「ダンソン」の元ネタは、吉本興業所属のお笑いコンビ・バンビーノのコントです。
正式なネタの名称は「ダンスィングフィッソン族」。石山大輔が演じる謎の部族の男性と、藤田裕樹が演じる動物に扮した獲物によって展開される、歌とダンスを組み合わせた狩猟コントです。
基本的なストーリーは次のとおりです。
1. 石山がダンスィングフィッソン族の狩人として登場する。
2. 独特の掛け声とダンスで獲物を誘い出す。
3. 藤田が動物のお面をかぶり、獲物として近づいてくる。
4. 石山が「ニーブラ!」と叫び、相手を捕まえる。
5. 捕獲した獲物の種類に合わせた掛け声などで笑いを生み出す。
このネタの特徴は、一般的なリズムネタとは違い、歌とダンスそのものが架空の部族の狩猟方法として設定されていることです。
2015年3月のMANTANWEBのインタビューで、石山本人は単なるリズムネタではなく、弱肉強食を描くシュールなミュージカルに近い趣旨を説明しています。
つまり、面白さの中心は意味不明な歌詞だけではありません。
狩人が踊り、獲物が誘われ、最後に捕まるという一連の物語そのものが笑いになっているのです。
バンビーノの2人はどんな芸人?
石山大輔(現・石山タオル)
狩人役を担当。独特のダンスと掛け声を生み出した人物です。愛媛県出身で、サッカー留学によるブラジル滞在経験があり、ポルトガル語にも親しんでいます。
藤田裕樹(現・藤田ユウキ)
獲物役を担当。動物のお面や身体表現を使い、カチョーサン、センムなどの役柄を演じ分けます。大阪府交野市出身で、料理、とくにイタリア料理を得意としています。
2人は2008年4月にコンビを結成。吉本興業のNSC大阪校30期生として出会いました。
2020年7月10日には個人名を変更し、石山大輔は石山タオル、藤田裕樹は藤田ユウキとなっています。コンビ名のバンビーノはそのままです。
【正しい歌詞を検証】フィーザキーとトゥーザティーサーザの違いは?

検索されることが多いのが、掛け声の正しい歌詞です。
実際には「フィーザキー」「ピーザキー」「トゥーザティーサーザ」「ドゥーザディーサーザ」など、さまざまな表記が使われています。
2015年3月7日公開のMANTANWEBによる本人インタビューでは、次のように紹介されています。
「ダンソン!フィーザキー、ドゥーザディーサーザ、コンサ!」
これは当時の報道で確認できる表記の一つです。
よく使われる掛け声の表記| 掛け声 | 表記の特徴 |
|---|---|
| ダンソン! | 比較的安定している |
| フィーザキー! | 本人取材記事で確認できる表記 |
| ピーザキー! | 聞き取りによる表記の一例 |
| トゥーザティーサーザ | ネット上で広まった表記 |
| ドゥーザディーサーザ | MANTANWEBの本人取材記事にある表記 |
| コンサ! | 掛け声の締めくくり |
重要なのは、これらを一般的な外国語の文章のように、正しいスペルへ統一することはできないという点です。
本人が明かした「歌詞に正解はない」という事実MANTANWEBのインタビューで石山は、正しいセリフを固定していないことを説明しています。
その理由は、ダンスが激しく、息継ぎも大変だからです。
演技中の状況や獲物の種類に合わせて、掛け声を変えることもあります。
そのため、聞く人によって「フィーザキー」と聞こえたり、「ピーザキー」と聞こえたりするのは不思議ではありません。
ネット上で見かける表記の違いは、必ずしも誰かが間違って覚えたという意味ではないのです。
「ダンソン」はフランス語でどんな意味?実は、掛け声の冒頭にある「ダンソン」には、きちんとした外国語の由来があります。
フランス語の「dansons(ダンソン)」は、「踊りましょう」という意味です。
2015年3月3日のORICON NEWSによるイベント取材で、石山本人がこの意味を明かしています。
一方、後に続く「フィーザキー」や「トゥーザティーサーザ」までフランス語として訳せるわけではありません。
石山によれば、歌詞全体はフランス語やポルトガル語の響きを取り入れた造語が中心です。
ポルトガル語が混ざっている理由石山には、サッカーでブラジルに留学していた経験があります。
その経験が、ネタの言葉選びにも影響しています。
特に注目されるのが、別の掛け声として登場する「スーザカーザ」です。
MANTANWEBの取材では、次のようなポルトガル語との関係が説明されています。
- suco(スーコ):ジュース
- casa(カーザ):家
これらの言葉をもじって、独特な音の並びを作っています。
ただし、「スーザカーザ」という一連の掛け声に、ポルトガル語としての完全な文章の意味があるわけではありません。
