スノーボード・ハーフパイプの平野海祝(ひらの・かいしゅう)選手が、2026年に再び世界の注目を集めている。2022年北京オリンピックで男子ハーフパイプ9位に入賞し、決勝で披露した圧倒的な高さのエアで強烈な印象を残した選手だ。さらに2026年3月19日、スイス・LAAXで開催された「The Snow League」で7.72メートルの最高到達高度を記録。同年10月1日には、ハーフパイプにおけるスノーボード最高エアとしてギネス世界記録に正式認定された。
兄は北京五輪金メダリストの平野歩夢。兄弟でオリンピックの舞台に立ったことでも知られるが、海祝自身も冬季ユースオリンピック銀メダル、X Games銅メダル、ワールドカップ表彰台など、独自の実績を積み重ねてきた。2024年の足首の故障と復帰、2025-2026シーズンの強化指定A、そして2026年秋の最新動向まで、プロフィールと競技実績を整理する。
【平野海祝とはどんな選手?プロフィール・生年月日・出身地を紹介】

平野海祝は、ハーフパイプを専門とする日本のプロスノーボーダーだ。最大の特徴は、空中へ飛び出す際の圧倒的な高さと、独自のスタイルを生かしたエアトリックにある。
平野海祝の基本プロフィール| 項目 | プロフィール |
|---|---|
| 名前 | 平野海祝 |
| 読み方 | ひらの・かいしゅう |
| 生年月日 | 2002年10月14日 |
| 年齢 | 24歳(2026年11月2日時点) |
| 出身地 | 新潟県村上市 |
| 競技 | スノーボード |
| 専門種目 | ハーフパイプ |
| 出身高校 | 開志国際高等学校 |
| 大学 | 日本大学 |
| 所属 | TOKIOインカラミ |
| 兄 | 平野歩夢 |
生年月日や北京オリンピックの成績は、日本オリンピック委員会(JOC)の選手プロフィールにも掲載されている。新潟県村上市で育ち、開志国際高校を卒業後、日本大学で学びながら競技に取り組んできた。
本格的にスノーボードを始めたのは12歳頃。きっかけとなったのは、2014年ソチオリンピックで兄・歩夢が銀メダルを獲得したことだった。
当初は兄たちが競技に打ち込む姿を身近で見ていたものの、自分自身がオリンピックを目指すという意識は強くなかったという。ところが、兄のソチ五輪での活躍を見て、スノーボードへの思いが大きく変化した。
日本大学のインタビューでは、歩夢の活躍に刺激を受け、親に頼み込んでスノーボードを始めた経緯を明かしている。兄の成功を単に追いかけるのではなく、自分自身の競技人生をスタートさせた転機だった。
【平野歩夢との兄弟関係】仲が悪い?ライバル?実際の関係を検証
平野海祝を語るうえで欠かせないのが、兄である平野歩夢の存在だ。歩夢はソチ、平昌、北京の冬季オリンピックで3大会連続のメダルを獲得し、北京大会では男子ハーフパイプの金メダリストとなった日本を代表するスノーボーダーである。
海祝は平野家の三兄弟の末っ子。長兄の英樹、次兄の歩夢、そして海祝という構成だ。三兄弟はいずれもスノーボードやスケートボードに親しんできた。
兄・歩夢を尊敬しながら自分のスタイルを追求海祝は日本大学のインタビューで、歩夢との関係について率直に語っている。特に興味深いのは、兄に対するライバル心よりも尊敬の気持ちが強いという点だ。
「兄はいつになっても僕の中ではすごい存在」
また、兄と比較されることについても否定的ではなく、歩夢への感謝と尊敬を示しながら、自分と兄ではスタイルが異なると説明している。
「お互い違ったスタイルでやっているので、そこは比べようがない」
この発言からも、海祝が兄の実績を認めつつ、独立した競技者として自分の個性を確立しようとしていることが伝わってくる。
平野歩夢と平野海祝の実力・競技スタイル比較両者は同じハーフパイプを主戦場とするが、強みとして注目される部分には違いがある。
- 平野歩夢:高難度の回転技、トリプルコークなどを含む完成度の高いラン、五輪での勝負強さが大きな武器。
- 平野海祝:圧倒的なエアの高さ、ビッグトゥイークやメソッドエアなど、独自性のある空中表現が特徴。
歩夢は北京五輪で金メダルを獲得し、2026年のミラノ・コルティナ五輪でも男子ハーフパイプ7位に入った。一方、海祝は北京五輪9位で、2026年にはギネス世界記録という別の形で世界的な実績を残した。
注目すべきなのは、7.72メートルという記録が、そのまま競技全体の優劣を示すものではないことだ。ハーフパイプの大会では、ジャンプの高さだけでなく、回転技の難度、技の完成度、ラン全体の構成、着地の安定性などが評価される。
