2023年のNHK大河ドラマ第62作『どうする家康』は、松本潤が徳川家康を演じ、古沢良太が脚本を担当した全48話の歴史ドラマです。2023年1月8日に放送を開始し、同年12月17日に最終回を迎えました。繊細で頼りない青年だった家康が、織田信長や豊臣秀吉ら戦国の英傑と向き合いながら天下人へと変わっていく姿を描いています。
期間平均世帯視聴率は11.2%で、前作『鎌倉殿の13人』の12.7%を下回りました。一方、NHKプラスでは大河ドラマ歴代最高視聴数を記録しています。2026年現在の歴代作品との比較も交えながら、放送期間、あらすじ、キャスト、歴史考証、作品の評価を整理します。
【大河ドラマ2023の正体】『どうする家康』の放送期間と全48話のあらすじ

『どうする家康』は、NHK総合で毎週日曜日午後8時から放送された大河ドラマです。
NHKエンタープライズの作品情報によると、放送期間と基本情報は次のとおりです。
- 作品名:どうする家康
- 放送開始日:2023年1月8日
- 最終放送日:2023年12月17日
- 放送回数:全48話
- 主演:松本潤
- 脚本:古沢良太
- 主人公:徳川家康
- 作品番号:第62作
最終回は15分拡大で放送されました。なお、全48話の構成は第1回と最終回を含むもので、途中で放送回数が変更された作品ではありません。
『どうする家康』のあらすじ物語の出発点は、戦国時代の三河国です。
後に江戸幕府を開く徳川家康も、若い頃から天下を狙う強大な武将だったわけではありません。
幼少期から人質として過ごし、周囲の有力大名に翻弄される人生を送った家康。物語は、そんな彼が数々の決断を迫られながら、少しずつ自分の道を切り開いていく過程を追います。
前半では、今川義元のもとで過ごした時代、桶狭間の戦い、織田信長との同盟、三河の統一などが描かれます。
特に注目したいのが、岡田准一演じる織田信長との関係です。
家康にとって信長は、単なる同盟相手ではありません。圧倒的な力を持つ存在であり、憧れと恐怖が入り交じる複雑な人物として描かれます。
中盤では、武田信玄との戦い、三方ヶ原の戦い、家族や家臣団との関係が物語の中心になります。
後半に入ると、本能寺の変、豊臣秀吉との対立と協調、関ヶ原の戦い、江戸幕府の成立へと展開。最終盤では大坂の陣を通して、家康が目指した乱世の終結が描かれます。
この作品の特徴は、歴史上の大事件だけでなく、その裏側にある家康個人の苦悩や家臣たちとの絆を重視していることです。
単なる戦国武将の成功物語ではなく、決断を迫られ続けた一人の人間の人生として構成されています。
【どうする家康のキャスト一覧】松本潤・有村架純・岡田准一ら主要出演者
『どうする家康』の魅力を支えたのが、主人公を取り巻く豪華な出演者です。
松本潤を中心に、有村架純、岡田准一、ムロツヨシ、山田裕貴、阿部寛など、幅広い世代の俳優が戦国時代の人物を演じました。
主要キャスト・役柄・人物関係一覧松本潤の家康は、従来の大河ドラマで描かれてきた老練な政治家というイメージとは異なります。
物語序盤では、決断に迷い、周囲の人物に振り回される青年として登場します。
しかし、戦や人間関係で大きな喪失を経験するうちに、次第に冷静で計算高い人物へと変化していきます。
この変化を、松本潤が前半と後半で異なる表情や立ち居振る舞いを使い分けて演じた点も見どころです。
有村架純と岡田准一の出演が作品にもたらしたもの有村架純が演じた瀬名は、家康の人生を理解するうえで欠かせない存在です。
瀬名は単なる主人公の妻ではなく、家康が何を守ろうとし、何を失っていくのかを象徴する人物として物語に関わります。
一方、岡田准一演じる織田信長は、家康の人生を大きく左右する存在です。
二人の関係には、主従や同盟といった政治的な関係だけでは説明できない緊張感が盛り込まれています。
有村架純と岡田准一の出演は、家族のドラマと戦国武将同士の駆け引きという、作品の二つの軸を際立たせました。
【松本潤×古沢良太】従来の家康像を覆した脚本と演出の秘密
古沢良太が描いた「天才ではない家康」脚本を担当した古沢良太は、『リーガル・ハイ』『コンフィデンスマンJP』などで知られる脚本家です。
本作は古沢にとって初めての大河ドラマ脚本でした。
古沢が描こうとしたのは、最初から天下人として完成していた家康ではありません。
2023年12月のMANTANWEBのインタビューでは、描きたかった人物像について、次のように説明しています。
天才でもない一人の普通の子
この考え方が、作品全体の方向性を決定づけています。
