幕下から大関まで復活した栃ノ心だったが、晩年は度重なるけがに悩まされた。最終的に現役引退を決断したのは、2023年5月19日。春日野部屋所属の東十両5枚目として迎えた夏場所6日目だった。
引退の直接的な原因となったのは、2023年1月場所で負った左肩のけがだ。初場所4日目に左肩を脱臼し、途中休場。その後も十分に回復せず、得意の四つ相撲を取ることが難しくなっていた。
引退会見で栃ノ心は、次のように心境を明かした。
「残念だけど力も出ない。相撲をとるのが怖くなった」
日刊スポーツやデイリースポーツの引退会見報道によると、本人は1月場所のけが以降、自分らしい相撲が取れなくなったことを説明。ファンに不本意な相撲を見せることへの申し訳なさも、引退を決断した理由だった。
2006年3月の初土俵から17年。右膝の大けがから復活し、大関昇進まで果たした力士の現役生活は、左肩の故障によって幕を閉じた。
2024年2月、両国国技館で断髪式引退後の節目となったのが、2024年2月4日に両国国技館で行われた引退相撲と断髪式だ。
日本相撲協会の公式チャンネルでも、17年間の力士人生を締めくくる断髪の様子が紹介された。現役時代にともに戦ってきた髷に別れを告げ、力士としての生活に区切りを付けた。
引退後はジョージアワインの普及や輸入販売、文化交流などに活動の幅を広げている。2023年の引退は、栃ノ心にとって相撲だけにとどまらない新しい人生の始まりでもあった。
2023年の引退会見については日刊スポーツ、断髪式については日本相撲協会の公式映像が、それぞれ当時の経緯を伝えている。
【プロの結論】栃ノ心の人生から分かる3つの注目ポイント

栃ノ心のキャリアを振り返ると、単純な優勝回数や最高位だけでは説明できない特徴が浮かび上がる。
特に注目したいのは、次の3点だ。
1. 幕下陥落からの復活は、長期的な競技力の証明2013年の右膝の大けがで幕下55枚目まで落ちた栃ノ心は、2014年に4場所連続優勝を達成して幕内に復帰した。
大相撲では、休場が続けば番付が下がる。関取と幕下以下では待遇や収入にも大きな違いがあり、再び関取に戻るには勝ち続けなければならない。
その厳しい環境で結果を残し、さらに4年後に大関まで到達したことは、栃ノ心の競技力と精神的な粘り強さを示す重要な実績だ。
2. 2018年の優勝と大関昇進は、実績に裏付けられた躍進2018年初場所の14勝1敗は、単なる番狂わせではなかった。その後も10勝、13勝と好成績を続け、3場所37勝という数字で大関昇進を実現した。
一度の優勝だけで評価するのではなく、3場所にわたる安定した成績を確認することが、栃ノ心の強さを正しく理解するポイントになる。
3. 引退後はジョージアとのつながりを事業に変えた2026年のGEORGIAN HOUSE開業は、現役時代に築いた知名度と母国への思いを、新しい事業に結び付けたものだ。
加えて、駐日ジョージア大使館の文化・スポーツアドバイザーとしての活動も報じられている。相撲というスポーツを通じて日本とジョージアを結んできた経験が、引退後の仕事にもつながっている。
栃ノ心の現在を知りたい読者が注目すべきなのは、単に元大関が飲食店を開いたというニュースだけではない。ジョージアの料理、ワイン、特産品を日本に紹介し、文化交流の拠点を作ろうとしている点にある。
なお、最新の活動を追う際は、日本相撲協会の公式プロフィールで競技記録を確認し、飲食事業は店舗の案内や開業報道、文化交流については大使館関連の発表や報道を確認するのが適切だ。
栃ノ心に関するよくある質問(FAQ)
Q1:栃ノ心は2026年現在、何をしている?
A1:2026年2月24日に東京都墨田区吾妻橋でジョージア料理店「GEORGIAN HOUSE」を開業。ワインや蜂蜜などジョージアの特産品を扱う事業や、駐日ジョージア大使館の文化・スポーツアドバイザーとしての活動にも携わっている。
Q2:栃ノ心の最高位は何?大関に昇進したのはいつ?
A2:最高位は大関。2018年5月30日に昇進が正式決定し、同年7月場所で新大関として土俵に上がった。2019年5月場所には関脇で10勝を挙げ、翌7月場所に一度大関へ返り咲いている。
Q3:栃ノ心はなぜ幕下まで落ちた?どうやって復活した?
A3:2013年7月場所で右膝の前十字靱帯などを損傷し、長期休場したため。2014年3月場所には西幕下55枚目まで番付が下がったが、復帰後に幕下2場所、十両2場所で連続優勝し、同年11月場所に幕内へ復帰した。
まとめ:栃ノ心の現在はジョージア文化を伝える実業家
栃ノ心は、ジョージア出身の力士として日本の大相撲で活躍し、幕下陥落からの復活、2018年の幕内初優勝、そして大関昇進という輝かしい経歴を残した。
一方、2023年5月には左肩のけがを理由に現役を引退。2024年2月の断髪式を経て、第二の人生を本格的に歩み始めた。
2026年2月24日に開業した「GEORGIAN HOUSE」は、その新しい人生を象徴する事業だ。料理やワイン、蜂蜜などを通して、母国ジョージアの魅力を日本に伝える場所となっている。
現役時代の栃ノ心を知る人にとっては、豪快な右四つや上手投げが印象に残っているだろう。しかし、現在の活動まで追うと、彼の魅力は土俵上の怪力だけではないことが分かる。
幕下から大関へ、そして力士から実業家へ。栃ノ心の歩みは、けがや環境の変化を乗り越えながら、自分の強みを新しい場所で生かしていく人生の記録でもある。今後はGEORGIAN HOUSEの経営や日本とジョージアの文化交流に、どのような展開が生まれるのか注目したい。
主な参考資料・報道:
- 日本相撲協会「栃ノ心 剛史 力士プロフィール」「歴代大関 栃ノ心」「新大関 栃ノ心 誕生」
- スポーツニッポン「元大関・栃ノ心が都内にジョージアレストランを開店」(2026年2月22日)
- ベースボール・マガジン社「どん底から復活」「初場所を振り返って」
- 日刊スポーツ「栃ノ心が大関昇進」「引退会見」
- 日刊ゲンダイDIGITAL「元大関・栃ノ心が故国ジョージアの妻と離婚し日本人と再婚!」(2024年1月29日)
- よろず〜ニュース(2026年6月12日)、THE DIGEST(2026年9月13日)
- Time Out Tokyo「GEORGIAN HOUSE」店舗紹介