トランス脂肪酸を含む食品と聞くと、マーガリンやショートニングを思い浮かべる人は多い。しかし、実際には菓子パン、クロワッサン、ビスケット、ドーナツ、スナック菓子など、日常的に購入する加工食品にも含まれている。牛肉や乳製品にも天然由来のトランス脂肪酸が微量に存在するため、完全に特定の食品だけの問題ではない。
一方、日本国内の状況は大きく変化している。農林水産省が公表した令和4・5年度(2022・2023年度)の最新の食品含有実態調査では、以前の調査と比較してトランス脂肪酸濃度が全体的に減少傾向にあることが確認された。加えて、2025年には食品安全委員会の委託研究による日本人の摂取量の再推計も公表されている。2026年現在、何を避けるべきで、どこまで気にする必要があるのか。公的な調査結果と健康評価から実態を整理する。
【基礎知識】トランス脂肪酸とは?食品に含まれる2つの生成経路

トランス脂肪酸とは、不飽和脂肪酸の一種で、炭素同士の二重結合の周辺にある水素原子の配置がトランス型になっている脂肪酸の総称だ。
一般的な植物油に多い不飽和脂肪酸はシス型の構造を持つ。これに対し、トランス型は分子の構造が異なり、融点などの物理的性質にも違いが生じる。この特徴が、加工食品の製造に利用されてきた。
工業的に生成されるトランス脂肪酸代表的な生成経路は、植物油などに水素を加える「水素添加」という加工技術だ。
常温で液体の植物油に水素を加えると、油脂の融点や硬さを調整できる。液体の油を半固体や固体に近づけることで、パンや菓子に適した食感や保存性を実現しやすくなる。
ただし、部分的に水素を添加する工程では、シス型の二重結合の一部がトランス型に変化することがある。こうして生成した油脂が、部分水素添加油脂と呼ばれるものだ。
また、植物油を精製する際の脱臭工程でも生成する。油脂を高温で処理して好ましくない臭いを取り除く過程で、脂肪酸の構造が変化するためだ。したがって、部分水素添加油脂を使用していない植物油でも、ごく微量のトランス脂肪酸を含む場合がある。
天然由来のトランス脂肪酸もう一つの生成経路は、牛や羊などの反すう動物の消化過程だ。
これらの動物は胃の中に存在する微生物の働きによってトランス脂肪酸を生成する。そのため、牛肉、羊肉、牛乳、バター、チーズなどの乳製品にも天然由来のものが含まれている。
つまり、トランス脂肪酸は人工的な加工食品だけに存在する成分ではない。食品の由来と製造工程の両方を理解することが、正しい判断につながる。
農林水産省と厚生労働省の解説でも、工業由来と反すう動物由来の2種類が区別されている。
【食品一覧・含有量比較】マーガリンから菓子パン、ドーナツまで何に多い?
トランス脂肪酸を含む食品を比較する際に重要なのは、食品の種類だけでなく、実際の含有量を見ることだ。同じマーガリンやビスケットという分類でも、原料油脂や製造方法によって数値は変わる。
農林水産省が2024年10月30日に公表した令和4・5年度の調査は、2022年から2023年に国内で流通していた食品を対象としている。油脂類や油脂を原材料とする加工食品など27品目、合計522点が調査された。
以下は、その調査結果から代表的な食品を抜粋したものだ。数値は食品100g当たりのトランス脂肪酸含有量で、中央値と調査対象商品の範囲を示している。
| 食品分類 | 食品名 | 中央値(g/100g) | 調査範囲(g/100g) |
|---|---|---|---|
| 油脂類 | マーガリン | 0.65 | 0.33~1.3 |
| 油脂類 | ショートニング | 0.61 | 0.52~0.86 |
| 油脂類 | ファットスプレッド | 0.48 | 0.20~1.3 |
| 穀類加工品 | クロワッサン | 0.20 | 0.12~2.3 |
| 穀類加工品 | 菓子パン | 0.08 | 0.04~0.23 |
| 穀類加工品 | 食パン | 0.03 | 0.03~0.16 |
| 菓子類 | ドーナツ | 0.16 | 0.08~0.35 |
| 菓子類 | ビスケット | 0.18 | 0.09~1.1 |
| 菓子類 | ウエハース | 0.46 | 0.08~1.3 |
| 菓子類 | 菓子パイ | 0.20 | 0.09~0.62 |
| 菓子類 | スナック菓子 | 0.17 | 0.08~0.35 |
| 菓子類 | ショートケーキ | 0.12 | 0.04~0.40 |
| 菓子類 | プリン | 0.04 | 0.03~0.10 |
| 調味料 | マヨネーズ類 | 0.39 | 0.09~1.2 |
