- 欲しいものがない理由は一つではない: 物価高、節約意識、情報過多、価値観の変化などが関係している。 - 物欲がないことと購入意欲がないことは別: Z世代の研究では、欲しい商品を保存しながら購入を先延ばしする行動が確認されている。 - 2026年はメリハリ消費が顕著: 節約する一方、自分へのご褒美や生活の質を高める支出には関心が向いている。 - 欲しいものは無理に作らなくてよい: 日常の不満や興味、体験したいことから探すと、自分に合った欲求が見つかりやすい。
【2026年最新】欲しいものがない人は増えている?消費者調査から見える実態

「欲しいものがない」という感覚を理解するには、個人の心理だけでなく、日本全体の消費行動を確認する必要がある。
2026年の調査結果から見えてくるのは、消費者が一律に買い物をやめたわけではなく、購入する対象やタイミングを慎重に選ぶようになっている姿だ。
博報堂生活総研の消費予報が示す2026年11月の消費意欲博報堂生活総合研究所が2026年10月30日に公表した「来月の消費予報・2026年11月」では、20~69歳の男女1,500人を対象に調査を実施した。
調査期間は2026年10月1日から7日まで。来月の消費意欲を点数化した結果は次のとおりだ。
2026年11月 消費意欲指数46.6点
博報堂生活総合研究所「来月の消費予報」2026年10月30日発表
注目したいのは、指数の内訳に表れた消費者の心理だ。
消費意欲が低い理由に関する自由回答では、「欲しいものがない・意欲がない」という回答が2026年10月の362件から11月には313件に減少した。
一方、「金銭的な理由で節約・我慢」は176件から215件に増加。「年末年始のために我慢」も15件から61件に増えている。
つまり、11月は欲しいものがないという理由よりも、欲しいものがあっても支出を控えたいという心理が強まっている。
また、特に買いたい商品や利用したいサービスがある人の割合は25.7%。前年同月比では2.4ポイント低下した。
ここから読み取れるのは、消費意欲の低迷を単純に物欲の減少だけで説明できないということだ。
デロイト トーマツの2026年度調査では43%が支出拡大に慎重デロイト トーマツ グループが2026年8月26日に公表した「2026年度 国内消費者意識・購買行動調査」も興味深い。
2026年4月に全国の20~79歳の男女5,000人を対象として実施された調査では、今後消費額を増やしたいものについて、43%が「増やしたいものはない」と回答した。
前年の47%からは4ポイント低下しているものの、依然として最も多い回答となっている。
一方、支出を増やしたい項目では国内旅行が23%でトップ。貯蓄・投資や食料品が続いた。
特に興味深いのは年代差だ。
「増やしたいものはない」という回答は20代で34%、30代で40%。全体の43%より低く、若年層のほうが消費に対して前向きな傾向が確認されている。
この結果は「若者は物欲がない」という一般的なイメージとは異なる。
電通デジタル調査では節約と買い方の工夫が同時進行2026年10月27日に発表された電通デジタルの「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査2026」では、全国の20~69歳を対象に8,700人の本調査が行われた。
増加傾向が見られた購買行動は次のとおり。
- クーポンやポイントなどのお得さを重視する:31.4%
- 家計の支出を意識して抑える:25.6%
- 生成AIツールを使う:12.2%
- フリマアプリ・中古市場を利用する:9.9%
加えて、オンラインでの比較検討は55.6%。2022年と比べて5.6ポイント上昇している。
消費者は商品を買わなくなったというよりも、情報を集め、価格を比較し、購入後の満足度まで考えて選ぶようになっている。
2026年の消費行動を特徴づけるのは、物欲の消失ではなく、支出の選別と購入判断の慎重化だ。
【欲しいものがない理由】物欲がなくなる5つの心理と生活背景
