2026年11月現在、フジテレビのスポンサーをめぐる状況は、2025年の大規模なCM差し止めから大きく変化している。中居正広氏をめぐる問題をきっかけに、トヨタ自動車、花王、日本生命、日産自動車など多くの大手企業が広告出稿を見合わせたが、その後は経営体制の刷新や再発防止策の実行を受け、段階的にCMを再開する企業が増えてきた。
特に注目されるのが、2026年の広告収入の回復状況だ。フジテレビの公式発表によると、2026年度第1四半期には放送収入が事案発生前の水準にほぼ回復。スポット広告も事案前の水準に近づいている。一方、企業別の最新スポンサー一覧や、すべての企業が従来どおりの提供体制に戻ったかどうかは、別の視点から確認する必要がある。
この記事では、2026年11月2日を基準に、フジテレビスポンサー一覧の確認状況、CM差し止め企業と再開企業、スポンサー数の推移、第三者委員会の調査報告書、フジ・メディア・ホールディングスの経営改革までを整理する。
【2026年最新】フジテレビスポンサーの現在は?CM出稿はどこまで回復したのか

2026年のフジテレビスポンサーをめぐる最大の変化は、広告主が一斉に距離を置いた段階から、企業ごとに再開を判断する段階へ移ったことだ。
2025年1月にはCMの差し止めやACジャパンへの差し替えが相次ぎ、通常の番組CM編成にも大きな影響が生じた。しかし、同年夏以降は大手企業による広告出稿の再開が確認され、秋には回復の動きがさらに広がった。
2026年に入ると、フジテレビが公表する広告取引社数にも改善が表れている。
2026年のスポンサー数は前年同月比93%まで回復2026年1月30日の社長会見で、清水賢治社長は、2025年10月以降に広告出稿の回復が顕著になったと説明した。
同会見で示された数字は次のとおりだ。
- 2026年1月のスポンサー数:前年同月比約93%
- スポット広告:前年同月比80%台半ばまで回復
- 2026年4月の改編に向けた目標:できる限り100%に近づける
また、フジテレビが2026年1月29日に公表したCM取引社数の資料では、さらに具体的な数字が示されている。
| 集計期間 | CM取引社数 | 前年同期・前年同月比 |
|---|---|---|
| 2025年4月~2026年1月累計 | 817社 | 約81% |
| 2026年1月単月 | 484社 | 約93% |
| 前年同期累計 | 1,014社 | 100% |
| 前年1月単月 | 518社 | 100% |
ここで注意したいのは、累計と単月では比較対象が異なる点だ。
累計では前年同期比約81%だが、2026年1月だけを見ると約93%まで戻っている。これは、問題発生直後の大幅な落ち込みから、時間をかけて広告主が戻ってきたことを示す数字である。
2026年9月には放送収入が事案前の水準にほぼ回復さらに注目したいのが、2026年9月25日に公表されたフジテレビの社長会見要旨だ。
同社によれば、2026年度第1四半期において、フジテレビ単体の売上高と利益は2019年度第1四半期以来の水準となり、大幅増収と黒字化を達成した。
放送収入についても、事案発生前の水準までほぼ回復したとの認識を示している。
特に2026年6月23日時点では、2024年度との比較で次の状況だった。
- ネットタイム広告:100%を超える水準
- スポット広告:約97.4%
この数字は、CM取引社数とは異なり、広告収入の回復度合いを見る指標だ。
つまり、企業数だけでなく、広告枠に対する需要や販売実績という面でも回復が進んでいる。
ただし、2026年9月の会見では、第2四半期について中東情勢などによる広告市場の不透明感にも言及している。第1四半期の好調が、そのまま年間を通じて続くと決まったわけではない。
【企業一覧】フジテレビCM差し止め企業と再開企業を業界別に整理
フジテレビスポンサーについて検索する人が特に知りたいのが、どの企業がCMを止め、どの企業が再開したのかという点だ。
ここでは、2025年の報道で差し止めが確認された企業と、その後の再開が報じられた企業を分けて整理する。
なお、CMの差し止めは、必ずしもテレビ局との取引契約を永久に解除したことを意味しない。特定番組だけを見合わせた企業、スポット広告を停止した企業、ACジャパンへの差し替えを選択した企業など、対応は異なっていた。
2025年にCM放映を見合わせた主な企業2025年1月20日、TBS NEWS DIGは、フジテレビでのCM放映を見合わせた企業が40社以上に達したと報じた。
