最初に押さえておきたいのは、イオン全体がフードコート事業から撤退するという発表は確認されていないことです。
今回の話題の中心となっているのは、北海道苫小牧市のイオンモール苫小牧です。同施設では、2025年末から2026年にかけて複数の飲食店が閉店し、特定エリアの店舗がまとまって姿を消しました。
「全店撤退」といわれるようになった理由2026年8月4日付の地域情報サイト「とまこまいFUN」の報道では、2階フードコート「KITCHEN PORT」の「デザート王国」と「札幌らーめん みそ源」が8月31日に閉店すると紹介されました。
同記事によると、先に閉店した「ポモドーロ」「とりから一番」と合わせ、フードコート内の一角にあった店舗がすべて営業を終了する形になりました。
ただし、これは該当エリアのテナントがなくなったという意味です。フードコート全体の営業終了ではありません。
実際、同記事では閉店後も以下の5店舗が営業を続けると紹介されています。
- 築地銀だこ
- ケンタッキーフライドチキン
- はなまるうどん
- 牛角焼肉食堂
- ドトールコーヒー
つまり、検索されている「イオンフードコート全店撤退」という言葉には、特定施設の一部エリアの閉鎖と、全国的な事業撤退が混同されている面があります。
【店舗一覧】イオンモール苫小牧で閉店した飲食テナントと時系列

イオンモール苫小牧の閉店情報を時系列で整理すると、今回の動きが一度きりのものではなかったことがわかります。
特に注目したいのは、2025年12月から2026年8月まで、段階的に飲食テナントの入れ替わりが進んだ点です。
出典:とまこまいFUN、号外NET苫小牧市、リアルエコノミーなどの閉店報道を整理。
特に注目されたポモドーロととりから一番の同時閉店2026年2月28日、イオンモール苫小牧2階の「ポモドーロ」と「とりから一番」が同日に閉店しました。
ポモドーロは2012年にオープンしたパスタ・オムライス店です。手頃な価格でパスタを楽しめる店として営業を続けていました。
一方、とりから一番は2019年にオープンした唐揚げを中心とする店舗です。
2店舗とも店頭に閉店のお知らせが掲示され、同じ日を最終営業日としていました。
長く営業していた店舗と比較的新しい店舗が同時に閉店したことから、利用者にとっても印象的な出来事となりました。
ただし、両店舗の閉店理由について、賃料や売上不振など特定の原因が公式に説明されたわけではありません。
8月にはデザート王国とみそ源も閉店さらに8月31日には、デザート王国と札幌らーめん みそ源が営業を終了しました。
デザート王国は2005年4月の施設開業当初から営業していた店舗です。約21年間にわたり同じ場所で営業していたことから、今回の閉店は長年の利用者にとって大きな変化となりました。
みそ源も同日に閉店し、2月に閉店したポモドーロととりから一番の区画を含め、フードコートの一角から飲食店がなくなる結果になりました。
一方、1階のカプリチョーザも同日閉店していますが、こちらはレストラン街の店舗です。フードコートの閉店数に含めると、施設内の状況を誤って理解することになるため注意が必要です。
【原因分析】イオンモールのテナントが撤退する理由は?賃料・人件費・集客力の3つの問題
飲食テナントの閉店には、店舗ごとの事情と外食産業全体の経営環境が関係します。
イオンモールのフードコートは、多くの買い物客が集まる場所ですが、出店すれば必ず利益が出るわけではありません。
特に飲食店は、売上高だけでなく、人件費や食材費、施設利用に伴う固定費を考慮して経営を判断する必要があります。
1. フードコート賃料と経営コストの負担大型商業施設に出店する飲食店には、一般的に次のような費用が発生します。
- テナント賃料
- 共益費や施設管理関連費用
- 電気・ガス・水道などの光熱費
- 従業員の給与や社会保険関連費用
- 食材の仕入れ費用
- 厨房設備や備品の維持費
特に注目したいのが、フードコート特有の収益構造です。
飲食店は限られた区画で営業するため、客席の管理負担を軽減できる一方、施設側の契約条件や営業時間に合わせた店舗運営が必要です。
営業時間中に一定数のスタッフを確保しなければならず、客数が少ない時間帯でも人件費が発生します。
また、テナント賃料や共益費の具体的な金額は個別契約によって異なり、苫小牧の閉店店舗についても契約条件は公表されていません。
そのため、賃料が直接の閉店理由だったと決めつけることはできませんが、収益を圧迫する要素として考慮する必要があります。
