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延命治療拒否の最新情報2026|4学会新指針と法制度、家族の備えを徹底解説

桐島 奈緒 桐島 奈緒 • 更新: • 公開: • 読了約 28 分
目次

2026年11月現在、延命治療拒否をめぐる日本の医療現場では、大きな動きが起きている。特に注目されるのが、2026年9月28日に日本集中治療医学会、日本救急医学会、日本循環器学会、日本緩和医療学会の4学会が公表した「救急・集中治療における生命維持治療の終了/差し控えに関する4学会合同ガイドライン」だ。2014年以来の改訂となり、患者本人の意思、家族との共同意思決定、緩和ケアなどが改めて整理された。

一方、日本では延命治療の拒否と中止、尊厳死、安楽死が混同されやすく、本人が意思表示できなくなった場合の判断や、家族と医療関係者の意見が食い違った場合の対応も課題になっている。2026年の最新情報を軸に、制度の仕組み、ガイドライン改訂の経緯、ネットの反応、誤解されやすい噂の真相、本人と家族が今から準備できることまで詳しく解説する。

【2026年最新情報】延命治療拒否をめぐるニュースと4学会の新指針

延命治療拒否

2026年の延命治療拒否をめぐる最大の動きは、救急・集中治療の現場で生命維持治療を終了または差し控える際の手順が、4学会合同ガイドラインとして示されたことだ。

これまでの議論では、本人が望まない治療をどこまで行うべきか、治療を中止する場合に医療従事者がどのような責任を負うのかという問題が繰り返し取り上げられてきた。

今回の改訂では、治療を続けるか終了するかという結論だけでなく、そこに至るまでの話し合いや医学的・倫理的な検討過程が重視されている。

2026年9月28日に公表された新ガイドラインとは?

新指針の正式名称は「救急・集中治療における生命維持治療の終了/差し控えに関する4学会合同ガイドライン」。

策定に参加したのは次の4団体だ。

- 日本集中治療医学会
- 日本救急医学会
- 日本循環器学会
- 日本緩和医療学会

従来の2014年版は3学会による提言だったが、今回は緩和医療学会が加わった。治療を終了するかどうかだけでなく、その後の苦痛をどのように和らげるかという視点も盛り込まれている。

特に重要なのは、患者一人ひとりに対して一律の結論を押し付ける指針ではないという点だ。

患者の医学的状態、本人の意向、生活の質、家族の状況などを多角的に検討し、本人にとって最善の医療・ケアを話し合うための手順を示している。

「終末期」の一律な定義を設けなかった理由

今回の改訂で注目されたのが、「終末期」という言葉を一律に定義しなかったことだ。

2014年の旧指針では、救急・集中治療の現場で救命の見込みがないと判断される状態などが想定されていた。

しかし、人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)などの医療技術が進歩し、重篤な状態から長期間生存できるケースもある。

