第一牧志公設市場の魅力を理解するには、建物の新しさだけでなく、沖縄の戦後復興と市場が歩んできた歴史を知ることが欠かせない。
始まりは戦後の露店市場沖縄戦が終わった1945年以降、那覇では住民が生活を再建する過程で商業活動が少しずつ戻り始めた。1947年ごろには、開南から松尾方面へ抜ける通りに露天商が集まり、闇市が形成されていった。
内閣府の沖縄復帰50周年関連資料によると、那覇市は1948年、交通上の安全確保や島内生産品の販売を条件として、市場をガーブ川沿いに移転させた。これが現在の牧志公設市場につながる出発点となった。
1950年12月には廃材を利用した建物が整備され、精肉部と生鮮部が営業を開始。戦後の物資不足のなかで、市民が食料を手に入れ、商売を営むための重要な場所になっていった。
1972年の建て替えと「第一」の名前市場の周辺では、ガーブ川の氾濫や食品衛生上の課題があり、施設の改善が求められた。1969年には第二牧志公設市場が開設され、元からあった市場は「第一牧志公設市場」と呼ばれるようになった。
その後、沖縄の日本復帰と同じ1972年、第一牧志公設市場はコンクリート造りの建物へと建て替えられた。1950年から続く場所で、沖縄の食生活を支える市場として再スタートしたのである。
1990年代から観光スポットへ市場の役割は時代とともに変化した。大型スーパーや郊外型商業施設の普及により、地元住民の買い物先が多様化する一方、那覇の中心市街地に観光客を呼び込む取り組みが進んだ。
そのなかで生まれたのが、1階で購入した魚や肉を2階の食堂で調理してもらう「持ち上げ」だ。内閣府の歴史資料では、1990年ごろに始まったと紹介されている。
2000年の九州・沖縄サミット、2001年のNHK連続テレビ小説「ちゅらさん」の放送なども、沖縄観光への関心を高める契機となった。第一牧志公設市場も、県民の台所という役割に加え、沖縄の食文化を体験できる観光地として認知されていった。
2023年3月、現在の市場が誕生1972年に建て替えられた建物は老朽化が進み、再整備が必要になった。2019年6月に旧市場が閉鎖され、同年7月からは約100メートル離れた仮設市場で営業を続けた。
その後、建て替え工事を経て、2023年3月19日午前10時に新しい第一牧志公設市場が供用開始。現在の市場は、衛生面や利便性に配慮した施設へと生まれ変わった。
那覇市の2026年9月30日更新の基本情報によると、現在の1階には75店舗が入居し、精肉・鮮魚・生鮮食品などを取り扱っている。2階には食堂が並び、沖縄料理を楽しめる構成になっている。
歴史を整理すると、次のようになる。
【2026年の第一牧志公設市場】1階の鮮魚・精肉と2階食堂の楽しみ方

現在の第一牧志公設市場は、1階と2階で楽しみ方が異なる。単に食事をするだけなら2階へ向かえばよいが、市場らしい体験をしたいなら、まず1階を歩いてみるのがおすすめだ。
1階は沖縄の食材が集まる市場の中心1階には鮮魚、精肉、生鮮食品などを扱う店舗が並ぶ。色鮮やかな魚介類や沖縄ならではの食材が並ぶ光景は、一般的なスーパーマーケットとは違った市場の雰囲気を感じさせる。
鮮魚売り場では、魚介類を見比べながら店主に食べ方を相談できる。精肉売り場では豚肉を中心に、沖縄の家庭料理に使われる食材を探せる。
代表的な売り場と楽しみ方を整理すると、次のとおりだ。
- 鮮魚店:魚介類や海産物を見ながら、刺身や焼き物などの食べ方を相談する。
- 精肉店:豚肉を中心とした沖縄の食文化に触れる。
- 生鮮食品店:島野菜や果物など、沖縄の食材を探す。
- 乾物・食品関連店:昆布やかつお節、加工食品などを見て回る。