出典:農林水産省「令和4・5年度調査結果」。数値は食品100g当たり。中央値は調査対象商品の中央に位置する値であり、すべての市販品に当てはまる数値ではない。
マーガリンとショートニングは現在も多いのかマーガリンやショートニングは、かつてトランス脂肪酸の代表的な摂取源だった。
厚生労働省が紹介する平成18年度(2006年度)の食品安全委員会調査では、マーガリンの平均含有量は7.0g/100g、ショートニングは13.6g/100gだった。
しかし、2022・2023年度の農林水産省調査では、マーガリンの中央値は0.65g、ショートニングは0.61gまで低下している。調査方法や対象商品の構成が異なるため、単純な同一条件での比較ではないものの、食品業界による低減の進展がうかがえる。
2026年現在、マーガリンという名称だけで昔の含有量を想定するのは適切ではない。現在の商品には、トランス脂肪酸を低減するための製造技術が採用されているものも多い。
菓子パン・ビスケット・ドーナツの違い今回の調査では、菓子パンの中央値が0.08g/100g、ビスケットが0.18g/100g、ドーナツが0.16g/100gだった。
注目したいのは、クロワッサンやビスケットの調査範囲だ。クロワッサンは最大2.3g/100g、ビスケットは最大1.1g/100gという結果が出ている。
中央値だけを見ると少量でも、製品によって含有量に大きな差があることが分かる。特に油脂を多く使用する菓子類は、商品ごとの原材料や製造方法を確認する意味がある。
揚げ物にも含まれる?フライドポテト、フライドチキン、天ぷらなどの揚げ物についても、使用する油脂によってはトランス脂肪酸を含む場合がある。
ただし、揚げ物だから必ず含有量が多いというわけではない。世界保健機関(WHO)の説明では、油を高温で加熱することによってトランス脂肪酸が増加するものの、その増加は部分水素添加油脂に含まれる量と比較すると限定的とされている。
つまり、揚げ物を一律に危険食品と判断するのではなく、使用する油脂の種類や加工方法を考慮する必要がある。
【2026年最新】日本のトランス脂肪酸食品の実態と低減対策
日本国内では、トランス脂肪酸の含有量を減らすため、食品メーカーによる自主的な製造工程の見直しが進んできた。
農林水産省の2024年公表資料によると、2022・2023年度の調査では、2006・2007年度や2014・2015年度の調査と比較して、食品中のトランス脂肪酸濃度が全体的に減少傾向にある。一方、飽和脂肪酸については大きな変動が見られなかった。
なぜ含有量が減少したのか大きな理由は、食品メーカーが油脂の製造技術を改良したことにある。
以前は、液体の植物油を固形化するための水素添加が、トランス脂肪酸の主要な生成経路だった。現在は、トランス脂肪酸を増やしにくい加工方法への切り替えが進んでいる。
代表的なのが、次の2つの技術だ。
- エステル交換:油脂を構成する脂肪酸の結合位置を組み替え、融点や硬さなどの性質を調整する。
- 分別:油脂を融点の違いによって分け、目的に合った性質の油脂を取り出す。
これらの技術を活用することで、部分水素添加に依存せず、パンや菓子の製造に必要な食感や品質を保ちながら、トランス脂肪酸を低減できる。
また、油脂を精製する際の高温処理についても、温度・時間・圧力を管理することで生成を抑える取り組みが行われている。
2025年には日本人の摂取量も再推計2026年時点で注目したいのが、食品安全委員会の委託研究による2025年3月31日付の研究報告だ。
この研究では、農林水産省が2022・2023年度に実施した加工食品の調査結果と、牛乳、ヨーグルト、バターなどの反すう動物由来食品の分析結果を組み合わせ、日本人の摂取量を再推計した。
その結果、総エネルギー摂取量に占めるトランス脂肪酸の割合は、平均値で男性が0.29~0.39%、女性が0.33~0.40%となった。WHOが推奨する1%未満という基準を大きく下回る水準だ。
なお、この数値は食品安全委員会の委託研究報告に示された研究結果であり、報告書自体も研究者個人の見解であることを明記している。農林水産省も2026年2月時点の対応資料において、この2025年の再推計でWHOの目標量を大きく下回ることが確認されたと整理している。
同資料によれば、農林水産省はトランス脂肪酸について、国内外の科学的知見や含有実態を継続的に収集する対象として位置付けている。食品中の含有量が低下したからといって、調査や情報収集を終了したわけではない。
【健康リスク】トランス脂肪酸は心臓病や動脈硬化にどう影響する?
