「障害児ばかり生まれるのはなぜなのか」「一人目に障害があった場合、二人目や三人目にも同じ障害が生まれるのだろうか」。こうした疑問の背景には、遺伝が関係する先天性疾患や、同じ病気の子どもが続けて生まれた家族の実例があります。実際、紺野昌代さんは3人の子ども全員が同じ先天性代謝異常症を抱えて生まれた経験を公表しています。
ただし、障害には知的障害、発達障害、染色体異常、先天性代謝異常症、出生前後の脳の損傷など、さまざまな原因があります。知的障害の発生頻度として紹介される約1%という数字も、すべての妊娠に当てはまる確定的な出生確率ではありません。2026年の最新資料や専門医の解説をもとに、遺伝の仕組み、出生前診断の限界、障害のある子どもを育てる家族の実態まで整理します。
【まず知りたい】「障害児ばかり生まれる」と感じるのはなぜ?医学的な背景を解説

「障害児ばかり生まれる」という状況には、大きく分けて2つの側面があります。
1つは、家族の中で同じ遺伝性疾患が繰り返し発症する医学的なケースです。もう1つは、障害のある子どもを複数育てる家庭の経験が、周囲の人やインターネットを通じて伝わり、強く印象に残るケースです。
この2つは区別して考える必要があります。
障害には複数の原因があり、すべてが遺伝するわけではない障害は単一の病気ではありません。
知的障害の場合、染色体の変化、特定の遺伝子の変化、妊娠中の感染症、出産前後の脳への影響など、さまざまな要因が関係します。
また、発達障害には遺伝的な背景が関係するものの、複数の遺伝子や環境要因などが複雑に関係しています。
一方、先天性代謝異常症のように、特定の遺伝子の変化によって発症する病気もあります。
つまり、同じ家族で障害のある子どもが続いたとしても、その理由は家族ごとに異なります。
同じ家族で繰り返す場合は遺伝形式の確認が必要特に注目したいのが、兄弟姉妹が同じ遺伝性疾患を持って生まれるケースです。
両親ともに特定の遺伝子変異を持っている場合、本人たちには症状がなくても、子どもに病気が現れる可能性があります。
この仕組みは常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)と呼ばれます。
一人目に特定の遺伝性疾患が見つかった場合、二人目以降の妊娠についても、原因となった遺伝子の変化を確認することで再発リスクを評価できる場合があります。
ただし、障害のある子どもが一人いるという理由だけで、次の子どもにも同じ障害が生じるとは判断できません。
【実例を検証】紺野昌代さんはなぜ3人全員が重症心身障害児だったのか
「障害児ばかり生まれる」という検索に関連して、多くの読者が関心を寄せるのが、紺野昌代さんの体験談です。
紺野さんは、3人の子ども全員が同じ先天性の代謝異常症を抱えて生まれた経験を公表しています。
2023年3月24日、ベネッセの育児メディア「たまひよ」が、紺野さんの歩みを紹介するインタビュー記事を掲載しました。
加えて、2023年9月29日にはABEMA TIMESも、3人の子どもを育てた経験や、周囲から寄せられた心ない言葉について報じています。
看護師として働き始めた翌年に長男を出産紺野さんは1977年、茨城県生まれです。
高校卒業後に看護専門学校へ進み、卒業後は看護師として病院に勤務しました。
看護師として働き始めた翌年に長男の聖矢くんを出産しましたが、妊娠中には特に異常が見つからなかったと、たまひよのインタビューで語っています。
ところが、出産後に長男に重い障害があることが判明します。
当時は現在ほど福祉制度や支援体制が整っておらず、子どもの預け先や相談先を見つけることも簡単ではありませんでした。
長男はミルクを十分に飲むことができず、経管栄養が必要な状態でした。体重が増えにくく、日常的な介助にも多くの時間を必要としました。
3人全員に同じ先天性代謝異常症が見つかった紺野さんの子どもは、長男の聖矢くん、次男の愛聖くん、長女の蘭愛さんの3人です。
報道された体験談によると、3人全員が同じ先天性代謝異常症を抱えていました。
重い障害があり、日常生活の多くで介助や医療的ケアを必要とする状態だったとされています。
この事例で医学的に注目されるのは、3人に同じ病気が確認されたという点です。
同じ疾患が兄弟姉妹に繰り返し現れた場合、遺伝形式が関係している可能性があります。
ただし、公開されたインタビュー記事では具体的な疾患名や遺伝子変異、両親の保因者検査の結果までは示されていません。
そのため、この家族について常染色体潜性遺伝だったと断定したり、一般的な25%という数字をそのまま当てはめたりすることはできません。
2017年に重症児デイサービスを開設紺野さんは自身の育児経験を、同じ境遇にある家族を支える活動につなげました。
2016年12月に独立し、一般社団法人weightyを設立。2017年3月には茨城県ひたちなか市で、重症心身障害児を対象とするデイサービス「kokoro」を開設しました。