那覇市の公式店舗案内では、鮮魚部門と精肉部門の店舗がそれぞれ紹介されている。店ごとに取り扱う商品が違うため、気になる食材があれば複数の店を見比べるのも楽しい。
2階は沖縄料理を楽しめる食堂街2階は食堂エリアで、沖縄料理や海鮮料理などを楽しめる。公式店舗案内では、12店舗の食堂が掲載されている。
初めて訪れる人が注目したいのは、沖縄ならではの料理を味わえることだ。
- 沖縄そば:沖縄を代表する定番料理。
- ちゃんぷるー:野菜や豆腐などを炒め合わせた沖縄の家庭料理。
- イラブー汁:沖縄の伝統的な食文化を感じられる料理。
- 骨汁:豚骨や肉を使った、食堂でも提供される沖縄料理。
- もずくの天ぷら:沖縄の海産物を使った人気の一品。
- 海鮮料理:1階の鮮魚売り場と組み合わせて楽しめる。
公式店舗情報に掲載されている「御食事処ツバメ」は、沖縄料理、海鮮料理、中華料理などを提供する食堂で、持ち上げを最初に始めた店として紹介されている。
また、「あだん」では骨汁、もずくの天ぷら、沖縄そば、ちゃんぷるーなどを取り扱い、「がんじゅう堂」では沖縄そばやイラブー汁などを提供している。店舗ごとに営業時間や定休日が異なるため、食べたい料理が決まっている場合は事前に店舗情報を確認したい。
【牧志公設市場の持ち上げ】初めてでも迷わない注文方法と料金の仕組み
第一牧志公設市場を訪れるなら、ぜひ体験したいのが「持ち上げ」だ。
持ち上げとは、1階の鮮魚店や精肉店で購入した食材を、2階の食堂に持ち込み、調理してもらう仕組みのこと。市場で自分が選んだ食材を、その場で料理として味わえる。
持ち上げの基本的な流れは3ステップ
STEP1:1階で食材を選ぶ
鮮魚店や精肉店で食べたい食材を選ぶ。調理できる食材か、希望する料理に対応しているかを店員に相談する。
STEP2:2階の食堂へ移動する
購入した食材を持って2階へ。購入した店の案内に従って、対応する食堂を確認する。
STEP3:調理してもらい、料理を味わう
食堂で調理内容と料金を確認し、料理ができあがったら市場で選んだ食材を味わう。
初めて利用する人が知っておきたいのが、支払いの仕組みだ。
那覇市第一牧志公設市場の公式ガイドによると、食材の購入代金は1階の購入店舗に、調理代は2階の食堂に支払う。つまり、ひとつの料金に食材代と調理代が含まれているわけではない。
調理料金は料理の内容によって異なる。また、持ち上げに対応する食材は一部に限られる。ネット上で見かける一律料金を前提にせず、食材を購入する前に調理可能かどうか、2階の食堂でいくらかかるかを確認しておくと安心だ。
おすすめは、1階で食材を選ぶ段階から「2階で食べたい」「この魚を刺身にしたい」など、具体的な希望を伝えること。調理方法や費用を先に確認すれば、予算に合わせた注文がしやすい。
持ち上げを楽しむための注意点- すべての食材が持ち上げに対応しているわけではない。
- 食材代と調理代は別々に支払う。
- 調理内容によって料金が変わる。
- 1階の持ち上げ食材の調理受付は19時45分がラストオーダー。
- 2階食堂のラストオーダーは20時。
特に注意したいのは、施設自体が22時まで営業していても、持ち上げを利用できる時間はそれより早く終わること。夕方以降に訪れる場合は、先に食材を選び、時間に余裕を持って2階へ移動しよう。
【第一牧志公設市場2026年最新】営業時間・定休日・アクセス・駐車場
旅行の日程を組むうえで気になるのが、営業時間や定休日、交通手段だ。2026年9月30日更新の那覇市公式基本情報を中心に、訪問前に押さえておきたい内容をまとめた。
営業時間は8時から22時が基本
市場の基本営業時間8:00~22:00
1階の持ち上げ調理受付
19:45 L.O.
2階食堂
20:00 L.O.