2. 飲食店の人手不足と人件費高騰飲食業界にとって、人材確保は大きな経営課題です。
2026年8月17日に公表された帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」では、非正社員の不足を感じている企業の割合について、飲食店が57.7%で業種別トップとなりました。
前年同月から4.1ポイント改善しているものの、依然として飲食店の人材確保が難しい状況は続いています。
加えて、東京商工リサーチが2026年6月8日に発表した調査も注目に値します。
2026年1~5月の飲食業倒産は411件で、前年同期比2.2%増。同じ期間として1997年以降の最多を更新しました。
特に人件費高騰を原因とする倒産は20件で、前年同期の約6.6倍に増加しています。
これは、飲食店の経営が人件費上昇によって圧迫されていることを示す客観的なデータです。ただし、飲食業全体の倒産統計であり、苫小牧の個々のテナントが同じ理由で閉店したことを示すものではありません。
3. 集客力と売上のバランスが取れなくなる商業施設のフードコートでは、施設全体の来館者数が多くても、個々の飲食店の売上が伸びるとは限りません。
例えば、次のような状況が考えられます。
- 来館者は多いが、飲食目的の利用者が少ない
- 同じジャンルの飲食店が近くにあり、競争が激しい
- 平日と休日の売上に大きな差がある
- 客単価が低く、必要な売上を確保しにくい
- 周辺商圏の人口や購買行動が変化している
特に低価格帯の商品を中心に販売する店舗は、仕入れ価格や人件費が上がっても、簡単に販売価格を引き上げられません。
値上げによって客離れが起きれば、利益率の改善も難しくなります。
こうした複数の条件が重なると、営業を継続するよりも撤退した方が経営上合理的になる場合があります。
4. 店舗運営会社による事業再編すべての閉店が赤字や経営悪化によるものとは限りません。
実際、マクドナルド イオンモール苫小牧店の閉店については、2025年12月のリアルエコノミーの報道で、運営会社による店舗再配置が背景として紹介されました。
同店は2025年12月30日に閉店しましたが、これは苫小牧市内のマクドナルド店舗網の再編に伴う動きでした。
つまり、商業施設内の店舗を閉じても、運営会社が別の立地で営業を続けるケースがあります。
この違いは、店舗の閉店情報を読み解くうえで重要です。
【別施設との混同に注意】イオンモール大網白里のフードコート撤退とは?
もう一つ、検索で混同されやすいのが「イオンモール大網白里」という名称です。
千葉県大網白里市にはイオンの店舗がありますが、正式な施設名はイオン大網白里店です。
「イオンモール大網白里」という名称の施設と混同しないようにする必要があります。
イオン大網白里店の現在イオンの公式店舗情報では、イオン大網白里店の所在地は千葉県大網白里市みやこ野1丁目1-2です。
公式の専門店営業時間一覧には、次のような店舗が掲載されています。
- サイゼリヤ(1階)
- オランダ家(1階)
- セリア(2階)
- シマヤ(2階)
- メルヘンランド(3階)
- その他の生活関連サービス店舗
地域情報サイト「まとめて大網白里」では、以前は1階にフードコートがあったという経緯と、現在のイートインやベーカリーの状況が紹介されています。
そのため、過去のフードコートの変化を知りたい人が、イオン大網白里店の情報を検索している可能性もあります。
ただし、ここで注意したいのは、イオン大網白里店の状況とイオンモール苫小牧の閉店ラッシュを同じ問題として扱わないことです。
施設の規模、商圏、テナント構成、店舗の運営形態が異なります。
大網白里市とイオンの関係は継続している2026年4月13日には、イオン株式会社と千葉県大網白里市が包括連携協定を締結しました。
協定には、健康増進、高齢者福祉、子育て支援、教育・文化・観光振興、環境保全などの連携事項が盛り込まれています。
この発表は、イオンが大網白里市との地域連携を継続していることを示しています。
フードコートの営業形態が変わったことと、地域からイオンが全面撤退することは、まったく別の問題です。
【2026年11月最新】イオンフードコートの現在の営業状況と再出店の可能性
では、2026年11月現在、イオンモール苫小牧のフードコートはどうなっているのでしょうか。
イオンモール苫小牧の公式営業時間案内では、2階フードコートの営業時間は10時~21時とされています。
また、公式サイトの2階専門店案内には、以下の飲食店が掲載されています。
