みかんの皮をむいたとき、房の表面に付いている細い白い筋。普段は何気なく食べたり、口当たりが気になって取り除いたりする部分ですが、実は植物の成長を支える大切な組織です。正式には「維管束(いかんそく)」と呼ばれ、葉や根から運ばれてきた水分や栄養分を果実に届ける役割を担っています。
一方、みかんの皮の内側にある白いスポンジ状の部分は「アルベド(中果皮)」です。この2つは見た目が似ているため混同されがちですが、植物の構造としては別の部位。農林水産省の2026年度更新情報や大学の解説、食品研究機関の資料をもとに、正式名称から栄養成分、食べても問題ないのか、取り除く必要があるのかまで詳しく解説します。
【名前の正解】みかんの白い筋はアルベドではなく「維管束」

みかんの房に付いている白い糸状の筋。その正式名称は「維管束」です。
農林水産省は2026年度に更新した消費者向けの質問回答で、みかんの袋の背中にある葉脈のような白い筋について、栄養分や水を運ぶ維管束だと説明しています。
維管束は植物の体内に張り巡らされた輸送経路です。みかんの場合、葉や根から運ばれる水分や栄養分を果実に届け、成長を支えています。
房の中には果汁を蓄えた小さな粒が多数入っていますが、農林水産省の説明によれば、それぞれの粒は袋の外側にある白い維管束とつながっています。
つまり、あの細い白い筋は、単なる不要な繊維ではありません。みかんの果肉に水分や養分を届けるための重要な通路なのです。
なぜアルベドと間違われるのか混同される理由は、どちらも白く、みかんの皮をむいたときに目に入るためです。
加えて、農林水産省の2017年公開の特集記事では、白い筋をアルベドと表現した説明も掲載されています。
ただし、2026年度更新の消費者向け解説では、房の背中に付く葉脈状の筋を維管束として説明しています。
植物の構造を正確に区別するなら、次のように整理できます。
- 房の表面に付く細い糸状の筋:維管束
- 皮の内側にある白いスポンジ状の部分:アルベド
千葉大学園芸学部の准教授による『子供の科学』の解説でも、白い筋と中果皮の関係が説明されており、両者の違いを理解するうえで参考になります。
【断面で理解】アルベド・中果皮・フラベド・じょうのうの違い
みかんの白い筋を正しく理解するには、果実全体の構造を知ると分かりやすくなります。
みかんは、外側の皮だけでなく、その内側にある白い組織、房を包む薄い袋、果汁を蓄える小さな粒など、複数の組織で構成されています。
1. フラベド:オレンジ色の外皮フラベドは、みかんの最も外側にある色の付いた部分です。植物学的には外果皮に当たります。
成熟した温州みかんでは、カロテノイドなどの色素によってオレンジ色になります。
また、フラベドには油胞と呼ばれる小さな袋状の構造があり、柑橘特有の香りを生み出す精油を蓄えています。
みかんの皮を指で押したときに広がる爽やかな香りも、この部分に関係しています。
2. アルベド:皮の内側にある白い中果皮アルベドは、フラベドの内側にある白色の組織です。日本語では中果皮と呼ばれます。
海綿のように柔らかく、スポンジ状の構造をしているのが特徴です。
一般的なオレンジやグレープフルーツでは比較的厚く発達していますが、温州みかんでは薄く、筋状に見える部分もあります。
アルベドにはペクチンなどの成分が含まれ、果実を支える組織としても機能しています。
3. じょうのう:一つひとつの房を包む袋じょうのうは、みかんの房を包んでいる薄い袋のことです。植物学的には内果皮に当たります。
普段、みかんを食べるときに房ごと口に運んでいる部分で、薄皮と呼ばれることもあります。
この袋の内部には、果汁を蓄えた多数の小さな粒が入っています。