2020年3月には那珂市へ移転し、放課後等デイサービス「tsubomi」も併設しています。
2023年のたまひよの取材では、医療的ケアを必要とする子どもたちの居場所づくりに加え、保護者同士の交流や、きょうだい児への支援にも取り組んでいることが紹介されました。
また、ABEMA TIMESの報道では、長男は2014年、次男と長女は2020年に亡くなったと伝えられています。
2026年4月29日掲載のCHANTO WEBのインタビューでも、紺野さんの子育てや長男を亡くした後の歩みが改めて紹介されました。
この事例から読み取れるのは、同じ疾患が複数の子どもに現れる家族が実際に存在するということです。
しかし、これは特定の家族の医学的な事情であり、一般家庭で障害のある子どもが続けて生まれる割合を示す統計ではありません。
【確率を数字で検証】知的障害児が生まれる確率と発生頻度の真相
知的障害について調べると、「約1%」「100人に1人」「200〜400人に1人」といった数字が見つかります。
これらは、それぞれ対象となる人や障害の程度、調査方法が異なる数字です。
特に注意したいのは、一般人口における有病率と、妊娠1回ごとの出生確率を同じものとして扱わないことです。
知的障害の有病率は約1%とされる文部科学省の特別支援教育に関する資料では、DSM-5に基づく知的能力障害の有病率について、一般人口の約1%という数字が紹介されています。
また、国立精神・神経医療研究センターなどの研究資料では、世界全体の有病率を約1〜3%としています。
一方、ミネルバクリニックが2022年9月22日に公開し、2026年10月25日に更新した臨床遺伝専門医監修の記事では、知的障害のある子どもの割合を約1%と説明しています。
ここで重要なのは、約1%という数字が、すべての妊婦に対する個別の出生前リスクを意味するわけではないことです。
有病率は、一定の集団の中にその状態に該当する人がどの程度いるかを示す指標です。出生時点での発生率や、特定の両親から生まれる子どもの確率とは区別する必要があります。
重度の知的障害は200〜400人に1人という推計もあるミネルバクリニックの記事では、重度の知的障害について、子どもを対象にした米国の調査をまとめた報告をもとに、約200〜400人に1人という数字を紹介しています。
これは知的障害全体の発生頻度ではありません。
また、調査対象や診断基準によって結果が変わるため、日本のすべての出生にそのまま適用できる数字ではない点にも注意が必要です。
「3〜5%」は知的障害だけの数字ではないインターネットでは、生まれつきの病気や障害が生じる確率として3〜5%という数字が紹介されることがあります。
しかし、これは先天性の病気全体を対象とする数字として使われることがあり、知的障害だけの発生頻度とは異なります。
心臓の先天的な病気、口唇口蓋裂、染色体疾患など、対象となる状態は幅広くなります。
数字を比較するときには、何を数えているのかを確認することが欠かせません。
| 数字・資料 | 内容 | 読み取る際の注意点 |
|---|---|---|
| 約1% | 知的障害の一般人口における有病率の目安 | 妊娠ごとの確定的な出生確率ではない |
| 約1〜3% | 世界の知的能力障害の有病率として紹介される範囲 | 診断基準や調査方法によって異なる |
| 約200〜400人に1人 | 重度の知的障害についての推計 | 米国の子どもを対象にした調査に基づく |
| 3〜5% | 先天性疾患全体について紹介される頻度 | 知的障害だけを示す数字ではない |
| 人口1,000人当たり約10人 | 令和8年版障害者白書に掲載された知的障害者数の概数 | 子どもだけでなく成人を含む人口統計 |
内閣府の令和8年版障害者白書では、知的障害児・者の人数は推計126万8,000人とされています。人口1,000人当たりでは約10人に相当します。
ただし、この統計も出生時の確率ではなく、子どもと成人を含む社会全体の推計です。
【遺伝の仕組みを解説】障害児が続けて生まれる主な原因と確率
同じ家族で同じ障害や疾患が繰り返し見られる場合、遺伝形式を確認が必要です。
遺伝性疾患にはいくつかのパターンがあり、それぞれ次の子どもに病気が現れる確率も異なります。
1.常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)先天性代謝異常症の中には、常染色体潜性遺伝によって発症するものがあります。
このタイプでは、父親と母親の両方が同じ病気の原因となる遺伝子変異を持っている場合に、子どもが両親からそれぞれ変異を受け継ぐと発症します。
両親は保因者であっても、通常は症状が現れません。
両親がともに同じ疾患の保因者である場合、子どもが生まれるたびに、次の確率になります。
- 25%:病気を発症する可能性
