2026年の第74期王座戦は、挑戦者の広瀬章人九段が伊藤匠王座を破り、王座を初めて獲得する結果となった。
最終第5局は10月27日、山梨県甲府市の常磐ホテルで開催。広瀬が先手で121手まで指し進め、伊藤を破った。シリーズの最終成績は広瀬の3勝2敗。伊藤は初防衛を逃した。
今回の結果で注目すべきなのは、藤井聡太が王座戦のタイトル争いから姿を消したことだけではない。2025年に藤井から王座を奪った伊藤が、わずか1期でタイトルを失った点にもある。
広瀬にとっては2018年の竜王獲得以来、8年ぶりのタイトル獲得となった。王座戦では初めてのタイトル獲得であり、通算タイトル獲得数は3期となった。
第74期五番勝負の全対局結果| 対局 | 日程・会場 | 勝者 | シリーズ成績 |
|---|---|---|---|
| 第1局 | 9月2日・元湯陣屋 | 広瀬章人 | 広瀬1勝 |
| 第2局 | 9月15日・名古屋マリオットアソシアホテル | 伊藤匠 | 1勝1敗 |
| 第3局 | 10月2日・ニセコ温泉郷 | 伊藤匠 | 伊藤2勝1敗 |
| 第4局 | 10月14日・ホテルオークラ神戸 | 広瀬章人 | 2勝2敗 |
| 第5局 | 10月27日・常磐ホテル | 広瀬章人 | 広瀬3勝2敗 |
出典:日本将棋連盟の第74期王座戦公式記録、報道各社の対局結果。
第1局を広瀬が制した後、第2局と第3局は伊藤が連勝。伊藤がタイトル防衛に王手をかけた。
しかし、第4局で広瀬が勝利してシリーズを振り出しに戻すと、最終第5局でも勝ち切った。
つまり、広瀬は1勝2敗から3勝2敗へと逆転して王座を獲得したことになる。
5番勝負の最終局まで勝敗が決まらない展開は、両者の実力が拮抗していたことを示す。伊藤にとっては初防衛の機会を逃した一方、広瀬にとっては長年のタイトル戦経験を結果につなげたシリーズとなった。
【藤井聡太VS広瀬章人】2026年の挑戦者決定戦で何が起きた?

2026年8月5日に行われた第74期王座戦の挑戦者決定戦では、藤井聡太と広瀬章人九段が激突した。
藤井は2025年に伊藤匠に王座を奪われており、今期はタイトル奪還を目指していた。
挑戦者決定トーナメントでは、藤井は1回戦から順調に勝ち上がった。
- 1回戦:斎藤明日斗六段に勝利
- 2回戦:佐藤天彦九段に勝利
- 準決勝:丸山忠久九段に勝利
- 決勝:広瀬章人九段に敗北
最後の一戦に勝てば伊藤匠王座との五番勝負に進出できる状況だった。
8月5日の対局は117手で決着対局は東京・千駄ケ谷の将棋会館で行われた。
広瀬が先手、藤井が後手。戦型は相掛かりとなり、終盤は双方が勝ち筋を逃す難しい展開になった。
日本将棋連盟の棋戦情報と日刊スポーツの対局報道によると、対局は午後8時53分、117手で広瀬の勝利となった。
特に注目されたのは、終盤の読み合いだった。
双方が残り1分の将棋に入るなか、勝敗を左右する局面が何度も訪れた。藤井は挑戦権を手にしかけながらも、最後まで勝ち切ることができなかった。
対局後、藤井は自身の読みについて厳しく振り返っている。
「読みが甘いところが出た」
(日刊スポーツの2026年8月5日付対局報道より)
この敗戦により、藤井の王座復位は次期以降に持ち越された。
広瀬章人が藤井に強い理由とは?広瀬と藤井の対戦で思い出されるのが、2019年11月の王将戦挑戦者決定リーグ最終局だ。
当時、藤井は初のタイトル挑戦を目指していたが、広瀬との重要な一戦に敗れた。
その後、藤井は2020年に棋聖戦で初タイトルを獲得。将棋界の中心的存在へと成長していく。
2026年の王座戦では、広瀬が再び藤井のタイトル挑戦を阻んだ。
ただし、特定の棋戦で勝利したことだけをもって、広瀬が常に藤井より強いと判断するのは適切ではない。今回の対局は一局勝負であり、長時間の読み合いと終盤の判断が結果を分けたものだ。
【歴代成績】藤井聡太の王座戦は2023年からどう変化した?
