを取り入れた個性的な名前を指す俗称です。
一般的には、次のような特徴を持つ名前が該当するとされています。
- 漢字の一般的な読み方とは異なる読み方を採用している。
- 漢字の意味やイメージから独自の読み方を作っている。
- 外国語や英語の発音を漢字に当てはめている。
- アニメ、漫画、ゲームなどのキャラクターに由来している。
- 一般的な人名ではあまり使われない単語を名前に取り入れている。
- 漢字の組み合わせから読み方を推測しにくい。
たとえば「騎士」と書いて「ないと」と読む場合、漢字の意味と英語のKnight(ナイト)のイメージを組み合わせています。
このような名前は、漢字の一般的な読み方だけでは判断できないため、初対面の人から読み方を尋ねられる機会が多くなります。
キラキラネームには統一された定義がない実は、キラキラネームという言葉には、辞書や学術研究の間でも完全に統一された定義がありません。
青山学院大学の荻原祐二准教授は、2022年の学術論文「キラキラネームの定義とその構成要素」で、複数の辞典・事典を比較し、定義に含まれる要素を整理しています。
研究で示された主な構成要素は次の4つです。
1. 頻度が低い名前: 同年代の子どもに同じ名前が少ない。
2. 伝統から逸脱した名前: 従来の命名習慣とは異なる特徴を持つ。
3. 読むことが難しい名前: 漢字から一般的な読み方を推測しにくい。
4. 肯定的または中立的な文脈: 個性的な名前を肯定的、あるいは中立的に扱う場合がある。
特に重要なのは、広い意味では「珍しい名前」がキラキラネームに含まれる一方、狭い意味では難読性や伝統からの逸脱など、複数の特徴を備えた名前を指すことです。
つまり、珍しい漢字を使った名前だからといって、必ずしもキラキラネームと判断されるわけではありません。
キラキラネームとDQNネームの違いキラキラネームと似た言葉に「DQNネーム」があります。
両者は珍しい名前や一般的な読み方から外れた名前を指す場面で使われますが、ニュアンスが異なります。
- キラキラネーム: 個性的で華やかな名前という肯定的・中立的な意味合いもある。
- DQNネーム: 命名した親への批判や侮蔑を含むことが多いインターネット上の俗語。
DQNは「ドキュン」と読み、非常識な行動をする人などを指すネットスラングに由来します。
同じ名前であっても、使用する人や場面によって評価が変わるため、両者を完全な同義語として扱うことには注意が必要です。
【由来と歴史】キラキラネームはいつから増えた?広まった背景を解説
2000年代後半からインターネットを中心に広まったキラキラネームという呼称が広く知られるようになったのは、2000年代後半ごろです。
時事用語事典「イミダス」の2012年8月の記事では、キラキラネームを当て字や難読漢字などを使った独創的な名前と説明し、2000年代後半からインターネット上を中心に使われ始めた呼称として紹介しています。
その後、2012年11月発売の「現代用語の基礎知識2013」に掲載され、2012年の新語・流行語大賞にもノミネートされました。
この経緯は、荻原祐二氏が2023年に発表した論文「キラキラネームの定義と表記」でも確認されています。
つまり、キラキラネームという言葉自体が一般社会に浸透したのは、2010年代初頭だったと考えられます。
昔から珍しい読み方は存在していたただし、個性的な名前や一般的な音訓とは異なる読み方が、2000年代になって突然生まれたわけではありません。
日本には古くから、名前に特有の読み方である「名乗り訓」や、複数の漢字を組み合わせて特別な読み方を与える「熟字訓」などの文化があります。
名前に漢字の意味や願いを込める習慣も、長い歴史を持っています。
法務省が戸籍のフリガナ制度を検討する過程でも、日本の命名文化や名乗り訓が作られてきた歴史的経緯を踏まえ、幅広い読み方を認める必要性が議論されました。
そのため、珍しい読み方そのものを新しい現象と捉えるのではなく、従来の命名文化に、現代的な個性や外国語、メディア文化などが加わった変化として理解することが大切です。
キラキラネームの歴史的な転換点| 時期 | 出来事・社会的変化 | 意味・影響 |
|---|---|---|
| 2000年代後半 | インターネット上で呼称が広まる | 珍しい読み方や当て字が話題になる |
| 2012年 | 現代用語の基礎知識2013に掲載 | 社会一般に言葉が浸透する |
| 2010年代 | 名前の個性化をめぐる議論が活発化 | メリットとデメリットが注目される |
| 2022年 | 荻原祐二氏が定義・構成要素を学術的に整理 | 曖昧だった概念を研究対象として整理 |
| 2023年 | 改正戸籍法が成立・公布 | 戸籍へのフリガナ記載が制度化される |
| 2025年5月26日 | 戸籍のフリガナ制度が施行 | 新しい命名に読み方の基準が適用される |
| 2026年5月26日以降 | 既存戸籍へのフリガナ記載が順次進む | 氏名の読み方が戸籍上でも公証される |
このように、キラキラネームをめぐる議論は、単なる流行語から、個人のアイデンティティー、社会的評価、行政制度にも関係するテーマへと広がってきました。
【具体例一覧】キラキラネームの読み方・当て字にはどんなものがある?