単純に治療期間や病名だけで終末期を区切ることは難しい。

そのため、新指針では「終末期」という状態を固定的に定義するのではなく、患者の状態と希望に応じて、治療の目的や継続の妥当性を検討する考え方が採用された。

延命治療を終了しても緩和ケアは続く

もう一つの重要な変更点は、生命維持治療の終了・差し控えと緩和ケアを切り離して考えないことだ。

人工呼吸器などの生命維持治療を終了する場合でも、痛みや呼吸困難、不安などを和らげる医療・ケアは継続される。

治療の終了は、患者を放置することでも、苦痛をそのまま受け入れさせることでもない。

新指針は、患者の苦痛を軽減し、その人らしい時間を支えることを重視している。

【経緯を時系列で整理】延命治療拒否をめぐる制度と議論の変化

延命治療拒否に関する議論は、医療技術の進歩と患者の自己決定権をめぐる問題から発展してきた。

2026年の新指針だけを理解しても、現在の制度がどのように形成されたのかは見えてこない。

ここでは、厚生労働省、日本医師会、医療4学会、日本学術会議などの公表資料をもとに、主要な転換点を整理する。

時期 主な出来事 意味・現在との関係
2006年 射水市民病院事件が報道される 生命維持治療の中止をめぐる社会的議論が広がる
2007年5月 厚生労働省が医療の決定プロセスに関するガイドラインを策定 本人の意思と医療チームによる判断を基本とする枠組みが示される
2014年 救急・集中治療の3学会が旧ガイドラインを公表 救急医療における終末期医療の判断手順を整理
2015年3月 厚生労働省がガイドラインの名称を変更 「終末期医療」から「人生の最終段階における医療」へ
2018年3月 厚生労働省がガイドラインを改訂 ACP(人生会議)や本人の意思の再確認を重視
2026年2月27日〜3月27日 4学会の新ガイドライン案に対する意見募集 合計250件の意見が寄せられる
2026年9月28日 4学会合同ガイドラインを公表 生命維持治療の終了・差し控えの具体的な検討手順を提示
2026年9月28日 日本学術会議の分科会が終末期医療と法制化に関する見解を公表 尊厳死の法制化に反対する見解などを提示
2026年10月 厚生労働省が人生会議の普及啓発イベントを開催 ACPの社会的な普及を引き続き推進

この経緯から分かるのは、延命治療拒否の議論が単なる医療行為の選択から、本人の価値観を尊重する意思決定支援へと広がってきたことだ。

2026年9月28日、日本学術会議も法制化に関する見解を公表

同じ2026年9月28日、日本学術会議の哲学委員会に設置された「現代における『いのち』を考える分科会」も、終末期医療と法制化をめぐる見解を公表した。

この文書では、延命治療の差し控え・中止と安楽死を区別したうえで、現行ガイドラインの課題や法制化の是非を検討している。

特に注目されるのは、延命治療の差し控え・中止について、いわゆる尊厳死を法律で制度化するべきではないという見解を示したことだ。

その理由として、個別の医療現場では患者の状態や価値観、家族関係などが複雑に絡み合い、法律による一律の規定が柔軟な対応を妨げる可能性が指摘されている。

ただし、これは日本学術会議の分科会による学術的な見解であり、法律の制定や政府による制度変更そのものではない。

2026年の議論では、医療4学会による現場の指針整備と、日本学術会議による法制度・倫理面の検討が並行して進んでいる。

【延命治療拒否の対象】人工呼吸器・胃ろう・点滴はどう違う?

延命治療拒否を考える際に最も混乱しやすいのが、どのような医療行為が対象になるのかという問題だ。

一般に延命治療とは、生命を維持することを目的とした医療行為を指す。ただし、同じ治療でも患者の病状や実施目的によって位置づけが異なる。

2026年の4学会合同ガイドラインでは、人工呼吸器だけでなく、透析、人工栄養、水分補給、薬剤なども状況によって生命維持治療に該当すると整理されている。

主な生命維持治療の種類
医療行為 主な役割 検討する際のポイント
人工呼吸器 呼吸を補助・代行する 回復可能性、離脱の見込み、本人の希望
ECMO 心臓や肺の機能を補助する 治療効果、回復見込み、身体的負担
胃ろう・経管栄養 栄養を消化管に届ける 栄養状態、嚥下機能、本人の価値観
点滴・水分補給 水分や必要な栄養などを補う 病状、治療目的、身体への影響
人工透析 腎臓の機能を代替する 腎機能、全身状態、治療継続の利益
昇圧薬 血圧を維持する 循環状態、治療効果、予後
心肺蘇生 心停止時に心拍・呼吸の再開を図る 救命可能性、本人の意思、医学的妥当性

ここで注意したいのは、これらすべてが常に延命治療になるわけではないということだ。

例えば点滴は、単なる水分補給にも、生命を維持するための重要な治療にもなる。抗菌薬も、感染症を治療する目的で使われる場合と、重篤な状態で生命維持を支える場合では意味が異なる。

そのため、医療行為の名称だけで拒否するかどうかを決めるのではなく、実際の治療目的や期待される効果を医師に確認する必要がある。

治療の不開始と中止は同じではない

延命治療には、大きく分けて次の2つの選択肢がある。

1. 治療の差し控え(不開始)

生命維持治療を新たに開始しないという判断だ。

例えば、回復の見込みや本人の価値観を踏まえ、人工呼吸器による治療を新たに開始しない方針を医療チームと話し合うケースが該当する。

2. 治療の終了(中止)