- 50%:保因者となる可能性
- 25%:原因となる変異を受け継がない可能性
この確率は妊娠ごとに独立しています。
一人目が発症したからといって、二人目も必ず発症するわけではありません。一方で、二人目が発症しなかったからといって、三人目の発症リスクがなくなるわけでもありません。
2.常染色体顕性遺伝(優性遺伝)一方の親が特定の病気の原因となる遺伝子変異を持っている場合、子どもに受け継がれる可能性がある遺伝形式です。
例えば、親が原因となる変異を1つ持つ常染色体顕性遺伝疾患では、子どもがその変異を受け継ぐ確率は一般に50%です。
ただし、発症する年齢や症状の程度は疾患によって異なります。
また、両親に同じ変異がなく、子どもに新しく発生した変異によって発症するケースもあります。
3.X連鎖遺伝性染色体の一つであるX染色体に関係する遺伝形式です。
脆弱X症候群などが知られています。
母親が保因者である場合など、子どもがどのような遺伝子変異を受け継ぐかによって発症リスクが変わります。
男女で症状の現れ方が異なる場合もあり、疾患ごとの詳しい評価が必要です。
4.染色体異常や新しく発生する遺伝子変異知的障害や発達の遅れには、染色体の数や構造の変化が関係する場合もあります。
また、両親には存在しない遺伝子変異が、卵子や精子、受精後の発生過程で新しく生じるケースもあります。
このような変異は新生突然変異(de novo変異)と呼ばれます。
子どもに新しく発生した変異が原因であれば、両親が同じ変異を持っている場合とは、次の子どもへの再発リスクが異なります。
ただし、性腺モザイクなどの例外もあるため、再発リスクをゼロと決めつけることはできません。
遺伝が関係していても親の責任ではない遺伝性疾患について誤解されやすいのが、親の生活習慣や性格、育児方法が原因で子どもに障害が生じるという考え方です。
遺伝子の変化は、本人が意識して防げるものではありません。
保因者であることも、通常は本人の健康状態から判断できない場合があります。
子どもに障害が見つかったとしても、それだけで母親や父親に責任があると考えることは医学的に正しくありません。
【発達障害と知的障害の違い】遺伝しやすさと原因は同じなのか
「発達障害の親からは発達障害の子どもが生まれやすい」「知的障害は家族全員に遺伝する」といった説明を見かけることがあります。
しかし、発達障害と知的障害は同じものではありません。
知的障害は知的機能と適応機能の両方で判断する知的障害は、知的機能の制限に加えて、日常生活で必要となる適応機能にも困難がある状態です。
具体的には、次のような能力が評価されます。
- 言葉や数字を理解する能力
- 計画を立てて問題を解決する能力
- 学校や社会で必要な知識を学ぶ能力
- 日常生活を自分で管理する能力
- 周囲とのコミュニケーションや社会的な判断
知能指数だけで判断するものではなく、本人の生活環境や必要な支援も考慮されます。
発達障害は複数の遺伝的・環境的要因が関係する発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害などがあります。
これらは脳の発達や情報処理の特性に関係するもので、原因は一つではありません。
遺伝的要因が関係することは研究で示されていますが、多数の遺伝子や環境要因が複雑に影響するケースもあります。
そのため、親に発達障害がある場合でも、子どもが必ず同じ診断を受けるわけではありません。
また、発達障害があっても知的機能に問題がない人はいます。反対に、知的障害と発達障害の両方がある人もいます。
2024年には知的障害に関係する遺伝子の研究成果も発表2024年11月20日、国立精神・神経医療研究センターと国立国際医療研究センターの研究グループは、知的能力障害のある女性患者の一部で、WDR45遺伝子の変異が重要な原因となっていることを発表しました。
研究では、原因不明とされていた女児の知的能力障害の12%にWDR45変異が確認されたと報告されています。
この成果は2024年10月28日付で国際学術誌「Journal of Medical Genetics」に掲載されました。
ただし、この12%は研究対象となった特定の集団についての数字です。すべての知的障害児の12%が同じ遺伝子変異を持つという意味ではありません。
この研究からも分かるように、知的障害の原因を調べるには、症状だけでなく、染色体や遺伝子の状態を個別に確認することが必要になる場合があります。
【出生前診断で防げる?】遺伝カウンセリングとNIPTの限界
過去に先天性疾患のある子どもが生まれた家庭では、次の妊娠について不安を感じることがあります。
こうした場合、重要になるのが遺伝カウンセリングです。
遺伝カウンセリングでは何を相談するのか遺伝カウンセリングでは、家族の病歴や既往歴、検査結果などをもとに、遺伝性疾患の可能性や次の妊娠への影響を専門家と確認します。
