2027年1月2日・3日に開催される第103回箱根駅伝に向け、関東学生連合チームの選考が進んでいる。2026年10月17日に行われた予選会では、本戦出場を逃した大学の選手にも箱根路を走る機会が残された。今回の関東学生連合は、予選会11位~20位の大学に与えられる「チーム枠10人」と、21位以下の大学から選ばれる「個人枠6人」の合計16人で編成される。
2025年6月に関東学生陸上競技連盟が選考制度の変更を発表し、第102回大会から新方式が適用された。加えて、箱根駅伝への出走上限も従来の1回から2回に引き上げられている。2026年11月2日時点では、第103回大会の個人枠6人とチーム枠の対象10大学が公表済みで、チーム枠の選手名は12月10日のチームエントリーで発表される予定だ。
【基礎知識】箱根駅伝の学生連合とは?通常の出場大学との違い

箱根駅伝の学生連合とは、予選会で本戦出場権を獲得できなかった大学の選手を中心に編成される選抜チームである。正式名称は「関東学生連合チーム」。一般には学生連合、関東学連などと呼ばれている。
最大の特徴は、大学単位ではなく、複数の大学から選ばれた選手が一つのチームとして箱根路に挑むことだ。
単独大学では出場できなくても箱根路を目指せる箱根駅伝の本戦には、前回大会の上位10大学に与えられるシード枠と、秋の予選会を通過した10大学が出場する。これとは別に、予選会で敗退した大学の有力選手が関東学生連合として参加する。
そのため、所属大学が予選会を突破できなかった選手でも、個人の走力や大学内での選考によって箱根駅伝のメンバーになれる可能性がある。
ただし、学生連合への選出と実際のレース出走は同じではない。16人が登録されても、本戦で走るのは各区間を担当する10人。登録された選手全員が箱根路を走れるわけではない。
オープン参加とは何か?順位が正式に認められない理由関東学生連合は、通常の大学チームとは異なりオープン参加として出場する。
このため、仮に学生連合が他大学より速いタイムでゴールしても、正式な総合順位には組み込まれない。各選手の区間順位についても参考扱いとなる。
ここで注意したいのは、オープン参加だからといって競技としての価値が低いわけではないことだ。選手個人にとっては、大学を代表して箱根駅伝の舞台に立ち、学生長距離界のトップ選手と競い合う機会になる。
一方、所属大学にとっては、箱根駅伝を経験した選手が戻ってくることで、翌年以降のチーム強化につながるという意味もある。
【2027年最新】学生連合の選考方法は?チーム枠10人・個人枠6人を解説
第103回箱根駅伝の学生連合は、合計16人で編成される。選考方法を理解するうえで最も重要なのが、チーム枠と個人枠の違いだ。
① チーム枠10人:予選会11位~20位の大学から1人ずつチーム枠は、箱根駅伝予選会で総合11位から20位に入った大学に、それぞれ1人分の選出権が与えられる制度だ。
対象となるのは、本戦出場権を獲得できなかった大学のうち、上位10校。各大学が自校の選手から代表者を選ぶ。
つまり、予選会の個人順位だけで機械的に決まるわけではない。大学ごとに選考するため、予選会後も各校の選手が代表入りを目指して競争できる仕組みになっている。
第103回大会では、国士舘大学から日本薬科大学までの10校が対象となった。各校の代表選手は、12月10日のチームエントリーで発表される予定だ。
② 個人枠6人:予選会21位以下の大学から個人上位者を選出個人枠は、予選会総合21位以下の大学に所属する選手が対象となる。
選考では、対象となる大学の選手のうち、予選会の個人成績上位者6人が選ばれる。ただし、同じ大学から複数人が選ばれることはなく、各大学1人までという制限がある。
そのため、予選会の個人順位が全体で6位以内でなければ選出されない、という意味ではない。対象大学に所属する選手同士で比較した順位が重要になる。
実際、第103回大会では個人27位の慶應義塾大学・成沢翔英が最上位で選ばれた。全出場選手の順位だけを見ていると、個人枠の選考を誤解しやすい。
