しっかり寝たはずなのに朝から疲れている、夜中に何度も目が覚める、眠っている時間は長いのに熟睡した感覚がない。このような悩みの背景には、ストレスや生活習慣、加齢、睡眠環境、さらには睡眠障害が関係している可能性があります。睡眠が浅い状態は、単純に睡眠時間が足りないという問題だけではありません。眠りの深さや途中で目覚める回数、朝起きたときの休養感など、複数の要素から考える必要があります。
2026年現在、睡眠の健康づくりにおける基本的な指針として活用されているのが、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」です。同ガイドは、睡眠時間の確保だけでなく、睡眠休養感、生活習慣、睡眠環境、睡眠障害への対応を重視しています。この記事では、浅い眠りの仕組みから、夜中に目が覚める理由、ストレスと自律神経の関係、具体的な改善方法、医療機関を受診する判断基準まで整理します。
【まず知っておきたい】睡眠が浅いとは?眠りの仕組みと熟睡できない実態

人間の睡眠は、単純に意識がなくなっている状態ではありません。脳波や眼球運動、筋肉の活動などによって、性質の異なる睡眠段階が繰り返されています。
大きく分けると、睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があります。
- ノンレム睡眠:脳の活動が低下する睡眠。浅い段階から深い段階まであり、特に深いノンレム睡眠は身体と脳の休養に関係する。
- レム睡眠:身体の筋肉は弛緩している一方、脳の活動は比較的活発な睡眠。夢を見ることが多い。
健康な成人の場合、これらの睡眠段階は一晩の中で何度も交互に現れます。厚生労働省のe-ヘルスネットによると、ノンレム睡眠とレム睡眠はおおむね90〜120分程度の周期で変化し、睡眠の後半に向かうにつれて深いノンレム睡眠が減り、レム睡眠が長くなる傾向があります。
つまり、朝方に眠りが浅くなること自体は異常ではありません。睡眠の途中で短時間目が覚めることもあり、覚醒を自覚したからといって必ずしも睡眠障害とは限らないのです。
加齢によって深い睡眠は少なくなる睡眠の深さは年齢によっても変化します。厚生労働省の睡眠ガイドでは、脳波を用いて測定した平均的な夜間睡眠時間について、25歳では約7時間、45歳では約6.5時間、65歳では約6時間という傾向が紹介されています。
また、加齢に伴って深いノンレム睡眠が減少し、中途覚醒や浅い睡眠が増える傾向もあります。
若い頃と同じように長時間眠れなくなったからといって、すぐに病気を疑う必要はありません。年齢に応じて睡眠の構造が変わることを理解し、日中に十分な活力があるか、朝に休養感が得られているかを確認することが大切です。
睡眠時間だけでは睡眠の質を判断できない睡眠を評価するときに見落とされやすいのが「睡眠休養感」です。これは、睡眠によって心身の疲れが回復したと感じられるかどうかを表す考え方です。
例えば、7時間眠っていても夜中に何度も目覚め、朝から疲労感が残る人もいます。一方、睡眠時間が多少短くても、日中に眠気がなく、起床時にすっきりしている人もいます。
厚生労働省は成人について、睡眠時間を6時間以上確保することを一つの目安として示しています。ただし、これは全員に当てはまる絶対的な基準ではありません。必要な睡眠時間には個人差があり、年齢や身体の状態によっても変わります。
大切なのは、数字だけを追いかけるのではなく、睡眠時間と休養感の両方を確認することです。
【原因を徹底分析】睡眠が浅くなる理由は?ストレス・生活習慣・自律神経の関係
1.ストレスによって脳が休息モードに入りにくくなる睡眠が浅い原因として代表的なのが、精神的なストレスです。
仕事のプレッシャー、人間関係の悩み、経済的な不安、家庭の問題などを抱えていると、就寝後も頭の中で考え事を続けてしまうことがあります。
ストレスを受けた状態では、身体が警戒や緊張に関係する反応を示し、覚醒を維持する働きが強くなることがあります。その結果、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたあと再び眠るまでに時間がかかったりします。
特に注意したいのは、眠れないことそのものが新たなストレスになる悪循環です。