※営業時間・ラストオーダーは店舗によって異なる場合があります。
市場全体の営業時間は8時から22時まで。ただし、各店舗がすべて同じ時間に営業しているわけではない。
特に食事目的で訪れる場合、施設の閉館時刻ではなく、食堂のラストオーダーを基準に計画することが大切だ。持ち上げを利用するなら、19時45分より前に食材を選び終える余裕を持ちたい。
定休日は第4日曜日と年始など那覇市公式情報に掲載されている主な休業日は次のとおり。
| 休業日 | 内容 |
|---|---|
| 毎月第4日曜日 | 12月を除く |
| 正月 | 1月1日~3日 |
| 旧盆 | 旧暦に基づく休業日 |
| その他 | 店舗ごとの臨時休業など |
市場全体の休業日とは別に、各店舗独自の定休日がある。旧正月や旧盆など、旧暦に関係する時期も営業状況が変わることがあるため、旅行日が決まったら市場公式サイトのお知らせと店舗情報を確認しておきたい。
なお、12月は第4日曜日も営業する扱いとなっている。年末の買い物や観光で訪れる場合にも覚えておきたいポイントだ。
第一牧志公設市場へのアクセス市場の所在地は沖縄県那覇市松尾2丁目10番1号。国際通りから近く、那覇市中心部の観光と組み合わせやすい場所にある。
基本アクセス情報
ゆいレール牧志駅徒歩約9分
ゆいレール美栄橋駅徒歩約10分
那覇空港から車約6km・約16分
道路の混雑状況によって所要時間は変動。
住所
沖縄県那覇市松尾2-10-1
第一牧志公設市場には、専用駐車場がない。車で訪れる場合は、周辺の有料駐車場を利用することになる。
また、公式アクセス案内では、周辺の浮島通りが一方通行であることや、国際通りで曜日・時間帯によってバスレーンなどの交通規制が行われることにも注意を促している。
市場周辺は観光客や買い物客で混雑することもある。駐車場を探す時間を考えると、ゆいレールを利用して徒歩で向かう方法も検討したい。
小さな子ども連れや車椅子を利用する人にとっても、施設の設備は気になるところだ。那覇市の案内では、バリアフリートイレ、車椅子の貸し出し、授乳室が設けられている。一方、ベビーカーのレンタルはない。ペットの入場は不可で、補助犬は入場できる。
【国際通り周辺観光】第一牧志公設市場と一緒に楽しみたい那覇の街歩き
第一牧志公設市場は、市場だけで観光を終わらせるには惜しい立地にある。周辺には国際通りや平和通り、壺屋やちむん通りなど、那覇の街の魅力を感じられるスポットが集まっている。
国際通りでショッピングと沖縄土産探しは、那覇を代表する観光エリア。飲食店や土産物店、商業施設などが並び、沖縄旅行の定番コースとして知られている。
市場で食事や買い物を楽しんだ後に、沖縄のお菓子や雑貨、工芸品を探す流れも組み立てやすい。市場と国際通りは近いため、徒歩での街歩きに適している。
平和通りで昔ながらの商店街を歩くは、地元の商店や食品店、衣料品店などが並ぶエリアだ。
観光客向けの店舗だけでなく、地域の暮らしに根差した店も見つけられる。市場で感じたマチグヮーの雰囲気を、そのまま周辺の商店街でも楽しめる。
壺屋やちむん通りで沖縄の焼き物に触れるは、沖縄の伝統工芸「やちむん」を楽しめる散策スポット。陶器店や工房、ギャラリーが並び、食器やシーサーなどを探せる。
沖縄の食材を味わう市場と、食卓を彩る焼き物の街をセットで訪れると、食文化を異なる角度から楽しめる。市場で食べた料理を思い出しながら、お気に入りの器を探すのも旅の楽しみ方のひとつだ。
那覇市の観光案内では、壺屋やちむん通りは約400メートルにわたる石畳の通りとして紹介されている。市場周辺の散策を少し延長したい人にも向いている。
おすすめの街歩きコース
第一牧志公設市場
1階で食材を見学し、2階で沖縄料理や持ち上げを楽しむ。
平和通り・市場本通り
商店街を歩きながら、食品や沖縄土産を探す。
国際通り
ショッピングやカフェ巡りを楽しむ。
壺屋やちむん通り
伝統工芸の器や街並みを見て回る。
このコースなら、沖縄の食、買い物、伝統工芸をまとめて体験できる。食事を市場で済ませてから周辺へ移動すれば、那覇中心部の観光を効率よく組み立てられる。
【プロの結論】第一牧志公設市場は何を楽しむ場所なのか?
