ニトリの創業者は、北海道発の家具・インテリア企業を日本有数のホームファニシングチェーンへと成長させた似鳥昭雄(にとり・あきお)氏です。1967年12月、23歳で札幌に「似鳥家具店」を創業し、1972年3月には「似鳥家具卸センター株式会社」を設立しました。その後、アメリカ視察で得た経験を経営の原点とし、独自のビジネスモデルを築き上げています。
2026年11月現在、似鳥氏は82歳。ニトリホールディングスの代表取締役会長を務め、事業会社ニトリでも代表取締役会長兼社長の立場にあります。この記事では、生い立ちや創業理由、アメリカ視察による経営思想の変化、製造物流IT小売業の仕組み、白井俊之社長との経営体制、2026年最新の決算情報までを整理します。
【ニトリ創業者は似鳥昭雄氏】年齢・プロフィール・現在の役職

ニトリ創業者の似鳥昭雄氏は、1944年3月5日生まれ。2026年11月2日時点で82歳です。北海道を拠点に成長したニトリグループを、一代で国内有数の家具・インテリア企業へと育て上げた経営者として知られています。
似鳥昭雄氏の基本プロフィール似鳥氏の経歴を整理すると、創業者としての出発点は札幌の小さな家具店にあります。大学卒業後の就職経験を経て独立し、家具販売の事業をスタートさせました。
- 氏名:似鳥昭雄(にとり あきお)
- 生年月日:1944年3月5日
- 年齢:82歳(2026年11月現在)
- 出身:樺太生まれ、北海道札幌市で成長
- 学歴:札幌短期大学卒業後、北海学園大学経済学部卒業
- 創業:1967年12月、似鳥家具店
- 会社設立:1972年3月、似鳥家具卸センター株式会社
- 現在の主な役職:ニトリホールディングス代表取締役会長
似鳥氏は、単に創業者として名誉職に就いているわけではありません。ニトリホールディングスの公式役員一覧では、2026年6月25日時点で代表取締役会長として掲載されています。
加えて、事業会社である株式会社ニトリでは、2024年2月から代表取締役会長兼社長を務めています。グループ全体の経営方針や企業戦略に関わる立場を維持している点が特徴です。
一方、ニトリホールディングスの代表取締役社長は白井俊之氏です。創業者が経営の方向性を担い、長年にわたり社内で経験を積んだ経営者がグループの社長を務める体制になっています。
【似鳥昭雄の生い立ちと経歴】樺太生まれからニトリ創業まで
1944年に樺太で生まれ、戦後に北海道へ似鳥昭雄氏は1944年、樺太で生まれました。本人が2021年のインタビューで語ったところによると、1947年に北海道へ引き揚げています。
北海道に移った直後は母方の親戚を頼って道内を転々とし、その後、札幌に落ち着きました。幼少期には戦後の厳しい生活環境を経験しています。
その後、札幌短期大学を卒業し、北海学園大学に編入。1966年に同大学経済学部を卒業しました。
就職での挫折が独立につながる大学卒業後、似鳥氏は会社勤めを経験しました。しかし、本人がインタビューで振り返ったところによると、広告会社では半年間にわたって契約を獲得できず、解雇されています。
順調な会社員生活を送った末に独立したという経歴ではありません。むしろ、仕事での挫折を経験した後、自分で商売を始める道を選んだ人物です。
2018年の東京大学新聞オンラインのインタビューでは、23歳のときに資金を借りて約30坪の家具店を始めた経緯を説明しています。
似鳥家具店を創業した理由は何だったのか似鳥氏が家具店を始めた理由として挙げているのが、当時住んでいた地域に家具店がなかったことです。
本人の説明によれば、最初から全国展開や巨大チェーンの構想を持っていたわけではありませんでした。まずは生活していくために商売を始めるという、現実的な動機が出発点でした。
つまり、現在のニトリの大規模な事業構想は、創業時から完成していたものではありません。小さな店舗での販売経験や経営上の困難、海外視察などを通じて、徐々に形づくられていったのです。
【1967年創業から1972年会社設立へ】ニトリ成功の転換点を年表で整理
ニトリの歴史を理解するうえで、1967年の店舗創業と1972年の法人設立は区別する必要があります。前者は商売のスタート、後者は企業としての組織化に当たります。
似鳥家具店から現在のニトリグループへニトリホールディングスの公式沿革と役員略歴、関係者へのインタビューをもとに、主な転換点を整理しました。
| 時期 | 人物・組織の動き | 意味・関係 |
|---|---|---|
| 1944年 | 似鳥昭雄氏が樺太で誕生 | 創業者の生い立ち |
| 1947年 | 北海道へ引き揚げ | その後、札幌で成長 |
| 1966年 | 北海学園大学経済学部卒業 | 大学卒業後に会社勤務を経験 |