すでに開始している生命維持治療について、継続の妥当性を再検討し、終了または一部を減弱する判断だ。

新指針では、治療をすべて終了する場合だけでなく、一部の治療を終了・減弱する選択肢も整理されている。

また、治療の終了・差し控えが決まった場合も、苦痛を和らげるための治療は続けられる。

すぐに結論を出せない場合の「期限付き治療」

2026年の新指針で重要な選択肢として示されたのが、TLT(Time-Limited Trial)と呼ばれる期限付き治療の試行だ。

これは、回復する可能性や治療効果がはっきりしない場合に、あらかじめ期間と評価基準を決めて治療を試す方法である。

例えば、7日間の人工呼吸器管理を行い、その期間内に臓器機能が回復するか、人工呼吸器から離脱できるかなどを評価する。

期間終了後には、患者の状態と治療目標を再検討する。

この方法には、治療の効果を見極める時間を確保できるという利点がある。一方、効果が期待できない治療が長引く可能性もあるため、期間や評価基準について事前に合意しておくことが大切だ。

【家族が知っておきたい】延命治療拒否の手続きと人生会議(ACP)

延命治療拒否を考えるうえで、本人が元気なうちから希望を共有しておくことには大きな意味がある。

厚生労働省が普及を進めているACP(アドバンス・ケア・プランニング)は、日本語で「人生会議」と呼ばれる取り組みだ。

これは、将来、自分の意思を伝えられなくなった場合に備え、受けたい医療や望まない医療について家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、その内容を共有することを意味する。

人生会議で話し合っておきたい5つのこと

1. どのような生活を望むのか

最初に考えたいのは、単純に長く生きたいかどうかではなく、どのような状態で生活したいかという点だ。

例えば、自宅で過ごしたい、できる限り意識を保ちたい、家族との時間を大切にしたいなど、自分にとって優先順位の高いことを整理する。

2. どの治療を希望するのか

人工呼吸器、心肺蘇生、透析、人工栄養などについて、どのような状況なら希望するのかを考える。

すべての治療を拒否するのではなく、回復可能性や治療期間によって希望が変わることもある。

3. 意思表示ができなくなった場合の相談相手

自分の代わりに希望や価値観を伝えてほしい人を決めておく。

家族に限らず、信頼できる友人などを含めて考えることができる。

4. 苦痛を和らげる医療について

生命維持治療を希望しない場合でも、痛みや呼吸困難、不安などを軽減するケアについて希望を伝えておく。

緩和ケアを受けたいかどうかではなく、どのような苦痛を避けたいのか、どのように過ごしたいのかを具体的に話すことが大切だ。

5. 希望を定期的に見直す

病状や生活環境が変われば、考え方も変化する。

一度書いた内容を絶対的なものとして扱うのではなく、本人の意思を確認できる機会があれば、その都度見直す。

延命治療拒否の意思を記録する方法

本人の希望を記録する方法としては、事前指示書やリビングウィルなどがある。

ただし、書面があるだけで、あらゆる状況に自動的に適用されるわけではない。

2026年の4学会合同ガイドラインでも、ACPの対話記録やリビングウィルなどの事前指示書は、本人の意向を確認・推定する重要な資料として位置づけられている。

記録する場合には、次の項目を整理しておくとよい。

- 本人が希望する医療・ケア
- できれば避けたい医療行為
- 希望が適用される具体的な状況
- 本人の価値観や生活上の優先順位
- 意思を伝えてほしい信頼できる人
- 作成日と見直し日
- 相談した医療機関や担当者

記録した内容は、本人だけが保管するのではなく、家族やかかりつけ医などにも共有しておくことが望ましい。

2026年の厚生労働省調査から見える人生会議の課題

厚生労働省が公表している令和4年度の人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査には、重要な数字がある。

