湿球温度とは、水で濡らしたガーゼを温度計の球部に巻き、表面の水分が蒸発するときに生じる冷却作用を利用して測定する温度です。一般的な気温を示す乾球温度とは異なり、空気中の水分量や水の蒸発しやすさが反映されるため、湿度や蒸発冷却の状態を把握するうえで重要な指標となります。
特に注目したいのが、熱中症予防に使われるWBGT(暑さ指数)との関係です。湿球温度はWBGTの算出に大きな比重で組み込まれており、気温がそれほど高くなくても湿度が高い環境で熱中症リスクが高まる理由を理解する手掛かりになります。2026年4月1日に改定された環境省の運用指針や気象庁の観測資料も踏まえ、仕組み、計算式、測定方法、実生活での活用法まで詳しく解説します。
【基本知識】湿球温度とは?濡れたガーゼで温度が下がる仕組み

湿球温度は、英語でWet-Bulb Temperatureと呼ばれ、気象学や建築環境工学、空調設備、熱中症対策など幅広い分野で利用されています。
最大の特徴は、単に空気の温度を測るのではなく、水分が蒸発するときに周囲から奪う熱の影響を測定する点です。この現象を理解するには、気化熱と蒸発冷却の仕組みを押さえる必要があります。
湿球温度が低くなる理由は「気化熱」にある水は液体から気体へ変化するとき、周囲から熱エネルギーを吸収します。この熱を気化熱と呼びます。
例えば、水で濡らしたガーゼを温度計の球部に巻くと、ガーゼ表面の水分が周囲の空気に向かって蒸発します。その際、温度計の球部やガーゼから熱が奪われるため、温度計の示す値が下がります。
水分の蒸発によるこの温度低下が蒸発冷却です。湿球温度は、蒸発による冷却と周囲の空気から受け取る熱などが釣り合ったときの温度を表します。
ここで重要なのが、周囲の空気にどれだけ水蒸気が含まれているかという点です。
- 乾燥した空気:水分が蒸発しやすく、気化熱による冷却が大きくなるため、湿球温度は低くなる。
- 湿度が高い空気:水分が蒸発しにくく、冷却効果が小さくなるため、湿球温度は乾球温度に近づく。
- 相対湿度100%に近い空気:蒸発による冷却がほとんど進最初に、通常の乾湿計では両者の温度差がほぼなくなる。
つまり、湿球温度は空気の温度だけでなく、汗や水分がどの程度蒸発できる環境なのかを知るための手掛かりになります。
人間の汗による体温調節とも関係している人間は暑くなると汗をかき、その汗が皮膚表面から蒸発する際に体の熱を逃がします。湿球温度が高い環境では汗が蒸発しにくくなるため、体温を下げる働きが妨げられます。
例えば、同じ30℃でも、乾燥した環境と蒸し暑い環境では体への負担が異なります。後者では汗が蒸発しにくく、体内に熱が蓄積しやすくなるのです。
このように、湿球温度は単なる気象データではなく、人間が暑さをどの程度しのぎやすいかを考えるうえでも重要な物理量です。
【徹底比較】湿球温度と乾球温度・相対湿度・露点温度の違い
湿球温度を理解する際に混同しやすいのが、乾球温度、相対湿度、露点温度です。いずれも空気の温度や水分に関係しますが、示している物理的な意味は異なります。
乾球温度と湿球温度の違い乾球温度は、一般的な温度計で測定する通常の気温です。感温部を水で濡らさず、日射や放射熱の影響を適切に避けて測定します。
一方、湿球温度は温度計の球部を湿らせた状態で測定します。水分の蒸発によって温度が下がるため、通常の乾湿計では乾球温度との差が生まれます。
この差を乾湿差と呼びます。乾湿差が大きいほど蒸発冷却が進みやすく、一般的には空気が乾燥していることを示します。
相対湿度と露点温度は何を示す?相対湿度は、その温度の空気が含む水蒸気量を、同じ温度で空気が飽和する水蒸気量と比較した割合です。気象情報で単に「湿度」と表現される場合、通常は相対湿度を指します。
露点温度は、空気中の水蒸気量と気圧を一定に保ったまま空気を冷却したとき、相対湿度が100%に達する温度です。露点に達すると水蒸気が凝結し、結露や霧が発生しやすくなります。
湿球温度は蒸発冷却による温度、露点温度は凝結が始まる温度という違いがあります。どちらも湿度を考える手掛かりになりますが、同じ数値を示すとは限りません。
関連する5つの指標を一覧で比較| 指標 | 意味・測定方法 | 主な用途・特徴 |
|---|---|---|
| 乾球温度 | 通常の温度計で測る空気の温度 | 一般的な気温の把握 |
| 湿球温度 | 濡れたガーゼなどを使い、蒸発冷却を反映して測る温度 | 湿度や蒸発冷却の状態、暑熱環境の評価 |
| 自然湿球温度 | 強制通風せず、放射熱を遮る球部の囲いも設けない状態で測る湿球温度 | WBGTの測定に使用 |