トランス脂肪酸が問題視される最大の理由は、過剰摂取によって血液中のコレステロールバランスが悪化し、冠動脈疾患のリスクが高まることだ。
LDLコレステロールを増やしHDLを減らすトランス脂肪酸を多く摂取すると、血液中のLDLコレステロール、いわゆる悪玉コレステロールが増加するだけでなく、HDLコレステロールと呼ばれる善玉コレステロールが減少することが報告されている。
この変化は動脈硬化につながり、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患のリスクを高める要因になる。
WHOも、トランス脂肪酸の過剰摂取が心血管疾患の重要な危険因子であると説明している。
ただし、糖尿病、がん、脳卒中、認知症など、あらゆる病気について同じように因果関係が確立しているわけではない。厚生労働省は、これらの疾患との関連について、十分に分かっていない部分があると説明している。
日本人なら健康リスクを心配しなくてよいのか日本の食品安全委員会は2012年3月に食品健康影響評価を取りまとめ、日本人の大多数がWHOの目標であるエネルギー比1%未満に収まっていることから、通常の食生活では健康への影響は小さいと評価した。
「通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられる」
出典:食品安全委員会「食品に含まれるトランス脂肪酸」食品健康影響評価
この評価は、トランス脂肪酸が健康に無害であるという意味ではない。日本人の平均的な摂取量が、健康への影響を懸念する水準より低いという意味だ。
また、脂質に偏った食事を続ける人は、一般的な平均値より多く摂取する可能性があるため、注意が必要とされている。
WHOが示す摂取目標は1%未満WHOは、トランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満に抑えるよう勧告している。
1日の摂取エネルギーが2,000kcalの場合、これは約2.2g未満に相当する。日本人の平均的な摂取エネルギーを約1,900kcalとした場合は、約2g未満が目安となる。
一方、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、トランス脂肪酸について独自の目標量は設定されていない。健康影響に関する報告が十分ではないことや、日本人の摂取量が比較的少ないことなどを踏まえた扱いだ。
WHOの目標値と日本の食事摂取基準は、同じものではない。前者は国際的な摂取目標、後者は日本人の健康状態や科学的知見を考慮した国内基準である。
農林水産省は、トランス脂肪酸だけに注目するのではなく、飽和脂肪酸を含む脂質全体の摂取バランスにも注意するよう呼びかけている。
【食品の見分け方】トランス脂肪酸が少ない食品を選ぶ5つのポイント
日本では、すべての食品にトランス脂肪酸の含有量が表示されているわけではない。そのため、購入時には原材料表示と栄養成分表示を組み合わせて判断する必要がある。
1. 原材料名のショートニングやマーガリンを確認する原材料表示で確認したいのは、次のような名称だ。
- ショートニング
- マーガリン
- 加工油脂
- 部分水素添加油脂
- 植物油脂
特に部分水素添加油脂は、工業由来のトランス脂肪酸が生成する代表的な原料として知られている。
ただし、ショートニングやマーガリンが記載されているだけで、含有量が多いと決まるわけではない。現在は低減技術を使った製品も流通している。
また、「植物油脂」という表記だけでは、使用した油脂の種類やトランス脂肪酸の含有量まで特定できない。
2. トランス脂肪酸の含有量を公表しているメーカーを選ぶ食品メーカーによっては、自社製品のトランス脂肪酸含有量や低減対策を公式サイトなどで公開している。
同じ種類のマーガリンや菓子パンを比較する場合、メーカーが公表する具体的な数値は有力な判断材料になる。
比較する際は、食品100g当たりなのか、1食当たりなのかという単位にも注意したい。
3. 「トランス脂肪酸0g」の表示を正しく理解する日本では、消費者庁の「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」により、食品100g当たりの含有量が0.3g未満の場合、0gと表示することが認められている。