| 1967年12月 | 似鳥家具店を創業 | 札幌で家具販売事業を開始 |
| 1972年3月 | 似鳥家具卸センター株式会社を設立 | 法人として事業を展開 |
| 1972年 | 似鳥氏がアメリカの家具業界を視察 | 現在につながる経営理念の原点 |
| 1986年 | 社名を株式会社ニトリに変更 | 海外商品の直輸入も開始 |
| 2016年2月 | 似鳥氏がHD代表取締役会長に就任 | 白井俊之氏がHD代表取締役社長に就任 |
| 2026年 | 似鳥氏が代表取締役会長、白井氏が代表取締役社長 | 創業者と社長による経営体制 |
特に重要なのは、1972年3月の法人設立と、同じ1972年に実施されたアメリカ視察です。会社としての基盤を整える時期に、似鳥氏は家具販売のあり方そのものを見直す経験をしました。
なお、1972年に設立された法人の正式名称は「似鳥家具卸センター株式会社」です。現在のニトリホールディングスという社名の会社が、1967年にそのまま設立されたわけではありません。1978年には株式会社ニトリ家具、1986年には株式会社ニトリへと社名が変更されています。
【似鳥昭雄のアメリカ視察】経営理念と創業の経緯を変えた発見
似鳥昭雄氏の経営者人生を語るうえで欠かせないのが、1972年のアメリカ視察です。この経験は、単なる海外研修ではなく、家具店から大規模なチェーンストアへと事業の方向性を変えるきっかけになりました。
経営危機のなかで参加したアメリカ視察東京大学や東京大学新聞オンラインに掲載された講演・インタビュー記録によると、似鳥氏は当時、店舗経営で苦しい状況に直面していました。
2店舗目を出店した後、近隣に大型の競合家具店が進出し、売り上げが落ち込んだと本人は振り返っています。そのような状況で、家具業界の関係者からアメリカの家具店を視察するセミナーへの参加を勧められました。
そこで目にしたのは、日本とは異なる家具販売の仕組みでした。
- 日本の3分の1程度と感じられる家具の価格
- 価格だけではなく、使う人の立場を考えた品質と機能
- 家具、カーテン、インテリア用品を組み合わせた売り場
- 一般消費者の日常生活を支えるチェーンストアの存在
家具を単品で販売するだけではなく、生活空間全体を提案する。その考え方が、似鳥氏に大きな影響を与えました。
「日本人の住まいを豊かにしたい」という志ニトリホールディングスの公式トップメッセージでは、アメリカ視察で受けた感動を、現在の事業の原点として紹介しています。
「日本人の住まいを、アメリカのように豊かなものにしたい」
この考え方から、安い家具を売ることだけを目的にするのではなく、価格を抑えながら品質や機能、デザインを高めるという経営の方向性が生まれました。
重要なのは、似鳥氏がアメリカの店舗をそのまま日本に持ち込もうとしたわけではないことです。日本の消費者にとって手の届く価格で、住まい全体のコーディネートを楽しめる仕組みをつくろうとした点に独自性があります。
2025年に掲げられた新しいロマンニトリグループは2025年2月、企業として掲げるロマン(志)を「暮らしの豊かさを世界の人々に提供する。」へと定めました。
創業期の日本の住まいを豊かにしたいという志が、日本国内から世界へと対象を広げた形です。
現在のニトリが家具だけでなく、ホームファッション、ホームセンター、アパレルなどへ事業領域を広げている背景にも、この経営理念があります。
【製造物流IT小売業とは?】ニトリ独自のビジネスモデルの仕組み
ニトリの成長を支えてきた大きな特徴が、独自の「製造物流IT小売業」です。
一般的な小売業では、メーカーや卸売業者から商品を仕入れ、店舗で販売する形が基本です。一方、ニトリは商品企画から製造、貿易、物流、IT、販売まで、グループ内で幅広く管理する仕組みを構築しています。
商品企画から販売までを一貫して管理ニトリホールディングスの公式ビジネスモデルでは、主に次のような機能が紹介されています。
- 商品企画:消費者の生活や購買行動を調査し、必要とされる商品を考える。
- 商品開発:色や柄、スタイルを統一した商品を開発し、トータルコーディネートを提案する。
- 原材料調達:世界各地の供給元と直接交渉し、原材料からコストを管理する。
- 製造:自社工場に加え、協力工場の製造工程も指導・管理する。
- 品質管理:安全性や品質を評価し、基準を満たした商品を提供する。
- 貿易:輸入に関する手続きを自社で行い、調達コストと供給効率を管理する。
- 物流:輸入から倉庫、店舗、消費者への配送まで独自の物流網を構築する。
- IT・販売:基幹システム、EC、アプリ、店舗を連携させる。
要点は、商品の販売価格だけを見るのではなく、原材料の調達から消費者に届けるまでの全体コストを管理できることです。