つまり、歩夢は五輪で証明してきた総合的な競技力、海祝は世界記録にもつながった高さと独創性という、それぞれ異なる魅力を持っている。
【平野海祝のスノーボード戦績】北京五輪9位からX Games銅メダルまでの年表
海祝のキャリアは、ジュニア時代から国際大会で結果を残してきた点に特徴がある。北京五輪で突然注目された選手ではなく、ユース大会や世界ジュニア選手権を通じて着実に実力を伸ばしてきた。
平野海祝の主な大会成績・経歴一覧| 年月・時期 | 大会・出来事 | 結果・内容 |
|---|---|---|
| 2017年 | JOCジュニアオリンピックカップ | 優勝 |
| 2018年 | 世界ジュニア選手権 | 3位 |
| 2020年1月 | ローザンヌ冬季ユースオリンピック | 銀メダル |
| 2021年 | 全日本ジュニア選手権 | 優勝 |
| 2021年 | 全日本選手権 | 3位 |
| 2022年1月 | X Games Aspen | 初出場で銅メダル |
| 2022年2月 | 北京冬季オリンピック | 男子ハーフパイプ9位 |
| 2022年12月 | FISワールドカップ・カッパーマウンテン | 3位 |
| 2024年1月 | X Games Aspen | 3位 |
| 2024年2月 | FISワールドカップ・マンモスマウンテン | 3位 |
| 2024年11月 | 足首の故障 | 2024-2025シーズンを欠場 |
| 2025年 | SAJ強化指定選手 | 2025-2026シーズンはA指定 |
| 2025年12月 | FISワールドカップ開幕戦 | 男子12位 |
| 2026年2月27日 | The Snow League・Aspen | 7.68mの最高エアを記録 |
| 2026年3月19日 | The Snow League・LAAX | 7.72mの最高エアを記録 |
| 2026年10月1日 | ギネス世界記録認定式 | ハーフパイプ最高エアとして正式認定 |
この年表から分かるのは、海祝がジュニア時代から国際舞台で結果を残し、2022年の北京五輪を境に世界的な知名度を高めたという流れだ。
特に2022年のX Games Aspenでは、初出場ながら銅メダルを獲得。兄の歩夢も同大会で銀メダルを獲得し、兄弟そろって表彰台に立った。
その後も2024年のX Games Aspen、ワールドカップ・マンモスマウンテンで3位に入るなど、国際大会で実績を重ねている。
【7.72mのギネス世界記録】2026年LAAXで何が起きた?認定までの経緯
2026年の平野海祝を象徴する出来事が、ハーフパイプにおける最高エア7.72メートルのギネス世界記録だ。
記録が生まれたのは2026年3月19日。スイスのLAAXで開催されたThe Snow Leagueシーズン1の第4戦だった。
最初は2月のAspenで7.68mを記録実は、7.72メートルに到達する前にも、海祝は自身の記録を更新していた。
2026年2月27日、米国コロラド州のAspen Snowmassで開催されたThe Snow League第3戦の予選で、7.68メートルのエアを記録。大会側はこれをハーフパイプ最高エアの新記録として発表した。
この時点ではギネス世界記録の検証・認定は完了しておらず、公式認定に向けた手続きが続いていた。
3月19日、LAAXで7.72mに到達その約3週間後、海祝はスイス・LAAXで開催された第4戦で、さらに高いエアを披露する。
The Snow League公式発表によると、記録が生まれたのはハーフパイプの最初のヒット。バックサイドエアで25フィート4インチ、メートル換算で7.72メートルに到達した。
このジャンプは決勝ではなく、予選のラストチャンス予選(LCQ)ラウンドで記録されたものだ。つまり、優勝や大会順位とは別に、競技中の一つのジャンプで歴史的な記録を打ち立てたことになる。
2月の7.68メートルから3月の7.72メートルへ。海祝は短期間で自らの最高記録を塗り替えた。
10月1日、ギネス世界記録に正式認定そして2026年10月1日、日本国内でギネス世界記録の認定式が開催された。
The Snow Leagueの公式発表では、平野海祝の7.72メートルが「ハーフパイプにおけるスノーボード最高エア」として正式に認定され、本人に額装された認定証が贈られたことが報告されている。