主な相談内容は次のとおりです。
- 既に生まれた子どもの病気の原因
- 両親が遺伝子変異を保有している可能性
- 次の子どもに同じ疾患が現れる確率
- 利用できる遺伝子検査や染色体検査
- 妊娠前・妊娠中に選択できる検査方法
- 検査結果を踏まえた家族の意思決定
特に、先天性代謝異常症などの遺伝性疾患が疑われる場合は、最初に発症した子どもの診断を確定することが大切です。
2025年版の「新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン」でも、先天代謝異常症は遺伝性疾患であることが多く、最初に診断された子どもの原因を明らかにすることが、同胞や次の子どもの医学的評価につながると説明されています。
NIPTで分かるのはすべての障害ではないNIPTは、妊婦の血液を使って胎児の染色体疾患の可能性を調べる非確定的な出生前検査です。
出生前検査認証制度等運営委員会が認証施設で対象としているのは、次の3つです。
- 21トリソミー(ダウン症候群)
- 18トリソミー
- 13トリソミー
これらの検査は染色体の数的異常を調べるものであり、知的障害全般や発達障害、すべての先天性代謝異常症を調べられるわけではありません。
また、NIPTは確定診断ではありません。陽性の場合には、必要に応じて羊水検査などの確定検査について専門家と相談します。
出生前検査では分からない病気もある出生前検査には、NIPTのほかに胎児超音波検査、羊水検査、絨毛検査などがあります。
それぞれ調べられる対象や目的が異なります。
例えば、遺伝性の先天性代謝異常症が家族内で確認されている場合、一般的なNIPTではなく、その疾患に対応した特定の遺伝子検査などが検討されることがあります。
どの検査が適切なのかは、病気の種類や遺伝形式によって異なります。
出生前検査認証制度等運営委員会や日本産科婦人科学会も、検査前後の遺伝カウンセリングの重要性を示しています。
検査を受ければ障害の可能性をすべて排除できる、という理解は正しくありません。
【家族の実態】障害児を育てる家庭が直面する医療的ケアと社会的課題
障害のある子どもを育てる家庭では、病気の診断だけでなく、その後の日常生活にもさまざまな課題があります。
特に重症心身障害児の場合、食事、呼吸、排せつ、移動、入浴など、生活の多くの場面で継続的な介助が必要になることがあります。
24時間の医療的ケアが必要な家庭もある重症心身障害児には、知的障害と肢体不自由の両方が重い状態で存在する子どもが含まれます。
必要なケアは一人ひとり異なりますが、次のような医療的ケアが行われる場合があります。
- たんの吸引
- 酸素吸入
- 人工呼吸器による呼吸管理
- 胃ろうによる栄養補給
- 経管栄養
- 体位変換や身体介助
これらのケアは、家族の生活時間や就労にも大きな影響を与えます。
特に、夜間も医療的ケアが必要な場合、保護者が十分に睡眠を取れないこともあります。
紺野昌代さんの活動が示す支援の必要性紺野さんが開設したkokoroは、重症心身障害児と家族のための居場所として運営されています。
たまひよの2023年3月25日のインタビューでは、子どもたちの預かりだけでなく、保護者同士のネットワークが生まれ、入院時の声かけやきょうだい児の支援など、家族間の助け合いが広がっている様子が紹介されました。
また、障害のある子どもを育てる保護者が、子どもを預けながら施設のスタッフとして働く取り組みも紹介されています。
これは、障害児の育児を家族だけの責任にしない仕組みづくりの一例です。
きょうだい児への支援も欠かせない障害のある子どもに兄弟姉妹がいる場合、その兄弟姉妹は「きょうだい児」と呼ばれることがあります。
家族の時間や介助の負担が障害のある子どもに集中することで、きょうだい児が寂しさや我慢を抱える場合もあります。
紺野さんの施設では、きょうだい児だけを対象にしたイベントなども行われてきました。
家族全員が安心して生活するには、障害のある本人への支援だけでなく、保護者やきょうだい児への支援も必要です。
利用を検討したい主な支援制度障害のある子どもを育てる家庭では、地域の制度やサービスを組み合わせることで、介助の負担を軽減できる場合があります。
代表的なものは次のとおりです。
- 児童発達支援:未就学の子どもを対象とした発達支援。
- 放課後等デイサービス:学校に通う障害のある子どもを対象とした支援。
- 医療型障害児入所施設:医療と生活支援を必要とする子どもの入所支援。
- 短期入所:家族の休息や事情に応じて一時的に利用するサービス。
- 障害児相談支援:利用できる福祉サービスや支援計画についての相談。
自治体の障害福祉担当窓口、保健センター、医療機関の医療ソーシャルワーカーなどに相談することもできます。
【よくある質問】障害児ばかり生まれることに関するFAQ
Q1:障害児が続けて生まれるのは遺伝が原因ですか?