| 相対湿度 | その温度での飽和水蒸気量に対する水蒸気量の割合 | 空気の湿り具合を百分率で表示 |
| 露点温度 | 空気を冷やして相対湿度が100%になる温度 | 結露、霧、空気中の水蒸気量の把握 |
| WBGT | 湿球温度・黒球温度・乾球温度などから算出する暑さ指数 | 熱中症リスクや暑熱環境の評価 |
この比較で特に押さえたいのは、自然湿球温度と一般的な湿球温度の違いです。
WBGTに使われる自然湿球温度は、強制的に風を当てず、放射熱を防ぐための球部の囲いも設けない状態で測定します。そのため、通常の通風乾湿計で測る湿球温度とは測定条件が異なります。
同じ「湿球温度」という言葉でも、何のために、どのような測定条件で取得した数値なのかを確認することが大切です。
【計算方法】湿球温度の求め方と計算式をわかりやすく解説
湿球温度は、専用の温度計で直接測定する方法と、乾球温度・相対湿度・気圧などのデータから計算で求める方法があります。
計算の基本となるのは、空気中の実際の水蒸気圧と、湿球表面での飽和水蒸気圧、そして蒸発による熱の移動の関係です。
湿球温度を求める基本的な計算式一般的な通風式乾湿計では、次の心理計算式(乾湿計の関係式)が利用されます。
e = es(Tw)-0.00066×P×(1+0.00115×Tw)×(Ta-Tw)
- e:空気中の実際の水蒸気圧
- es(Tw):湿球温度における飽和水蒸気圧
- P:大気圧(hPa)
- Ta:乾球温度(℃)
- Tw:湿球温度(℃)
また、相対湿度RHを使う場合、空気中の実際の水蒸気圧は次の関係で求められます。
e =(RH/100)×es(Ta)
この2つの関係を組み合わせ、乾球温度、相対湿度、気圧から湿球温度を求めます。
ただし、湿球温度は飽和水蒸気圧の温度依存性を含むため、一般には単純な四則演算だけでは解けません。湿球温度の候補値を変えながら式を満たす値を探す反復計算や、湿り空気線図、専用の計算ツールを利用します。
なお、上記の係数は通風式乾湿計を想定した近似的な関係です。測定器の構造や風速によって係数が異なるため、自然湿球温度の測定にそのまま適用できるわけではありません。
具体例:気温30℃・相対湿度60%の場合海面付近の気圧を想定し、通風式乾湿計の近似式で計算すると、次のような結果になります。
- 乾球温度:30℃
- 相対湿度:60%
- 気圧:約1013hPa
- 推定湿球温度:約23.9℃
この場合、乾湿差は約6.1℃です。気温30℃に対して湿球温度が約24℃まで下がっていることから、水分が蒸発する余地がある程度残っている環境だと読み取れます。
同じ気温で相対湿度がさらに高くなれば、蒸発が進みにくくなり、湿球温度は乾球温度に近づきます。
2026年の環境省資料に見る湿球温度の計算方法実際の暑さ指数の推定では、より精密な計算が用いられています。
環境省が2026年4月1日に改定した「熱中症特別警戒情報等の運用に関する指針」の別紙では、湿球温度の推定に乾球温度、相対湿度、地上気圧を使用し、Iribarneらの式に基づく計算方法を示しています。
具体的には、まず乾球温度と相対湿度から露点温度を求め、その後、飽和水蒸気圧と蒸発に伴う熱収支の関係を利用して湿球温度を推定します。さらに反復計算を行い、推定誤差が0.1℃未満になるまで補正します。
ここから分かるのは、湿球温度の推定には相対湿度だけでなく気圧も関係するということです。単純な湿度換算表だけでは、すべての環境条件を正確に反映できません。
特に業務用のWBGT予測や気象データの分析では、測定条件に適した計算式を選ぶ必要があります。
【実践編】湿球温度の測定方法と湿球温度計・乾湿計の使い方
湿球温度を実際に測る場合は、測定器の種類と測定目的を最初に確認します。一般的な湿度測定に用いる乾湿計と、熱中症対策に用いるWBGT測定器では、測定環境が異なるためです。
湿球温度計を使った基本的な測定方法基本的な湿球温度計は、温度計の感温部に水を含ませたガーゼや吸水布を巻き、毛細管現象などを利用して水分を供給できる構造になっています。
測定の基本的な流れは次のとおりです。
- ガーゼを湿らせる:温度計の球部を清潔な水で十分に湿らせたガーゼで覆う。
- 水分の供給を確認する:ガーゼが乾燥していないか、水が適切に供給されているかを確認する。
- 適切な測定環境を整える:使用する乾湿計の仕様に合わせて通風条件や設置場所を整える。
- 温度が安定するまで待つ:蒸発冷却が進み、表示値が安定するのを待つ。
