最初に押さえておきたいのは、2026年大会では「WBC本戦」と「WBC関連の野球番組」で放送形態が明確に分かれていたことだ。
日本国内の本戦全47試合はNetflixの独占配信となり、NHKを含む地上波、BS、CSでは試合の生中継や録画中継は実施されなかった。これは侍ジャパンの日本戦だけでなく、海外チーム同士の試合や準決勝、決勝も同じ扱いだった。
大会日程は2026年3月5日から3月18日まで。東京、サンフアン、ヒューストン、マイアミの4都市で開催され、20の国・地域が参加した。大会終了後の3月25日にはNetflixが、日本国内での配信が過去最大の視聴記録を達成したと発表している。
WBC2026の放送・配信状況| 視聴方法 | 2026年大会の対応状況 |
|---|---|
| 地上波・NHK | 本戦の試合中継なし |
| BS放送 | 本戦の試合中継なし |
| CS放送 | 本戦の試合中継なし |
| Netflix | 全47試合を独占ライブ配信 |
| Amazon Prime Video | 本戦の配信なし |
| DAZN・ABEMA | 本戦の配信なし |
| テレビニュース | 報道目的のハイライト映像あり |
| ラジオ | ニッポン放送などが実況中継 |
特に誤解しやすいのが、テレビでWBC関連の映像を見かけた場合だ。ニュース番組での試合映像や、特別番組での試合結果の紹介は行われた。しかし、それらは本戦のフル中継ではない。
読売新聞社も2025年8月26日の説明で、NHKや民放各局は報道目的の試合映像を放送でき、テレビニュースでは従来どおりハイライトを視聴できると説明していた。つまり、テレビから野球関連の情報が完全になくなったわけではない。
【強化試合は地上波で放送された】本戦との違いを徹底比較

「WBCはテレビで見られない」と聞いていたのに、テレビ朝日やTBSで侍ジャパンの試合を見たという人もいるはずだ。
これは放送情報が矛盾していたわけではない。大会本戦と、その直前に行われる強化試合では、放送権の扱いが異なっていたためだ。
2026年の強化試合はテレビ中継が実現本戦開幕前には、侍ジャパンが国内プロ野球チームと対戦する強化試合が実施された。
代表的なのが、3月2日のオリックス・バファローズ戦と、3月3日の阪神タイガース戦だ。いずれも地上波で生中継され、TBS系列とテレビ朝日系列がそれぞれ担当した。
- 3月2日(月):オリックス・バファローズ対日本代表。TBS系列、18時45分から生中継。
- 3月3日(火):阪神タイガース対日本代表。テレビ朝日系列、18時30分から生中継。一部地域を除く。
このほか、2月22日・23日のソフトバンク戦、2月27日・28日の中日戦も「ラグザス 侍ジャパンシリーズ」としてテレビ放送された。
ただし、これらはWBC本戦そのものではない。大会前の調整試合であり、本戦の独占配信契約とは区別されている。
放送形態の関係を一覧で比較2023年大会と2026年大会、さらに強化試合や関連特番の違いを整理すると、テレビ局と配信事業者の役割が見えてくる。
この比較で重要なのは、テレビ局がWBCから完全に撤退したわけではないという点だ。試合映像の制作、プロモーション、ニュース報道、強化試合の中継など、担当する領域が変わったのである。
2023年大会では地上波テレビが本戦の主要な視聴窓口だったが、2026年大会ではNetflixがその役割を担った。この変化が、今回のWBCをめぐる最大のニュースだった。
【日本テレビは何を担当した?】WBC関連特番と中継制作15試合の実態
2026年大会で注目されたのが、日本テレビとNetflixの連携だ。
日本テレビは2026年1月29日、Netflixが独占ライブ配信するWBCの中継制作を受託したと発表した。加えて、Netflixのプロモーションパートナーとして大会を盛り上げる役割も担当した。
日テレは15試合の中継制作を担当日本テレビが担当した制作業務は合計15試合分だった。
- 東京プール:日本戦4試合を含む計10試合の国際映像制作。
- 準々決勝・準決勝・決勝:フロリダで行われる計5試合の日本向けユニ映像制作。
ここでいう中継制作とは、映像を撮影・編集し、配信に必要な中継映像を制作する仕事だ。日本テレビの地上波チャンネルで本戦を生中継するという意味ではない。
つまり、テレビ局が映像制作を担当していても、視聴者がその試合を見るプラットフォームはNetflixという仕組みだった。
地上波では9つの特別枠を予定日本テレビは開幕特番など、地上波で9つの特別枠を予定していた。実際に放送された関連番組には、試合結果や代表チームの戦いを紹介する「ワールドベースボールクラシック詳報!」などがある。
主な放送内容は次のとおりだ。
- 3月5日:WBC開幕特番
- 3月7日:ワールドベースボールクラシック詳報!日本対チャイニーズ・タイペイ
- 3月8日:ワールドベースボールクラシック詳報!日本対韓国