チーム枠と個人枠の違いを比較| 比較項目 | チーム枠 | 個人枠 |
|---|---|---|
| 人数 | 10人 | 6人 |
| 対象大学 | 予選会11~20位 | 予選会21位以下 |
| 選考方法 | 各大学が代表選手を選出 | 予選会の個人成績上位者から選出 |
| 大学ごとの人数 | 1大学1人 | 1大学1人まで |
| 選考の特徴 | 大学単位の出場機会を確保 | 個人の競技力を重視 |
| 第103回の発表状況 | 対象10大学が決定、選手名は発表待ち | 6人の選手が決定 |
この制度では、大学のチーム力と個人の競技力という2つの評価軸が用意されている。予選会であと一歩届かなかった大学にも代表枠が与えられる一方、チーム順位が低くても個人として優秀な結果を残した選手には別の道が開かれる。
【第103回大会】箱根駅伝学生連合の対象大学10校と個人枠6人の一覧
2026年10月17日の第103回箱根駅伝予選会では、45大学が参加し、上位10校が本戦出場権を獲得した。
関東学生連合のチーム枠となったのは11位から20位までの大学だ。一方、個人枠では21位以下の大学に所属する選手から6人が選ばれた。
チーム枠:対象となった10大学予選会の結果に基づく対象大学は次のとおり。
- 11位:国士舘大学
- 12位:武蔵野学院大学
- 13位:立教大学
- 14位:明治大学
- 15位:東京国際大学
- 16位:駿河台大学
- 17位:麗澤大学
- 18位:筑波大学
- 19位:拓殖大学
- 20位:日本薬科大学
注目したいのは、11位の国士舘大学と20位の日本薬科大学の差だ。国士舘大学の総合タイムは10時間41分54秒、日本薬科大学は10時間47分52秒だった。
両校とも本戦出場権には届かなかったものの、チーム枠によってそれぞれ1人が関東学生連合に加わる権利を得た。
この10大学の選手名は、2026年11月2日時点では未発表。12月10日のチームエントリーで正式に確認する必要がある。
個人枠:2027年大会に選ばれた6選手個人枠では、2026年10月20日に6人の選出が発表された。
- 成沢翔英(慶應義塾大学3年):個人27位、1時間2分48秒
- 木村楓斗(流通経済大学4年):個人61位、1時間3分18秒
- 尾島樹(上武大学3年):個人69位、1時間3分34秒
- 有川紘樹(一橋大学4年):個人79位、1時間3分43秒
- 橋本将汰(立正大学4年):個人88位、1時間3分49秒
- 髙橋歩夢(明治学院大学4年):個人109位、1時間4分00秒
個人枠で最上位となったのは、慶應義塾大学の成沢翔英。予選会ではチームが30位だったものの、個人27位の走りで選出された。
また、明治学院大学の髙橋歩夢は2年連続の選出となった。2026年1月の第102回大会では5区を走った経験があり、箱根駅伝を知る選手としても注目される。
一橋大学・有川紘樹が大学初の選出今回の個人枠で特に注目されたのが、一橋大学の有川紘樹だ。
一橋大学は予選会総合41位だったが、有川は1時間3分43秒で個人79位と好走。個人枠の4番手に入り、同大学初となる関東学生連合への選出を果たした。
有川は高校時代まで野球に取り組んでいた経歴を持ち、大学入学後に陸上競技へ転向した選手としても報道で取り上げられた。
所属大学が予選会で上位に入らなくても、個人の結果によって箱根駅伝への道が開かれる。今回の有川の選出は、個人枠制度の意義を象徴する事例といえる。
「大変光栄に感じています」
これは、選出を受けた有川が大学を通じて発信したコメントの一部だ。大学史上初の選出という節目を迎え、箱根駅伝という大舞台への思いを示した。
監督は国士舘大学の小川博之氏第103回関東学生連合の監督には、予選会11位の国士舘大学で駅伝監督を務める小川博之氏が就任した。
コーチには、予選会12位の武蔵野学院大学・坂田和監督と、13位の立教大学・髙林祐介駅伝監督が入っている。
予選会で本戦出場を逃した大学の指導者が中心となり、複数大学の選手をまとめる体制だ。普段は別々の大学で練習する選手たちが、短期間で一つのチームとして仕上がっていく点も学生連合ならではの見どころになる。