一般国民3,000人を対象とした調査では、人生会議を進めることに賛成した人は57.3%だった。

一方、人生の最終段階で受けたい、あるいは受けたくない医療について、家族や医療・介護従事者と詳しく話し合っている人は1.5%にとどまった。

一応話し合っている人は28.4%で、話し合ったことがない人は68.6%だった。

つまり、人生会議の必要性に賛成する人が一定数いる一方、実際の話し合いは十分に進んでいない。

この数字は、延命治療拒否をめぐる問題が、法律や医療技術だけで解決するものではないことを示している。

なお、2026年10月12日には、厚生労働省が和歌山県で人生会議の普及啓発イベントを開催し、全国各地から約800人が来場した。

2026年も国はACPの普及を進めており、本人と家族が事前に話し合う機会の重要性は引き続き政策上のテーマとなっている。

【法律・噂の真相】延命治療拒否は違法?安楽死との違いを解説

延命治療拒否についてインターネットで検索すると、「日本では延命治療を拒否できない」「人工呼吸器を外すと殺人になる」「尊厳死が合法化された」といった情報が見つかることがある。

しかし、これらは重要な制度上の違いを混同している場合がある。

日本では延命治療拒否に関する法律があるのか?

2026年11月2日時点で、日本には延命治療の差し控え・中止について、あらゆるケースを一律に規定する包括的な尊厳死法は制定されていない。

医療現場では、厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」などが、重要な判断の枠組みとなっている。

同ガイドラインでは、本人による意思決定を基本とし、医療・ケアチームが医学的妥当性と適切性を踏まえて判断することが示されている。

本人が意思を伝えられない場合は、家族等が本人の意思を推定できるかを検討し、それが難しい場合には本人にとっての最善の医療・ケアを話し合う。

つまり、本人の希望は重要だが、治療の開始・終了については、医学的な評価と適切な意思決定の手続きを伴う。

尊厳死と安楽死は何が違う?

この2つは、ネット上で特に混同されやすい言葉だ。

尊厳死という言葉は意味が一定していない。

一般には、回復が見込めない状況で過度な生命維持治療を望最初に、自然な経過を尊重する考え方を指して使われることがある。

ただし、日本学術会議の2026年9月28日の見解では、「尊厳死」という言葉は多義的で、誤解を生みやすいとして、使用を避けるべきだとの考えが示された。

一方、積極的安楽死は、生命を短縮させる意図を持って薬物などを用い、死に至らせる行為を指す。

厚生労働省のガイドラインでは、生命を短縮させる意図を持つ積極的安楽死は対象外とされている。

延命治療の差し控え・中止と、積極的安楽死は同じものではない。

よくある噂と事実の対比

噂1:延命治療を拒否すると、すべての医療を受けられなくなる

事実は異なる。

生命維持治療を差し控える場合でも、痛みや不快な症状を和らげる治療・ケアは継続される。治療の目的を見直すことと、医療そのものを放棄することは別だ。

噂2:DNARを提出すれば、医療行為をすべて断れる

これは誤解だ。

DNARはDo Not Attempt Resuscitationの略で、心停止時に心肺蘇生を試みないという意思決定に関する用語だ。

人工呼吸器、抗菌薬、透析、栄養補給など、その他の医療行為をすべて拒否する意味ではない。

日本救急医学会の用語解説でも、DNARは心肺蘇生を行わないこととして説明されている。

噂3:家族が延命治療の中止を希望すれば、必ず中止できる

これも正確ではない。

本人の意思を確認できない場合、家族等は本人の価値観や過去の発言などをもとに、本人ならどう考えるかを推定する役割を担う。

家族自身の希望だけで、治療方針が自動的に決まるわけではない。

噂4:一度書いたリビングウィルは変更できない

変更できる。

本人の意思は時間の経過や病状の変化によって変わり得る。厚生労働省のガイドラインでも、繰り返し説明と意思の再確認を行うことが重視されている。

2026年の日本学術会議は尊厳死の法制化に反対

2026年9月の日本学術会議の見解では、尊厳死の法制化についても検討された。

背景には、2021年に超党派の議員連盟が尊厳死法案の成立を目指す活動再開を表明したことや、2025年の参議院議員選挙で一部政党が尊厳死の法制化を政策に掲げたことがある。

同会議の分科会は、延命治療の差し控え・中止を法律で一律に規定するのではなく、患者本人、家族、医療・介護従事者が柔軟で適切な個別対応を実現できるよう支援することが必要だとの見解を示した。