キラキラネームの具体例を見ると、漢字の意味を利用するものから、外国語やキャラクターに由来するものまで、さまざまなタイプがあります。
ここでは、過去にメディアの特集などで紹介された代表例を整理します。なお、これらは紹介記事に掲載された例であり、すべての名前が同じ基準でキラキラネームに分類されるわけではありません。
男の子のキラキラネームの代表例| 名前の表記 | 読み方 | 読み方の特徴 |
|---|---|---|
| 光宙 | ぴかちゅう | キャラクターの名称に由来 |
| 黄熊 | ぷう | キャラクターの名称に由来 |
| 騎士 | ないと | 英語のKnightに由来 |
| 月 | らいと | 英語のLightのイメージ |
| 皇帝 | しいざあ | 英語のEmperorなどを連想させる読み |
| 頼音 | らいおん | 動物名・英語のLionに由来 |
| 輝星 | べが・だいや | 星や宝石を連想させる読み |
| 名前の表記 | 読み方 | 読み方の特徴 |
|---|---|---|
| 姫星 | きてぃ | キャラクターの名称に由来 |
| 今鹿 | なうしか | 映画作品の名称を連想させる読み |
| 緑輝 | さふぁいや | 宝石の名称に由来 |
| 天使 | えんじぇる | 英語のAngelに由来 |
| 紗音瑠 | しゃねる | ブランド名を連想させる読み |
| 姫凛 | ぷりん | 音のイメージを利用した読み |
| 心人 | はーと | 英語のHeartに由来 |
これらの例は、週刊女性PRIMEなどの特集記事でも取り上げられています。また、静岡朝日テレビの2022年の報道では、「光宙」を「ぴかちゅう」と読む例などが紹介され、実際に街頭で読み方を尋ねる企画も行われました。
キラキラネームに多い4つの読み方キラキラネームの読み方は、大きく4つのタイプに整理できます。
1. 外国語を漢字に当てはめるタイプ
英語や外国語の発音をもとに、意味やイメージが近い漢字を選ぶ方法です。
例として「騎士(ないと)」「天使(えんじぇる)」などがあります。
2. 漢字の意味から独自の読み方を作るタイプ
漢字が持つ意味や印象を、別の言葉に置き換えて読む方法です。
漢字の意味を重視する点では、親の願いを表現する命名方法の一つとも考えられます。
3. キャラクターや作品に由来するタイプ
アニメ、漫画、ゲームなどの登場人物やキャラクターの名前を取り入れる方法です。
好きな作品やキャラクターへの思い入れを、子どもの名前に反映させる特徴があります。
4. 複数の漢字を独自に組み合わせるタイプ
漢字の意味、音、見た目などを組み合わせ、一般的な辞書には掲載されていない読み方を作る方法です。
このタイプは、漢字を見ただけでは読み方を推測するのが難しい傾向があります。
珍しい名前ならすべてキラキラネームなのか?ここで誤解してはいけないのが、珍しい名前とキラキラネームは必ずしも同じではないという点です。
たとえば「翠(すい)」「湊(みなと)」「朔(さく)」などは、漢字一文字で個性的な印象を持つ名前ですが、一般的な読み方や漢字の意味との関連性があります。
また、人気ランキングに登場する名前であっても、漢字と読み方の組み合わせによっては珍しい印象を持たれる場合があります。
名前の珍しさ、読みやすさ、漢字との関連性は、それぞれ別の観点から考える必要があります。
【増えた理由と心理学的研究】キラキラネームの実態は?データから見える変化
個性的な名前は実際に増えているキラキラネームが増えているという話は、単なるインターネット上の印象論ではありません。
日本心理学会の機関誌「心理学ワールド」114号には、青山学院大学の荻原祐二准教授による「キラキラネームは本当に増えていますか?」という解説記事が掲載されています。
荻原氏は、明治安田生命とベネッセの赤ちゃんの名前ランキングを分析し、2004年から2018年にかけて、頻度の低い名前の割合が増加し、頻度の高い人気の名前の割合が低下したと説明しています。
加えて、地方自治体が発行する広報誌の出生欄を利用した分析でも、1979年から2018年にかけて、調査対象となったすべての自治体で、ほかの名前と重複しない個性的な名前の割合が増えていました。