【出場資格を検証】学生連合は何回まで走れる?外国人留学生や順位の条件
学生連合の選考で見落とされやすいのが、出走回数と外国人留学生の扱いだ。第102回大会から制度が変更されているため、以前の情報をそのまま2027年大会に当てはめると誤解につながる。
箱根駅伝への出走経験は通算2回まで第102回大会から、学生連合に選出される選手の本戦出走上限は、従来の1回から2回に変更された。
ここでいう出走経験は、単独大学のチームとして走った場合と、関東学生連合として走った場合の両方が対象となる。
例えば、大学の代表として過去に1回走った選手は、条件を満たせば学生連合としてもう1回出走できる。一方、すでに本戦で2回以上出走した選手は対象外だ。
この変更により、箱根駅伝の経験を持つ選手が再び連合チームに加わり、経験を共有する機会が生まれた。
外国人留学生は選考対象外チーム枠・個人枠ともに、外国人留学生は選考対象外となっている。
この条件は第102回大会からの変更ではなく、従来の制度から引き継がれたものだ。予選会で優秀な個人成績を残しても、外国人留学生は学生連合の選考対象にはならない。
大学の総合順位がつかなくても個人枠に選ばれる可能性があるもう一つ重要なのが、予選会で所属大学の総合順位がつかなかった場合の扱いだ。
個人枠では、大学が10人完走できず総合順位を獲得できなかった場合でも、選手本人が個人成績で選考条件を満たせば選出対象となる。
この点については、2025年の第102回大会予選会中継で誤った説明があり、関東学生陸上競技連盟が選考方法を訂正した経緯もある。
つまり、個人枠は大学の総合順位だけで判断される制度ではない。個人の走力と所定の出場資格が評価される仕組みだ。
【制度変更の理由】なぜ学生連合は10人+6人の新方式になったのか
今回の選考方法変更は、単純にメンバーの人数を入れ替えたものではない。関東学生陸上競技連盟が2025年6月19日に発表した「箱根駅伝に関する新たな取り組みについて」に、制度変更の目的が記されている。
従来は予選会の個人順位上位16人が基本第101回大会までの学生連合は、予選会で本戦出場を逃した大学の選手から、各大学1人を上限として個人成績上位者を選ぶ方式だった。
この方式では個人の走力を重視できる一方、大学単位で代表を送り出すという点では、各校のチーム事情が十分に反映されない面もあった。
そこで第102回大会から、大学単位の選出権を設けるチーム枠と、個人の成績を重視する個人枠に分ける方式へ変更された。
変更理由①:予選会敗退校の中で競争を生み出す関東学連が示した目的の一つは、予選会終了後も落選校の中で選手が箱根駅伝出場を目指して競争できる環境をつくることだ。
予選会で11位から20位に入った大学には、それぞれ1枠が与えられる。各大学は自校の代表選手を選ぶため、予選会後も選手同士の競争や選考が続く。
これは、大学の総合力だけでなく、チーム内で努力を続ける選手にも箱根路への目標を与える仕組みといえる。
変更理由②:チーム順位が低い大学にも個人の可能性を残すもう一つの目的は、多様性の確保だ。
予選会で大学全体の順位が低かったとしても、個人として優れた走力を持つ選手は存在する。そうした選手を個人枠で拾い上げることで、大学の総合力に左右されすぎない選考が可能になる。
例えば、第103回大会の一橋大学は総合41位だった。しかし、有川紘樹は個人79位で走り、個人枠で選出された。
これは、チームとしての成績と個人としての能力を別々に評価する新制度の狙いに合致する。
出走上限を2回にした理由は経験の共有と選手強化関東学連は出走上限の変更についても、箱根駅伝経験の幅広い共有と選手強化の両立を目的としている。
過去に箱根駅伝を走った選手が再び学生連合に加わることで、経験の少ない選手と同じチームで競技する機会が生まれる。
新制度は、大学ごとの出場機会、個人の競技力、経験の継承という3つの要素を組み合わせたものだ。
【歴代メンバーと歴史】関東学生連合はいつから始まった?最高順位は?