4. 砂じょう:果汁が詰まった小さな粒砂じょう(さじょう)は、みかんの果肉を構成する粒状の組織です。
一つひとつの粒に水分が蓄えられており、食べたときのジューシーな食感を生み出しています。
農林水産省の説明でも、じょうのうの中にある果汁の詰まった粒と、袋の外側にある維管束のつながりが紹介されています。
【比較表】みかんの白い筋とアルベドは何が違う?正式名称を整理
ここまでの内容を、みかんの各部位の名称と役割で比較します。
| 部位 | 正式名称・別名 | 位置・見た目 | 主な役割 |
|---|---|---|---|
| 外側の皮 | フラベド・外果皮 | オレンジ色の表面 | 果実を保護し、香り成分を蓄える |
| 皮の内側 | アルベド・中果皮 | 白いスポンジ状の組織 | 果実を支え、保護する |
| 房の表面の白い筋 | 維管束 | 房の外側に付く細い白い筋 | 水分や栄養分を運ぶ |
| 房を包む袋 | じょうのう・内果皮 | 一つひとつの房を覆う薄皮 | 果肉を包み、保護する |
| 果肉の粒 | 砂じょう | 袋の中にある果汁入りの粒 | 果汁や糖などを蓄える |
この表で特に覚えておきたいのは、アルベドと維管束は同じ名称ではないという点です。
アルベドは果皮の内側にある組織全体を指す言葉で、維管束は水分や栄養分を運ぶ通路を指します。
東京大学大学院農学生命科学研究科の解説でも、フラベド、アルベド、じょうのうは、それぞれ異なる果実の構造として整理されています。
【栄養を解説】みかんの白い筋にはヘスペリジンと食物繊維が含まれる
白い筋を取り除かずに食べるメリットとして挙げられるのが、食物繊維やヘスペリジンを摂取できることです。
見た目や口当たりだけで判断すると捨ててしまいがちな部分ですが、栄養面から見ると、あえて残して食べる意味があります。
ヘスペリジン:柑橘類に含まれるポリフェノールヘスペリジンは、柑橘類に含まれるフラボノイドの一種です。
ビタミンPという呼び名で紹介されることもあり、みかんでは果皮やじょうのう、白い部分などに含まれています。
和歌山県農林水産部がまとめた「和歌山県産食材機能性ガイド」でも、温州みかんの薄皮部分や白い中果皮にヘスペリジンが多く含まれると説明されています。
また、公益財団法人東洋食品研究所が公表した1983年の研究報告では、温州みかんの部位別ヘスペリジン含量を測定しています。
同研究では、果汁よりもアルベドやじょうのう膜などの部位に多く含まれるという結果が示されました。
このことからも、果肉だけでなく白い部分を含めて食べることには、栄養成分を無駄にしにくいという利点があります。
食物繊維:果実の白い部分にも含まれる成分みかんの白い筋や袋には食物繊維も含まれています。
食物繊維は、消化・吸収の過程や腸内環境に関係する栄養成分です。
特に、みかんの袋や白い部分を一緒に食べることで、果肉だけを食べる場合とは異なる栄養成分を摂取できます。
ただし、白い筋だけを大量に食べれば健康上の効果が得られるというものではありません。みかん全体を食事の一部として取り入れることが基本です。
ヘスペリジンは薬の代わりになる?ヘスペリジンには血管機能や抗酸化作用との関連が研究されています。
和歌山県の資料でも、毛細血管や血流に関係する成分として紹介されています。
ただし、みかんの白い筋を食べることと、特定の病気を治療・予防できることは別の話です。
通常の食品としてのみかんに、医薬品と同じ治療効果を期待するのは適切ではありません。
栄養成分を日々の食生活に取り入れるという観点で考えるのがよいでしょう。
【食べても大丈夫?】みかんの白い筋は取らずに食べるべき?