報道で名前が挙がった企業には、次のような会社がある。
自動車メーカー
- トヨタ自動車
- 日産自動車
- ホンダ
- スズキ
- マツダ
- ダイハツ工業
- SUBARU
- 三菱自動車
金融・保険
- 日本生命
- 明治安田生命
- 第一生命
- アフラック生命
- 三井住友銀行
- 東京海上日動あんしん生命
- ソニー損保
化粧品・日用品
- 花王
- ライオン
- 資生堂
食品・飲料
- サントリーホールディングス
- キリンホールディングス
- アサヒグループホールディングス
- サッポロビール
- ヤクルト本社
- 日本コカ・コーラ
- 不二家
小売・通信・不動産・インフラ
- セブン&アイ・ホールディングス
- ローソン
- イオン
- 日本マクドナルド
- 楽天グループ
- KDDI
- NTT東日本
- JR東日本
- 東京電力ホールディングス
- 三井不動産
- 三菱地所
- 住友不動産
- 東急不動産
- 東急リバブル
これらは当時の報道で確認された企業の例であり、2026年現在も全社がCMを停止しているという意味ではない。
実際、後述するように、多くの企業がその後に広告出稿を再開している。
CMを再開した主な企業一覧2025年夏以降は、フジテレビへのCM出稿を再開する企業が増えた。
再開の時期や広告枠の範囲は企業によって違う。特に初期の再開では、全面的な出稿再開ではなく、特定番組や特定コーナーに限定したケースもあった。
| 企業名 | 再開時期・方針 | 再開の内容・背景 |
|---|---|---|
| サントリー | 2025年7月 | 経営体制刷新や改革の進捗を踏まえて再開 |
| 大和ハウス工業 | 2025年7月 | 改革アクションプランの実行を評価 |
| ロッテ | 2025年7月 | CM出稿を再開 |
| トヨタ自動車 | 2025年7月 | モータースポーツ関連コーナーから一部再開 |
| 日産自動車 | 2025年7月 | 「サザエさん」でCM出稿を再開 |
| 明治 | 2025年8月 | 経営体制刷新と改革の取り組みを評価 |
| 日本生命 | 2025年9月 | 再発防止に向けた取り組みの進捗を評価 |
| 花王 | 2025年10月 | 再発防止策とガバナンス整備の進捗を評価 |
| ソフトバンク | 2025年10月に再開見込みを公表 | 新経営陣による改革実行を評価 |
特に注目されるのは、日本生命や花王の判断だ。
日本生命は2025年4月時点では、再発防止策が適切に実行されることが重要だとして、直ちにCMを再開しない姿勢を示していた。その後、9月には再発防止に向けた取り組みが一定程度進捗したとして、出稿再開の方針を明らかにした。
花王も、単に経営陣が交代したという理由だけでなく、組織全体の再発防止策やガバナンス体制の整備が進んだことを判断材料にしている。
こうした経緯からも、スポンサー企業が重視したのは、経営陣の交代そのものよりも、実際の組織改革だったことが分かる。
2026年現在のスポンサー一覧は公開されているのかここは誤解が生まれやすい部分だ。
2026年11月2日時点で、フジテレビが全スポンサー企業の社名を網羅した最新一覧を公表しているわけではない。
テレビ局の広告取引には、次のような違いがある。
- タイムCM: 特定番組のスポンサーとして広告を出す契約。
- スポットCM: 番組を限定せず、指定した時間帯などに広告を出す契約。
- 番組単位の提供: 特定番組への提供を継続する形態。
- 期間限定出稿: 新商品やキャンペーンなどに合わせて一時的に広告を出す形態。
例えば、トヨタは2025年7月にモータースポーツ関連コーナーから再開し、日産は「サザエさん」での再開を明らかにした。
このように、CMを再開したという情報だけでは、全番組への提供が復活したのか、スポット広告まで戻ったのかは判断できない。
したがって、2026年のスポンサー企業を確認するときは、企業名だけでなく、再開時期と広告の種類まで見る必要がある。
【時系列で検証】フジテレビスポンサー数の推移とCM再開までの経緯
スポンサー離れから広告回復までの流れを理解するには、2025年から2026年までの出来事を時系列で確認すると分かりやすい。
特に重要なのは、第三者委員会の報告書が公表された2025年3月31日と、経営体制が刷新された同年6月25日だ。
2025年から2026年までの主要な出来事
2025年1月17日~20日:スポンサーによるCM差し止めが拡大
フジテレビの記者会見をめぐる批判が広がるなか、企業によるCM放映見合わせやACジャパンへの差し替えが相次いだ。1月20日時点で75社に達したとの報道も出た。
