今永のFAを理解するには、2025年オフに起きた契約オプションの判断を振り返る必要がある。
今永は2024年1月、カブスと保証額5300万ドルの契約を結んだ。当初の契約には、2025年シーズン終了後にカブスが選択できる球団オプションと、今永自身が判断できる選手オプションが組み込まれていた。
ところが、2025年オフにカブスは3年総額5775万ドルの球団オプションを行使しなかった。続いて今永も2026年の年俸1525万ドルとなる選手オプションを辞退した。
その後、カブスが提示したクオリファイング・オファーを今永が受け入れたことで、2026年の残留が決まった。MLB公式の報道では、この一連の契約判断が詳しく説明されている。
今永昇太の契約変更を時系列で整理最大の理由は、2026年の収入を確保しながら、翌年に改めてFA市場へ出られる点にあった。
QOの金額は2202万5000ドル。当初の選手オプション1525万ドルと比較すると、約677万5000ドルの増額だった。
また、2025年は故障による離脱もあり、シーズン終盤には被本塁打の多さも課題になっていた。長期契約を急ぐより、1年契約で実績を積み直す選択には合理性があった。
実際、2026年には32試合に先発し、174回1/3を投げた。前年の144回2/3から投球回を増やし、再び年間を通してローテーションを支えた。
つまり、2025年のQO受諾は単なるカブス残留ではなく、2026年の成績を材料に次の契約を交渉するための選択でもあった。
【2026年成績を検証】11勝10敗・防御率3.77はFA市場でどう評価される?

2026年レギュラーシーズン・投手成績
3.77
防御率
11勝10敗・174回1/3・174奪三振
2026年の今永は、圧倒的な数字を残した2024年のルーキーイヤーと比べると、防御率や被本塁打の面で課題を残した。一方、先発投手としての稼働量と奪三振能力は十分に評価できる。
MLB公式の個人成績とBaseball Savantのデータを整理すると、次のようになる。
2024~2026年の成績比較| シーズン | 勝敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年 | 15勝3敗 | 2.91 | 173回1/3 | 174 |
| 2025年 | 9勝8敗 | 3.73 | 144回2/3 | 117 |
| 2026年 | 11勝10敗 | 3.77 | 174回1/3 | 174 |
2024年にはオールスター選出、オールMLBセカンドチーム選出などの実績も残した。メジャー3年間の通算成績は35勝21敗、防御率3.45、465奪三振となっている。
評価できる3つのポイント1. 先発ローテーションを守れる投球回数
2026年は32試合すべてに先発し、174回1/3を投げた。
MLBでは先発投手の故障や投球回数の管理が各球団の編成上の大きな課題になっている。年間30試合以上に先発し、170回を超える投球ができることは、今永の大きなセールスポイントだ。
2. 奪三振能力と制球力
174奪三振に対して与四球は37。奪三振と四球の比率は約4.7倍となる。
三振を奪えるだけでなく、無駄な四球を抑えられる点は先発投手としての安定性につながる。
3. 3年間の通算防御率3.45
単年の成績だけでなく、MLB移籍後の通算成績を評価材料にできる。
2025年に調子を落とした時期があったものの、2026年には投球回数を回復させた。3年間を通じて一定の先発能力を示した点は、契約交渉でプラスに働く。
最大の課題は被本塁打35本一方、見逃せない弱点もある。
2026年の被本塁打は35本。MLB公式のStatcast集計では、ナショナル・リーグで2位タイとなる多さだった。
2024年の27本、2025年の31本から増加しており、打者に長打を許す傾向は継続している。
FA市場で今永を評価する球団にとって、ここは重要な判断材料になる。
奪三振と制球力を備えていても、長打を浴びれば失点が集中する。特にポストシーズンを目指す球団では、強打者が並ぶ相手との短期決戦で被本塁打を抑えられるかが問われる。
今永の評価は、単純な11勝という数字よりも、174イニングを消化できる耐久性と、被本塁打を減らせる修正能力の組み合わせで決まる。
【2026年オフのQO制度】今永昇太はなぜ再び対象外なのか?