「今夜も眠れなかったらどうしよう」「明日の仕事に影響する」「早く寝なければ」と考えるほど、眠ることへの緊張が高まり、かえって寝つきにくくなる場合があります。
眠れない夜があっても、翌日の結果を過度に心配しないことが大切です。睡眠を無理にコントロールしようとするより、身体と気持ちの緊張を緩めることを優先しましょう。
2.自律神経の働きと睡眠の関係自律神経は、心拍、呼吸、血圧、体温など、意識しなくても働く身体の機能を調節しています。主に交感神経と副交感神経から構成され、覚醒や活動、休息などに関係しています。
一般的に、日中は活動に適した状態が保たれ、夜間は身体が休息に向かいやすい状態へ移行します。しかし、強いストレスや不規則な生活が続くと、このリズムが乱れ、就寝時にも緊張や覚醒が残ることがあります。
ここで注意したいのは、睡眠が浅いという症状だけで「自律神経失調症」と判断できるわけではないことです。自律神経の働きは睡眠に関係しますが、浅い眠りには呼吸障害や身体疾患、薬の影響など別の原因もあります。
自律神経を整えることだけに注目するのではなく、朝の光、日中の活動、夜間の休息を含めた生活全体を見直すことが現実的な対策になります。
3.寝る前のスマートフォンやパソコン就寝直前までスマートフォンを操作する習慣も、睡眠の質を低下させる要因になります。
影響は画面から発せられる光だけではありません。SNSの閲覧、動画の連続視聴、仕事のメール、ニュースのチェックなどによって脳が刺激され、気持ちが休まりにくくなることも問題です。
特にスマートフォンの画面から発せられる青色光は、体内時計やメラトニンの分泌に影響し、眠気を感じにくくする可能性があります。
厚生労働省の健康づくり関連資料でも、就寝前の電子機器の使用や、SNSなどによるコミュニケーションを制限することが睡眠改善の対策として取り上げられています。
寝る直前まで画面を見る習慣がある人は、まず就寝前30分〜1時間程度をスマートフォンから離れる時間にしてみましょう。仕事の連絡やSNSを確認する時間をあらかじめ決めておくことも有効です。
4.カフェインやアルコールの摂取コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインには覚醒作用があります。摂取する量だけでなく、飲む時間帯にも注意が必要です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、カフェインの代謝には個人差があり、日本人の血中半減期には約3〜7時間の幅があることが紹介されています。
そのため、夕方以降にコーヒーを飲む習慣がある人は、夜になっても覚醒作用が残っている可能性があります。カフェインに敏感な人は、午後から摂取を控えるなど、自分の反応に合わせた調整が必要です。
また、寝酒にも注意しましょう。アルコールは一時的に寝つきをよくすることがありますが、睡眠の後半に中途覚醒を増やしたり、深い睡眠を減らしたりする可能性があります。
眠るためにお酒を飲む習慣は、熟睡感を取り戻す方法として適切ではありません。
5.睡眠環境や身体の不調寝室の温度や湿度、騒音、照明、寝具の状態なども睡眠の深さに影響します。
室温が高すぎたり、寒さを感じたりすると、睡眠中に身体が快適な状態を保ちにくくなります。外の騒音や家族の生活音、寝具の不快感なども、本人が意識しないうちに睡眠を妨げている場合があります。
加えて、腰痛、肩こり、皮膚のかゆみ、鼻づまり、夜間頻尿などの身体的な問題も、中途覚醒につながります。
睡眠が浅いときは、精神的な問題だけに原因を求めず、身体の不調や寝室環境も確認が必要です。
【症状別に比較】夜中に何度も目が覚める理由と熟睡できない原因の見分け方
睡眠が浅いと感じる人の中には、夜中に何度も目が覚める人もいれば、途中で起きることは少ないのに朝の疲れが取れない人もいます。
この違いは、原因を考えるうえで重要な手がかりになります。症状と考えられる背景を整理すると、次のようになります。
| 症状・状態 | 考えられる主な原因 | 確認したいポイント | 対処の方向性 |
|---|---|---|---|
| 夜中に何度も目が覚める | 中途覚醒、ストレス、飲酒、睡眠時無呼吸 | 目覚める回数、再入眠までの時間、いびき | 生活習慣の見直し、必要に応じて受診 |
| 寝つきが悪い | 精神的緊張、カフェイン、体内時計の乱れ | 就寝時刻、夕方以降の飲み物、スマホ使用 | 起床時刻の固定、刺激を減らす |