A1:遺伝が関係する場合はあります。特に、両親が同じ常染色体潜性遺伝疾患の保因者であれば、子どもが発症する確率は妊娠ごとに25%です。ただし、障害には染色体異常、妊娠中や出生前後の要因、新生突然変異なども関係するため、家族ごとの検査が必要です。
Q2:一人目に知的障害があると二人目も知的障害になりますか?
A2:必ずしもそうではありません。一人目の知的障害の原因が遺伝性疾患なのか、新しく生じた遺伝子変異なのか、ほかの要因なのかによって再発リスクは異なります。まず一人目の原因を調べ、遺伝カウンセリングで次の妊娠について相談することが大切です。
Q3:知的障害児が生まれる確率は何%ですか?
A3:一般人口における知的障害の有病率は約1%とする資料があります。研究や診断基準によっては約1〜3%という範囲も示されています。ただし、有病率と妊娠ごとの出生確率は同じではありません。
Q4:発達障害は親から子どもに遺伝しますか?
A4:発達障害には遺伝的要因が関係しますが、単純に親から子どもへ同じ診断が受け継がれるわけではありません。複数の遺伝子や環境要因などが関係し、症状の現れ方にも個人差があります。
Q5:NIPTを受ければ知的障害の可能性が分かりますか?
A5:一般的な認証施設のNIPTでは、21・18・13トリソミーの可能性を調べます。すべての知的障害や発達障害、先天性代謝異常症を調べられるわけではありません。検査対象や限界について、事前に遺伝カウンセリングを受けることが大切です。
Q6:同じ先天性代謝異常症の子どもが複数生まれることはありますか?
A6:あります。例えば、両親が同じ常染色体潜性遺伝疾患の保因者である場合、同じ病気を持つ子どもが複数生まれる可能性があります。紺野昌代さんの家庭でも、3人全員が同じ先天性代謝異常症だったことが報じられています。
まとめ:障害児が続けて生まれる理由は家族ごとに異なる
「障害児ばかり生まれる」という疑問には、遺伝性疾患が家族内で繰り返される医学的な仕組みと、障害のある子どもを複数育てる家族の実体験という、異なる側面があります。
紺野昌代さんのように、3人全員が同じ先天性代謝異常症を抱えて生まれた家族も実際に存在します。一方で、この一つの事例から、障害児が続けて生まれる一般的な確率を導き出すことはできません。
知的障害の有病率は約1%とする資料があり、遺伝が関係する疾患もあります。しかし、すべての知的障害や発達障害が遺伝によって生じるわけではなく、原因を特定できないケースもあります。
特に、一人目に先天性疾患が見つかった家庭では、病名だけでなく、原因となる遺伝子変異や遺伝形式を調べることが重要です。必要に応じて臨床遺伝専門医や小児科専門医による遺伝カウンセリングを受けることで、次の妊娠に関する具体的なリスクを評価できる場合があります。
そして、障害のある子どもと家族が安心して暮らすためには、医療だけでなく、福祉、教育、地域の居場所、保護者への支援も欠かせません。
障害の有無だけで子どもや家族の人生を評価するのではなく、それぞれの病気の仕組みを正しく理解し、必要な医療と支援につなげていくことが大切です。
主な参考資料・報道- 内閣府「令和8年版障害者白書」
- 文部科学省「特別支援教育に関する資料」
- 国立精神・神経医療研究センター「WDR45遺伝子変異に関する研究発表」(2024年11月20日)
- 日本先天代謝異常学会「新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2025」
- 出生前検査認証制度等運営委員会「NIPTの検査対象に関する説明」
- 日本産科婦人科学会「NIPTの実施時の留意点」
- ベネッセ「たまひよ」紺野昌代さんのインタビュー(2023年3月24日・25日)
- ABEMA TIMES「3人とも先天性の代謝異常症・10代で死別…産み育てた母親に聞く」(2023年9月29日)
- CHANTO WEB「紺野昌代さんのインタビュー」(2026年4月29日)
- ミネルバクリニック「知的障害児が生まれる確率は約1%」(2026年10月25日更新)