藤井聡太の王座戦を振り返るうえで、最も重要な転換点は2023年の第71期だ。
藤井は永瀬拓矢王座に挑戦し、3勝1敗で王座を奪取した。
このタイトル獲得によって、藤井は史上初の八冠独占を達成。将棋界における歴史的な節目となった。
2023年・2024年の連覇第71期では、永瀬拓矢との五番勝負を3勝1敗で制した。
第1局こそ永瀬が勝利したものの、藤井は第2局から第4局まで3連勝。王座を獲得した。
続く2024年の第72期でも永瀬拓矢との対戦が実現した。
このときの藤井はさらに強さを見せ、第1局から第3局まで3連勝。ストレートで防衛に成功した。
この2年間で、藤井は王座戦における安定した強さを証明した。
2025年・伊藤匠との五番勝負で失冠2025年の第73期は、藤井にとって大きな転換点となった。
挑戦者は伊藤匠叡王。同学年の棋士同士によるタイトル戦として注目された。
第1局は藤井が勝利したが、第2局と第3局を伊藤が連勝。第4局は藤井が勝って2勝2敗となり、決着は最終第5局に持ち越された。
10月28日の最終局では伊藤が勝利し、3勝2敗で王座を奪取した。
藤井は王座の連覇を逃し、タイトル保持者から挑戦者へと立場が変わった。
藤井聡太の王座戦・歴代成績比較表| 年度・期 | 対戦相手 | 五番勝負の結果 | 藤井の成績 |
|---|---|---|---|
| 2023年・第71期 | 永瀬拓矢 | 3勝1敗で奪取 | 初の王座獲得 |
| 2024年・第72期 | 永瀬拓矢 | 3勝0敗で防衛 | 2連覇 |
| 2025年・第73期 | 伊藤匠 | 2勝3敗で失冠 | 連覇終了 |
| 2026年・第74期 | 広瀬章人 | 挑戦者決定戦で敗退 | 五番勝負進出ならず |
出典:日本将棋連盟の第71期から第74期までの公式棋戦記録。
藤井の王座戦におけるタイトル五番勝負の通算成績は、3期分で8勝4敗となる。
獲得タイトルは2期。2023年と2024年に連続して王座を保持し、2025年に伊藤へ明け渡した。
2026年は挑戦者決定戦で敗れたため、タイトル奪還には届かなかった。
この成績から分かるのは、藤井が王座戦で一時的に圧倒的な強さを発揮していた一方、タイトル防衛が毎期保証されるわけではないということだ。
【王座戦の仕組み】挑戦者決定トーナメントと五番勝負の違い
王座戦を理解するには、挑戦者決定トーナメントと五番勝負の違いを押さえておきたい。
王座戦は、予選から挑戦者を決定し、現王座との五番勝負でタイトル保持者を決める棋戦だ。
挑戦者決定トーナメントとは?挑戦者決定トーナメントは、王座への挑戦権を争う勝ち抜き方式の対局だ。
2026年の藤井は、1回戦から出場して3連勝。最後の決勝で広瀬に敗れた。
この仕組みの特徴は、五番勝負と異なり、1局の敗戦で敗退が決まることだ。
実力のある棋士でも、終盤の判断や持ち時間の使い方によっては挑戦権を逃す可能性がある。
五番勝負は先に3勝した棋士がタイトルを獲得挑戦者が決定すると、現王座と五番勝負を行う。
先に3勝した棋士が王座を獲得、または防衛する。
2026年の広瀬と伊藤の対戦では、最終第5局までもつれ込んだ。
この方式では、一局の敗戦だけでタイトルの行方が決まるわけではない。対局ごとの修正力や、シリーズを通じた戦術の組み立てが重要になる。
【持ち時間5時間】王座戦の対局日程とルールを解説
王座戦の大きな特徴は、持ち時間が各5時間に設定されていることだ。
日本将棋連盟の公式規定によると、王座戦は1日制で、持ち時間は各5時間。昼食休憩と夕食休憩も設けられている。
2026年第74期王座戦の日程一覧| 対局 | 開催日 | 会場 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 第1局 | 9月2日 | 神奈川県・元湯陣屋 | 広瀬勝利 |
| 第2局 | 9月15日 | 愛知県・名古屋マリオットアソシアホテル | 伊藤勝利 |
| 第3局 | 10月2日 | 北海道・ニセコ温泉郷 | 伊藤勝利 |
| 第4局 | 10月14日 | 兵庫県・ホテルオークラ神戸 | 広瀬勝利 |
| 第5局 | 10月27日 | 山梨県・常磐ホテル | 広瀬勝利 |
対局は午前9時開始ではなく、通常の五番勝負は午前9時開始のタイトル戦規定に従う。各局の開催日は日本将棋連盟の公式日程に掲載されている。
持ち時間5時間が意味するもの5時間という持ち時間は、プロ棋士が一手一手を深く読み、長時間にわたって集中力を維持するための時間だ。
特に終盤では、持ち時間を使い切った後の秒読みが勝敗を左右することもある。
第74期の挑戦者決定戦でも、藤井と広瀬の両者が残り1分の将棋に突入した。終盤の一手が挑戦権の行方を左右したことは、王座戦における時間管理の難しさを象徴している。
【2027年の注目点】藤井聡太は王座に復帰できるのか?