家康は戦国時代の英雄たちに囲まれながら、失敗や挫折を重ねて生き延びます。圧倒的な才能で敵を倒すのではなく、周囲の力を借り、状況に応じて判断を変える人物として描かれました。
古沢は加えて、家康の変化を一般的な意味での成長物語とは捉えていないと説明しています。
大切なものを失い、乱世を終わらせる使命を背負うなかで、家康自身も変わっていく。その過程には、成功の裏側にある孤独や犠牲も含まれています。
タイトル「どうする家康」に込められた意味この作品では、家康が重要な局面を迎えるたびに、選択を迫られます。
- 信長との同盟を維持するのか。
- 家臣の意見をどこまで聞くのか。
- 家族と領国のどちらを優先するのか。
- 秀吉に従うのか、対抗するのか。
- 天下統一後にどのような秩序を築くのか。
こうした決断の積み重ねが、作品のタイトルにもつながっています。
視聴者は歴史上の結果を知っていても、その結末に至るまでの家康の迷いや葛藤を追体験できます。
バーチャルプロダクションによる映像表現もう一つの特徴が、映像制作技術です。
『どうする家康』では、バーチャルプロダクションという撮影手法が本格的に導入されました。
これは、スタジオ内の大型LEDウォールなどに背景映像を表示し、出演者と背景を組み合わせて撮影する技術です。
NHKアートの解説によれば、同作以降も大河ドラマの制作にこの技術が活用されています。
従来の時代劇とは異なる映像表現に挑戦したことも、本作の制作面での特徴です。
【史実とドラマの違い】徳川家康の生涯と歴史考証を検証
『どうする家康』を理解するには、ドラマの人物像と実際の徳川家康の生涯を分けて考えることが大切です。
徳川家康の生涯を年代別に整理国立公文書館のデジタル展示に掲載された関係年表を基にすると、家康の人生の主な転換点は次のようになります。
- 1542年: 三河国岡崎城で誕生。幼名は竹千代。
- 1560年: 桶狭間の戦いで今川義元が敗死。その後、岡崎城に入る。
- 1563年: 家康に改名。
- 1566年: 徳川姓を名乗る。
- 1572年: 三方ヶ原の戦いで武田軍に敗北。
- 1582年: 本能寺の変が発生。
- 1584年: 小牧・長久手の戦い。
- 1590年: 豊臣秀吉による関東移封を受け、江戸へ入る。
- 1600年: 関ヶ原の戦いで勝利。
- 1603年: 征夷大将軍に任命され、江戸幕府を開く。
- 1614~1615年: 大坂冬の陣・夏の陣。
- 1616年: 駿府で死去。
家康の生涯は、単純な戦いの連続ではありません。大名としての領国経営、外交、家臣団の統制、後継者への権力継承など、幅広い政治活動が含まれています。
歴史考証はどこまで反映されているのか『どうする家康』では、歴史研究者による時代考証も重要な役割を担いました。
小和田哲男は、NHK出版の歴史ハンドブックで家康と家臣団の時代を監修しています。また、平山優も本作の時代考証を担当した歴史研究者です。
平山は、家康と武田信玄の関係や三方ヶ原の戦いについて、史料に基づいた研究を公表しています。
ここで押さえておきたいのは、時代考証と脚本上の創作は別のものだという点です。
実際の家康には、戦いの記録だけでなく、外交文書や政治制度に関する史料も残っています。国立公文書館の展示では、関ヶ原の戦いや秀吉への臣従、江戸幕府の成立、大坂の陣などを、関連する歴史資料とともに確認できます。
一方、登場人物の心情、会話、個人的な関係性の描写には、ドラマとしての解釈が加えられています。
したがって、本作は歴史上の出来事を土台にした人間ドラマとして楽しむのが適切です。
家康は本当に「弱い人物」だったのかドラマの家康は、序盤では弱気で優柔不断な人物として描かれています。
しかし、史実上の家康も、常に勝利を重ねた無敵の武将ではありません。
三方ヶ原の戦いでは武田信玄に大敗し、豊臣秀吉との政治的な力関係でも一時的に不利な立場に置かれました。
その一方で、家康は関ヶ原の戦いで勝利し、征夷大将軍となり、将軍職を息子の秀忠に譲った後も政治的影響力を維持しました。
重要なのは、戦場での強さだけではなく、敗北した後に体制を立て直し、次の世代へ権力を引き継ぐ仕組みを築いたことです。
古沢良太の家康像は、こうした歴史上の実績を「普通の人間がいかにして長期的な秩序を作ったのか」という視点から読み直したものと考えられます。
【平均視聴率11.2%の真相】鎌倉殿の13人との比較とNHKプラスの反響
作品の評価を考えるうえで、避けて通れないのが視聴率です。