- 3月9日:ワールドベースボールクラシック詳報!日本対オーストラリア
- 3月11日:ワールドベースボールクラシック詳報!日本対チェコ
- 3月13日:「人生が変わる1分間の深イイ話」ワールドベースボールクラシック特別編
- 3月15日:準々決勝の詳報
- 3月16日または17日:準決勝の詳報
- 3月18日:決勝の詳報
これらは試合の生中継ではなく、大会の情報や結果を届ける番組だ。テレビで侍ジャパンの情報を追いたい人にとっては重要な存在だったが、試合開始から終了までを観戦できる番組とは異なる。
【なぜ地上波放送がなくなった?】WBC放映権の独占契約と高騰の背景
今回の放送形態の変更を理解するには、WBCの放映権を誰が保有し、どのように契約したのかを知る必要がある。
2023年と2026年では権利の付与ルートが違う2023年大会では、WBCの主催者であるWORLD BASEBALL CLASSIC INC.(WBCI)が、東京ラウンドの主催者である読売新聞社を通じて国内の複数の民間放送局などに放送・配信権を付与していた。
一方、2026年大会ではWBCIが読売新聞社を通さず、Netflixに日本国内の全試合の放送・配信権を直接付与した。
読売新聞社自身が2025年8月26日に公表した説明でも、この契約経路の変更が明確に示されている。東京プールの運営に関わる読売新聞社が引き続き大会に携わっていても、国内の映像配信権は別の契約によってNetflixに集約されたということだ。
放映権料は約150億円との報道ももう一つの大きな背景が、放映権料の高騰だ。
2026年3月の日刊スポーツの報道では、球界関係者の話として、過去の放映権料は約30億円だったのに対し、2026年大会は約150億円に上昇したと伝えられた。報道上の推定額であり、WBCIやNetflixが公表した確定契約金額ではないが、従来のテレビ局中心の契約モデルにとって大きな負担となった背景がうかがえる。
テレビ局のスポーツ中継は、広告収入やスポンサーとの関係、視聴率などを考慮して事業として成立させる必要がある。一方、Netflixはスポーツ中継を新規加入やサービス継続につなげるコンテンツとして展開できる。
こうした収益構造の違いが、今回の独占契約を理解するうえで重要だ。単にテレビ局が野球中継をやめたという話ではなく、スポーツコンテンツの価値をめぐる国際的な競争が、日本の視聴環境にも影響したのである。
テレビ局側も無料視聴の重要性を訴えていた放映権をめぐっては、野球の普及という別の問題も浮かび上がった。
地上波放送は、Netflixに加入していない家庭でも試合を見られるという強みを持つ。特に子どもや高齢者を含め、幅広い世代が同じ試合を共有できることは、国際大会の社会的な価値にもつながる。
2025年12月の中日スポーツの報道では、NPBの榊原コミッショナーらが無料のテレビ中継の必要性をMLB側に訴えた経緯も紹介された。しかし、権利契約の変更には至らなかった。
視聴者にとっては、配信サービスの選択肢が増える一方で、国民的スポーツイベントを無料で見られる機会が減るという課題が残った。
【Netflixをテレビで見る方法】接続方法と見逃し配信の仕組み
2026年大会ではテレビ局のチャンネルを選ぶのではなく、テレビにNetflixを接続して観戦する方式が基本となった。
Netflix対応テレビを持っていれば、特別な工事や専用チューナーは必要ない。インターネット環境とNetflixのアカウントがあれば利用できる。
テレビでNetflixを見る主な方法- スマートテレビ:テレビのホーム画面からNetflixアプリを起動する。
- Fire TV Stickなど:HDMI端子にストリーミング端末を接続し、Wi-FiにつないでNetflixを起動する。
- Apple TVなど:対応するストリーミングボックスをテレビにつないで視聴する。
- ゲーム機:Netflixに対応したPlayStationやXboxなどからアプリを利用する。
- パソコン:パソコンでNetflixを開き、HDMIケーブルでテレビに接続する方法もある。
Netflix公式ヘルプでも、スマートテレビ、ストリーミングスティック、CATVチューナー、ブルーレイプレーヤー、ゲーム機などが対応デバイスとして案内されている。
Netflixの接続で確認したいポイントテレビでの視聴を考える場合は、次の3点を事前に確認するとトラブルを避けやすい。
- テレビにNetflixアプリがインストールされているか。
- インターネット回線が安定しているか。
- Netflixのログイン情報を把握しているか。
特にライブ配信では、回線が不安定になると映像が止まったり、画質が低下したりする可能性がある。無線LANの電波が弱い場合は、ルーターの位置を調整するか、有線LAN接続を検討したい。
WBCの見逃し配信はいつまで見られた?大会期間中は、Netflixでライブ配信終了直後から各試合のオンデマンド視聴が可能だった。仕事や学校などでリアルタイム観戦できなかった人も、後から試合を確認できる仕組みだった。