2026年11月2日時点で、第74期王座は広瀬章人九段となっている。
日本将棋連盟の棋戦情報では、第75期の予選も進行段階に入っている。
今後の注目点は、藤井が再び挑戦者決定トーナメントを勝ち抜けるかどうかだ。
注目点1:藤井聡太の王座奪還への挑戦藤井は2023年と2024年に王座を獲得・防衛した実績がある。
一方、2025年は伊藤に敗れ、2026年は広瀬に挑戦権を阻まれた。
次期に向けては、挑戦者決定トーナメントでの勝ち上がりが最初の課題となる。
特に2026年の広瀬戦で表面化した終盤の読みや時間配分を、今後どのように改善していくかが注目される。
注目点2:広瀬章人の初防衛広瀬は2026年に初めて王座を獲得した。
2018年の竜王獲得から8年ぶりのタイトル獲得であり、王座戦での結果は棋士としての新たな節目になった。
初防衛戦では、挑戦者側から現王座側へと立場が変わる。
タイトルを守る側として、どのような戦略を採用するかが見どころとなる。
注目点3:伊藤匠の巻き返し伊藤は2025年に藤井を破って王座を獲得したが、2026年は広瀬に敗れた。
五番勝負を通じて2勝を挙げたものの、最終第5局を落として防衛に失敗した。
伊藤にとっては、王座を失った後の再挑戦が今後の焦点となる。
藤井、広瀬、伊藤という実力者が今後の王座戦で再び交差する可能性は十分にあり、次期の挑戦者争いは見逃せない。
【プロの結論】藤井聡太の王座戦は一局の勝敗だけで評価できない
藤井聡太の王座戦を2023年から2026年まで振り返ると、2連覇、失冠、挑戦権獲得失敗という明確な変化が見えてくる。
ただし、2026年の挑戦者決定戦で広瀬に敗れたことだけを理由に、藤井の王座戦での実績を低く評価するのは早計だ。
2023年の初獲得と2024年のストレート防衛は、いずれも公式記録に残る実績である。
また、2025年の伊藤との五番勝負は最終局まで競り合い、2026年の広瀬との挑戦者決定戦も終盤まで勝敗が揺れる展開だった。
将棋のタイトル戦を評価する際には、次の3つを分けて見る必要がある。
1. タイトル獲得・防衛実績: シリーズ全体で何勝したか、タイトルを獲得したか。
2. 挑戦者決定戦の成績: 一発勝負のトーナメントをどこまで勝ち上がったか。
3. 対局内容: 終盤の読み、持ち時間の使い方、相手の戦術への対応力。
この3つを区別すると、藤井の実績と2026年の敗戦を冷静に評価できる。
【将棋王座戦と藤井聡太】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年の王座戦で優勝した棋士は誰ですか?
A1:広瀬章人九段です。第74期王座戦五番勝負で伊藤匠王座を3勝2敗で破り、初めて王座を獲得しました。
Q2:藤井聡太は2026年の王座戦でなぜ敗退したのですか?
A2:8月5日の挑戦者決定戦で広瀬章人九段に敗れたためです。117手で広瀬が勝利し、藤井は五番勝負への進出を逃しました。
Q3:藤井聡太は王座を何回獲得していますか?
A3:2023年の第71期と2024年の第72期の2回です。2023年に永瀬拓矢から奪取し、2024年に防衛しました。
Q4:2025年の王座戦では誰が藤井聡太に勝ちましたか?
A4:伊藤匠です。第73期五番勝負で藤井を3勝2敗で破り、初めて王座を獲得しました。
Q5:王座戦の持ち時間は何時間ですか?
A5:各5時間です。王座戦の五番勝負は1日制で行われます。
Q6:第74期王座戦の最終局はいつ行われましたか?
A6:2026年10月27日です。山梨県甲府市の常磐ホテルで行われ、広瀬章人九段が121手で伊藤匠王座に勝利しました。
Q7:現在の王座保持者は誰ですか?
A7:2026年11月2日時点では広瀬章人九段です。第74期の最終局で伊藤匠王座を破り、王座を獲得しています。
まとめ:藤井聡太の王座戦は次期の挑戦に注目
2026年の第74期王座戦は、広瀬章人九段が伊藤匠王座を3勝2敗で破り、初の王座を獲得して幕を閉じた。
藤井聡太は8月の挑戦者決定戦で広瀬に敗れ、王座奪還には届かなかった。
藤井の王座戦での歩みを整理すると、2023年の初獲得、2024年の防衛、2025年の伊藤への失冠、2026年の挑戦権獲得失敗という流れになる。
一方、広瀬は藤井を挑戦者決定戦で破った後、伊藤との五番勝負も制した。8年ぶりのタイトル獲得という実績は、2026年の将棋界を振り返るうえで重要な出来事だ。
今後は広瀬の初防衛、伊藤の巻き返し、そして藤井の王座復帰への挑戦が注目される。
2026年の王座戦は広瀬章人の新時代の始まりであると同時に、藤井聡太が再び王座を目指すための新たな出発点にもなった。
主な事実確認資料: 日本将棋連盟「第74期王座戦」「第73期王座戦」「王座戦棋戦情報」「プロ棋戦の規定等について」、日刊スポーツ2026年8月5日・10月27日付報道、共同通信2026年10月27日付報道。