今大会を語るうえで欠かせないのが、2026年愛知・名古屋アジア競技大会の日本代表選考だ。
月刊陸上競技の報道によると、6月14日の大会終了時点で、男子14人・女子9人の合計23人がアジア大会代表に即時内定した。大会前から内定していた選手を含めると、陸上競技の代表内定者は男子25人、女子16人の合計41人となった。
代表内定につながった男子14人- 100m:多田修平
- 200m:水久保漱至
- 800m:萬野七樹
- 1500m:飯澤千翔
- 5000m:森凪也
- 110mハードル:泉谷駿介
- 400mハードル:後藤大樹
- 3000m障害:青木涼真
- 走高跳:坂井宏和
- 棒高跳:柄澤智哉
- 走幅跳:橋岡優輝
- 三段跳:宮尾真仁
- ハンマー投:中川達斗
- やり投:﨑山雄太
- 200m:井戸アビゲイル風果
- 800m:久保凛
- 1500m:田中希実
- 5000m:山本有真
- 100mハードル:中島ひとみ
- 400mハードル:青木穂花
- 3000m障害:齋藤みう
- 棒高跳:諸田実咲
- やり投:北口榛花
ここで注意したいのは、各種目の優勝者全員が自動的にアジア大会代表となるわけではない点だ。代表選考では、日本陸連が定める派遣設定記録が関係する。
基本的には、対象種目の派遣設定記録を突破した選手が日本選手権で優勝することが即時内定の条件となる。つまり、単純な順位だけでなく、事前の記録や大会中のパフォーマンスも選考結果を左右する。
例えば、男子200mの水久保漱至は予選で20秒07(+0.5)を記録し、派遣設定記録の20秒48を突破。決勝でも20秒14をマークして優勝した。男子400mハードルの後藤大樹も予選48秒31、決勝48秒09と記録を伸ばし、代表内定を勝ち取っている。
【大会MVPと記録】後藤大樹の快挙と井戸アビゲイル風果の2冠

第110回日本選手権では、優勝争いだけでなく、大会の価値を象徴する記録や選手の活躍も生まれた。
男子MVPは高校生の後藤大樹男子の最優秀選手賞に選ばれたのは、洛南高校の後藤大樹。男子400mハードルで48秒09を記録し、優勝を飾った。
後藤は高校2年生ながら、予選で48秒31、決勝で48秒09と記録を更新。決勝の48秒09はU20日本記録、U18日本記録、日本高校記録を更新する快挙となった。日本陸連はさらにU18世界最高記録としても紹介している。
日本選手権の400mハードルで高校生が優勝するという結果は、国内のトップ選手に加えて若い世代が国際舞台を目指せることを示す象徴的な出来事だった。
女子MVPは井戸アビゲイル風果女子の最優秀選手賞は井戸アビゲイル風果が受賞した。
井戸は100mで11秒44、200mで23秒19を記録し、両種目で優勝。しかも、どちらも大会連覇という結果だった。特に200mではアジア大会派遣設定記録を突破し、代表内定にもつなげている。
短距離の2種目で安定して結果を残したことが、女子MVP選出につながった。
3日間で5万5,598人が来場日本陸連が公表した公式入場者数も、今大会の注目度を示している。
- 6月12日:12,818人
- 6月13日:25,041人
- 6月14日:17,739人
- 3日間合計:55,598人
前回大会の合計41,353人と比較すると、14,245人増加し、約34.4%の伸びとなった。特に2日目は25,041人が来場しており、週末の決勝種目を中心に大きな観戦需要があったことがうかがえる。
【プロの結論】2026年の結果から読み解く日本陸上界の3つの注目点
今回の大会結果を単なる優勝者一覧として見るだけでは、競技全体の動きはつかみにくい。注目すべき要点は、選手の世代交代、記録と順位の関係、そして国際大会を見据えた競技力の3点にある。
1. ベテランと若手が同じ舞台で競い合う男子100mの多田修平、男子110mハードルの泉谷駿介、女子1500mの田中希実など、すでに国内外で実績を積んだ選手が結果を残した一方、男子400mハードルでは高校生の後藤大樹が優勝した。
国内選手権の価値は、実績のある選手がタイトルを守ることだけではない。若い選手がトップ選手との直接対決を通じて結果を残し、次の国際大会へ進む機会にもなっている。
2. 優勝記録だけでなく競技条件を確認する陸上競技の記録を比較する際には、タイムや距離だけでなく風速、競技種目、ラウンドの違いも重要だ。
例えば男子100mの10秒17には追い風0.1m、女子100mの11秒44には向かい風0.1mが記録されている。同じ100mでも、風の条件が異なれば単純な数字だけで選手の実力を比較することはできない。
また、予選・準決勝の記録と決勝記録を混同しないことも大切だ。女子100mハードルでは福部真子が準決勝で12秒72の大会新を記録したが、決勝の優勝者は中島ひとみだった。この2つは別のラウンドの記録である。
3. 日本選手権はアジア大会への選考舞台でもある今回の大会では、男子14人、女子9人が新たに代表に内定した。これは、日本選手権が国内タイトルを決める大会であると同時に、国際大会へ向けた競技力の確認の場でもあることを示している。
選手にとっては、優勝という結果だけでなく、派遣設定記録を突破できるかどうかが重要になる。観戦する側も、順位表に加えて記録や選考条件を確認すると、大会の見どころをより深く理解できる。
【陸上日本選手権の結果】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年の第110回日本陸上選手権はいつ、どこで開催されましたか?
A1:2026年6月12日(金)から14日(日)まで、愛知県名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムで開催されました。
Q2:2026年の男子100mと女子100mの優勝者は誰ですか?
A2:男子は多田修平が10秒17で優勝しました。女子は井戸アビゲイル風果が11秒44で優勝し、大会連覇を達成しました。
Q3:女子1500mの優勝者と記録は?
A3:田中希実が4分11秒80で優勝しました。日本選手権7連覇を達成し、アジア大会日本代表にも内定しています。
Q4:2026年日本選手権でアジア大会代表に内定した選手は何人ですか?
A4:6月14日の大会終了時点で、新たに男子14人、女子9人の合計23人が即時内定しました。大会前からの内定者を含めると、合計41人でした。
まとめ:第110回日本選手権は次世代と実力者が躍動した大会
2026年6月12日から14日に開催された第110回日本陸上競技選手権大会では、多田修平が男子100mを10秒17で制し、泉谷駿介が110mハードルで2連覇を達成。女子では井戸アビゲイル風果が短距離2冠、田中希実が1500mで7連覇を飾った。
加えて、男子400mハードルの後藤大樹が48秒09でU20日本記録などを更新し、大会MVPを受賞。男子14人、女子9人の合計23人がアジア大会代表に新たに内定するなど、国内選手権の枠を超えた成果も生まれた。
大会結果を調べる際は、優勝者だけでなく、2位・3位の順位、決勝記録、風速、代表選考の条件まで確認することが大切だ。全順位の詳細は日本陸上競技連盟が公開した「第110回日本選手権 全てのリザルト」およびTOP8リザルトで確認できる。
2026年大会は、実績を持つ選手の強さと新世代の台頭が同時に示された大会として、日本陸上競技の記録に残る3日間となった。