みかんの白い筋は、基本的にそのまま食べて問題ありません。
房に付いている維管束は果実を構成する自然な組織であり、食用部分に付いているものです。
農林水産省も白い筋に食物繊維などの栄養が含まれることを紹介しており、食べる際に必ず取り除かなければならないものではありません。
白い筋を取らずに食べるメリット主なメリットは次の3つです。
- 食物繊維を含む部分を一緒に摂取できる。
- ヘスペリジンなどの柑橘由来成分を摂取できる。
- 筋を取り除く手間が省け、手軽にみかんを食べられる。
特に、毎日みかんを食べる人にとっては、白い筋を一つひとつ取る必要がなくなるため、食べ方も簡単になります。
白い筋を取って食べても問題ないケース一方、白い筋を取って食べること自体も問題ありません。
例えば、次のような場合です。
- 白い筋の口当たりや食感が苦手な人。
- 来客用などで見た目を整えたい場合。
- 料理やデザートに使うため、果肉だけを取り出したい場合。
食べ方に正解はありません。栄養を意識するなら残す、食感を優先するなら取り除くという選び方で十分です。
ただし、カビや腐敗が見られるみかんは、白い筋の有無に関係なく食べないようにしてください。
【プロの結論】白い筋は無理に取らず、そのまま食べるのがおすすめ栄養面と手軽さを考えるなら、白い筋は取らずに食べる方法がおすすめです。
白い筋には、果実の成長を支える維管束としての役割があり、食物繊維やヘスペリジンなどの成分も含まれています。
一つひとつ丁寧に取り除くことに大きな健康上のメリットがあるわけではありません。
もちろん、口当たりが気になる場合は取り除いても構いません。大切なのは、白い筋を食べるかどうかだけで栄養価や健康状態が決まると考えないことです。
【見分け方】みかんの白い筋とアルベドを簡単に区別する方法
実際にみかんをむきながら観察すると、2つの違いは簡単に見分けられます。
要点は、白い部分がどこに付いているかです。
房の表面に細長く付いているなら維管束みかんを一房取り出したとき、袋の背中に沿って付いている細い白い糸状のものが維管束です。
網の目のように広がっている場合もあり、葉脈に似た形をしています。
農林水産省が2026年度更新の解説で示しているのも、この部分です。
皮の内側に広がる白い綿状の部分ならアルベド外皮をむいたとき、オレンジ色の皮の裏側に付いている白いスポンジ状の部分がアルベドです。
房に付いた細い筋とは異なり、面として広がるような形をしています。
この部分は中果皮とも呼ばれます。
家庭でできる簡単な見分け方- 細い糸のような形:維管束。
- 白い綿のように広がる部分:アルベド。
- 房を包む薄い膜:じょうのう。
- 果汁が詰まった粒:砂じょう。
この4つを覚えておけば、みかんの構造をほぼ正確に説明できます。
【よくある質問】みかんの白い筋の名前に関するFAQ
Q1:みかんの白い筋の正式名称は何ですか?
A1:房の背中に付いている細い白い筋の正式名称は「維管束(いかんそく)」です。水分や栄養分を運ぶ植物の通路として働きます。
Q2:みかんの白い筋はアルベドと同じものですか?
A2:厳密には異なります。アルベドは皮の内側にある白い中果皮で、房の表面に付く細い筋は維管束です。見た目が似ているため混同されることがあります。
Q3:みかんの白い筋は食べても大丈夫ですか?
A3:はい。一般的な食用のみかんであれば、白い筋を残したまま食べられます。食物繊維やヘスペリジンなどを含むため、無理に取り除く必要はありません。
Q4:みかんの白い筋にはどんな栄養がありますか?
A4:食物繊維やヘスペリジンなどが挙げられます。ヘスペリジンは柑橘類に含まれるフラボノイドの一種です。白い筋だけでなく、じょうのうやアルベドにも関連成分が含まれています。
Q5:みかんの白い筋は取るべきですか?
A5:必ず取る必要はありません。栄養面や手軽さを考えるなら残して食べるのがおすすめですが、食感が苦手なら取り除いても問題ありません。
まとめ:みかんの白い筋は維管束!アルベドとの違いを知っておいしく食べよう
みかんの房に付いている細い白い筋の正式名称は「維管束」です。葉や根から運ばれてきた水分や栄養分を果実に届ける、大切な役割を担っています。
一方、アルベドは皮の内側にある白い中果皮を指します。どちらも白色であるため混同されがちですが、位置も構造も異なる組織です。
また、白い筋やじょうのう、アルベドには食物繊維やヘスペリジンなどの成分が含まれています。基本的にそのまま食べられるため、栄養面を考えるなら無理に取り除く必要はありません。
2026年現在、農林水産省の消費者向け解説でも、房の背中に付く白い筋は維管束として説明されています。
次にみかんを食べるときは、白い筋をただの邪魔な繊維として見るのではなく、果実を育てるための大切な通路として観察してみてください。名前と役割を知るだけで、いつものみかんが少し違って見えてくるはずです。
主な参考資料
- 農林水産省「みかんの皮をむくと白い筋があるが、これは何ですか。」(令和8年度更新)
- 農林水産省「特集1 みかん(5)ご存じですか?みかんの選び方・食べ方」
- 東京大学大学院農学生命科学研究科「AIが明らかにする育種家の感性」
- 公益財団法人東洋食品研究所「温州みかん果実及び果汁のヘスペリジン含量の変化」
- 千葉大学園芸学部准教授による『子供の科学』の解説
※本文中の部位名称は、農林水産省の2026年度更新情報を優先して整理しています。