| 長く寝ても疲れが取れない | 睡眠の質の低下、睡眠時無呼吸、睡眠不足 | 日中の眠気、朝の頭痛、睡眠中の呼吸 | 睡眠障害の可能性を医師に相談 |
| 早朝に目が覚める | 早朝覚醒、加齢、気分の不調、体内時計の変化 | 目覚める時刻、気分、日中の活動状況 | 生活リズムの確認、必要に応じて受診 |
| 寝ている間に息苦しくなる | 睡眠時無呼吸症候群など | 大きないびき、呼吸停止、喘ぐような覚醒 | 呼吸器科などで検査を相談 |
| 脚がむずむずして眠れない | むずむず脚症候群など | 安静時の不快感、脚を動かしたくなる感覚 | 睡眠障害の専門的な診察 |
中途覚醒とは、眠りについてから翌朝の起床までの間に何度も目が覚める状態を指します。
ただし、夜中に一度目が覚めただけで不眠症と判断されるわけではありません。睡眠はもともと一定の周期で変化しており、短時間の覚醒が起こることもあります。
問題になるのは、目が覚めることが繰り返され、その後なかなか眠れない、睡眠時間が不足する、翌日に強い疲労感や集中力低下が現れるといった場合です。
不眠症の症状と見分け方不眠症には、代表的な4つの症状があります。
- 入眠障害:布団に入ってもなかなか眠れない。
- 中途覚醒:眠りについても途中で何度も目が覚める。
- 早朝覚醒:予定よりかなり早く目が覚め、その後眠れない。
- 熟眠障害:睡眠時間を確保しているのに、ぐっすり眠れた感覚がない。
重要なのは、夜間の睡眠問題だけでなく、日中の生活への影響も確認することです。
日本睡眠学会が紹介する慢性不眠障害の診断基準では、適切な睡眠機会があるにもかかわらず、睡眠の問題が週3回以上、3か月以上続き、日中の機能障害を伴うことなどが判断材料になります。
ただし、これは自己診断のためのチェックリストではありません。症状の期間や程度、ほかの病気や睡眠障害の有無を含めて、医師が総合的に判断します。
睡眠時無呼吸症候群が隠れている場合もある見落としたくないのが、睡眠時無呼吸症候群です。
睡眠中に気道が狭くなったり塞がったりすることで、呼吸が繰り返し止まる、あるいは弱くなる病気です。本人は眠っている間の異常に気づかないことも少なくありません。
代表的なサインは次のとおりです。
- 大きないびきを繰り返す。
- 家族から睡眠中の呼吸停止を指摘される。
- 息苦しさや窒息感を伴って目が覚める。
- 朝起きたときに頭痛や口の渇きがある。
- 十分に眠ったつもりでも日中に強い眠気がある。
- 夜間に何度もトイレに起きる。
日本呼吸器学会や国立精神・神経医療研究センターも、激しいいびき、睡眠中の呼吸停止、日中の過度な眠気などを受診の手がかりとして挙げています。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時間を延ばすだけでは解決しない場合があります。疑わしい症状がある場合は、呼吸器内科や睡眠外来などで相談することが大切です。
【今日から実践】睡眠の質を上げる方法と睡眠が浅いときの改善策7選
睡眠が浅いと感じたときは、睡眠時間を無理に延ばすよりも、睡眠を妨げている要因を一つずつ減らしていくことが効果的です。
1.毎朝同じ時間に起きて体内時計を整える睡眠のリズムを整えるうえで、まず意識したいのが起床時刻です。
平日と休日で起きる時間が大きく異なると、体内時計が乱れやすくなります。休日に長時間寝だめをするより、できるだけ同じ時間帯に起床する習慣を身につけましょう。
前日に眠れなかった場合でも、翌朝の起床時刻を大きく後ろにずらさないことがポイントです。
2.朝起きたら自然光を浴びる朝の光には、体内時計を調整する働きがあります。
起床後はカーテンを開け、窓際で過ごしたり、短時間でも屋外を歩いたりする習慣を取り入れましょう。
朝に光を浴びることは、夜に自然な眠気が訪れるリズムをつくるうえでも役立ちます。
3.日中に適度な運動を取り入れる運動不足は睡眠の質に影響することがあります。
ウォーキング、軽いジョギング、ストレッチ、自転車など、無理なく継続できる身体活動を取り入れてみましょう。
厚生労働省の睡眠関連資料でも、日中の定期的な身体活動は睡眠の質の向上や寝つきの改善に役立つとされています。