2025年3月31日:第三者委員会の調査報告書を公表
中居正広氏をめぐる問題について、性暴力による重大な人権侵害があったと認定。フジテレビの組織的な対応にも厳しい指摘がなされた。
2025年5月26日:スポンサー200社の意見を集計
出稿継続・再開済み・再開意向の企業は63社。他社や世論などの動向を見て判断するとした企業は137社だった。
2025年6月25日:株主総会で経営体制を刷新
フジ・メディア・ホールディングスの株主総会で新しい取締役体制が承認され、改革アクションプランの実行が本格化した。
2025年7月~10月:大手企業のCM再開が広がる
サントリー、大和ハウス、ロッテ、トヨタ、日産、明治、花王などで再開の動きが確認された。
2025年8月~10月:CM取引社数が段階的に回復
8月単月は前年同月比約48%、9月は約58%、10月は約70%まで改善した。
2026年1月:単月の取引社数が前年同月比約93%に到達
2025年10月以降の回復が顕著となり、スポンサー数も前年同月比約93%まで戻った。
2026年6月~9月:放送収入が事案前の水準に近づく
ネットタイム広告は事案前を上回る水準、スポット広告は約97%まで回復。9月の社長会見では、第1四半期の放送収入が事案前の水準にほぼ戻ったとの説明があった。
CM取引社数の推移を見ると、回復のスピードがより明確になる。
| 時期 | 集計対象 | 取引社数・前年比 |
|---|---|---|
| 2025年8月 | 単月 | 220社・約48% |
| 2025年9月 | 単月 | 257社・約58% |
| 2025年10月 | 単月 | 338社・約70% |
| 2026年1月 | 単月 | 484社・約93% |
| 2026年1月 | 2025年4月からの累計 | 817社・約81% |
2025年10月は、9月の257社から338社へと81社増加した。
さらに2026年1月には484社となり、前年同月の518社にかなり近い水準まで回復している。
ただし、2025年4月から2026年1月までの累計では前年同期比約81%にとどまる。月単位の回復と、期間全体での回復には差があるということだ。
この推移から読み取れるのは、スポンサーが一度に戻ったのではなく、企業ごとに段階的な判断を重ねたという実態である。
また、CM取引社数はスポンサー企業の契約数そのものをすべて表す指標ではない。タイムとスポットの取引を含むため、同じ企業が複数の広告枠に出稿するケースや、期間限定の広告も考慮する必要がある。
【なぜスポンサーは離れた?】中居正広氏問題と企業がCMを見合わせた理由
フジテレビのスポンサー離れを、単純に芸能ニュースに対する企業の反応として理解するのは不十分だ。
企業が広告を停止した背景には、従業員の人権を守る責任、取引先との関係、ブランドイメージ、企業統治など、複数の経営課題が重なっていた。
第三者委員会が認定した重大な人権問題2025年3月31日、フジ・メディア・ホールディングスとフジテレビは、第三者委員会の調査報告書を公表した。
委員会は、2023年6月2日に発生した中居氏と元女性アナウンサーの事案について、女性Aが中居氏による性暴力の被害を受けたと認定した。
また、問題の発生場所がテレビ局の外であったことだけを理由に、会社の業務と無関係な私的トラブルと整理することは適切ではないと判断した。
報告書では、両者が番組共演を通じた業務上の関係にあり、権力格差も存在したことなどを踏まえ、事案はフジテレビの「業務の延長線上」で発生したと評価している。
一方、当該の会合に女性Aを誘った行為について、フジテレビ社員が関与した事実は認められなかった。
この区別は重要だ。社員による会合への誘いへの関与が認められなかったことと、会社の組織的対応に問題がなかったことは、同じ意味ではない。
報告書は、被害申告後の経営陣の対応についても、被害者救済や人権保護の観点から厳しく批判した。
スポンサーが問題視したのは企業体質とガバナンス広告主にとって、テレビCMは単に商品を宣伝する手段ではない。
企業のブランドイメージと広告を放映するメディアの信頼性は、密接につながっている。
例えば、消費者向け商品を扱う企業の場合、広告を出しているテレビ局で重大な人権問題への対応が不十分だったと認定されれば、自社の人権方針との整合性が問われる可能性がある。
特に今回の問題では、次のような論点がスポンサー企業の判断に影響した。
- 従業員の人権を守るための社内体制が機能していたのか。