異なる資料と分析方法で同じ傾向が確認されていることは、要点です。
ただし、ここでいう個性的な名前は、必ずしも難読なキラキラネームだけを意味するものではありません。
珍しい名前が増えたことと、極端に読みづらい名前が増えたことは、分けて考える必要があります。
個性的な名前が増えた5つの理由なぜ、親は従来の一般的な名前ではなく、個性的な名前を選ぶのでしょうか。
主な背景として、次の5つが考えられます。
1. 子どもに独自の個性を持たせたい
ほかの子どもと同じ名前を避け、自分の子どもならではの名前を贈りたいという考え方です。
2. 親の願いや価値観を名前に反映したい
漢字の意味、響き、自然、季節、将来への希望などを組み合わせることで、親の思いを名前に込められます。
3. 外国語や異文化の影響
英語などの外国語に由来する音や、国際的にも発音しやすい響きを取り入れる傾向です。
4. アニメ・漫画・ゲームなどの影響
好きな作品やキャラクターの名称を参考にすることで、従来の日本人名とは異なる発想が生まれます。
5. 個人主義的な価値観の広がり
荻原氏の研究では、個人の独立性や個性を重視する個人主義的な傾向が、個性的な名前の増加と関係していると説明されています。
また、個性的な名前の増加は日本だけではなく、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、中国などでも報告されています。
漢字よりも読み方で個性を表現する時代心理学研究で特に興味深いのが、漢字の表記と読み方を分けて分析した結果です。
荻原氏の解説によると、2004年から2018年の新生児の名前を分析した研究では、次のような結果が示されています。
- 「大翔」という表記には、少なくとも18種類の読み方が存在した。
- 「結愛」という表記には、少なくとも14種類の読み方が存在した。
つまり、漢字自体は一般的なものを使いながら、読み方によって独自性を生み出す傾向が見られたのです。
これは、キラキラネームを理解するうえで重要な視点です。
漢字が珍しいかどうかだけでは、名前の個性化を十分に説明できません。読み方の多様化も、同じくらい重要な要素になっています。
奇抜な名前は社会的な評価に影響するのかキラキラネームのメリット・デメリットを考えるうえで、心理学的な研究も参考になります。
2016年の日本認知心理学会第14回大会では、伊藤資浩氏、宮崎由樹氏、河原純一郎氏による「奇抜な名前が社会的評価の印象形成に及ぼす影響」という研究発表が行われました。
この研究では、人物の顔画像と名前を組み合わせて提示し、見る側が抱くリーダーシップ性の印象を調べています。
その結果、一般的な名前を提示した場合と比較して、奇抜な名前を提示した場合には、リーダーシップ性の評価が低くなる傾向が確認されました。
また、この影響は高齢者の顔画像を提示した条件で、より強く現れました。
ただし、これは特定の実験条件における印象評価です。
キラキラネームの持ち主が必ず就職で不利になる、社会的に成功できないといったことを証明した研究ではありません。
名前によって先入観が生まれる可能性と、本人の能力や実際の評価は、明確に区別する必要があります。
女性の名前で個性化が進んだという研究結果荻原氏の研究では、個性的な名前の増加は男女ともに見られましたが、女性の名前でより顕著だったことも指摘されています。
その背景として、女性の社会進出が進む中で、親が女の子に対しても個性や独立性をより強く期待するようになった可能性が示されています。
これは研究者による社会心理学的な考察であり、すべての家庭の命名理由を説明するものではありません。
それでも、名前の変化が社会の価値観やジェンダー観と結びついていることを考えるうえで、興味深い分析です。
【メリット・デメリット】キラキラネームの評判と子どもへの社会的影響
キラキラネームをめぐる議論は、親の命名の自由と、名前を持つ子ども自身の生活という2つの視点から考える必要があります。
キラキラネームのメリット1. 自分だけの個性を表現できる
同じ名前の人が少なければ、名前を覚えてもらいやすくなる可能性があります。
親が子どもに込めた願いや、家族独自の思いを表現できることもメリットです。
2. 名前に物語性を持たせられる