例えば、仕入れ先や卸売業者に依存する部分を減らし、原材料の選定、製造工程、輸入、物流をグループ全体で最適化すれば、各段階で発生するコストを把握しやすくなります。
また、販売現場で得た情報を商品企画や需要予測に活用できることも利点です。売れ筋や在庫の状況を把握し、次の商品開発や供給計画に反映させることで、欠品や過剰在庫を抑える仕組みをつくれます。
すべての商品を自社工場で製造しているわけではないここで誤解しやすいのが、製造物流IT小売業という名称です。
ニトリの商品がすべて自社工場で製造されているわけではありません。公式情報では、自社工場だけでなく協力工場も活用し、その製造プロセスをニトリグループが指導・管理すると説明されています。
つまり、製造設備をすべて自社で保有することではなく、商品の企画から品質、物流、販売までを一貫して管理することがビジネスモデルの本質です。
この仕組みは、低価格と品質の両立に寄与する一方、海外調達、為替変動、輸送費、物流網の維持など、幅広い領域を管理する難しさも伴います。ニトリの競争力は、単純な安売りではなく、こうした複雑な仕組みを運営する能力にあります。
【2026年最新】ニトリの経営体制・白井俊之の経歴・業績
2026年のニトリグループを理解するには、創業者の似鳥昭雄氏だけでなく、代表取締役社長の白井俊之氏にも注目する必要があります。
白井俊之氏は1979年入社の社内出身経営者白井俊之氏は1955年12月21日生まれ。2026年11月現在70歳です。
ニトリホールディングスの公式役員略歴によると、1979年4月に同社へ入社。その後、取締役、常務取締役、専務取締役などを歴任し、2014年には事業会社ニトリの代表取締役社長に就任しました。
2016年2月にはニトリホールディングスの代表取締役社長に就任し、2026年現在も同職を務めています。
白井氏の経歴で特徴的なのは、店舗運営だけでなく、人事、商品開発、物流、海外事業など、グループの幅広い業務を経験してきたことです。
創業者の理念を理解しながら、事業運営の経験を積んできた社内出身者が経営の中心を担っている点は、ニトリの経営体制を考えるうえで重要です。
2026年3月期の連結業績ニトリホールディングスの公式決算情報によると、2026年3月期の連結業績は次のとおりです。
- 売上収益:9,122億4,800万円
- 営業利益:1,255億2,600万円
- 税引前当期利益:1,273億5,700万円
- 親会社の所有者に帰属する当期利益:892億7,400万円
前期との比較では、売上収益は約1.8%減少した一方、営業利益は約6.7%増加、親会社の所有者に帰属する当期利益は約8.1%増加しました。
この数字から読み取れるのは、売上規模が縮小するなかでも、利益面では改善が見られたことです。売上の拡大だけではなく、収益性の確保も経営上の重要なテーマになっています。
2027年3月期第1四半期の最新状況2026年11月2日時点で、公式IRニュースに掲載されている最新の決算は、2026年8月7日発表の2027年3月期第1四半期決算です。
2026年4月から6月までの連結業績は以下のとおりです。
- 売上収益:2,262億5,900万円(前年同期比2.3%減)
- 営業利益:365億4,500万円(前年同期比1.1%減)
- 税引前四半期利益:371億8,300万円(前年同期比0.1%増)
- 親会社の所有者に帰属する四半期利益:257億5,700万円(前年同期比1.5%減)
売上収益と営業利益が前年同期を下回っており、2026年3月期通期の利益改善とは異なる動きが見られます。
なお、2027年3月期第2四半期決算は、ニトリホールディングスのIRカレンダーで2026年11月の発表予定として掲載されています。したがって、11月2日時点の業績評価では、第1四半期の実績と2026年3月期の通期実績を分けて見る必要があります。
ニトリの今後の経営課題ニトリグループは、中長期的な経営ビジョンとして売上高3兆円を掲げています。海外展開や事業領域の拡大を進めるなかで、製造物流IT小売業の仕組みをさらに進化させることが大切です。
特に注目したいのは、次の3点です。
- 海外展開:アジアを中心とした市場で、国内で培った商品開発や店舗運営の仕組みを展開できるか。
- 物流・ITの効率化:物流費や人件費などのコストを抑えながら、安定した供給を実現できるか。
- 次世代経営:似鳥氏の経営思想を引き継ぎながら、白井社長を中心とする経営体制で持続的な成長を実現できるか。
【似鳥昭雄とニトリ創業者】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ニトリの創業者は誰ですか?