- 重大な問題が発生した際、経営陣に適切な情報が伝わる仕組みがあったのか。
- 被害を申し出た社員への救済措置は十分だったのか。
- 外部の専門家や第三者による監督が機能していたのか。
- 再発防止策が発表だけで終わらず、実際に運用されているのか。
2025年4月3日のテレビ朝日の報道では、企業53社へのアンケートで50社がCM再開を未定、または慎重に判断すると回答していた。
加えて、同年5月にフジテレビ側が総務省に報告したスポンサー200社の意見でも、137社が他社やフジテレビ、世論の動向を見て判断するとしていた。
つまり、企業が慎重になった理由は、問題そのものだけではなく、改革が本当に実行されるのかという不透明感にもあった。
CM差し止めは永久撤退と同じではないもう一つの重要な誤解が、CMを止めた企業はすべてフジテレビとの取引を終了したという考え方だ。
実際には、企業の対応は一律ではなかった。
例えば、特定番組の提供を停止するケースと、スポット広告を含む全般的な出稿を停止するケースでは、広告戦略上の意味が異なる。
また、スポンサー企業は、再発防止策の進捗を確認しながら、少しずつ出稿を再開している。
日本生命が2025年9月に再開方針を示したことや、花王が同年10月から再開したことは、その典型例だ。
したがって、過去の差し止め企業一覧をそのまま2026年現在の撤退企業一覧として扱うのは正確ではない。
【経営改革の実態】フジ・メディア・ホールディングスは信頼を取り戻せるのか
スポンサーの復帰を考えるうえで、広告出稿の数字と同じくらい重要なのが、フジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングスによる経営改革だ。
企業が広告を再開するには、問題が起きた原因に対して、組織としてどのような改善を行ったかが問われる。
取締役会の構成を大幅に見直しフジ・メディア・ホールディングスは、2025年以降、ガバナンス体制の刷新を進めた。
2026年5月公表の決算説明資料では、取締役会について次の実績が示されている。
- 取締役の総数を17人から10人に削減。
- 10人中6人を独立社外取締役とする体制に変更。
- 女性取締役の比率を40%に引き上げ。
- 企業再生、都市開発、AIなどの専門性を持つ人材を登用。
この改革の狙いは、経営陣だけで意思決定を完結させず、外部の視点を取り入れやすくすることにある。
特に独立社外取締役が過半数を占める構成は、経営判断の客観性や監督機能を強化するための施策として注目される。
人権・コンプライアンス体制の強化フジ・メディア・ホールディングスは、グループ全体の人権方針を見直し、人権委員会や相談窓口の整備を進めてきた。
2026年5月の決算説明資料では、次の取り組みが紹介されている。
グループ人権委員会の設置
外部専門家とともに、人権関連施策の運用状況を可視化し、人権デューデリジェンスや救済の仕組みを整えることを目的としている。
グループ通報窓口の整備
従業員が問題を相談・申告できる仕組みを強化し、会社内部で問題を抱え込まない体制を目指している。
リスク管理体制の見直し
グループ全体のリスクを把握し、発生を防止・軽減するための管理体制を整備している。
こうした施策は、スポンサー企業が求めてきた組織的な再発防止に直結するテーマだ。
ただし、制度が設けられたことと、制度が実際に機能していることは別問題である。今後も運用状況の検証が必要になる。
放送局からコンテンツ企業への転換もう一つ見逃せないのが、フジ・メディア・ホールディングスの事業戦略そのものの見直しだ。
2026年5月に発表された新たなグループビジョンでは、テレビ放送だけに依存する従来型の収益構造から、IP・コンテンツを中心とした事業モデルへの転換が掲げられた。
主な重点領域は次の3つだ。
1. IPの開発・獲得:オリジナル作品や外部IPとの連携を強化する。
2. 制作・配信の強化:映画、ドラマ、アニメなどの制作力と国内外への販売力を高める。
3. IPの多角展開:イベント、グッズ、ライセンス、ECなどへ事業を広げる。
2030年度にはメディア・コンテンツ事業の営業利益350億円を目標としている。
この戦略は、広告主にとっても意味がある。
魅力あるコンテンツが増えれば、視聴者との接点が広がり、広告商品の価値向上にもつながるからだ。
ただし、コンテンツの収益力が上がることと、企業統治への信頼が回復することは別々の課題として取り組まなければならない。
【広告収入の回復状況】2026年のフジテレビは完全復活したのか