ただし、就寝直前の激しい運動は身体を覚醒させる可能性があります。運動する場合は、寝る直前を避け、余裕を持った時間帯に行うのがおすすめです。
4.就寝前のスマートフォンを控える寝る直前までスマートフォンを操作している場合は、使用時間を見直しましょう。
特にSNSや動画の視聴は、予定より長時間続けてしまいやすく、睡眠時間そのものを削る原因になります。
寝る前の時間を読書、軽いストレッチ、静かな音楽などに置き換えると、気持ちを落ち着けやすくなります。
スマートフォンを寝室に持ち込まない、通知をオフにするなど、意志の力だけに頼らず使いにくい環境をつくることも効果的です。
5.夕方以降のカフェインと寝酒を見直す睡眠の質を高めたい場合、コーヒーやエナジードリンクなどの摂取タイミングを確認しましょう。
カフェインの影響には個人差があるため、午後以降に摂取すると眠りが浅くなる人もいます。夕方から夜にかけては、麦茶やカフェインを含まない飲み物に切り替える方法があります。
また、寝酒は習慣にしないことが大切です。アルコールによって一時的に眠くなっても、睡眠の後半が不安定になる可能性があります。
6.寝室の温度・光・音を調整する睡眠中に快適な状態を保てるよう、寝室の環境を整えましょう。
- 暑すぎたり寒すぎたりしない室温に調整する。
- 外からの光が気になる場合は遮光カーテンを活用する。
- 騒音がある場合は耳栓などを検討する。
- 枕やマットレスが身体に合っているか確認する。
- 寝具や寝室を清潔に保つ。
高価な寝具を購入することが必ずしも解決策になるわけではありません。まずは現在の睡眠環境で不快に感じている点を改善することから始めましょう。
7.眠れないときは無理に寝ようとしない眠れないまま長時間ベッドで過ごしていると、寝室そのものが緊張や焦りを感じる場所になってしまう場合があります。
なかなか眠れないときは、一度ベッドから離れ、暗めの照明の下で静かな読書や穏やかな音楽などを楽しみ、眠気が戻ってから再び横になる方法があります。
時計を何度も確認することも避けたい習慣です。「あと何時間しか眠れない」と考えるほど焦りが強くなり、再入眠が難しくなることがあります。
睡眠改善では、眠る努力を増やすより、自然に眠れる条件を整えることが大切です。
【見逃し注意】睡眠障害のセルフチェックと医療機関を受診する目安
睡眠の悩みを確認するセルフチェック自分の睡眠状態を把握するには、厚生労働省の健康づくり関連資料などを参考に、普段の生活と睡眠の状態を振り返る方法があります。
次の項目に当てはまるものがないか確認してみましょう。
- □ 布団に入ってもなかなか寝つけない。
- □ 夜中に何度も目が覚める。
- □ 朝早く目が覚めて、その後眠れない。
- □ 十分に寝ているはずなのに疲れが取れない。
- □ 日中に強い眠気を感じる。
- □ 仕事や勉強中に集中力が続かない。
- □ いびきや睡眠中の呼吸停止を指摘されたことがある。
- □ 眠るときに脚がむずむずしたり、不快感があったりする。
- □ 夜間の尿意や身体の痛みで何度も起きる。
- □ 眠れないことへの不安や焦りが強くなっている。
複数の項目に当てはまるからといって、必ずしも睡眠障害があるとは限りません。しかし、症状が続いている場合や日常生活に影響が出ている場合は、医師に相談する手がかりになります。
睡眠日誌をつけると原因を整理しやすい睡眠の状態を客観的に振り返るためにおすすめなのが、睡眠日誌です。
1〜2週間程度、次の項目を記録してみましょう。
- 就寝した時刻と起床した時刻
- 寝つくまでにかかった時間
- 夜中に目が覚めた回数と時間
- 朝起きたときの疲労感
- 日中の眠気や集中力
- カフェインやアルコールを摂取した時間
- 運動や昼寝の有無
- 服用している薬や体調の変化
記録を続けると、特定の曜日や飲酒した日の夜に眠りが浅くなるなど、自分の生活と睡眠の関係が見えてくる場合があります。
睡眠アプリやスマートウォッチを使用する場合も、毎日の数値だけで一喜一憂しないようにしましょう。家庭用機器の睡眠段階の推定値は、医療機関で行う脳波などを用いた睡眠検査とは異なります。あくまで生活習慣の傾向を把握する補助として活用することが大切です。
どのような症状があれば受診するべき?次のような状態がある場合は、生活習慣の改善だけで様子を見るのではなく、医療機関への相談を検討しましょう。
1.不眠が続き、日常生活に支障が出ている