- 温度を読み取る:安定した湿球温度を記録し、必要に応じて乾球温度との差を確認する。
測定精度を左右するのは、ガーゼの状態と通風条件です。ガーゼが汚れていたり、十分に湿っていなかったりすると、蒸発の状態が変わり、正しい値を得られない可能性があります。
乾湿計の原理と通風式乾湿計の使い方乾湿計は、乾球温度計と湿球温度計の2本を組み合わせた測定器です。2つの温度の差から空気中の湿度を求める仕組みになっています。
気象庁の「気象観測ガイドブック」では、携帯型の通風乾湿計について、湿球を水で湿らせた後、湿球温度が0℃以上の場合は5分前後通風し、表示値が安定してから読み取る方法が説明されています。0℃以下では、さらに長い通風時間が必要です。
また、厳密に湿度を求めるには、乾湿球の温度差に加えて現地の気圧を考慮する必要があります。
つまり、乾湿計の原理は、単に2本の温度計を並べて比較することではありません。水分の蒸発による冷却量と周囲の空気の状態を組み合わせ、湿度を推定することにあります。
自然湿球温度を測る場合の注意点WBGTの測定に用いられる自然湿球温度は、一般的な通風乾湿計とは異なる条件で測定します。
厚生労働省の職場のあんぜんサイトによると、自然湿球温度は、強制通風を行わず、放射熱を防ぐための球部の囲いも設けない状態で、濡れガーゼを巻いた温度計が示す値です。
この違いは非常に重要です。日射や周囲の放射熱、自然な気流の影響を受けることで、実際の暑熱環境に近い状態を反映するためです。
そのため、家庭用の湿度計や一般的な乾湿計で測定した湿球温度を、そのままWBGT用の自然湿球温度として扱うことは適切ではありません。
【熱中症予防との関係】湿球温度とWBGTの計算式・暑さ指数の見方
湿球温度が実生活で特に重要になるのが、WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)との関係です。日本語では湿球黒球温度と呼ばれ、環境省や厚生労働省が熱中症予防のために活用している指標です。
WBGTとは?湿球温度が重視される理由WBGTは、人体と周囲の環境との間で起きる熱の出入りに着目した指標です。
1954年にアメリカで熱中症予防を目的として提案され、現在ではスポーツ、建設現場、工場、学校、日常生活など、幅広い場面で暑熱環境の評価に使われています。
WBGTの算出には、次の3つの温度が使われます。
- 湿球温度:湿度や気流などの影響を反映する。
- 黒球温度:日射や周囲からの放射熱の影響を反映する。
- 乾球温度:通常の気温を反映する。
湿球温度の係数が0.7と大きいのは、湿度によって汗の蒸発しやすさが変わり、人体の体温調節に大きく関係するためです。
WBGTの計算式は屋外と屋内で異なる環境省が示すWBGTの基本的な算出式は、日射の有無によって異なります。
屋外で日射がある場合
WBGT = 0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度
屋内で日射がない場合
WBGT = 0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度
それぞれの温度の単位は℃です。
例えば、屋外で湿球温度25℃、黒球温度35℃、乾球温度32℃だった場合、計算は次のようになります。
WBGT = 0.7 × 25 + 0.2 × 35 + 0.1 × 32
WBGT = 27.7
この例では、日常生活に関する指針で「警戒」に該当する数値です。気温が32℃だからといって、WBGTも32になるわけではありません。
WBGTの危険度と熱中症予防の目安環境省の暑さ指数に関する情報では、日本生気象学会の「日常生活における熱中症予防指針Ver.4」を基に、WBGTを次のように区分しています。
- 31以上:危険。すべての生活活動で熱中症が発生する危険性がある。外出をなるべく避け、涼しい室内で過ごす。
- 28以上31未満:厳重警戒。外出時は炎天下を避け、室内でも温度上昇に注意する。
- 25以上28未満:警戒。中等度以上の活動では、十分な休憩を取り入れる。
- 25未満:注意。一般的には危険性が低いものの、激しい運動や重労働では熱中症に注意する。
特に注目したいのは、WBGTが28を超えると熱中症患者の発生率が著しく増加するという環境省の説明です。この関係は、2008年から2021年までの夏季の主要都市における救急搬送データを基に示されています。
なお、この区分は日常生活に関する指針です。スポーツや職場では、それぞれの活動に応じた基準や補正値を確認する必要があります。