A1:ニトリの創業者は似鳥昭雄氏です。1967年12月に札幌で似鳥家具店を創業し、1972年3月に似鳥家具卸センター株式会社を設立しました。
Q2:似鳥昭雄氏は2026年現在何歳ですか?
A2:1944年3月5日生まれの82歳です。2026年11月現在、ニトリホールディングスの代表取締役会長を務めています。
Q3:ニトリの創業理由は何ですか?
A3:似鳥氏は、当時住んでいた地域に家具店がなかったことを創業のきっかけとして挙げています。23歳で約30坪の家具店を開き、1972年のアメリカ視察を経て、家具販売のチェーンストア構想を発展させました。
Q4:ニトリの会社設立は何年ですか?
A4:1972年3月です。正式には「似鳥家具卸センター株式会社」として設立されました。1967年の店舗創業とは別の出来事です。
Q5:似鳥昭雄氏は現在も社長ですか?
A5:ニトリホールディングスでは代表取締役会長です。一方、事業会社の株式会社ニトリでは代表取締役会長兼社長を務めています。ニトリホールディングスの代表取締役社長は白井俊之氏です。
Q6:製造物流IT小売業とは何ですか?
A6:商品企画、製造、物流、IT、販売までをグループ全体で一貫して管理するニトリ独自のビジネスモデルです。原材料調達から消費者への配送までを最適化することで、価格と品質の両立を目指しています。
まとめ:似鳥昭雄氏が築いたニトリの成功と今後の展望
ニトリ創業者の似鳥昭雄氏は、1967年12月に札幌で似鳥家具店を創業し、1972年3月の法人設立を経て、現在のニトリグループの礎を築きました。
その成功の背景には、創業時の小さな家具店での経験だけでなく、1972年のアメリカ視察で得た発見があります。価格、品質、機能、住空間全体のコーディネートという視点を取り入れ、日本の消費者に新しい家具・インテリアの買い方を提案してきました。
加えて、商品企画から製造、物流、IT、販売までを一貫して管理する製造物流IT小売業を確立したことが、ニトリの競争力を支えています。
【プロの結論】ニトリの成功を理解する3つの視点似鳥昭雄氏の経営から学べることは、次の3点です。
第一に、成功の出発点は必ずしも壮大な計画ではないこと。似鳥氏の創業理由は、身近な地域に家具店がなかったという需要への気づきでした。小さな市場の隙間を見つけ、実際に商売を始めたことがすべての出発点です。
第二に、外部の成功事例を観察し、自社の仕組みに変えること。アメリカ視察で見たチェーンストアの仕組みを、そのまま模倣するのではなく、日本の消費者に合う価格や商品、販売方法へと発展させました。
第三に、商品単体ではなく、事業全体の仕組みで競争すること。ニトリの強みは、安い家具を仕入れて売ることだけではありません。調達から販売までのプロセスを管理し、品質と価格を両立させる経営構造にあります。
2026年現在、似鳥氏は82歳となり、ニトリホールディングスの会長として経営に関わっています。白井俊之社長を中心とした経営体制のもと、グループは海外展開と事業領域の拡大を進めています。
1967年の小さな家具店から始まったニトリの歴史は、創業者の発想と組織的な仕組みづくりが結びついた成長の記録です。今後は、似鳥氏が築いた経営思想を次の世代がどう発展させ、世界の暮らしに新たな価値を提供できるかが注目されます。
主な確認資料: ニトリホールディングス公式の沿革・役員一覧・ビジネスモデル・決算情報、IIJ.newsの似鳥氏インタビュー、東京大学および東京大学新聞オンラインの講演・取材記録。