眠れない状態が繰り返され、疲労感、集中力低下、気分の落ち込み、仕事や家事への支障が生じている場合は、内科や心療内科、精神科、睡眠外来などに相談してください。
2.激しいいびきや呼吸停止がある
家族から呼吸が止まっていると指摘されたり、睡眠中に息苦しさで目が覚めたりする場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。呼吸器内科や睡眠専門医への相談が適しています。
3.日中の眠気が強く、居眠りしてしまう
会議中や仕事中に眠ってしまう、運転中に強い眠気が生じるなどの場合は注意が必要です。居眠り運転の危険があるときは運転を避け、早めに医療機関で原因を調べてもらいましょう。
4.生活習慣を見直しても改善しない
起床時刻を整える、カフェインや飲酒を控える、寝室環境を改善するといった対策を続けても睡眠の悩みが解消しない場合は、睡眠障害や身体疾患、薬の副作用などが関係している可能性があります。
医療機関ではどのような検査を受ける?受診した場合、まず睡眠の状態、生活習慣、既往歴、服薬状況などについて問診が行われます。
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、自宅で行う簡易検査や、医療機関で行う終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)などが検討されます。
PSGでは、睡眠中の脳波、呼吸、血中酸素飽和度、心電図、筋肉の活動などを記録し、睡眠の状態を詳しく評価します。
検査結果や症状によっては、持続陽圧呼吸療法(CPAP)や口腔内装置などの治療が選択されます。治療方法は病気の種類や重症度によって異なります。
不眠症についても、原因や症状に応じて睡眠習慣の改善、認知行動療法、薬物療法などが検討されます。睡眠薬を自己判断で使用したり、処方薬を急に中断したりせず、医師に相談することが大切です。
【プロの結論】睡眠が浅い悩みを改善するために知っておきたい判断基準
睡眠が浅いと感じたとき、多くの人は「もっと長く寝なければ」「深い睡眠を増やさなければ」と考えがちです。しかし、睡眠改善で最初に取り組むべきことは、睡眠時間を無理に延ばすことではありません。
重要なのは、眠りを妨げている原因を見極め、自分に合った対策を選ぶことです。
生活習慣の問題なのか、睡眠障害なのかを見極める例えば、夕方以降にコーヒーを飲む習慣があり、夜になっても頭が冴えている人は、カフェインの摂取時間を変えることから始められます。
一方、毎晩のように激しいいびきがあり、日中にも強い眠気がある人は、単純な睡眠習慣の改善だけでは不十分可能性があります。
また、精神的な緊張が強く、布団に入ると考え事が止まらなくなる人は、ストレスへの対処や不眠に対する認知行動的なアプローチが役立つ可能性があります。
同じ「睡眠が浅い」という悩みでも、必要な対応は人によって異なります。
睡眠改善グッズやアプリだけに頼らない睡眠市場には、枕、マットレス、アイマスク、リラックス音源、睡眠管理アプリなど、さまざまな商品やサービスがあります。
これらは睡眠環境を整えたり、生活習慣を振り返ったりするうえで役立つことがあります。しかし、睡眠時無呼吸症候群や慢性的な不眠症など、医学的な対応が必要な問題を解決するものではありません。
特に睡眠アプリのスコアを改善すること自体が目的になると、数値を気にしすぎて睡眠への不安が強くなる場合があります。
評価すべきなのは、アプリの点数だけではなく、朝の休養感や日中の集中力、疲労の回復具合です。
改善策は一度に全部実践する必要はない睡眠の悩みを抱えている人が、いきなり生活習慣をすべて変えようとすると、かえって負担になることがあります。
まずは起床時刻を整える、朝に光を浴びる、夕方以降のカフェインを減らすなど、実践しやすい対策から一つずつ始めましょう。
一定期間続けて変化を確認し、改善が見られない場合には別の原因を検討します。必要であれば医療機関で相談し、専門的な検査や治療につなげることが重要です。
睡眠は毎日の健康を支える基盤です。短期間で完璧な眠りを目指すより、無理なく継続できる生活リズムをつくることが、長期的な改善につながります。
【睡眠が浅いときのよくある質問(FAQ)】
Q1:睡眠が浅いのは病気のサインですか?