| 店舗名 | 主な業態 |
|---|---|
| 牛角焼肉食堂 | 焼肉・定食 |
| ケンタッキーフライドチキン | フライドチキン |
| 築地銀だこ | たこ焼き |
| ドトールコーヒー | カフェ |
| はなまるうどん | うどん |
これらは、2026年11月2日時点で公式営業時間案内に掲載されている店舗です。
閉店情報ばかりが目立つ一方、新規出店のニュースもあります。
2026年11月2日付の地域情報サイト「とまこまいFUN」は、イオンモール苫小牧に「バーガーキング イオンモール苫小牧店」が2027年1月中旬にオープン予定と報じました。
情報の根拠は求人情報への掲載です。
2025年12月にマクドナルドが閉店したことを考えると、苫小牧の商業施設内でハンバーガーを楽しめる新しい選択肢が増えることになります。
ただし、現段階では具体的な出店場所などの詳細は明らかになっていません。
この動きは、飲食店が減るだけではなく、新しいブランドへの入れ替えも進んでいることを示しています。
撤退後の再出店はどのように決まる?フードコートで空き区画が生まれた場合、商業施設側にはいくつかの選択肢があります。
1. 同じ飲食ジャンルの新店舗を誘致する
2. 既存の人気チェーンを拡大出店させる
3. 異なる業態の飲食店を導入する
4. 客席や通路など共用スペースを再構成する
5. 一定期間、空き区画として次の出店者を募集する
特に重要なのは、単純に閉店した店舗と同じ業態を入れる必要がないという点です。
例えば、パスタ店が閉店した区画に別のパスタ店を入れるよりも、来館者の需要に合った別ジャンルの店舗を導入した方が、施設全体の魅力を高められる場合があります。
今後の再出店を予測する際は、空き区画の面積、厨房設備、施設の客層、既存店舗との競合関係などが判断材料になります。
【今後の戦略】イオンモールは飲食店を減らすのか?2026~2030年の方向性
今回の閉店情報だけを見ると、イオンモールが飲食テナントを減らしているように感じる可能性があります。
しかし、イオンモール株式会社の2026年5月19日公表の決算説明資料を見ると、少し異なる経営方針が読み取れます。
イオンモールの業績はどうなっている?2026年2月期の連結業績は次のとおりです。
| 項目 | 2025年度実績 | 前年度比 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 4,727億200万円 | 5.1%増 |
| 営業利益 | 684億2,300万円 | 31.2%増 |
| 経常利益 | 562億1,600万円 | 32.0%増 |
国内事業では、既存モールのリニューアルによる収益増加や、費用構造の改革が営業利益の伸長に寄与したと説明されています。
この数字から、イオンモール全体が経営不振によって商業施設の飲食事業を一斉に縮小しているとは判断できません。
2026~2030年度の中期経営計画に注目イオンモールは2026年度から2030年度までの中期経営計画で、地域共創を掲げています。
主な方向性は次のとおりです。
- 既存モールの魅力回復
- 来店頻度の向上
- 商圏の拡大と深掘り
- 既存モールの再創造
- 業態にこだわらない開発フォーマットの多様化
- 商業施設の収益力向上
これは、単純にテナント数を増やすだけの経営から、施設ごとの特徴や地域の需要に合わせて商業施設を再構築する方向性です。
今後、閉店する店舗と新規出店する店舗の違い今後のイオンモールでは、次のような特徴を持つ店舗が注目されます。
出店が期待される店舗
- 商圏の家族客や若年層に支持される飲食店
- 少ない人員でも効率よく営業できる店舗
- 商品の提供スピードが速い店舗
- 既存テナントと競合しにくい専門店
- 施設全体の滞在時間を伸ばせる業態
経営継続が難しくなる可能性のある店舗
- 固定費に対して売上が不足している店舗
- 人員確保が難しく営業時間を維持できない店舗
- 原材料費の上昇を販売価格に反映しにくい店舗
- 施設の客層と商品構成が合わなくなった店舗
もちろん、これらは一般的な商業施設のテナント選定・経営上の判断材料であり、特定の閉店店舗の評価ではありません。
今後のイオンモールは、施設ごとにテナント構成を見直しながら、地域の利用者にとって魅力のある店舗を誘致する方向に進むと考えられます。
【よくある質問】イオンフードコートの撤退に関するFAQ
Q1:イオンのフードコートは全国で全店撤退するのですか?