『どうする家康』は、地上波のリアルタイム視聴率だけを見ると、近年の大河ドラマのなかでも苦戦した作品でした。
『鎌倉殿の13人』との視聴率比較ビデオリサーチ調べの関東地区・世帯視聴率によると、主な数字は次のとおりです。
- 『どうする家康』期間平均:11.2%
- 『鎌倉殿の13人』期間平均:12.7%
- 差:1.5ポイント
- 『どうする家康』最高視聴率:15.4%
- 『どうする家康』最終回:12.3%
最終回は2023年12月17日に放送され、平均世帯視聴率12.3%を記録しました。
期間平均の個人視聴率は6.7%でした。
歴代大河ドラマのなかでの位置づけ視聴率の数字は、放送当時の報道と2026年時点の歴代順位を分けて理解する必要があります。
2023年12月の最終回直後には、『どうする家康』の11.2%は2019年の『いだてん』に次ぐ歴代2番目の低さと報じられました。
しかし、その後の作品も平均視聴率が低下しています。
ビデオリサーチが2025年12月に更新した歴代データを含めて比較すると、次のようになります。
| 作品 | 放送年 | 期間平均世帯視聴率 |
|---|---|---|
| いだてん | 2019年 | 8.2% |
| べらぼう | 2025年 | 9.5% |
| 光る君へ | 2024年 | 10.7% |
| どうする家康 | 2023年 | 11.2% |
| 鎌倉殿の13人 | 2022年 | 12.7% |
| 青天を衝け | 2021年 | 14.1% |
この比較から分かるのは、2023年当時は歴代2番目の低視聴率とされたものの、2026年現在の比較では少なくとも歴代3番目に低い水準になっているということです。
また、視聴率は世帯視聴率で統一しています。個人視聴率や配信視聴数を混ぜて順位を判断することはできません。
NHKプラスでは大河歴代最高視聴数を記録興味深いのは、地上波の視聴率とは異なる結果が出ていたことです。
2023年12月18日の日刊スポーツなどの報道によると、『どうする家康』はNHKプラスで大河ドラマ歴代最高視聴数を獲得しました。
加えて、第1話から第47話までの平均視聴UB数は25.1万UBでした。
UBはユニークブラウザ数を意味し、視聴した端末を基準とした指標です。実際の視聴人数そのものとは異なります。また、最終回は見逃し配信期間が終了していなかったため、この平均値には含まれていません。
この数字は、リアルタイム視聴率だけでは作品の視聴実態を把握しきれないことを示しています。
『どうする家康』の評判と評価はどうだったのか作品の評価は、視聴率だけでは判断できません。
評価できる要点は主に三つあります。
1.家康の人物像を再構築したこと
これまでの徳川家康には、忍耐強く老練な政治家というイメージが定着していました。
本作は、そこに弱さや迷い、喪失という要素を加えています。英雄の完成形ではなく、英雄になるまでの人間を描いた点は独自性があります。
2.家臣団を中心とした群像劇
本多忠勝、酒井忠次、石川数正、本多正信など、家康を支えた人物にも物語上の役割が与えられました。
家康一人の活躍ではなく、組織としての徳川家がどのように形成されていったかを追える点が魅力です。
3.歴史ファンとの解釈の違い
一方、人物の心理や関係性を大胆に描き直したため、史実を重視する視聴者には好みが分かれる部分もありました。
歴史ライターによる当時の論考でも、視聴率と作品への支持は必ずしも一致しないことが指摘されています。
NHK側も、BSや4Kでの先行放送、NHKプラス、録画など視聴方法が多様化していることを説明し、単純な過去の視聴率との比較は難しくなっているとの見解を示しました。
【プロの結論】視聴率だけで作品の価値を決めてはいけない『どうする家康』を評価するときは、次の三つの基準を分けることが重要です。
- テレビ番組としての評価: リアルタイム視聴率は前作を下回った。
- 配信作品としての評価: NHKプラスで大河歴代最高視聴数を記録した。
- 歴史ドラマとしての評価: 従来の家康像を再構築し、人間ドラマとして新しい解釈を提示した。
この三つは、それぞれ異なる側面を測っています。
特に2023年は、テレビの視聴率と配信の視聴実績が異なる結果を示した作品として記憶されるべきでしょう。
【2026年最新】大河ドラマ歴代作品と『どうする家康』の立ち位置
2026年現在、『どうする家康』は放送終了から約3年が経過しています。
その後もNHKは、異なる時代や人物を主人公にした大河ドラマを制作してきました。