A1:必ずしも病気とは限りません。ストレス、加齢、カフェイン、飲酒、睡眠環境などが原因の場合もあります。ただし、長期間続いて日中の疲労や集中力低下がある場合は、不眠症や睡眠時無呼吸症候群などの可能性もあるため、医師への相談をおすすめします。
Q2:夜中に何度も目が覚めるのはなぜですか?
A2:ストレス、アルコール、カフェイン、夜間頻尿、身体の痛み、睡眠時無呼吸症候群など、さまざまな原因が考えられます。目覚める時間帯や回数、再び眠るまでの時間、いびきの有無などを記録すると、原因を整理しやすくなります。
Q3:睡眠の質を上げるために最初にするべきことは何ですか?
A3:まずは毎朝の起床時刻をできるだけ一定にし、朝の光を浴びる習慣をつくりましょう。加えて、夕方以降のカフェインを控え、就寝前のスマートフォン使用を減らすことも有効です。
Q4:睡眠時間が長いのに熟睡できないのはなぜですか?
A4:睡眠時間が確保できていても、睡眠中に何度も覚醒している、呼吸が妨げられている、ストレスが強いなどの理由で休養感が得られない場合があります。特に、強いいびきや日中の眠気がある場合は睡眠時無呼吸症候群なども考えられます。
Q5:寝る前のスマートフォンは何分前までにやめるべきですか?
A5:一律の医学的な制限時間があるわけではありませんが、まずは就寝前30分〜1時間程度、スマートフォンを使わない時間を設ける方法があります。画面の光だけでなく、SNSや動画による脳への刺激、就寝時刻の遅れも意識しましょう。
Q6:睡眠が浅い場合、何時間寝ればよいですか?
A6:厚生労働省は成人の睡眠時間について6時間以上を一つの目安として示しています。ただし、必要な睡眠時間には個人差があります。時間だけで判断せず、朝の休養感や日中の眠気、活動への影響も確認してください。
Q7:睡眠が浅いと感じたら何科を受診すればよいですか?
A7:まずは内科で相談できます。激しいいびきや呼吸停止がある場合は呼吸器内科や睡眠外来、強い不安や気分の落ち込みを伴う場合は心療内科や精神科なども選択肢です。症状に応じて適切な診療科を案内してもらいましょう。
まとめ:睡眠が浅い原因を見極め、自分に合った改善方法を選ぼう
睡眠が浅いと感じる背景には、ストレスや自律神経の働き、生活習慣、加齢、睡眠環境、睡眠障害など、さまざまな要因があります。夜中に目が覚めるからといって、すべてが不眠症というわけではありません。
まずは、睡眠時間だけでなく、起床時の休養感や日中の眠気、夜間の覚醒状況を確認しましょう。そのうえで、朝の光を浴びる、起床時刻を整える、適度に運動する、寝る前のスマートフォンや夕方以降のカフェインを控えるなど、実践できる対策から始めることが大切です。
一方、激しいいびきや呼吸停止、日中の強い眠気、長期間続く不眠などがある場合は、生活習慣の改善だけに頼らず、医療機関で原因を調べてもらいましょう。
本当に大切なのは、長時間眠ることだけではなく、睡眠によって心身が十分に回復し、日中を健やかに過ごせることです。自分の睡眠状態を正しく把握し、必要に応じて専門家の力も借りながら、無理のない改善を続けていきましょう。
主な参考資料・医学的根拠
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「不眠症」「眠りのメカニズム」「快眠と生活習慣」
- 日本睡眠学会「睡眠障害の診断基準」
- 日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群」
- 国立精神・神経医療研究センター「睡眠関連呼吸障害」