A1:そのような全国一斉撤退の発表は確認されていません。2026年の話題は、主にイオンモール苫小牧など特定施設での飲食テナントの閉店です。フードコート自体が営業を継続している施設もあります。
Q2:イオンモール苫小牧で閉店した店舗はどこですか?
A2:2025年12月にマクドナルド、2026年2月にポモドーロととりから一番、5月にらーめん専家 羅妃焚、8月にデザート王国と札幌らーめん みそ源が閉店しました。さらに1階レストラン街のカプリチョーザも8月31日に営業を終了しています。
Q3:ポモドーロととりから一番の閉店理由は何ですか?
A3:2026年2月28日に同時閉店したことは地域メディアで報じられていますが、両店舗の具体的な経営上の理由は公表されていません。賃料や人件費の問題が直接の原因だったと断定することはできません。
Q4:イオンモール苫小牧のフードコートは現在も営業していますか?
A4:営業しています。2026年11月2日時点の公式案内では、2階フードコートの営業時間は10時から21時です。牛角焼肉食堂、ケンタッキーフライドチキン、築地銀だこ、ドトールコーヒー、はなまるうどんなどが掲載されています。
Q5:イオンモール苫小牧に新しい飲食店は出店しますか?
A5:2026年11月2日付の地域報道によると、バーガーキングが2027年1月中旬にオープンする予定です。詳しい出店場所などは今後の発表が注目されます。
Q6:イオンモール大網白里も閉店するのですか?
A6:大網白里市にある店舗の正式名称はイオン大網白里店です。イオンモール大網白里という名称との混同に注意してください。フードコートの過去の変化と、施設全体の閉店は別の問題です。
Q7:イオンのフードコートが撤退した後、同じ場所に新店舗は入りますか?
A7:再出店の可能性はあります。ただし、後継テナントの決定には施設側の募集状況、契約条件、厨房設備、商圏の需要などが関係します。空き区画が必ず飲食店として再利用されるわけではありません。
まとめ:イオンフードコート撤退の真相と2027年以降の注目点
2026年に話題となったイオンフードコート撤退の実態は、全国一斉の事業撤退ではなく、一部施設における飲食テナントの閉店と再編です。
特にイオンモール苫小牧では、2025年末から2026年8月にかけて複数の飲食店が営業を終了しました。ポモドーロ、とりから一番、デザート王国、みそ源などの閉店によって、フードコート内の一角が大きく変わっています。
背景として考えられるのは、次の3点です。
1. 経営コストの上昇: 食材費、光熱費、賃料などの負担。
2. 人材確保の難しさ: 人手不足や人件費の上昇による店舗運営への影響。
3. 商業施設の再編: 来館者の需要に合わせたテナント構成の見直し。
一方、イオンモール苫小牧ではフードコートの営業が続いており、2027年1月にはバーガーキングの出店も予定されています。
【プロの結論】
今回の一連の閉店から読み取れるのは、フードコートそのものの終焉ではなく、商業施設における飲食テナントの選別と再構築です。
今後の動向を見極める際は、単純な閉店店舗数だけではなく、次の3つを確認することが大切です。
- 施設全体が営業を継続しているか
- 閉店したのが個別店舗なのか、フードコート全体なのか
- 閉店後に新しいテナントの募集や出店が発表されているか
特に2027年のバーガーキング出店は、苫小牧の飲食テナント再編を考えるうえで注目したい動きです。
イオンのフードコートを利用する人にとって、本当に重要なのは閉店のニュースだけではありません。買い物の合間に食事を楽しめる場所が今後どのように維持され、新しい店舗によってどれだけ魅力を取り戻すかです。
2026年の閉店ラッシュを、イオン全体の撤退と短絡的に捉えるのではなく、各施設の営業状況と新規出店の動向を継続して確認することが、実態を理解するための判断基準になります。