2022~2026年の大河ドラマ一覧| 放送年 | 作品名 | 主演 | 期間平均世帯視聴率 |
|---|---|---|---|
| 2022年 | 鎌倉殿の13人 | 小栗旬 | 12.7% |
| 2023年 | どうする家康 | 松本潤 | 11.2% |
| 2024年 | 光る君へ | 吉高由里子 | 10.7% |
| 2025年 | べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ | 横浜流星 | 9.5% |
| 2026年 | 豊臣兄弟! | 仲野太賀 | 放送中・未確定 |
※2026年10月30日時点。2026年作品は放送途中のため、最終的な期間平均は確定していません。
2024年『光る君へ』との違い2024年の『光る君へ』は、吉高由里子が紫式部を演じた作品です。
平安時代を舞台に、紫式部と藤原道長を中心とした宮廷社会を描きました。
『どうする家康』が戦国時代の政治や戦いを軸にしたのに対し、『光る君へ』は文学、恋愛、宮廷政治を物語の中心に据えています。
2025年『べらぼう』との違い2025年の『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』は横浜流星主演で、江戸時代の出版文化を発展させた蔦屋重三郎を主人公にした作品です。
戦国武将や天下人を描く従来の大河とは異なり、江戸の文化や出版産業に焦点を当てました。
2026年『豊臣兄弟!』で再び戦国時代へ2026年の大河ドラマは、1月4日に放送を開始した『豊臣兄弟!』です。
主演の仲野太賀が豊臣秀長を演じ、池松壮亮が豊臣秀吉を演じています。
秀吉の天下統一を支えた弟・秀長に焦点を当て、兄弟の絆や豊臣政権の成立を描く作品です。
『どうする家康』と同じ戦国時代を扱いながら、主人公を天下人の弟に設定している点が特徴です。
2023年作品と比較するなら、家康を中心とした徳川家の形成と、秀長を中心とした豊臣兄弟の関係という視点の違いに注目すると、同じ歴史上の出来事を異なる角度から楽しめます。
【大河ドラマ2023に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2023年の大河ドラマは何という作品ですか?
A1:NHK大河ドラマ第62作『どうする家康』です。松本潤が徳川家康を演じ、脚本は古沢良太が担当しました。
Q2:『どうする家康』はいつからいつまで放送されましたか?
A2:2023年1月8日に放送開始し、12月17日に最終回を迎えました。全48話です。
Q3:『どうする家康』の平均視聴率は何%ですか?
A3:ビデオリサーチ調べ、関東地区の期間平均世帯視聴率は11.2%です。前作『鎌倉殿の13人』の12.7%を1.5ポイント下回りました。
Q4:有村架純と岡田准一は何役で出演しましたか?
A4:有村架純は家康の正室・瀬名、岡田准一は織田信長を演じました。
Q5:NHKプラスでの視聴実績はどうでしたか?
A5:大河ドラマ歴代最高視聴数を記録しました。第1話から第47話までの平均視聴UB数は25.1万UBでした。
Q6:2026年の大河ドラマは何ですか?
A6:『豊臣兄弟!』です。仲野太賀が豊臣秀長、池松壮亮が豊臣秀吉を演じています。2026年10月30日時点では放送中です。
まとめ:『どうする家康』は視聴率だけでは測れない2023年の大河ドラマ
2023年の『どうする家康』は、松本潤主演、古沢良太脚本による全48話の大河ドラマです。
有村架純、岡田准一、ムロツヨシら豪華キャストを迎え、従来の徳川家康像を大胆に再構築しました。
期間平均世帯視聴率11.2%は、『鎌倉殿の13人』の12.7%を下回っています。しかし、NHKプラスでは大河歴代最高視聴数を獲得しており、リアルタイム視聴率だけでは把握できない支持も存在しました。
2026年現在、2024年の『光る君へ』、2025年の『べらぼう』、そして放送中の『豊臣兄弟!』と比較すると、近年の大河ドラマが題材や視聴方法の面で変化していることも分かります。
『どうする家康』をおすすめしたいのは、歴史上の英雄の完成された姿よりも、迷い、失敗し、決断を重ねる人間の姿を見たい人です。
反対に、史実を忠実に再現したドキュメンタリーに近い時代劇を期待する人は、脚本上の創作と歴史的事実を区別しながら見ると、作品の特徴をより正確に理解できます。
家康が天下を取ったという結末だけでなく、そこに至るまでに何を失い、何を守ろうとしたのか。その問いこそが、2026年に改めて『どうする家康』を振り返る価値です。