欲しいものがないと感じる理由は、人によって異なる。
経済的な事情で買えない人もいれば、生活が満たされているため新しい商品を必要としない人もいる。
代表的な要因を5つに分けて考えてみよう。
1. 物価高や将来不安によって消費を抑えている最も分かりやすいのが経済的な理由だ。
以前なら気軽に購入できた洋服、家電、趣味の商品でも、価格が上がると購入の優先順位を考えるようになる。
加えて、家賃や食費、光熱費などの固定的な支出が増えると、自由に使えるお金は限られてくる。
その結果、欲しいものを見つけても、次のように考えてしまう。
- 今買う必要はない
- もっと安くなるまで待とう
- 貯金を優先したい
- 将来の出費に備えたい
これは物欲がなくなったというより、購買意欲にブレーキをかけている状態だ。
デロイト トーマツの調査でも、2026年は節約と贅沢のメリハリをつける消費行動が定着していることが示されている。
2. 情報が多すぎて何を買えばよいか分からない意外に見落とされやすいのが情報過多による選択疲労だ。
SNSや動画サイト、ECサイトには、毎日大量の商品情報が流れてくる。
気になる商品を見つけても、比較する商品が増え、レビューを読むほど迷いが深くなる。
例えば、洋服を1着購入しようとした場合でも、次のような検討が発生する。
- 自分に似合うデザインなのか
- 価格に見合った品質なのか
- もっと安い商品があるのではないか
- 購入後に後悔しないか
- 他の商品を選んだほうがよかったのではないか
こうした判断を繰り返すと、最終的に買い物そのものが面倒になる。
関西学院大学・鈴木謙介ゼミの研究でも、情報過多による意思決定の困難が購入を妨げる要因として挙げられている。
欲しい商品があっても、選ぶことに疲れてしまえば、購入意欲は表面化しにくい。
3. 生活がある程度満たされ、新しい物を必要としない欲しいものがない人の中には、現在の生活に満足している人もいる。
必要な家電がそろい、着たい服もあり、日常生活に大きな不便がなければ、新しい商品を購入する理由は少なくなる。
この場合、物欲がないことは必ずしも問題ではない。
むしろ、自分が必要とするものを把握し、必要以上に購入しない生活ができているとも考えられる。
特に、所有物を増やすことよりも、次のようなことを優先する人は少なくない。
- 自由に使える時間
- 家族や友人との交流
- 趣味や旅行の経験
- 健康的な生活
- 貯蓄や将来への備え
デロイト トーマツの調査でも、旅行やイベント、趣味などの体験に対する支出意向が示されている。
物を買うことだけが満足感を得る手段ではないのだ。
4. 過去の買い物で失敗し、購入に慎重になっている過去の買い物で後悔した経験があると、新しい商品を購入することに抵抗を感じる場合がある。
例えば、高価な洋服を買ったのにほとんど着なかった、家電を購入したものの使いこなせなかった、流行の商品を買ったのにすぐ飽きてしまった、といった経験だ。
こうした経験が積み重なると、購入前に考えることが増える。
「本当に必要なのか」「また使わなくなるのではないか」という不安が先に立ち、欲しいという感情を抑えてしまう。
特に高額商品では、購入後の後悔だけでなく、別の商品を選んでいた場合との比較まで考えてしまいがちだ。
これは浪費を防ぐ合理的な判断でもあるが、慎重になりすぎると、小さな買い物すら決められなくなる。
5. 興味や価値観が変化し、以前の物欲が薄れている人の欲求は一定ではない。
学生時代には洋服やゲーム、最新のスマートフォンが欲しかった人でも、仕事や生活環境が変われば関心の対象も変化する。
例えば、以前はブランド品に魅力を感じていた人が、現在は旅行や趣味にお金を使いたいと考えることもある。
また、持ち物が増えた経験から、管理や収納の負担を避けたいと思うようになる場合もある。
重要なのは、以前欲しかったものを今も欲しがる必要はないということだ。
欲しいものが変わったのなら、それは価値観が変化した結果かもしれない。
【物欲がない人の特徴】欲しいものが思いつかない人の心理とは?