新潟のテレビ局TeNYやBSNの報道でも、10月1日の認定証授与式が取り上げられた。
「これはメダルよりも重いと思いますね」
認定証を受け取った際、海祝はこのように喜びを表現したと報じられている。命を懸けて取り組んできた競技で世界記録を認められたことへの実感が込められた言葉だった。
北京五輪の7.4mと2026年の7.72mはどう違う?ここで整理しておきたいのが、2022年北京五輪で披露した7.4メートルのエアとの関係だ。
北京五輪の決勝で海祝が披露したエアは、ハーフパイプのリップ(縁)から約7.4メートルの高さに達したものだった。日本大学の大会振り返り記事では、コースのボトム(底面)から測ると約14.6メートルに相当すると説明されている。
一方、2026年の7.72メートルは、The Snow Leagueで記録されたハーフパイプ最高エアであり、ギネスが独立した記録タイトルとして正式認定したものだ。
北京五輪の7.4メートルが話題になったことと、2026年の7.72メートルがギネス世界記録になったことは、関連する実績ではあるものの、同じ大会の同じ記録ではない。
この違いを押さえると、海祝が北京五輪で世界に存在を知られ、4年後にはさらに高いエアで公式な世界記録保持者になったという成長の過程が理解しやすい。
【足首の怪我から復帰】2025-2026シーズンの活動と2026年現在
華々しい記録の一方で、海祝の競技人生には大きな試練もあった。2024年11月に足首を故障し、2024-2025シーズンの大会出場を見送ったことだ。
2024年11月の故障と復帰への準備2025年4月に公開された日本大学のインタビューによると、海祝は怪我によって大会に出場できない時間を過ごすなかで、スノーボードへの思いや競技環境のありがたさを改めて実感したという。
雪上に戻る前には、足を使えない状況でもできるトレーニングとして、ジムでのウエイトトレーニングに取り組んでいた。
本人は同インタビューで、秋からのシーズンには完全復帰したいという目標を語っている。
その後、2025年12月12日に中国・張家口で開催されたFISワールドカップの開幕戦では、男子ハーフパイプで12位を記録した。日本オリンピック委員会の大会報道にも、この結果が掲載されている。
長期離脱から国際大会に戻ったことは、競技生活を継続するうえで一つの大きな節目となった。
2025-2026シーズンはSAJ強化指定A全日本スキー・スノーボード連盟(SAJ)の公式選手一覧では、平野海祝は2025-2026シーズンのスノーボード・ハーフパイプ男子A指定選手に掲載されている。
所属はTOKIOインカラミ、出身地は新潟県村上市。北京五輪出場経験と国際大会での実績を持つ選手として、国内の強化指定選手の一人に位置付けられていた。
2026-2027シーズンの強化指定はどうなった?ここは2026年11月時点で押さえておきたい最新情報だ。
SAJが公開している2026-2027シーズンのスノーボード・ハーフパイプ強化指定選手一覧には、平野海祝の名前は掲載されていない。2026年7月の発表を受けた報道でも、前年のA指定から外れたことが伝えられた。
ただし、強化指定から外れたことと、プロ選手としての活動終了や所属契約の終了は別の話である。
2026年10月29日付の日刊スポーツの所属選手一覧では、海祝はTOKIOインカラミのスノーボード選手として引き続き掲載されている。
したがって、2026年11月現在の状況は、TOKIOインカラミ所属を継続する一方、2026-2027シーズンのSAJ強化指定選手には選ばれていない、という整理になる。
今後の注目点は、The Snow Leagueなどの国際舞台で7.72メートルの記録に続くパフォーマンスを見せられるか、そしてエアの高さだけでなく、競技としての完成度をどこまで高められるかだ。
【プロの結論】平野海祝の本当の強さは高さだけではない
平野海祝の実力を評価する際、7.72メートルという数字だけに注目するのは十分ではない。むしろ、彼がどのような競技哲学を持ち、世界のトップ選手と異なる個性をどう競技結果につなげているかが重要になる。
高さを武器にする独自のスタイル海祝の持ち味は、ハーフパイプの壁から大きく飛び出すエアと、空中で身体を伸ばして見せるトゥイークなどの表現力だ。
2025年の日本大学のインタビューでは、本人がハーフパイプ競技における技術の変化についても言及している。高回転の技を各ヒットに取り入れる選手が増えるなかで、海祝は自分らしい高さのあるエアと、ゆったりとした回転を残したいという考えを示した。