漢字の意味、外国語、自然、芸術、文化などを組み合わせることで、名前に独自のストーリーを持たせられます。
3. 親の価値観を反映できる
従来の命名習慣にとらわれず、響きや意味を自由に検討できることは、命名の選択肢を広げます。
4. 印象に残りやすい
珍しい名前は、初対面の人に覚えてもらうきっかけになる場合があります。
ただし、目立つことが常に本人にとって望ましいとは限りません。
キラキラネームのデメリット1. 初対面で正しく読んでもらえない
学校、病院、職場、行政窓口などで、名前の読み方を毎回説明しなければならない可能性があります。
2. 名前の説明や訂正が負担になる
電話での予約や書類の手続きなど、漢字と読み方を伝える機会は日常的に存在します。
一般的な読み方から大きく離れている場合、その都度説明が必要になることもあります。
3. 周囲の先入観を受ける可能性がある
先ほど紹介した心理学研究のように、名前の印象が人物評価に影響する可能性があります。
本人の性格や能力とは関係なく、名前だけで判断されることは望ましい状況ではありません。
4. 本人が成長してから名前に違和感を持つ可能性がある
幼少期には親が気に入っていた名前でも、本人が成長するにつれて好みや価値観が変化することがあります。
5. 戸籍のフリガナ制度による制約が生まれた
2025年5月26日以降、新しく戸籍に記載される名前の読み方には、一般に認められる読み方であることが大切です。
従来なら届け出られた可能性のある独創的な読み方でも、漢字との関連性によっては認められない場合があります。
キラキラネームを選ぶ前に確認したい5つの判断基準名前を考える際は、次のポイントを確認すると、子どもが将来困る可能性を減らせます。
- 初めて見た人が読み方を推測できるか。
- 漢字の意味と読み方に自然な関連性があるか。
- 発音しやすく、電話や日常会話でも伝えやすいか。
- 子どもが大人になっても違和感なく使えるか。
- 戸籍のフリガナ制度に適合しているか。
特に大切なのは、名前を親の好みだけで判断しないことです。
名前は、子どもが学校、仕事、社会生活のあらゆる場面で使い続けるものです。幼少期のかわいらしさや珍しさだけでなく、成人後の生活も考慮する必要があります。
【2026年最新】キラキラネームと戸籍のフリガナ制度・新しい命名ルール
キラキラネームを考えるうえで、最も重要な制度変更が戸籍へのフリガナ記載です。
2023年に成立した改正戸籍法により、これまで戸籍に記載されていなかった氏名のフリガナが、新たに戸籍の記載事項に追加されました。
この制度は、2025年5月26日に施行されています。
戸籍のフリガナ制度で何が変わった?従来、出生届などには名前の読み方を記入する欄がありましたが、その読み方は住民基本台帳事務などのために使用されていました。
戸籍そのものには氏名のフリガナが公証されていなかったため、漢字と読み方の関係について、今回の制度と同じ基準による審査は行われていませんでした。
改正後は、戸籍に記載されるフリガナについて、次の規律が設けられました。
氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない。
この基準は、2025年5月26日以降に出生届などによって初めて戸籍に記載される人にも適用されています。
つまり、2026年に生まれる子どもも対象です。
法務省が示す認められない読み方の具体例法務省の公式FAQでは、一般に認められないと考えられる読み方について、具体例を示しています。
| 漢字の表記 | 届け出る読み方 | 問題となる理由 |
|---|---|---|
| 太郎 | ジョージ・マイケル | 漢字との関連性が認められない |
| 健 | ケンイチロウ・ケンサマ | 漢字に別の単語を付け加えている |
| 高 | ヒクシ | 漢字の意味と反対の読み方 |
| 太郎 | ジロウ | 別人の名前や読み違いと誤解される可能性 |
このほか、差別的、卑わい、反社会的な読み方など、社会通念上相当とはいえないものも認められないとされています。
法務省の「一般に認められる読み方」とは?ここで誤解されやすいのが、法務省が漢字辞典に掲載されている読み方だけを認めているわけではないという点です。