2026年のWBGT情報と熱中症対策の動向2026年4月1日改定の環境省の運用指針では、熱中症警戒情報などの運用や暑さ指数の予測方法が整理されています。
環境省の予測では、気象庁の数値予報に含まれる気温、相対湿度、気圧などを使って湿球温度を推定し、黒球温度や乾球温度と組み合わせてWBGTを算出します。
また、環境省は実測値や実況推定値も提供しており、2026年の運用資料では全国841地点の情報提供地点が示されています。すべての地点で同じ測定方式を採用しているわけではなく、観測値や推定値を組み合わせて情報を提供しています。
2026年10月30日現在、環境省のWBGT情報サイトでは、2026年度の実況・予測情報の提供は10月21日をもって終了しています。過去データは引き続き利用でき、次年度の情報提供は2027年4月下旬に開始する予定です。
熱中症対策は、気温だけを確認して終わりにするのではなく、WBGTや実際の活動場所の環境を確認し、休憩、水分・塩分補給、冷房の利用などを組み合わせることが大切です。
【誤解を解消】湿球温度を正しく活用するための判断基準
湿球温度については、数値の意味やWBGTとの関係が混同されることがあります。実際に使う場面を想定しながら、よくある誤解を整理します。
誤解1:湿球温度は実際に感じる体感温度そのもの?湿球温度は、汗の蒸発による冷却のしやすさを考えるための重要な指標ですが、個人が感じる体感温度そのものではありません。
実際の体感には、日射、風、着衣、運動量、年齢、体調、暑さへの慣れなど、さまざまな要因が影響します。
そのため、湿球温度だけで熱中症の危険性を判断するのではなく、黒球温度や乾球温度も組み合わせたWBGTを確認することが適切です。
誤解2:湿球温度が低ければ必ず安全?湿球温度が低いことは、一般的な通風乾湿計の測定条件では水分が蒸発しやすい環境であることを示します。しかし、それだけで安全とは判断できません。
例えば、気温が非常に高く、直射日光が強い場所では、湿球温度が比較的低くても、黒球温度や気温の影響によってWBGTが高くなる場合があります。
湿度だけを見て暑さを判断するのではなく、環境全体を評価する視点が必要です。
誤解3:湿球温度と露点温度は同じ?両者は異なります。湿球温度は水の蒸発による冷却と熱の移動から決まり、露点温度は空気を冷やしたときに水蒸気が飽和する温度です。
一般的な通風式乾湿計の条件では、湿球温度は乾球温度以下、露点温度以上になります。空気が飽和している場合には、3つの温度が一致します。
ただし、WBGTに使う自然湿球温度は放射熱の影響も受けるため、通常の通風式乾湿計の関係を無条件に当てはめないことが重要です。
目的別に選ぶべき測定方法湿球温度を活用する際は、何を知りたいのかによって測定器を選びます。
- 学校の理科実験や湿度の学習:乾球温度計と湿球温度計を組み合わせた乾湿計が適している。
- 気象データの分析:気温、相対湿度、気圧を利用した計算式や湿り空気線図が役立つ。
- 屋外の熱中症対策:黒球を備えたWBGT測定器を使用する。
- 職場や運動施設の暑熱管理:JIS Z 8504やJIS B 7922に適合した機器を活用する。
特に日射のある屋外では、黒球のない簡易的な測定器だけでは放射熱の影響を十分に評価できません。測定器の仕様と使用目的を確認することが、正しい判断につながります。
【プロの結論】湿球温度は汗の蒸発と熱中症リスクを読み解く重要指標
湿球温度の本質は、空気の温度だけでは把握できない「水分が蒸発する際の冷却能力」を数値化している点にあります。
乾球温度が同じでも、湿度が異なれば湿球温度は変化します。湿度が高いほど汗が蒸発しにくくなり、人体の熱を逃がす働きが弱くなるためです。
この関係を熱中症予防に応用したのがWBGTです。湿球温度に加えて黒球温度と乾球温度を組み合わせることで、湿度、放射熱、気温の影響を総合的に評価できます。
実務上、覚えておきたい判断基準は3つあります。
- 気温と湿球温度は別の数値:天気予報の気温だけで暑熱リスクを判断しない。
- WBGTは湿球温度だけでは決まらない:日射や放射熱の影響も含めて確認する。
- 測定方法によって数値の意味が変わる:一般的な湿球温度とWBGT用の自然湿球温度を区別する。
湿球温度は、気象観測のためだけの専門用語ではありません。汗をかいても体温が下がりにくい環境を理解し、熱中症を防ぐための科学的な手掛かりです。
湿球温度とは何かに関するよくある質問(FAQ)
Q1:湿球温度とは簡単にいうと何ですか?