関東学生連合の歴史を振り返ると、現在の制度に至るまで名称や順位の扱いが変化してきたことが分かる。
2003年の第79回大会で初めて編成関東学連選抜として初めて参加したのは、2003年の第79回箱根駅伝だ。
その後、2007年の第83回大会から2013年の第89回大会までは正式参加となり、総合順位が認められる方式で出場した。
この期間の歴代成績で特筆すべきなのが、2008年の第84回大会で記録した総合4位だ。選抜チームでありながら強豪大学と肩を並べる成績を残した。
2014年の第90回大会では編成されず、2015年の第91回大会からは「関東学生連合チーム」という名称で再びオープン参加となった。
歴代メンバーを見ると制度の変化も分かる関東学生連合の歴代メンバーは、各大会の選考方法によって顔ぶれが異なる。
以前は個人順位を基準にした選考が中心だったが、現在はチーム枠と個人枠の2つに分かれている。そのため、過去のメンバーと2027年の選出選手を単純に同じ基準で比較することはできない。
歴代の記録を見る際には、選手の所属大学だけでなく、出場した大会の回数、正式参加かオープン参加か、選考制度がどのようなものだったかを合わせて確認する必要がある。
特に2007~2013年の正式参加時代と、2015年以降のオープン参加時代では順位の意味が異なる。
2027年大会で注目したいポイント第103回大会では、一橋大学初の学生連合選出となった有川紘樹をはじめ、個人枠の6人がどの区間を任されるのかが注目される。
加えて、チーム枠10大学からどの選手が選ばれるかも重要だ。特に予選会11位の国士舘大学は、わずか1分14秒差で本戦出場を逃しており、監督を務める小川博之氏のもとで選手がどのように集結するかも見どころとなる。
個人枠の6人とチーム枠の10人がそろった後は、16人の中から実際に走る10人を決める段階へ進む。選出されたこと自体がゴールではなく、区間を任されるまでの競争も続く。
【プロの結論】箱根駅伝学生連合の新制度で押さえるべき3つのポイント
2027年の関東学生連合を理解するうえで、特に重要なのは次の3点だ。
第一に、チーム枠と個人枠は選考基準が異なる。 11~20位の大学は大学単位で代表を選び、21位以下の大学は個人の成績によって6人が選ばれる。単純な個人順位16人の選抜ではない。
第二に、出走経験の上限は通算2回である。 過去に大学チームで走った経験があっても、1回だけなら再び出走できる可能性がある。ただし、2回以上の経験者は対象外となる。
第三に、オープン参加と本戦出場の意味を混同しないこと。 学生連合の選手が区間で好タイムを出しても、大学チームの正式な順位には反映されない。しかし、個人の競技力を示す舞台としての価値は十分にある。
読者が2027年大会のメンバー情報を追う際は、10月に発表された個人枠6人と対象10大学を区別し、12月10日のチームエントリー、さらに本戦直前の区間エントリーを確認するのが確実だ。
箱根駅伝学生連合に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2027年の箱根駅伝学生連合メンバー16人は全員発表された?
A1:2026年11月2日時点では、個人枠6人の氏名とチーム枠の対象10大学が発表されている。チーム枠10人の具体的な選手名は、12月10日のチームエントリーで発表される予定だ。
Q2:学生連合は箱根駅伝に何回まで出場できる?
A2:本戦での出走経験は通算2回まで。大学単独チームと関東学生連合の両方での出走経験が合算される。すでに2回以上走った選手は選考対象外となる。また、外国人留学生は対象外だ。
Q3:学生連合が箱根駅伝で1位になった場合、正式な優勝記録になる?
A3:ならない。関東学生連合はオープン参加のため、総合順位や区間順位は参考扱いとなる。仮に全大学より速いタイムでゴールしても、正式な大学別順位には反映されない。
まとめ:箱根駅伝学生連合2027は新制度2年目の注目大会
第103回箱根駅伝の関東学生連合は、チーム枠10人と個人枠6人の計16人で構成される。予選会11位~20位の大学には1枠ずつ与えられ、21位以下の大学からは個人順位上位者6人が選ばれる仕組みだ。
2026年10月に個人枠として発表されたのは、成沢翔英、木村楓斗、尾島樹、有川紘樹、橋本将汰、髙橋歩夢の6人。チーム枠の対象大学は国士舘大学、武蔵野学院大学、立教大学、明治大学、東京国際大学、駿河台大学、麗澤大学、筑波大学、拓殖大学、日本薬科大学となっている。
選考基準の変更によって、大学単位の競争と個人の走力を生かした選考が両立するようになった点は大きい。加えて、出走上限が2回になったことで、経験豊富な選手が再び箱根路に挑む可能性も広がっている。
2027年大会で注目したいのは、12月10日に発表されるチーム枠10人の顔ぶれと、16人の中から実際に出走する10人が誰になるかという点だ。
予選会で敗れた大学の選手たちが、それぞれの大学の誇りを背負いながら一つの襷をつなぐ。正式な順位がつかないオープン参加であっても、学生連合には箱根駅伝のもう一つの見どころが詰まっている。
主な確認資料: 関東学生陸上競技連盟の2025年6月19日付制度変更資料、第103回箱根駅伝予選会公式結果、月刊陸上競技の2026年10月20日付選出報道、箱根駅伝公式の歴代記録。