第一牧志公設市場を訪れる際に意識したいのは、ここが単なる観光客向けの飲食施設ではないという点だ。
市場の本質は、売り手と買い手が会話しながら食材を選び、地域の食文化を受け継いできたことにある。内閣府の歴史資料でも、売り手と買い手が話し合って価格を決める「相対売り」や、店主との会話、おまけを意味する「シーブン」の文化が紹介されている。
2023年に建物が新しくなっても、こうした人と人とのやり取りが市場の個性を形作っている。
第一牧志公設市場がおすすめの人- 沖縄の食文化や郷土料理に興味がある人
- 新鮮な魚介類や沖縄独特の食材を見てみたい人
- 持ち上げを体験してみたい人
- 店主との会話を楽しみながら買い物をしたい人
- 国際通りや壺屋周辺も一緒に観光したい人
- 料理や料金が最初から決まったセットメニューを希望する人
- 駐車場付きの施設を優先したい人
- 夜遅い時間に持ち上げを利用したい人
- 店舗の営業時間を気にせず自由に食事したい人
特に持ち上げは、食材選びから調理までの過程を楽しむスタイルだ。食材代と調理代が別々で、調理内容によって費用も変わるため、一般的な飲食店の定食とは利用方法が異なる。
一方、こうした仕組みを理解して訪れれば、市場でしかできない食体験につながる。料金を先に確認し、予算に合わせて食材を選ぶことが、満足度を高めるポイントになる。
また、市場の観光地化が進んだ背景には、地元住民の買い物の場から観光客の食文化体験の場へと役割を広げてきた歴史がある。だからこそ、観光客も地元の買い物客も共存できるよう、店の人との会話や周囲への配慮を大切にしたい。
【第一牧志公設市場に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:沖縄の公設市場といえば、どこに行けばいい?
A1:那覇市の第一牧志公設市場がおすすめの代表的なスポット。1950年開設の歴史があり、1階の鮮魚・精肉売り場と2階の食堂を楽しめる。
Q2:第一牧志公設市場の営業時間は何時から何時まで?
A2:市場全体の基本営業時間は8時から22時まで。ただし、店舗によって異なる。1階の持ち上げ調理受付は19時45分、2階食堂は20時がラストオーダーの目安となる。
Q3:第一牧志公設市場の定休日はいつ?
A3:基本は毎月第4日曜日で、12月は除く。正月の1月1日~3日なども休業日となる。店舗ごとの定休日や旧暦に関係する休業日もあるため、訪問前に公式情報を確認したい。
Q4:持ち上げは予約なしでも利用できる?
A4:公式ガイドでは、1階で食材を購入し、2階の食堂で調理してもらう流れが案内されている。利用できる食材や調理方法は店舗によって異なるため、事前に1階の店と2階の食堂で確認するとよい。
Q5:持ち上げの料金はいくら?
A5:食材代は1階の購入店舗、調理代は2階の食堂にそれぞれ支払う。調理内容によって料金が変わるため、食材を購入する前に調理代を確認するのがおすすめ。
Q6:第一牧志公設市場に駐車場はある?
A6:市場専用の駐車場はない。周辺の有料駐車場を利用する必要がある。ゆいレールの牧志駅から徒歩約9分、美栄橋駅から徒歩約10分なので、公共交通機関も便利。
Q7:国際通りから第一牧志公設市場へは歩いて行ける?
A7:徒歩でアクセスできる。市場は国際通りに近い那覇市松尾にあり、平和通りや市場本通りを経由する街歩きも楽しめる。
Q8:2023年に建て替えられた市場は、以前の市場とは別の場所?
A8:現在の市場は、1950年から続く場所で建て替えられた施設。2019年から約100メートル離れた仮設市場で営業した後、2023年3月19日に元の場所で新市場がオープンした。
まとめ:2026年の沖縄旅行では第一牧志公設市場で食文化を体験しよう
沖縄の公設市場を訪れるなら、那覇市の第一牧志公設市場は歴史と食文化の両方を楽しめる場所だ。
1950年12月の開設以来、戦後復興、1972年の建て替え、1990年ごろから始まった持ち上げ、2019年の仮設市場への移転を経て、2023年3月に現在の施設が誕生した。
2026年現在、1階では鮮魚や精肉、生鮮食品の買い物を楽しめ、2階では沖縄そばや海鮮料理などを味わえる。食材を自分で選び、2階で調理してもらう持ち上げは、第一牧志公設市場ならではの楽しみ方だ。
訪問前には、営業時間8時~22時、毎月第4日曜日を基本とする定休日、持ち上げと食堂のラストオーダー、専用駐車場がない点を確認しておこう。
市場を起点に国際通りや平和通り、壺屋やちむん通りまで足を延ばせば、食だけでなく沖縄の暮らしや伝統文化にも触れられる。新しい建物の中に受け継がれる昔ながらの市場の魅力を、2026年の那覇旅行で体験してみてほしい。
主な情報確認先:那覇市公式ホームページ「第一牧志公設市場基本情報」「第一牧志公設市場再整備事業」、那覇市第一牧志公設市場公式サイト「施設案内」「市場の楽しみ方ガイド」「お店を探す」、内閣府「沖縄復帰50周年記念~これまでの歩みと今~」。