外国語の響きを借りながら、聞いていて気持ちよい音に仕上げていることが特徴です。
【誕生秘話】タイの新婚旅行で見たゾウ使いが原点だった
「ダンソン」が生まれたきっかけは、芸人仲間との飲み会でも、テレビ番組の企画でもありません。
石山タオルが新婚旅行で訪れたタイでの体験でした。
2025年7月25日公開のCHANTO WEBのインタビューでは、石山本人が誕生までの具体的な経緯を振り返っています。
きっかけはゾウを呼ぶための合図石山がタイでゾウに乗りに行った際、興味を引かれたのがゾウ使いの行動でした。
ゾウ使いは竹の棒を使って柵をたたき、ゾウを呼び寄せていたといいます。
石山は、そのたたく回数や合図によってゾウを呼び分けているように見えたことに面白さを感じました。
そこで思いついたのが、人間の狩人が独特の合図で獲物を呼び寄せるコントです。
加えて、柵をたたく動作をそのまま再現するのではなく、視覚的に面白いダンスへと置き換えました。
アイデアを藤田に説明した場所はイタリア料理店帰国後、石山は相方の藤田にアイデアを説明します。
その場所は、イタリア料理のチェーン店でした。
石山は絵を描きながら、どのような部族が登場し、どのように獲物を誘い出すのかを説明したそうです。
最初は藤田も戸惑ったものの、実際に2人で演じてみると思いのほか反応がよく、ネタとしての手応えをつかみました。
なぜダンスにしたのか?ここに「ダンソン」の面白さを理解する要点があります。
元の発想は、ゾウ使いが音や動作によってゾウを呼ぶという光景でした。
しかし、舞台で同じことをしても、笑いにはつながりにくい可能性があります。
そこで石山は、合図を踊りに変えました。
結果として、観客には次の3つの要素が伝わるようになりました。
- 耳に残る独特な掛け声
- 一度見たら覚えやすい身体の動き
- 獲物が近づいてきて捕獲される予想外の展開
これは、異文化で見た日常的な光景を、日本の舞台で通用するコントへ変換した創作過程ともいえます。
2013年には温存、2014年に勝負ネタとして披露興味深いのは、完成したネタをすぐに大きな大会で披露したわけではないことです。
2025年のインタビューによると、バンビーノは2013年に初めてキングオブコントの準決勝へ進出しました。
周囲からはダンソンを披露するよう勧められたものの、石山は当時の出番順を考えて別のネタを選択しました。
大阪の若手芸人は早い出番になることが多く、会場が温まっていない段階では、独特の世界観を持つダンソンが十分に伝わらない可能性があったためです。
そして翌2014年、準決勝の出番が比較的後ろになったタイミングで、満を持して披露しました。
観客の反応は非常に大きく、石山自身も強い手応えを感じたと振り返っています。
【年代別年表】バンビーノとダンソンのブレイクまでの道のり
ダンソンの歴史を理解するには、バンビーノの結成からキングオブコントでの活躍、その後の改名までを整理すると分かりやすくなります。
出典:吉本興業公式プロフィール、FANYマガジン、CHANTO WEB、テレビ東京番組情報。
キングオブコント2014で何が起きた?2014年10月13日に放送されたキングオブコント2014は、バンビーノにとって初めての決勝進出となった大会です。
TBSの当時の発表によると、参加者は2810組。その中から10組が決勝へ進出しました。
バンビーノはその決勝で「ダンスィングフィッソン族」を披露し、独特な世界観で強烈な印象を残しました。
なお、2014年大会と2015年大会の成績は混同されやすい部分です。
- 2014年:初の決勝進出
- 2015年:キングオブコント準優勝
2015年には、コントの人気と知名度がさらに高まり、バンビーノは決勝で準優勝という結果を残しています。吉本興業の公式プロフィールにも両方の実績が記載されています。
なぜ2015年に中高生の間で流行したのか?2015年3月のMANTANWEBの取材では、ダンソンをまねた動画がインターネット上に数多く投稿され、特に女子中高生を中心に広がっていたことが報じられています。
その背景には、次の特徴がありました。
1. 言葉が分からなくても再現できる
日本語の長いセリフを覚える必要がなく、掛け声と動きで成立します。
2. 2人で遊べる
1人が狩人、もう1人が獲物になるだけで、コントの基本形を再現できます。
3. 最後の展開が分かりやすい
誘われて近づいた獲物が、突然ニーブラされるという展開は、初めて見る人にも伝わります。
当時、バンビーノ自身もネット動画を通じて自分たちのネタが広がっていることに気づいたと語っています。テレビでの露出が増えるより先に、動画による認知が進んでいた点も特徴的です。
【ニーブラの意味】獲物を捕まえる決め技の正体とは?