2026年オフの今永をめぐる要点が、クオリファイング・オファーの制度上の扱いだ。
結論からいえば、今永は2025年にすでにQOを提示されているため、2026年オフに再びQOを提示される対象にはならない。
QOとはどのような制度?クオリファイング・オファーとは、球団がFAとなる選手に提示できる1年契約のこと。
提示額はMLBの高額年俸上位125選手の平均を基準に決まる。選手は提示を受け入れて1年契約を結ぶか、辞退してFA市場で複数年契約などを探すかを選択できる。
ただし、球団がQOを提示できるのは、過去に一度もQOを受けておらず、そのシーズンを同一球団で過ごした選手など、制度上の条件を満たす場合に限られる。
今永の2026年オフの扱い| 確認項目 | 今永の状況 |
|---|---|
| 2025年のQO | 提示を受けた |
| 2025年の回答 | 受諾 |
| 2026年の所属 | カブス |
| 2026年オフのQO | 対象外 |
| 新球団との契約 | 他球団と自由に交渉可能 |
| カブスのドラフト補償 | 今永の退団に伴うQO由来の補償は発生しない |
ここで注意したいのは、QOを受諾したから対象外になるというより、過去にQOを一度提示された時点で再提示できなくなるという制度上の仕組みだ。
仮に2025年にQOを辞退していた場合でも、2026年に再び提示を受けることはできなかった。
今永にとってQO対象外は有利なのか?交渉面ではプラスに働く可能性がある。
QOを辞退した選手を獲得する場合、新球団は条件に応じてドラフト指名権などの補償に関係する影響を受ける。
しかし、今永は2026年オフにQOを提示されないため、獲得球団はQOに伴うドラフト補償を気にせず交渉できる。
これは特に、先発投手の補強に予算を割きたい球団にとって検討しやすい条件だ。
2026年の実績、左腕という希少性、QOに伴う補償負担がないこと。この3点が今永の市場価値を支える材料になる。
【移籍先候補を比較】カブス再契約か、アストロズ・ジャイアンツか?
今永の2026年オフの移籍先を考える場合、まず注目したいのがカブスとの再契約だ。
2026年のカブスは先発投手の故障やパフォーマンスの不安定さに悩まされ、シーズン終了後には投手陣の立て直しが最優先課題として浮上した。
MLB公式の10月21日付報道では、2027年開幕時に2026年終盤の先発ローテーションが大きく入れ替わる可能性も指摘されている。
1. カブス:最も自然な再契約候補
所属経験・投手補強の必要性
カブスにとって今永は、すでにMLBでの実績とチーム環境への適応を証明した左腕だ。
2024年から3年間プレーし、通算35勝21敗、防御率3.45を記録。チーム側も投球スタイルやコンディション管理について把握している。
加えて、カブスは2027年に向けて先発投手の再構築を必要としている。2026年の先発陣には故障者や成績不振の投手が相次ぎ、オフの補強方針として投手力の強化を明確に打ち出している。
再契約するメリットは大きい。
ただし、2025年に球団オプションを行使しなかった経緯があるため、長期契約を提示するかどうかは別問題だ。カブスが求める契約条件と今永側が希望する契約年数・年俸が一致するかが焦点になる。
2. ヒューストン・アストロズ:先発投手補強の候補
先発陣の補強需要
アストロズは先発投手の補強が課題となっている球団の一つだ。
2026年オフのFA市場について、米メディアの分析ではアストロズが今永の移籍先候補として挙げられている。
今永は左腕であり、奪三振能力と制球力を兼ね備えている。年間170イニング以上を投げられる点も、先発ローテーションの安定化を目指す球団には魅力的だ。
一方、被本塁打の多さは球団側が慎重に検討する材料になる。球場環境や守備陣との相性も契約判断に影響するだろう。
3. サンフランシスコ・ジャイアンツ:左腕先発を確保する選択肢
先発ローテーションの再建
ジャイアンツも候補として注目したい。
2026年は先発投手陣の故障が相次ぎ、MLB公式のオフシーズン分析でも、先発ローテーションの補強が重要課題として取り上げられた。
特に若手投手のトミー・ジョン手術などによって、2027年の先発陣には不確定要素が残る。
実績のある左腕を獲得できれば、若手投手に過度な負担をかけずにローテーションを組み立てられる。
今永の投球回数と経験は、こうしたチーム事情に合致する可能性がある。
移籍先候補の比較一覧| 球団 | 評価できるポイント | 懸念・課題 |
|---|---|---|
| カブス | 過去3年間の実績とチームへの適応 | 契約年数・年俸の条件 |
| アストロズ | 先発投手の補強需要 | 被本塁打への評価 |
| ジャイアンツ | ローテーションの再建需要 | チーム全体の再建方針 |
なお、米メディアで候補として取り上げられていることと、球団が実際に獲得交渉を開始したことは別だ。カブス、アストロズ、ジャイアンツのいずれについても、具体的な契約成立や正式オファーが決まったと扱うことはできない。
特にカブスは再契約の合理性が高い一方、FA市場では他球団との競争も想定される。
【MLB 2026-27年FA市場】今永の契約交渉はいつ本格化する?