これは2026年の重要な政策・倫理上の論点だ。

なお、同見解は学術的な提言であり、国会で可決された法律ではない。

【ネットの反応・炎上の背景】延命治療の新指針に賛否が分かれた理由

2026年の4学会合同ガイドラインをめぐっては、患者本人の意思を尊重することを評価する意見がある一方、障害者や難病患者の生命・権利を守る観点から懸念も表明された。

特に議論になったのは、本人が意思を伝えられない場合に、誰がどのような根拠で治療の終了を判断するのかという問題だ。

2026年3月、患者・障害者団体から懸念の声

ガイドライン案が公表された2026年2月以降、難病患者や障害者などから批判的な意見が出た。

3月には、TBS NEWS DIGが患者や障害者らによる記者会見を報道した。

報道では、人工呼吸器などを使用して生活する人々の立場から、本人の意思確認や社会的支援が不十分な状態で生命維持治療の終了が検討されることへの懸念が伝えられた。

また、人工呼吸器ユーザーや家族、支援者による団体からも、ガイドライン案に対する声明が発表されている。

こうした批判の背景には、医療的ケアを必要とする生活を、本人にとって価値の低い人生と決めつけてはならないという問題意識がある。

パブリックコメントには250件の意見

4学会は2026年2月27日から3月27日まで、新ガイドライン案についてパブリックコメントを募集した。

日本緩和医療学会が公表した集計によると、寄せられた意見は合計250件。

内訳は、医療従事者が48%、一般の人が52%だった。

医療現場だけでなく、一般市民からも幅広い意見が寄せられたことが分かる。

その後、4学会は寄せられた意見を踏まえて検討を重ね、9月28日に最終的なガイドラインを公表した。

10月には医療者への教育拡充も課題に

2026年10月22日付の福祉新聞は、4学会が10月10日に報道機関向けの説明会を開き、新指針を適切に運用するための医療者教育を拡充する考えを示したと報じた。

患者や家族との話し合いの進め方、緩和ケアなどの教育が課題として取り上げられた。

これは、指針を作るだけでは現場の問題が解決しないことを示す動きでもある。

ネット上の議論が炎上しやすい3つの理由

延命治療拒否をめぐる議論が対立しやすいのは、主に次の3つの理由がある。

1. 自己決定権と生命の保護がぶつかること。 本人の希望を尊重することと、生命を守る医療の役割をどう両立させるかという問題がある。
2. 障害や病気に対する社会的な偏見への懸念。 医療的ケアを必要とする人の生き方が、周囲の価値観によって否定される危険性が指摘されている。
3. 本人が意思表示できない場合の判断が難しいこと。 家族の推定と医療チームの医学的評価が一致しない場合もある。