そのため、パッケージに0gと記載されていても、化学分析上まったく含まれていないとは限らない。
0gという表示は、一定の基準を満たした表示上の数値として理解する必要がある。
4. 脂質の総量と飽和脂肪酸も確認するトランス脂肪酸だけを減らそうとして、飽和脂肪酸の多い食品に置き換えてしまうのは望ましくない。
農林水産省の調査でも、トランス脂肪酸の低減に伴って飽和脂肪酸が増加する場合があることが指摘されている。食品メーカーも、トランス脂肪酸を減らしながら飽和脂肪酸を増やさないことを課題としている。
購入時には、トランス脂肪酸の表示があればその数値を確認し、脂質と飽和脂肪酸の量も合わせて比較したい。
5. 食べる頻度と量を見直す毎日大量に菓子パンや洋菓子を食べる食習慣と、週に一度楽しむ程度の食習慣では、摂取量に違いが生まれる。
例えば、農林水産省の調査におけるマーガリンの中央値は0.65g/100gだ。パンに塗る量を10gとすると、摂取するトランス脂肪酸は約0.065gとなる。
食品100g当たりの数値だけで過剰に心配するのではなく、実際に食べる量に換算することが大切だ。
トランス脂肪酸が少ない食品の選び方比較的少ない食品を選びたい場合、農林水産省の最新調査では、食パンの中央値が0.03g/100g、ロールパンが0.05g/100g、プリンが0.04g/100gだった。
ただし、これは特定の調査対象商品の中央値であり、すべての食パンやプリンが同じ数値という意味ではない。
日常の食事では、野菜、豆類、魚、果物、精製度の低い穀類などを組み合わせ、特定の加工食品や油脂に偏らない食事を意識するとよい。
トランス脂肪酸を避けることだけを目的に、必要な脂質まで極端に制限する必要はない。
【プロの結論】トランス脂肪酸食品を見極めるために知っておきたい4つの誤解
食品の安全性を判断するとき、特定の食品名だけを危険・安全に分類する方法には限界がある。トランス脂肪酸の場合も、含有量、由来、摂取量、製造技術を組み合わせて考える必要がある。
誤解1:マーガリンはすべて危険で、バターなら安全これは正確ではない。
マーガリンは製品によって含有量が異なり、現在はトランス脂肪酸を低減した商品も多い。一方、バターにも牛乳由来の天然トランス脂肪酸が微量に含まれる。
加えて、バターは飽和脂肪酸も多い。単純にマーガリンからバターへ変更すれば健康面で有利になるとは限らない。
誤解2:揚げ物を食べると大量のトランス脂肪酸を摂取する揚げ物にはトランス脂肪酸が含まれる場合があるが、その量は使用する油脂や製造条件によって異なる。
WHOの資料では、高温加熱による生成量は部分水素添加油脂に比べて限定的とされている。揚げ物をすべて同じ危険度で扱うのは適切ではない。
誤解3:日本では規制がないため、食品メーカーは何も対策していない日本では、トランス脂肪酸について食品への使用を一律に禁止する制度や、含有濃度の法的上限値は設けられていない。また、すべての食品に対する含有量の表示義務もない。
しかし、これはメーカーが何も対策していないことを意味しない。
農林水産省の調査では、2006・2007年度以降、食品中のトランス脂肪酸濃度が全体として低下してきた。エステル交換や分別などの技術導入も進んでいる。
日本の制度は、現状では事業者による自主的な低減と行政による実態調査・情報提供を中心としている。
誤解4:トランス脂肪酸だけ減らせば健康問題は解決する健康管理では、脂質全体の摂取バランスも重要だ。
農林水産省が紹介する2023年の国民健康・栄養調査では、脂肪エネルギー比率が食事摂取基準の目標範囲を超える成人は、男性で約37.4%、女性で約46.4%だった。
トランス脂肪酸の摂取量が低い状態を維持することに加え、飽和脂肪酸や食塩の過剰摂取を防ぐことも、日本人の食生活における大切な課題となっている。
食品選びで重視したい判断基準は、次の4つだ。
- トランス脂肪酸の含有量が公表されているか。
- 部分水素添加油脂を使用しているか。
- 脂質や飽和脂肪酸の量が過剰になっていないか。
- 同じ加工食品を毎日大量に食べる習慣になっていないか。
食品名だけで判断せず、実際の含有量と摂取頻度を重視することが、合理的な選択につながる。
【トランス脂肪酸食品】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:トランス脂肪酸が多い食品には何がありますか?