これは単に派手なジャンプを優先するという話ではない。競技の採点基準が高度化するなかで、独自の表現をどう評価につなげるかという課題でもある。
ギネス記録と競技成績は別の評価軸もう一つ重要なのは、ギネス世界記録保持者であることと、競技大会で優勝することは同じではないという点だ。
ハーフパイプの大会では、一度の大ジャンプだけでなく、複数のヒットを組み合わせたラン全体の完成度が問われる。着地の安定性や回転技の難度も順位を左右する。
海祝の7.72メートルは、世界でも突出した高さを持つことを証明した。一方、今後の競技で表彰台や優勝を狙うには、その高さを安定した演技構成に組み込むことが課題となる。
兄・歩夢との比較ではなく、個性の確立に注目歩夢は五輪3大会連続メダルという歴史的な実績を持つ。海祝は北京五輪9位という経験を経て、世界最高エアの記録保持者となった。
兄弟という関係から比較されやすい二人だが、海祝自身が語っているように、競技スタイルは異なる。歩夢と同じ道を歩むことだけが海祝の目標ではない。
2026年4月の三兄弟によるトークイベントでは、海祝はトップランナーである兄たちと次世代の若い選手たちの中間にいる存在として、将来は自分の背中で後輩を引っ張れるようになりたいという目標を語った。
競技者としての成長に加え、次世代への影響力も意識し始めている点は、24歳という年齢を考えても興味深い。
【平野海祝に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:平野海祝の生年月日は?現在何歳?
A1:2002年10月14日生まれ。新潟県村上市出身で、2026年11月2日時点では24歳。スノーボード・ハーフパイプを専門とするプロ選手だ。
Q2:平野海祝のギネス世界記録は何メートル?
A2:7.72メートル。2026年3月19日にスイス・LAAXで開催されたThe Snow Leagueの予選で記録し、同年10月1日にハーフパイプにおけるスノーボード最高エアとしてギネス世界記録に正式認定された。
Q3:平野歩夢とは兄弟?仲が悪いという噂は本当?
A3:平野歩夢は海祝の次兄にあたる。日本大学のインタビューでは、兄弟間に一般的なライバル心はなく、歩夢を尊敬していると話している。互いの競技スタイルを認め合う関係だ。
Q4:平野海祝は北京オリンピックで何位だった?
A4:2022年北京冬季オリンピックの男子ハーフパイプで9位。決勝では約7.4メートルの高さに達するビッグエアを披露し、大きな注目を集めた。
Q5:平野海祝の所属先はどこ?
A5:TOKIOインカラミ。2026年10月29日付の日刊スポーツの所属選手一覧にも名前が掲載されている。
Q6:平野海祝は2026年ミラノ・コルティナ五輪に出場した?
A6:出場していない。2026年1月に発表された日本代表には選出されなかった。2024年11月の足首の故障による競技活動への影響も報じられている。
まとめ:平野海祝は世界記録の先に何を目指すのか
平野海祝は、兄・平野歩夢の知名度に支えられた選手というだけではない。冬季ユースオリンピック銀メダル、X Games銅メダル、北京五輪9位という実績を積み重ね、2026年には7.72メートルのギネス世界記録保持者となった独自のキャリアを持つプロスノーボーダーだ。
2024年11月の足首の故障による長期離脱や、2026年のミラノ・コルティナ五輪代表落選など、競技人生は決して順風満帆ではなかった。それでも復帰後に国際大会へ戻り、The Snow Leagueで自身の記録を更新したことは、海祝の持つポテンシャルを示している。
2026年11月現在、2025-2026シーズンの強化指定Aから2026-2027シーズンの強化指定選手一覧には名前がないという変化もある。一方、TOKIOインカラミ所属選手としての活動は続いている。
今後の評価を左右する要点は、次の3つだ。
- 高さの進化:7.72メートルを超えるエア、または新しい表現を生み出せるか。
- 競技の完成度:高さだけでなく、高難度の回転技や着地の安定性を組み合わせ、国際大会で表彰台を狙えるか。
- 独自の存在感:兄・歩夢とは異なるスタイルを確立し、次世代のスノーボーダーを引っ張る存在になれるか。
世界記録はゴールではなく、海祝が積み上げてきた技術と個性を世界に証明した一つの到達点だ。次に注目したいのは、7.72メートルという数字の先に、どのような新しい滑りを見せてくれるかである。