スポンサー数が前年同月比93%まで回復したという数字は明るい材料だ。しかし、それだけでフジテレビの広告収入が完全に戻ったと判断することはできない。
広告収入を見るときは、スポンサー企業の数、広告枠の販売実績、CM単価、タイム広告とスポット広告の構成を分けて考える必要がある。
2025年度の広告収入は大幅に減少していたフジ・メディア・ホールディングスの2026年3月期決算説明資料では、フジテレビの放送収入について次の実績が示された。
- 2024年度:1,237億5,000万円
- 2025年度:840億5,300万円
- 前年度比:32.1%減
内訳を見ると、タイム広告は36.2%減、スポット広告は27.8%減だった。
特にタイム広告の落ち込みが大きく、番組スポンサーとしての広告出稿を見合わせる動きが収益に影響したことが分かる。
2026年度第1四半期は黒字転換その後、2026年8月4日に公表された2027年3月期第1四半期決算では、フジテレビ単体の売上高は566億400万円となり、前年同期比126.1%増となった。
営業損益も、前年同期の217億1,300万円の赤字から、35億8,900万円の黒字に転換している。
放送収入の回復に加え、デジタル事業やアニメ事業などの成長も寄与した。
9月の社長会見では、特にFODの売上が前年同期比約54%増となり、8月末時点の会員数も過去最高を更新したと説明されている。
つまり、2026年のフジテレビは、従来の地上波広告だけでなく、配信やコンテンツ販売など複数の収益源を伸ばす方向へ進んでいる。
スポンサー復帰率だけでは見えない3つの課題広告収入が回復していても、今後の経営を評価する際には次の3点を確認したい。
1. 広告単価が回復しているか
CMを出す企業が増えても、広告枠の販売価格が以前より低ければ、収益は同じ水準にはならない。
清水社長は2026年1月の会見で、広告単価については開示していないと説明している。
したがって、取引社数93%という数字を、そのまま広告収入93%と読み替えることはできない。
2. 大手スポンサーの出稿が継続しているか
一度CMを再開した企業が、その後も安定的に広告を出し続けるかは別の問題だ。
特定番組だけの提供なのか、スポット広告も含めて再開したのか、契約の継続性を確認する必要がある。
3. 広告主以外の信頼も回復しているか
テレビ局の信頼は、スポンサーだけで決まるものではない。
視聴者、番組出演者、制作会社、従業員、株主など、幅広い関係者からの評価が必要になる。
広告収入が戻っても、組織内部の人権意識やコンプライアンスが後退すれば、再び同じ問題が発生する可能性がある。
【プロの結論】2026年のフジテレビスポンサーを評価する本当の判断基準
2026年11月時点のフジテレビスポンサー問題を整理すると、広告出稿の回復は明確に進んでいる。
2025年1月の大規模なCM差し止めから、2026年1月にはスポンサー数が前年同月比約93%まで回復。2026年6月にはネットタイム広告が事案前を上回り、スポット広告も約97.4%に達した。
加えて、2026年度第1四半期にはフジテレビ単体の営業損益が黒字化し、9月の社長会見では放送収入が事案前の水準にほぼ回復したとの説明もあった。
数字だけを見れば、スポンサー離れによる経営危機からの回復は大きく進んでいる。
しかし、ここで重要なのは、広告収入の回復と企業としての信頼回復を混同しないことだ。
スポンサー企業がCMを再開する理由は、広告効果や番組の魅力、経営改革への評価など、さまざまである。広告が放映されたからといって、その企業がフジテレビのすべての対応を全面的に支持していると解釈することはできない。
今後の評価では、次の3つが判断基準になる。
- 経営改革の継続性: 独立社外取締役や人権委員会などの仕組みが実際に機能しているか。
- 広告出稿の質的回復: 企業数だけでなく、広告単価、タイム広告、スポット広告の収益が安定しているか。
- 再発防止策の実効性: 従業員や関係者が安心して働ける環境が継続的に確保されているか。
フジテレビにとって、スポンサーが戻ってくることは再生への大きな一歩だ。しかし、信頼を取り戻す作業に終わりはない。2026年以降は、広告収入の回復を組織の健全性と視聴者からの信頼につなげられるかが、本当の意味での再生を左右する。
【フジテレビスポンサー】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、フジテレビのスポンサーは何社まで回復していますか?