物欲がない人には、いくつかの共通した傾向が見られる。ただし、以下は診断基準ではなく、生活や消費に対する考え方の違いを整理したものだ。
物を所有することに価値を感じにくい物欲がない人は、商品を所有すること自体に強い満足感を求めない場合がある。
新しいバッグや時計を購入するより、現在使っているものを長く大切にしたいと考える。
また、物が増えることで収納場所や管理の手間が増えることを負担に感じる人もいる。
こうした人は、買い物の回数が少なくても生活に不満を感じにくい。
他人と比較して買い物をしないSNSなどでは、他人が購入した商品やブランド品、旅行先などが頻繁に紹介される。
しかし、物欲がない人の中には、他人の所有物を見ても自分が同じものを欲しいとは感じない人がいる。
自分に必要かどうかを判断基準にしているため、流行や周囲の評価に左右されにくい。
コストパフォーマンスや実用性を重視する価格と品質のバランスを重視し、必要性の低いものにはお金を使わない傾向もある。
高価な商品だから欲しいのではなく、日常生活でどれだけ役立つかを考える。
ただし、節約を重視することと、物欲がないことは同じではない。お金を使いたい対象が明確にある人も多い。
体験や時間にお金を使いたい物よりも経験を重視する人は、旅行、食事、学習、趣味などに関心を持つことがある。
この場合、物欲がないというより、消費の対象が商品から体験へ移っている。
デロイト トーマツの2026年度調査でも、旅行では思い出に残る体験や趣味・余暇の充実が支出を増やしたい理由として挙げられている。
自分の満足度を優先している物欲が少ない人は、周囲からどう見られるかより、自分自身が快適に過ごせるかを重視することがある。
必ずしも高価な商品や新製品を必要とせず、現在の生活に満足していれば十分だと考える。
こうした特徴は、浪費を避けることにもつながる。
ただし、物欲が少ないからといって、必ずしも精神的に充実しているとは限らない。本人が困っていないか、以前と比べて生活全般への関心が低下していないかも判断材料になる。
【Z世代の物欲がないは誤解?】購入待ちリストと冒険消費の正体
「若者は物欲がない」「Z世代はコスパに厳しく、あまり買い物をしない」というイメージは、本当に正しいのだろうか。
この疑問に対して、重要な視点を提供しているのが、関西学院大学社会学部・鈴木謙介ゼミによる研究だ。
2025年7月に発表された「冒険消費」とは関西学院大学・鈴木謙介ゼミは2025年7月22日、Z世代の消費行動を分析した研究成果として「冒険消費」という概念を発表した。
この研究では、全国の18~49歳の男女620人を対象としたアンケートに加え、大学生を中心とした20代男女へのインタビューや、京阪神地域の商業施設での行動観察を実施している。
調査におけるZ世代は29歳以下と定義されている。
研究で明らかになったのは、Z世代が欲しいものを持っていないのではなく、購入したい商品を保存しながら、実際の購入を先延ばしにしているという実態だった。
その背景にあるのが「購入待ちリスト」だ。
スマートフォンのメモ帳やSNSのお気に入り機能、スクリーンショットなどを使い、気になる商品を保存している。
つまり、購入していない商品も、本人にとっては将来購入する可能性がある候補として残されている。
購入待ちリストに保存するZ世代の行動2026年7月4日にTBS CROSS DIG with Bloombergで公開された、ニッセイ基礎研究所の研究員・廣瀬涼氏による解説記事では、購入待ちリストの保存方法について具体的な数値が紹介されている。
| 保存方法 | Z世代の利用割合 |
|---|---|
| スマートフォンのメモ帳アプリ | 57.2% |
| SNSのお気に入り機能 | 55.8% |
| LINEなどのメッセージアプリで人に送る | 45.7% |
| SNSのリポスト機能 | 39.4% |
特に注目したいのは、スマートフォンのメモ帳アプリが57.2%と最も高いことだ。
専用の買い物リストを作らなくても、日常的に使用するアプリに商品情報を保存しておける。
これは単なる記録ではなく、購入を判断するまで商品情報を保留する行動とも考えられる。
Z世代が欲しいものを買わない3つの理由関西学院大学の研究では、購入をためらう背景として、主に3つの要因が挙げられている。
1. 経済的な理由
TBS CROSS DIG with Bloombergの記事によると、購入に踏み出せない理由として「お金がないから」が31.8%で最多だった。
欲しいものがあっても、生活費や将来の支出を考えると簡単には購入できない。
2. 情報過多による選択疲労
同じ商品でも口コミやレビューによって評価が異なる。
情報を調べ続けるうちに判断が難しくなり、購入そのものを先送りしてしまう。