法務省の制度検討資料では、次のような考え方が示されています。
- 常用漢字表に掲載されている読み方。
- 漢和辞典など一般の辞書に掲載されている読み方。
- 社会で受け入れられ、慣用されている読み方。
- 辞書に掲載されていなくても、漢字と読み方の関連性について説明できるもの。
日本には古くから名乗り訓などの命名文化があるため、辞書にない読み方を一律に排除する考え方ではありません。
一方、漢字の意味と正反対の読み方や、漢字との関連性がほとんどない読み方などは認められない方向で整理されています。
したがって、2026年の命名ルールは「キラキラネームを全面禁止する制度」ではありません。
読み方と漢字の関連性、社会的な慣用、命名文化を踏まえて個別に判断する制度と理解するのが適切です。
2026年5月26日から既存の名前にもフリガナが記載今回の制度は、新しく生まれる子どもだけに関係するものではありません。
すでに戸籍に記載されている人についても、制度開始後、本籍地の市区町村から戸籍に記載される予定のフリガナが通知されました。
既存の戸籍については、2025年5月26日から2026年5月25日までの1年間、通知されたフリガナに誤りがある場合などに届出ができる仕組みでした。
そして、2026年5月26日以降、届出がなかった場合には、通知されたフリガナが市区町村長によって戸籍に順次記載されています。
現在の取り扱いで注意したいのが、フリガナの変更方法です。
- 市区町村長による記録でフリガナが初めて記載された場合:1回に限り、家庭裁判所の許可を得ずに届出で変更できる。
- 本人などが届出をして記載されたフリガナを変更する場合:原則として家庭裁判所の許可が必要。
また、制度開始前から一般的な読み方以外の読み方を実際に使用していた人については、経過措置として、その読み方が通用していることを証明する書面を提出することで、従来の読み方を尊重する仕組みも設けられています。
証明資料としては、パスポートや預貯金通帳などが想定されています。
明治安田生命・ベネッセの名前ランキングから見る2025年の傾向キラキラネームの実態を考えるうえでは、実際の赤ちゃんの名前ランキングも参考になります。
2026年11月時点で比較できる2025年生まれの公表済み年次調査では、明治安田生命とベネッセで次のような結果が発表されています。
明治安田生命の2025年調査
2025年12月9日に発表された調査では、男の子の名前の1位は「湊」、女の子は「翠」でした。
調査対象は、同社の保険契約情報に含まれる男の子6,312人、女の子6,193人です。
男の子では「ハルト」が読み方ランキングで17年連続1位、女の子では「エマ」が1位となりました。
ベネッセ「たまひよ」の2025年調査
2025年10月30日に発表されたランキングでは、男の子が「碧(あお)」、女の子が「翠(すい)」でした。
調査対象は2025年1月1日から9月15日までに生まれた赤ちゃんで、総数は166,011人です。
男の子は「碧」が2年連続1位、女の子は「翠」が初の1位となりました。
この2つのランキングから読み取れるのは、個性的な漢字を使用した名前が人気を集める一方で、漢字の意味や読み方との関連性を大切にする名付けも支持されていることです。
なお、両社は調査対象や集計方法が異なるため、順位をそのまま比較することはできません。
【プロの結論】2026年のキラキラネーム命名で本当に重要なこと2026年の命名では、珍しさだけを重視するのではなく、次の3点を優先が必要です。
1. 漢字と読み方の関連性: 読み方の由来を第三者にも説明できるか。
2. 子どもの将来: 幼少期だけでなく、成人後も自然に使える名前か。
3. 戸籍制度への適合性: 一般に認められる読み方として届け出られるか。
親には子どもの名前を考える自由があります。しかし、名前を実際に使い続けるのは子ども自身です。
親の個性や願いを反映することと、子どもの将来の使いやすさを両立させることが、これからの名付けに求められています。
【キラキラネームとは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:キラキラネームとは、簡単にいうとどんな名前ですか?