ダンソンと並んで有名になったのが「ニーブラ」です。
ネタの中で石山が獲物を捕まえる瞬間に叫ぶ言葉で、コントを象徴する決めフレーズになっています。
ニーブラは外国語なのか?「ダンソン」がフランス語由来であることから、「ニーブラ」も外国語なのではないかと考える人がいます。
しかし、石山本人のインタビューや当時の報道で確認できるのは、ニーブラが獲物を仕留める場面で使用される掛け声だということです。
フランス語やポルトガル語の単語としての意味が公式に説明されているわけではありません。
そのため、外国語の辞書的な意味を探すよりも、バンビーノのコントにおける捕獲の合図として理解するのが適切です。
MANTANWEBは、この場面を石山が藤田の首を絞める技を仕掛けて獲物を仕留める展開として紹介しています。
なぜニーブラが印象に残るのか?ダンソンのコントでは、獲物が誘われて近づいてくるまで、掛け声と踊りが繰り返されます。
そして、観客が次の展開を予想した瞬間に「ニーブラ!」が飛び出します。
この構成には、笑いを生む3つの要素があります。
- 反復性: 同じ掛け声と動作が繰り返される。
- 期待感: 獲物がいつ捕まるのか、観客が展開を待つ。
- 意外性: 独特のポーズと叫び声で一気に捕獲する。
つまり、ニーブラは単独のギャグというより、コント全体のオチを成立させる重要な役割を担っています。
「水曜日のダウンタウン」で本物の鹿にダンソンを仕掛けた?ダンソンを語るうえで外せないのが、TBS系『水曜日のダウンタウン』の検証企画です。
2015年10月7日放送の「みんなの説SP」で取り上げられたのが、
「ダンソンでホンモノの鹿、よってくるんじゃないか説」
という企画でした。
お笑いナタリーの放送前記事でも、この企画が紹介されています。
バンビーノのコントでは、藤田が鹿などの動物に扮し、石山の歌や踊りに誘われて近づいてきます。
そこで、同じことを本物の鹿に対して行ったらどうなるのか、という発想です。
後年の放送回記録によると、実際の鹿はダンソンの掛け声や踊りにほとんど反応せず、最後はバンビーノ側から鹿に近づいてニーブラするというオチになりました。
つまり、ネタのように本物の鹿が自発的に寄ってくるわけではなかったのです。
この企画は、ダンソンの世界観を現実の動物に当てはめたことで生まれた、テレビならではの派生企画でした。
【2026年の現在】バンビーノはダンソンだけの芸人ではない
ダンソンのブームが過ぎた後、バンビーノはどのような活動を続けているのでしょうか。
ここで押さえておきたいのが、2人がダンソン以外のコントにも取り組んできたことです。
2015年の吉本興業のインタビュー記事では、2人が複数のネタを披露する単独ライブについて語っています。
ダンソン目当てで来場した観客に、ほかのコントも楽しんでもらうことを意識していた様子が伝わります。
2020年の改名で芸名も変化2020年7月10日、2人は個人名を変更しました。
- 石山大輔 → 石山タオル
- 藤田裕樹 → 藤田ユウキ
石山は、ニーブラで相手の首を締める芸風から、タオルで優しく包み込むような芸風も必要だと考えたというユーモラスな改名理由を発表しています。
藤田については、名前の画数を調べた結果、下の名前をカタカナにしたほうがよいと判断したことが理由として紹介されました。
2025年には「おはスタ」の大会で優勝2025年には、テレビ東京系の子ども向け番組『おはスタ』で開催された「あさ-1グランプリ チャンピオンズバトル」で、バンビーノが年間チャンピオンに輝きました。
2025年3月19日の決勝で、ひょっこりはんとの対戦を制しています。
注目したいのは、ダンソンの「ニーブラ」を封印したネタでも勝利したことです。
当時の紹介記事では、藤田が身体の動きとメイクで表現し、石山がネタの構成を考えたことが語られています。
吉本興業の公式プロフィールにも、2025年のテレビ東京「おはスタ」あさ-1GP優勝が実績として掲載されています。
2026年現在も、バンビーノは過去のダンソンだけでなく、新しい世代の子どもたちに向けた笑いでも実績を残しているコンビです。
【よくある質問】ダンソンフィーザキー・トゥーザティーサーザコンサに関するFAQ
Q1:ダンソンの元ネタは誰が考えたのですか?