3. 自分に合うかどうか分からない不安
SNSで商品を見て魅力を感じても、自分に似合うのか、実際に使いこなせるのか分からない。
購入後の失敗を避けたいという心理が、最後の決断を難しくしている。
加えて、購入待ちリストに入れた商品を「購入したことはない」と回答したZ世代は18.9%だった。
欲しいものを保存することと、実際に購入することの間には、心理的な壁が存在している。
冒険消費を成立させる「心のフタ」とは鈴木謙介ゼミの研究が提唱する冒険消費は、購入に対する不安を取り除くことで、もともと存在していた購買意欲が行動につながるプロセスを指す。
研究では、この不安を水圧のある噴水に例えている。
冒険消費の心理構造
欲しいという気持ち
商品への興味・関心・購入意欲
心のフタ
お金・情報過多・失敗への不安・決め手の不足
不安を取り除くきっかけ
信頼できる人の推薦・客観的な判断材料・購入タイミング
納得した購入・消費行動
自分の意思で購入を決断する
具体的には、信頼できる友人からの推薦、客観的な商品情報、タイムセールや限定商品などが購入の後押しになる。
同研究では、購入のきっかけとしてタイムセールが24.4%で最も多かったことも報告されている。
ここで重要なのは、単に商品を欲しくさせることと、安心して購入できる状態を作ることは違うという点だ。
Z世代は物欲がないのではなく、購入する理由と納得できる根拠を慎重に探している場合がある。
年代によって欲しいものがない理由は異なる年代ごとに、購入を控える理由や重視する価値は変わってくる。
| 年代・対象 | 消費行動の特徴 | 欲しいものがないと感じる背景 |
|---|---|---|
| 20代 | SNSやスマートフォンで商品情報を保存する傾向 | 経済的制約、情報過多、失敗への不安 |
| 30代 | 生活の充実や必要性を重視 | 生活費、将来設計、家計とのバランス |
| 40代 | 支出の優先順位を慎重に判断 | 家計負担や将来の経済的不安 |
| 50代 | 将来の財務状況に警戒感 | 老後や生活資金への備え |
| 60~70代 | 今後の消費意向を慎重に見込む傾向 | 生活防衛や必要な支出への集中 |
この比較はデロイト トーマツの年代別調査と関西学院大学のZ世代研究を整理したものだ。各調査の対象年齢や質問項目は異なるため、年代間の数値を直接比較するものではない。
デロイト トーマツの2026年度調査では、50代の50.4%が1年後の財務状況を悲観的に見ており、40代でも45.8%だった。
一方、60代と70代では、1年後に消費意向の低迷を見込む割合がそれぞれ48.6%、53.7%に達している。
こうした違いから、同じ「欲しいものがない」という言葉でも、20代では購入を決めきれない心理、40~50代では家計への警戒感、60~70代では支出の優先順位の見直しが関係している可能性がある。
【欲しいものを見つける方法】買いたいものがない状態から抜け出す6つのヒント
欲しいものが思いつかないとき、無理に流行の商品を探す必要はない。
大切なのは、自分が何に満足し、どのような生活を送りたいのかを整理することだ。
1. 欲しい商品ではなく、日常の不満から考える最初から商品名を考えると、なかなか思いつかないことがある。
そこで、普段の生活で不便に感じることを振り返ってみよう。
例えば、次のような小さな不満だ。
- 朝の準備に時間がかかる
- 部屋の収納が足りない
- デスクワークで肩や腰が疲れる
- 自宅で過ごす時間が退屈
- 料理や掃除に手間がかかる
こうした不満を解決するものが、自分にとって本当に欲しいものになる可能性がある。
商品を探す前に、解決したい問題を見つけることがポイントだ。
2. 物以外に欲しいものがないか考える欲しいものは、必ずしも商品である必要はない。
例えば、次のような希望も立派な欲求だ。
| 欲しいものの種類 | 具体例 |
|---|---|
| 時間 | 自由時間、休息、ゆっくり過ごす休日 |
| 体験 | 旅行、ライブ、グルメ、イベント |
| 知識 | 資格取得、語学、専門スキル |
| 健康 | 運動習慣、睡眠環境の改善 |
| 人間関係 | 家族との時間、友人との交流 |
| 生活環境 | 快適な部屋、作業スペースの改善 |
物欲が少なくても、よりよい生活を送りたいという気持ちまでなくなっているとは限らない。
3. 過去に欲しかったものを振り返る以前、購入したいと思っていた商品や、興味を持っていた趣味を思い出してみる。
特に次のようなものを振り返るとよい。
- 買おうと思っていたけれど購入しなかったもの
- SNSで保存していた商品
- 昔から興味があった趣味
- いつか行きたいと思っていた場所