A1:マーガリン、ショートニング、クロワッサン、ビスケット、ドーナツ、ウエハース、菓子パイなどが代表例です。ただし、現在の日本国内ではメーカーの低減対策が進み、同じ食品分類でも商品によって含有量に大きな差があります。
Q2:マーガリンとバターはどちらが健康的ですか?
A2:トランス脂肪酸だけで一概に比較することはできません。マーガリンは製品ごとに含有量が異なり、バターには天然由来のトランス脂肪酸と飽和脂肪酸が含まれています。両方とも摂取量と脂質全体のバランスを考えることが大切です。
Q3:トランス脂肪酸が少ないパンやお菓子は何ですか?
A3:農林水産省の2022・2023年度調査では、食パンの中央値が0.03g/100g、菓子パンが0.08g/100gでした。プリンは0.04g/100gです。ただし、商品ごとの違いがあるため、数値は目安として利用してください。
Q4:トランス脂肪酸の摂取量は日本人でも危険な水準ですか?
A4:食品安全委員会の2012年の評価では、日本人の大多数がWHOの目標基準であるエネルギー比1%未満であり、通常の食生活での健康影響は小さいとされています。さらに2025年の委託研究による再推計でも、平均摂取量は男女ともに1%を大きく下回っています。
Q5:食品表示にトランス脂肪酸0gとあれば完全にゼロですか?
A5:必ずしもそうではありません。日本の情報開示指針では、食品100g当たり0.3g未満の場合に0gと表示できます。そのため、0g表示は分析上の完全なゼロを保証するものではありません。
Q6:日本ではトランス脂肪酸の使用が禁止されていますか?
A6:2026年現在、日本では部分水素添加油脂の使用を食品全体について一律に禁止する制度や、食品中のトランス脂肪酸濃度の法的上限値は設けられていません。食品メーカーの自主的な低減対策と、農林水産省などによる調査・情報提供が進められています。
まとめ:2026年は食品名より含有量と食生活全体で判断する
トランス脂肪酸を含む食品は、マーガリンやショートニングだけではない。菓子パン、ビスケット、ドーナツ、クロワッサン、揚げ物、乳製品や肉類など、さまざまな食品に存在している。
ただし、2026年現在の日本国内の状況を見ると、食品メーカーによる低減対策は着実に進んでいる。農林水産省の令和4・5年度調査では食品中の含有濃度が全体的に減少傾向となり、2025年の摂取量再推計でも、日本人の平均的な摂取量はWHOの目標基準を大きく下回っていた。
一方、トランス脂肪酸の過剰摂取が冠動脈疾患のリスクを高めるという科学的知見は変わっていない。脂質に偏った食事を続けている人や、加工食品・洋菓子を日常的に大量に食べる人は、引き続き注意したい。
これからの食品選びで大切なのは、マーガリンや菓子パンを一律に排除することではない。原材料表示やメーカーの公開情報を確認し、トランス脂肪酸だけでなく飽和脂肪酸や脂質全体の摂取量も考えることだ。
必要以上に恐れることなく、科学的なデータを基準に食品を選び、さまざまな食品をバランスよく取り入れる。それが、2026年以降も健康的な食生活を維持するための現実的な判断基準となる。
主な参考資料・公的情報
- 農林水産省「令和4・5年度調査結果(穀類加工品、油脂類、菓子類、調味料・香辛料類)」(2024年10月30日)
- 農林水産省「すぐにわかるトランス脂肪酸」(2025年5月13日更新)
- 農林水産省「食品中のトランス脂肪酸の低減」(2024年12月20日更新)
- 農林水産省「食品及び飼料の安全性向上に向けた対応状況」(2026年2月時点)
- 内閣府食品安全委員会「食品に含まれるトランス脂肪酸」食品健康影響評価(2012年3月)
- 食品安全委員会委託研究「食品に含まれるトランス脂肪酸の摂取量推計に係る研究」(2025年3月31日)
- 厚生労働省「トランス脂肪酸に関するQ&A」
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- 消費者庁「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」
- WHO「Trans fat」(2024年1月24日)