ここで注意したいのは、今回の議論を単純に「延命治療を認める側」と「拒否する側」の対立にしないことだ。

患者の意思を尊重するための指針を整備することと、障害や難病のある人が必要な医療を受け続けられる環境を守ることは、両立させなければならない課題である。

【プロの結論】延命治療拒否で後悔しないための判断基準

延命治療拒否について考える際、最も避けたいのは「延命するか、しないか」という二択だけで判断することだ。

治療にはそれぞれ目的があり、回復の可能性、身体への負担、本人の価値観によって適切な選択は変わる。

2026年の新指針から読み取れる要点は、治療の終了を急ぐことではなく、患者にとって最善の治療・ケアのゴールを明確にすることだ。

判断する前に確認したい4つの基準

基準1:治療によって期待できる回復の程度

現在の病状だけでなく、治療によってどのような状態まで回復できるのかを医師に確認する。

回復する可能性があるのか、生命を維持するだけになる可能性が高いのかによって、本人の希望も変わる。

基準2:本人が大切にしている生活の質

意識があること、自宅で過ごすこと、会話ができること、痛みを感じずに過ごすことなど、本人が何を大切にしているのかを整理する。

基準3:治療を継続する場合と終了する場合の違い

治療を継続した場合の見通し、終了した場合の変化、苦痛を和らげる方法について、具体的な説明を受ける。

基準4:本人の意思を誰が共有しているか

本人の希望を家族や医療チームが理解しているか、過去の発言や記録が共有されているかを確認する。

家族間で意見が異なる場合には、医療機関の臨床倫理委員会などに相談することも選択肢となる。

家族だけで判断を抱え込まないことが大切

延命治療の判断は、家族にとって大きな精神的負担になる。

本人が意思を伝えられなくなった場合、家族は本人の過去の言葉や価値観を思い出しながら、医療チームと話し合うことになる。

しかし、家族がすべての責任を負う必要はない。

新しい4学会合同ガイドラインでは、多職種による臨床倫理的な検討や、患者・家族と医療チームによる共同意思決定が重視されている。

意見が一致しない場合には、第三者的な立場から助言する臨床倫理コンサルテーションチームなどに相談する方法もある。

本人の希望を尊重することと、家族の心のケアを行うことは、どちらも大切な医療の一部だ。

【よくある質問】延命治療拒否に関するFAQ

Q1:日本では延命治療を拒否することができますか?

A1:人生の最終段階における医療では、本人の意思決定を基本とする考え方が厚生労働省のガイドラインで示されている。ただし、具体的な治療の不開始・中止は、医学的妥当性や適切な意思決定の手続きを踏まえて検討される。すべてのケースで希望どおりになるという意味ではない。

Q2:延命治療拒否の意思を書面に残すことはできますか?

A2:できる。リビングウィルや事前指示書などに希望を記録する方法がある。本人の希望や価値観、希望する治療・避けたい治療、意思を伝えてほしい人などを記載し、家族や医療機関と共有しておくことが望ましい。

Q3:DNARと延命治療拒否は同じですか?

A3:同じではない。DNARは心停止時に心肺蘇生を行わないという意思決定であり、その他の医療やケアをすべて拒否するものではない。

Q4:家族が本人に代わって延命治療の方針を決められますか?

A4:本人が意思表示できない場合、家族等は本人の過去の発言や価値観などから意思を推定する役割を担う。推定が難しい場合には、医療・ケアチームと家族等が本人にとっての最善の方針を話し合う。

Q5:2026年の新ガイドラインで安楽死が認められたのですか?

A5:認められていない。新ガイドラインは救急・集中治療における生命維持治療の終了・差し控えに関する意思決定の手順を示したもので、生命を短縮させる意図を持つ積極的安楽死を認める制度ではない。

Q6:一度決めた延命治療拒否の意思は変更できますか?

A6:変更できる。本人の意思は病状や生活環境、考え方の変化に応じて変わり得る。定期的に家族や医療・ケアチームと話し合い、必要に応じて記録を更新することが大切だ。

まとめ:延命治療拒否の最新動向と今後の判断基準

2026年の延命治療拒否をめぐる最大のニュースは、9月28日に公表された医療4学会合同ガイドラインだ。

本人の意思を尊重することを基本としながら、多職種による検討、家族との共同意思決定、期限付き治療の試行、緩和ケアの充実など、実際の医療現場で必要となる手順が整理された。

また、同日公表された日本学術会議の見解では、尊厳死の法制化について慎重な検討が行われ、個別の事情に応じた柔軟な支援の必要性が示された。

今後も議論の中心になるのは、本人の自己決定権をどう守るか、障害や難病のある人の生存権をどう保障するか、そして家族や医療従事者が納得できる意思決定の仕組みをどう整えるかという問題だ。

延命治療拒否は、単純に生きることを諦める選択ではない。自分がどのような医療を望み、どのような時間を過ごしたいのかを考える機会でもある。

最も大切なのは、本人が意思を伝えられるうちに希望を言葉にし、家族や医療チームと共有しておくことだ。

人生会議は、特別な病気になってから始めるものではない。自分らしい生き方を考える日常の話し合いから始められる。

参照した主な公的資料・報道

- 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」
- 日本集中治療医学会など4学会「2026年生命維持治療終了・差し控え合同ガイドライン」
- 日本学術会議「終末期・人生の最終段階における延命治療の差し控え・中止および安楽死をめぐる倫理と法制化」
- 厚生労働省「令和4年度人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」
- 日本緩和医療学会「パブリックコメント募集結果」
- 日本救急医学会「DNAR」用語解説
- TBS NEWS DIG、福祉新聞による2026年の関連報道

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桐島 奈緒

芸能担当デスクとして14年。所属事務所の公式リリース、番組公式サイト、配信サービスの告知を一次情報として照合し、出典の確認できない話は記事にしません。

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