- 以前は楽しんでいた活動
過去の欲求を振り返ることで、今の自分が何に関心を持っているのかが見えてくる。
ただし、昔欲しかったものを必ず買う必要はない。現在も魅力を感じるかどうかが判断基準になる。
4. 購入待ちリストを作ってみる欲しいものが思いついたら、スマートフォンのメモ帳などに保存しておく。
関西学院大学の研究でも、購入待ちリストは消費行動を理解するうえで重要な役割を果たしていた。
おすすめは、単純に商品名を記録するだけでなく、欲しい理由も一緒に書くことだ。
例えば、次のような形式にする。
| 記録項目 | 記入例 |
|---|---|
| 商品・体験 | ワイヤレスイヤホン |
| 欲しい理由 | 通勤中に快適に音楽を聴きたい |
| 必要性 | 現在のイヤホンが故障気味 |
| 予算 | 1万円程度 |
| 購入時期 | 現在の商品が使えなくなったとき |
リストを作った後、定期的に見直すことも大切だ。
時間が経っても欲しいものは、自分にとって優先順位が高い可能性がある。一方、見返しても興味が戻らないものは、無理に購入しなくてよい。
5. SNSや広告から少し距離を置く情報が多すぎると、自分が本当に欲しいものを判断しにくくなる。
SNSで次々に新商品を見るより、いったん情報収集を止めてみるのも方法の一つだ。
そのうえで、自分が好きなことや興味のある分野を振り返る。
例えば、旅行が好きなら旅行関連の商品やサービス、料理が好きなら調理器具や食材など、興味のある分野に絞って探す。
選択肢を増やすより、選択肢を絞ることが満足できる買い物につながる場合もある。
6. 小さな体験から新しい興味を見つける何も欲しくないときは、商品を買うことよりも新しい経験を増やしてみるのもよい。
- 行ったことのない場所へ出かける
- 新しい料理を作る
- 興味のあるイベントに参加する
- 未経験のスポーツを試す
- 新しいジャンルの本を読む
体験を通じて、自分の関心がどこに向いているのかを発見できることがある。
ここでの目的は、無理に消費することではない。新しい刺激を得て、自分が何に楽しさを感じるのかを知ることだ。
欲しいものがないときに無理して買う必要はある?答えは、必ずしも必要ない。
欲しいものがない状態に不満がなく、日常生活にも支障がないなら、そのままでも問題はない。
むしろ、不要な買い物をしないことは、家計や住環境を整えるうえでもメリットがある。
一方で、欲しいものがないことに焦りを感じたり、何をしても楽しくないと感じたりするなら、買い物以外の生活全般にも目を向けてみよう。
【プロの結論】物欲がないことは悪いことではない!自分に合う消費の基準を持つ
ここまでの調査と研究を整理すると、「欲しいものがない」という状態には、大きく3つのパターンがある。
1つ目は、現在の生活に満足している状態。
必要なものがそろい、無理に新しい商品を購入する必要がない。これは健全な消費の選択ともいえる。
2つ目は、欲しいものがあっても購入できない状態。
経済的な理由や将来への不安、購入後の失敗を避けたい心理が関係している。Z世代の購入待ちリストは、この状態を理解する重要な手掛かりだ。
3つ目は、興味や意欲そのものが低下している状態。
以前は好きだった買い物だけでなく、趣味や人付き合いなどにも関心が持てなくなっている場合は、心身の状態を振り返る必要がある。
厚生労働省も、うつ病の特徴として、以前は楽しめていたことに興味がわかなくなることや、喜びを感じにくくなることを挙げている。
気分の落ち込み、睡眠や食欲の変化、疲労感などが重なり、2週間以上続いて日常生活に支障が出ている場合には、医療機関や専門家に相談することを検討したい。物欲の低下だけで病気と判断することはできない。
自分に合う消費かどうかを判断する4つの基準買い物をするか迷ったときには、次の4点を確認するとよい。
- 必要性: 今の生活に本当に必要なのか。
- 満足度: 購入後に生活が便利になったり、楽しみが増えたりするか。
- 経済性: 無理のない予算で購入できるか。
- 継続性: 一時的な流行ではなく、長く使ったり楽しんだりできるか。
この4つを満たす商品や体験なら、購入を前向きに検討する価値がある。
反対に、誰かが持っているから、SNSで話題になっているからという理由だけなら、急いで購入する必要はない。
2026年の消費者意識が示しているのは、何でも買う時代から、自分にとって価値のあるものを選ぶ時代への変化だ。
物欲の多さを生活の充実度と結び付ける必要はない。何も買わない選択も、自分の価値観に合っているなら十分に合理的だ。
【欲しいものがない】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:欲しいものがないのは普通のこと?