ただし、ライブ配信とアーカイブ配信は別の扱いになる。2026年2月のNetflixに関する説明では、大会終了後のアーカイブ配信期間は未定とされていた。
2026年11月現在、過去のWBC試合映像が引き続き視聴できるかどうかは、Netflix内の作品ページで確認する必要がある。大会期間中に見逃し配信が提供されたことと、現在も全47試合を視聴できることは同じではない。
なお、当時のWBC配信はNetflixの全プランが対象だった。特定の上位プランだけが必要だったわけではない。
【プロの結論】WBCテレビ放送の変更から見えるスポーツ観戦の新常識
2026年WBCの視聴環境が示したのは、テレビ放送と動画配信が単純に競争する段階から、役割を分担する段階へ移っているということだ。
本戦のライブ配信はNetflix、関連特番や報道は地上波、強化試合は従来のテレビ局、音声実況はラジオというように、同じ大会でもコンテンツごとに視聴手段が分かれた。
今後、国際スポーツ大会の視聴先を確認するときは、次の判断基準を持っておきたい。
- 試合を最初から最後まで映像で見たい人:独占配信権を持つサービスを確認する。
- 無料で大会の情報を知りたい人:地上波ニュースや関連特番、ラジオを活用する。
- 家族で大画面観戦したい人:スマートテレビやストリーミング端末の対応状況を確認する。
- リアルタイム視聴が難しい人:見逃し配信の有無とアーカイブ期間を事前に確認する。
特に重要なのは、テレビ局が番組を制作していることと、その局が試合を放送する権利を持っていることは別だという点である。日本テレビがNetflix向けの中継制作を担当した事例は、この違いを理解するうえで象徴的だった。
テレビ放送の有無だけを調べるのではなく、放送権、配信権、制作業務、報道映像の利用範囲まで分けて考えることが、今後のスポーツ観戦では欠かせない。
【WBCテレビ放送】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年のWBCは地上波で放送されましたか?
A1:本戦の全47試合は地上波で生中継・録画中継されませんでした。Netflixによる日本国内独占配信でした。ただし、強化試合や関連特番、ニュース番組は地上波で放送されました。
Q2:WBC2026はBS・CSで見られましたか?
A2:本戦の試合中継はBS・CSでも行われませんでした。全47試合の映像を視聴する公式な国内配信先はNetflixでした。
Q3:WBC2026のNetflix配信はいつからいつまででしたか?
A3:2026年3月5日から3月18日までです。全47試合がライブ配信され、大会期間中は見逃し視聴にも対応していました。
Q4:日本テレビで侍ジャパンの試合を見られなかったのはなぜですか?
A4:日本テレビはNetflix向けの中継映像制作と関連特番の放送を担当しましたが、本戦の独占配信権はNetflixが保有していたためです。制作を担当することと地上波で放送することは別の契約です。
Q5:2026年のWBC強化試合はテレビで放送されましたか?
A5:放送されました。3月2日のオリックス対日本戦はTBS系列、3月3日の阪神対日本戦はテレビ朝日系列で生中継されました。
Q6:2023年のWBCと2026年のWBCでは何が違いますか?
A6:2023年はTBSやテレビ朝日などの地上波中継があり、Prime Videoでも日本戦などが配信されました。2026年はNetflixが日本国内の全47試合を独占配信し、地上波での本戦中継がなくなりました。
Q7:2026年のWBCは現在もNetflixで見逃し視聴できますか?
A7:大会期間中は見逃し配信が提供されましたが、終了後のアーカイブ公開期間は当時未定とされていました。2026年11月現在の視聴可否はNetflixの作品ページで確認してください。
まとめ:WBCのテレビ放送は変化したが、野球中継の形は広がっている
2026年のWBCは、Netflixが日本国内の本戦全47試合を独占配信したことで、従来の地上波中心の視聴スタイルから大きく変わった大会となった。
地上波・BS・CSで本戦の試合中継は行われなかった一方、日本テレビによる15試合の中継制作、関連特番9枠、TBSやテレビ朝日による強化試合の生中継など、テレビ局も異なる形で大会に関わった。
放映権料の高騰やWBCIとNetflixの直接契約は、スポーツ中継のビジネスモデルが転換していることを示している。今後の大会でも、地上波放送の有無だけでなく、独占配信先や見逃し配信の条件を確認することが大切だ。
WBCは日本の野球ファンにとって特別な国際大会である。誰もが観戦できる環境をどう確保するかという課題と、配信サービスによる新しい観戦体験をどう両立させるか。2026年大会が残したこの問題は、次回大会の放送・配信戦略を考えるうえでも重要な論点になる。