A1:水で濡らしたガーゼを温度計の球部に巻き、水分が蒸発するときの冷却作用を反映した温度です。空気が乾燥しているほど蒸発が進み、一般的な通風乾湿計では湿球温度が低くなります。
Q2:湿球温度と乾球温度はどちらが高いですか?
A2:一般的な通風乾湿計では乾球温度が湿球温度以上になります。空気が乾燥しているほど温度差が大きくなり、相対湿度が100%に近づくと温度差は小さくなります。
Q3:湿球温度は湿度から計算できますか?
A3:相対湿度だけでは求められません。乾球温度と気圧も必要です。これらの情報から水蒸気圧と蒸発冷却の関係を計算し、湿球温度を推定します。
Q4:湿球温度を測るには何が必要ですか?
A4:基本的には温度計と、球部を覆う水で湿らせたガーゼなどが必要です。湿度を正確に測定する場合は通風式乾湿計、熱中症予防のためにWBGTを測定する場合は自然湿球温度や黒球温度などを測れる専用機器を使用します。
Q5:湿球温度と露点温度の違いは何ですか?
A5:湿球温度は水分の蒸発による冷却を反映した温度で、露点温度は空気を冷やしたときに相対湿度が100%になる温度です。どちらも空気中の水分に関係しますが、測定・計算の原理が異なります。
Q6:WBGTが28以上になると危険ですか?
A6:日常生活に関する指針では28以上31未満が厳重警戒、31以上が危険です。28以上は熱中症リスクが高まる目安であり、運動や激しい作業を控える、休憩や水分・塩分補給を増やすなどの対策が必要です。
Q7:湿球温度が低ければ熱中症にならないのでしょうか?
A7:いいえ。湿球温度だけでは熱中症リスクを判断できません。気温、日射、放射熱、風なども関係するため、WBGTを確認し、実際の活動環境や体調に応じて対策することが大切です。
まとめ:湿球温度の仕組みを理解して正しい暑さ対策につなげよう
湿球温度とは、濡れたガーゼなどから水分が蒸発するときに発生する気化熱を利用して測る温度です。乾球温度とは異なり、空気の湿り具合や蒸発冷却の影響が反映されるため、湿度と暑さの関係を理解するうえで重要な指標となっています。
測定には湿球温度計や乾湿計が利用でき、乾球温度・相対湿度・気圧から計算で推定することも可能です。ただし、一般的な湿球温度とWBGTに使われる自然湿球温度では測定条件が異なるため、目的に合った方法を選ぶ必要があります。
熱中症予防では、湿球温度だけでなく、日射や放射熱、気温を反映したWBGTを確認が必要です。特にWBGT28以上では厳重な警戒が必要であり、31以上では外出や運動を控えるなどの対応が大切です。
気温の数字だけでは分からない蒸し暑さの正体を理解することが、適切な暑さ対策の第一歩です。環境省の暑さ指数情報や適切な測定機器を活用し、自分がいる場所の環境に合わせた熱中症予防を心掛けましょう。
主な公的根拠資料
環境省「暑さ指数(WBGT)について」・2026年4月1日改定運用指針、厚生労働省「職場のあんぜんサイト」、気象庁「気象観測ガイドブック」を参照しています。