A1:珍しいことではない。生活に必要なものがそろっていたり、物よりも時間や体験を重視していたりすると、購入したい商品が思いつかないことがある。本人が困っていなければ、無理に物欲を持つ必要はない。
Q2:物欲がなくなった原因は何?
A2:物価高や節約意識、生活環境の変化、価値観の変化、情報過多、過去の買い物での失敗などが考えられる。また、心身の疲労や気分の落ち込みが関係する場合もある。
Q3:物欲がない人にはどんな特徴がある?
A3:所有することより実用性を重視する、他人と比較して買い物をしない、体験や時間に価値を感じる、必要なものだけを購入するといった傾向がある。ただし、すべての人に当てはまるわけではない。
Q4:Z世代は本当に物欲がない?
A4:一概にはいえない。関西学院大学・鈴木謙介ゼミの2025年の研究では、Z世代がスマートフォンやSNSに購入待ちの商品を保存しながら、経済的な事情や心理的な不安から購入をためらう実態が明らかになっている。
Q5:欲しいものが思いつかないときはどうすればいい?
A5:日常生活の不満や改善したいこと、興味のある趣味などから考えるとよい。商品だけでなく、旅行や学習、自由時間など、体験やサービスも含めて考えると選択肢が広がる。
Q6:欲しいものがないなら貯金を優先したほうがいい?
A6:購入したいものが特にないなら、貯蓄や投資、将来の生活資金に回すのも合理的な選択だ。ただし、生活に必要な支出や自分の満足度を高めるための支出まで無理に削る必要はない。
Q7:何も欲しくない状態が続く場合は病気の可能性もある?
A7:買い物への興味が薄れるだけで病気とは判断できない。ただし、以前好きだった趣味や人との交流にも興味が持てず、気分の落ち込みや睡眠・食欲の変化などが続く場合は、専門家に相談することが望ましい。
まとめ:欲しいものがない自分を否定せず、本当に必要なものを見極めよう
「欲しいものがない」という感覚は、単純に物欲がなくなったことだけを意味するわけではない。2026年の消費者調査では、物価高や節約意識による支出の選別が確認される一方、旅行や趣味、生活の質を高める支出への関心も示されている。
また、関西学院大学・鈴木謙介ゼミの「冒険消費」研究は、Z世代が欲しいものを持ちながらも、購入に踏み切れない心理を明らかにした。購入待ちリストは、消費意欲がないことの証拠ではなく、納得できる買い物をするための検討過程でもある。
物欲がないことを無理に変える必要はない。大切なのは、他人の消費行動や流行に合わせるのではなく、自分が何に満足し、何にお金や時間を使いたいのかを理解することだ。
買いたいものがないなら、今は買わなくてもいい。欲しいものが見つかったときに、納得して選べることこそ、自分らしい消費につながる。
主な参考資料・調査
- 博報堂生活総合研究所「来月の消費予報・2026年11月」(2026年10月30日)
- デロイト トーマツ グループ「2026年度 国内消費者意識・購買行動調査」(2026年8月26日)
- 電通デジタル「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査2026」(2026年10月27日)
- 関西学院大学・鈴木謙介ゼミ「Z世代の消費行動を解明する新概念『冒険消費』」(2025年7月22日)
- TBS CROSS DIG with Bloomberg「若者は物欲がない」は勘違い?(2026年7月4日)
- 厚生労働省「こころもメンテしよう」「e-ヘルスネット」