2026年1月の単月CM取引社数は484社で、前年同月の518社に対して約93%まで回復しました。ただし、これはタイム・スポットCMの取引社数であり、すべてのスポンサー企業数を意味するものではありません。
Q2:フジテレビのCMを差し止めた主な企業はどこですか?
トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、花王、ライオン、資生堂、日本生命、第一生命、サントリー、キリン、ローソン、セブン&アイなどです。2025年1月の報道で確認された企業であり、その後に再開した企業も含まれています。
Q3:フジテレビへのCM出稿を再開した企業はどこですか?
サントリー、ロッテ、大和ハウス工業、トヨタ自動車、日産自動車、明治、日本生命、花王などで再開の動きが確認されています。企業によって再開時期や対象番組、広告枠は異なります。
Q4:日本生命はフジテレビへのCMを再開しましたか?
はい。2025年9月、日本生命は再発防止に向けた取り組みが一定程度進捗したとして、CM出稿を近く再開する方針を明らかにしました。報道では、スポット広告からの再開が伝えられています。
Q5:フジテレビのスポンサー離れの原因は何ですか?
中居正広氏をめぐる問題と、それに対するフジテレビの組織的な対応が大きな要因です。第三者委員会が重大な人権侵害を認定し、被害者救済や経営陣の対応、ガバナンス体制に問題があったと指摘したことも、スポンサー企業の判断に影響しました。
Q6:2026年現在、フジテレビの広告収入は完全に回復していますか?
2026年9月の社長会見では、第1四半期の放送収入が事案前の水準にほぼ回復したと説明されています。ただし、2025年度通期の放送収入は前年度比32.1%減であり、広告単価や第2四半期以降の状況も含めた継続的な確認が必要です。
Q7:フジテレビのスポンサー一覧はどこまで公開されていますか?
CMを差し止めた企業や再開した企業については、報道や企業発表から個別に確認できます。ただし、2026年現在の全スポンサーを網羅した公式一覧は確認できません。特定番組の提供企業とスポットCMの出稿企業も区別する必要があります。
まとめ:フジテレビスポンサーの今後は信頼回復と広告収入の持続性が鍵
2026年のフジテレビスポンサーをめぐる状況は、2025年初頭の危機的な段階から大きく改善している。
トヨタ、日産、サントリー、ロッテ、花王、日本生命などのCM再開が報じられ、2026年1月には単月のCM取引社数が前年同月比約93%まで回復した。加えて、2026年度第1四半期には放送収入が事案前の水準にほぼ戻り、フジテレビ単体も黒字に転換している。
一方、スポンサー復帰は単純な企業数の問題ではない。広告単価、契約の継続性、番組ごとの提供状況、そして人権・コンプライアンス改革の実効性まで確認する必要がある。
今後の注目点は、2026年後半から2027年にかけて広告収入が安定的に推移するか、再発防止策が組織全体に定着するかという2点だ。
フジテレビの再生を測る本当の指標は、スポンサーが戻った数だけではない。広告主が安心して出稿を続けられ、視聴者や従業員からも信頼される放送局へ変わったかどうかである。