A1:お笑いコンビ・バンビーノの石山大輔(現・石山タオル)が発想の中心となって考案しました。藤田裕樹(現・藤田ユウキ)とともにコントとして完成させています。
Q2:ダンソンの正しい歌詞は「フィーザキー」ですか?
A2:MANTANWEBの本人取材記事では「フィーザキー」と記載されています。ただし、本人は正しいセリフを固定しておらず、状況に応じて変えることもあると説明しています。
Q3:トゥーザティーサーザコンサには意味がありますか?
A3:全体として決まった外国語の意味はありません。フランス語やポルトガル語の響きを取り入れた造語が中心です。
Q4:ダンソンはフランス語ですか?
A4:「ダンソン」はフランス語の「dansons」に由来し、「踊りましょう」という意味です。石山本人も2015年の取材で説明しています。
Q5:ニーブラの意味は何ですか?
A5:バンビーノのコントで獲物を捕らえる際に使われる掛け声です。外国語としての確定した意味が紹介されているわけではありません。
Q6:ダンソンのネタが生まれたきっかけは何ですか?
A6:石山がタイへの新婚旅行中、ゾウ使いが竹の棒で柵をたたいてゾウを呼ぶ光景を見たことです。その動作をダンスに置き換えてコントにしました。
Q7:水曜日のダウンタウンで鹿にダンソンをしたのは本当ですか?
A7:本当です。2015年10月7日放送の企画で、本物の鹿がダンソンの掛け声や踊りに反応するかを検証しました。後年の番組回顧記録では、鹿は寄ってこず、バンビーノ側から近づくオチが紹介されています。
Q8:バンビーノは2026年現在も活動していますか?
A8:はい。吉本興業の公式プロフィールにバンビーノとして掲載されています。現在の個人名は石山タオルと藤田ユウキです。
まとめ:ダンソンは言葉の響きと物語が融合した名作コント
「ダンソン!フィーザキー!トゥーザティーサーザコンサ!」の元ネタは、バンビーノが考案したコント「ダンスィングフィッソン族」です。
その誕生には、石山タオルがタイの新婚旅行で目撃したゾウ使いの行動が関係していました。
今回押さえておきたい要点は次のとおりです。
- 「ダンソン」はフランス語で「踊りましょう」。
- 「カーザ」はポルトガル語の「家」に由来する。
- 「フィーザキー」などの掛け声は語感を重視した造語。
- 歌詞には本人が定めた唯一の正解がない。
- 「ニーブラ」は獲物を捕獲するコント上の決め技。
- 2014年のキングオブコント決勝を経て、2015年に大きなブームとなった。
そして、2026年現在のバンビーノを理解するうえで忘れてはいけないのが、2人がダンソンだけに頼らず、別のコントや新しい世代に向けた活動にも挑戦していることです。
ダンソンの本当の面白さは、意味不明な言葉そのものではなく、外国語の響き、独特なダンス、獲物を誘い出すストーリー、そしてニーブラという決め技が一体になっていることにあります。
一度聞いたら忘れられない掛け声の裏には、石山と藤田の発想力、海外での経験、そして舞台で笑いを生み出すための緻密な工夫が隠されていたのです。