キラキラネームとは、一般的な名前とは異なる珍しい読み方や当て字、外国語、独特の漢字の組み合わせなどを使った個性的な名前を指す俗称です。ただし、法律上の定義はなく、珍しい名前すべてが該当するわけではありません。
Q2:キラキラネームの代表例には何がありますか?
過去のメディア特集では、「光宙(ぴかちゅう)」「黄熊(ぷう)」「騎士(ないと)」「姫星(きてぃ)」「今鹿(なうしか)」などが紹介されています。外国語やキャラクターの名称を漢字に当てはめた例が代表的です。
Q3:キラキラネームはいつから増えたのですか?
キラキラネームという呼称は、2000年代後半からインターネットを中心に広まりました。一方、個性的な名前自体はそれ以前から存在しています。心理学者の荻原祐二氏による研究では、1979年から2018年にかけて個性的な名前の割合が増加したことも確認されています。
Q4:キラキラネームは法律で禁止されていますか?
全面的に禁止されているわけではありません。2025年5月26日から戸籍にフリガナを記載する制度が始まり、新しく届け出る名前には「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているもの」という基準が適用されています。
Q5:2026年に赤ちゃんへキラキラネームを付けることはできますか?
可能ですが、読み方が一般に認められるものである必要があります。漢字と読み方の関連性が認められず、社会的な混乱を招くような読み方は受理されない可能性があります。個別の判断は戸籍窓口で行われます。
Q6:珍しい名前とキラキラネームの違いは何ですか?
珍しい名前は、単純に使用頻度が低い名前を意味します。一方、狭い意味でのキラキラネームは、珍しさに加えて伝統からの逸脱や難読性などの特徴を持ちます。珍しい漢字を使用しているだけでは、キラキラネームとは限りません。
Q7:キラキラネームは子どもの就職や社会生活に悪影響がありますか?
名前によって他人が抱く印象が変化する可能性は、心理学の実験研究で示されています。ただし、キラキラネームの持ち主が必ず就職で不利になるという科学的な結論が出ているわけではありません。個人の能力や人柄と名前の印象は区別して考える必要があります。
まとめ:キラキラネームとは何か、2026年の名付けで大切な判断基準
キラキラネームとは、珍しい読み方や当て字、外国語、独創的な漢字の組み合わせなどを特徴とする名前の俗称です。
2000年代後半からインターネットを中心に広まり、2012年には流行語としても注目されました。その後、心理学の研究によって個性的な名前が増加していることや、名前が他人の印象形成に影響する可能性も明らかになっています。
一方、キラキラネームには統一された定義がなく、珍しい名前と難読な名前を同じものとして扱うことはできません。
そして、2025年5月26日に施行された戸籍のフリガナ制度によって、2026年現在は新しい命名にも読み方の基準が適用されています。
これからの名付けで大切なのは、名前の珍しさだけを追求することではありません。
親の願いが込められていること、漢字と読み方に自然な関連性があること、そして子どもが一生使い続けられること。
この3つを意識することが、個性と実用性を両立させた名前を考えるための基本になります。