2026-27年のMLB FA市場は、ワールドシリーズ終了後に本格的な動きを見せている。
MLBの基本ルールでは、ワールドシリーズ終了翌日に対象選手がFAとなり、その後5日間は所属球団との独占交渉期間となる。
2026年は10月28日にワールドシリーズが終了したため、10月29日に選手がFAとなった。11月2日午後5時(米東部時間)から他球団との契約が可能になる。日本時間では11月3日午前7時に当たる。
2026年オフの主なスケジュール| 日程 | 主な動き |
|---|---|
| 10月28日 | ワールドシリーズ終了 |
| 10月29日 | FA選手が正式にFAへ |
| 11月2日午後5時(米東部時間) | 他球団との契約解禁 |
| 11月10~12日 | ゼネラルマネージャー会議 |
| 11月17日 | QOへの回答期限 |
| 12月1日 | 現行労使協定の期限 |
2026年オフは、通常のFA交渉だけでなく、MLBと選手会の労使交渉も注目点になる。現行の労使協定は12月1日に期限を迎える予定で、交渉がまとまらなければ12月2日以降にロックアウトが発生する可能性も報じられている。
そのため、球団側には補強を早めに進めたい事情がある。
今永のように実績のある先発投手は、チームの編成方針が固まる前に交渉が動く可能性もある。今後は球団の関心度だけでなく、契約年数や年俸、メディカルチェックなどの条件が焦点となる。
【今永昇太のFA】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:今永昇太は2026年オフにFAになるのですか?
A1:はい。2025年オフにQOを受諾して結んだ1年契約が2026年シーズン終了で満了したため、2026年オフに再びFAとなります。
Q2:今永昇太の2026年の成績は?
A2:32試合に先発し、11勝10敗、防御率3.77、174奪三振、174回1/3を記録しました。被本塁打35本という課題も残しています。
Q3:今永昇太は2026年オフもQOを受けられますか?
A3:受けられません。2025年にすでにQOを提示されているため、制度上、2度目の提示対象にはなりません。
Q4:今永昇太はカブスに残留する可能性がありますか?
A4:あります。カブスは2027年に向けて先発投手の補強を重視しており、今永の実績やチームへの適応力は再契約を検討する材料になります。ただし、契約成立は決まっていません。
Q5:今永昇太の移籍先候補はどこですか?
A5:米メディアの分析では、カブス、ヒューストン・アストロズ、サンフランシスコ・ジャイアンツなどが候補として取り上げられています。現時点では正式な移籍先が決まったわけではありません。
【プロの結論】今永昇太のFAは被本塁打の改善と契約条件が最大の焦点
今永の2026年オフのFAを評価するうえで、最も重要なのは勝敗だけで判断しないことだ。
2026年は11勝10敗、防御率3.77という成績だった。決して圧倒的な数字ではないが、174回1/3を投げて174奪三振を記録したことは、先発投手としての価値を示している。
一方、3年間で被本塁打が増加傾向にある点は、長期契約を検討する球団にとって無視できないリスクだ。
今永のFA市場での評価を左右する要点は、次の3つに集約できる。
1. 耐久性: 30試合以上に先発し、170イニングを超える投球ができること。
2. 修正能力: 被本塁打を減らし、防御率を2024年の水準に近づけられるか。
3. 契約条件: 33歳を迎える投手に対し、球団が何年契約を提示するか。
カブスにとっては、既存のローテーションを理解している今永を残すことにメリットがある。一方、アストロズやジャイアンツなどの球団には、実績ある左腕を補強する選択肢として魅力がある。
また、今永には2025年のQO受諾によるドラフト補償の制約がない。これは他球団が獲得を検討する際のプラス材料だ。
2026年オフの今永は、単に過去の実績だけで大型契約を勝ち取る段階ではない。安定して先発ローテーションを守れる能力と、被本塁打という明確な課題をどう評価してもらうかが、次の契約を左右する。
カブスとの再契約が実現するのか、それとも新天地でメジャー4年目を迎えるのか。今永のFAは、2027年のMLB先発投手市場を占ううえでも注目すべき動きとなっている。